ホームサイト作家作品ジャンル読書履歴キーワード新刊情報日記BBSリンクメール
ホームジャンル別IXDEX一般小説(海外作家)>ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ


■ ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ ■
(Giuseppe Tomasi di Lampedusa 1896~1957)
イタリア・シチリア島で最も由緒あるパレルモの公爵家に生まれる。第1次世界大戦ではヨーロッパ戦線で捕虜となり脱走。1920年ごろまで軍籍にあったらしいが、その後は諸国を旅する生活が続け、やがて結婚。妻のアレッサンドラ・ウォルフ=ストメルゼーはポーランド生まれの貴族で精神分析学者。
ダンテ、シェークスピア、スタンダール、プルーストなどに親しみ、晩年に生涯唯一の長編小説『山猫』を執筆。出版社に持ち込まれた無署名の原稿は素晴らしいもので、作者が誰なのか取り沙汰され、パレルモ公爵の作品である事が判明、評判を呼ぶ。しかし、彼は既に重病の床にあり、1957年に死去。出版は死の翌年となった。
他の著作にはスタンダールに関するエッセーがある。


作 品 I N D E X 

 1.山猫




■ 山 猫 ■
(1958年)
★★★★☆

ランペドゥーサ:著
河出文庫
1958年

イタリア統一を目指して挙兵したガリバルディの上陸目前のシチリア島。島で最も由緒ある貴族サリーナ公爵ドン・ファブリツィオは動乱の時代も以前と変わらぬ貴族としての生活を守っていた。愛する甥のタンクレディはイタリア統一運動に参加していたが、公爵の甥に対する愛情は変わらず、むしろ、彼のその先進性をも愛でていた。彼ら村の村長は抜け目無く立ち回って成り上がった強欲で下品な新興地主だったが、彼の娘アンジェリカは教養のある絶世の美女だった。たちまち恋に落ちたタンクレディとアンジェリカは結婚を望む。身分違いの結婚を快く許したドン・ファブリツィオだったが、内心は複雑だった・・・。


出版当時、その素晴らしさに「貴族の手遊びとは思えない。」と話題になった作品だそうですが、それも当然と思えるほど骨格のしっかりした素晴らしい作品です。憂愁と倦怠が作品全体に漂い、衰退して行く貴族とそれを代表するドン・ファブリツィオの憂いが見事に表現されています。それが単なる感傷に陥っていないのは骨太な書きぶり故だと思います。その骨太さが主人公ドン・ファブリツィオの人物像とも繋がり、作品を重厚なものにしているからです。

貴族としての生活や信条を守り続ける旧時代的なドン・ファブリツィオですが、時代の流れに批判的ではありません。統一運動に参加する甥タンクレディの先進性を賞賛し、彼の身分違いの結婚も新時代の象徴として容認します。しかし、彼自身は厳然と貴族としての立場や生活を守り続けています。アンジェリカの父ドン・カロジェロの実業家としての能力には感服もし頼ってもいますが、その人品の卑しさには我慢がならず、彼の家と姻族関係になることを嘆いてもいます。時代の流れを容認しているように見えて、実は彼自身は変わろうとしても変われない・・・そんな焦燥感を感じ、そしてそれは諦め、開き直りに変わって行ったように思えます。変われない自分を哀しみ、旧時代と共に滅びて行く覚悟を決めた・・・そんなふうに思えます。

他の登場人物もとても興味深く読めます。
時代の流れに自然に溶け込んで見事に泳ぎきるタンクレディ。しかし、彼も妻には貴族の夫人の教養と嗜みを求めます。ドン・カロジェロはまさに時代の申し子で、新しい時代で大切なのは家柄や伝統ではなく、才覚である事を否応無く見せ付けます。そして、ドン・ファブリツィオの娘コンチェッタ。彼女は父の死後、その焦燥と憂愁を受け継いで行きます。

ランペドゥーサは貴族の生活、シチリア島の自然などもよく伝えています。特に別荘への道中で描かれた灼熱の太陽と乾燥したシチリアの大地はドン・ファブリツィオの焦燥感を象徴しているようで、とても印象的でした。

主人公の姿は著者自身の人物像を想像させます。ランペドゥーサ自身、ドン・ファブリツィオと同じ様な想いを抱いていたのではないでしょうか。この滅び行く貴族社会を描いた物語は貴族にしか書けなかった・・・そう感じます。この作品を映画化したルキノ・ヴィスコンティもミラノの公爵家に生まれていますが、それも偶然ではないと思います。
(2004.10.29)

■ 映画化 ■
■ 映画 「山猫 / Il gattopardo」
 CinemaItalia〜映画でイタリアより
CinemaItalia様バナー
 「山猫」・・・原作と映画化
 ブログに書いた記事です。

ページのトップへジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ作品INDEXへ


HOMEへ元のページに戻る



Copyright © 2004-2005 yuiga. All rights reserved.