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ホームジャンル別IXDEX推理小説(海外作家)>エリザベス・フェラーズ


■ エ リ ザ ベ ス ・ フ ェ ラ ー ズ ■
(Elizabeth Ferrars 1907~1995)
1907年、英国領ビルマのラングーン(現ミャンマーのヤンゴン)生まれ。本名:モーナ・ドリス・マクタガート(Morna Doris MacTaggart)。
ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジでジャーナリズムを専攻し、卒業後はモーナ・マクダガート名義で普通小説を書いていたがぱっとせず、1940年の結婚を機にミステリーに転向、<トビー・ダイク&ジョージシリーズ>の第1作となる『その死者の名は』を発表。
アガサ・クリスティをしのぐ多作家で70編以上の長編を発表し、イギリス推理作家協会(CWA)の創設にもかかわり会長も務めるなど、英米では人気・実力ともに認められた作家だが、日本では昭和30年代に2作品が翻訳されただけで無名に近かった。近年、<トビー・ダイク&ジョージシリーズ>が相次いで翻訳され、俄かに注目が集まり、その実力が再認識されて来ている。
1995年、死去。


作 品 I N D E X 

1.その死者の名は
2.細工は流々
3.自殺の殺人
4.猿来たりなば
5.ひよこはなぜ道を渡る NEW

 この著者の既読本


NEW
■ ト ビ ー ・ ダ イ ク & ジ ョ ー ジ シ リ ー ズ ■
(1940~1942年)

■ シリーズ概要 ■

1940年から42年に書かれた5作品からなるシリーズ。
1930年代の欧米のミステリー黄金期の余韻を色濃く残した好シリーズ。
長身で色黒、おしゃべりで明朗軽快な犯罪ジャーナリストのトビー・ダイクと、色白でぽちゃり、無口でボーっとしたトビーのところの居候ジョージ・・・こんな対照的な凸凹コンビが活躍するユーモアたっぷりの本格ミステリー・シリーズ。
シリーズ作品のどれにも驚くほど奇抜な謎が用意されているのが最大の特徴。また、印象とは逆に、如何にも切れ者といった感じのトビーが丹念に捜査をし、ボーとしたジョージが名推理で事件を解決!と言ったところが意外で、単なる<ワトソンとホームズ>と言った単純な関係ではないのがこのシリーズならではの面白さになっています。

■ 翻訳者公式サイト ■
(ご紹介しているサイトは別ウインドで開きます)
翻訳家のひよこ このシリーズ5編の翻訳をされた中村有希さんのサイト。翻訳の裏話なども読めます。他にも楽しいコンテンツがいっぱいです。

■ そ の 死 者 の 名 は ■
(原題:Give a Corpse a Bad Name 1940年)
★★★★☆

田舎町を騒動に巻き込んだ身元不明の酔っ払いの轢死体  事故なのか? それとも・・・?
シリーズ第1弾 著者初の長編推理小説


オンライン書店ビーケーワン:その死者の名は

創元推理文庫 中村有希:訳

 東京創元社 2002.8 \588 4488159206

オンライン書店bk1




■ 内 容
深夜、小さな村の道端で一人の男がひき殺された。顔がつぶれていて男の身元はわからない。轢いたミルン夫人は過失で被害者に心当たりも無いというが、男のポケットからはミルン夫人の住所を書いたメモが出て来たし、轢いた状況も不自然。本当に過失なのか? 殺人だとしたら動機は? そして、そもそもこの死者は誰なのか?
この村をふらりと訪れたトビーとジョージは事件に首を突っ込み、この小さな村の隠された人間関係を暴いて行く・・・。

■ 感 想
翻訳された順序は4番目ですが、シリーズの冒頭を飾る作品で、英国の読者はトビーとジョージにこの作品で初めてお目にかかったわけですが、2人の人物像とその関係はとても新鮮に感じられたと思います。
人物造形の面白さは2人に限ったことではありませんし、バラバラに思えた事柄が巧く絡み合い一つの事件になっているのも見事です。


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■ 細 工 は 流 々 ■
(原題:Remove the Bodies 1940年)
★★★★

殺人現場となった屋敷には推理小説顔負けの様々なトリックが仕掛けられたいた!
シリーズ第2弾


オンライン書店ビーケーワン:細工は流々

創元推理文庫 中村有希:訳

 東京創元社 1999.12 \546 4488159184

オンライン書店bk1




■ 内 容
<時々、殺したくなる>くらい無邪気なお人好しだった友人のルー。ある日彼女がトビーの部屋を訪れ、理由は聞かずに15ポンド貸して欲しいと言うので小切手を切ってやり、その晩は部屋に泊めてやった。しかし、明朝トビーとジョージが起き出してみるとルーの姿はなくなっていた。そして日の夜、トビーは何者かから電話を受け、ルーが殺されたと告げられる。トビーとジョージが駆けつけると、その屋敷には推理小説に出てくるような様々なトリックが仕掛けられていた・・・。

■ 感 想
”推理小説に出て来るような”トリックが少々大仰のような気がしましたが、相変わらずの人物造形の巧さ、トビーとジョージの関係の面白さ、そして二転三転する真相の面白さにいつの間にか引き込まれてしまいました。悲劇的な要素を含みながらもやはりどこかユーモラス。シリアスになり過ぎないのがコージー好きには心地良く感じられます。


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■ 自 殺 の 殺 人 ■
(原題:Death in Botanist's Bay 1941年)
★★★★

せっかく自殺を止めたのにその男は翌日死体となって発見された 自殺なのか? それとも他殺?
シリーズ第3弾


オンライン書店ビーケーワン:自殺の殺人

創元推理文庫 中村有希:訳

 東京創元社 1998.12 \546 4488159176

オンライン書店bk1




■ 内 容
植物標本館長のエドガー・プリースは嵐の夜、断崖から身を投げて自殺しようとした。それを標本館の研究員と共に助けたトビーとジョージ。しかし、翌日プリースの死体が標本館で発見された。一見、銃による自殺に見えたが、それにしては指紋の位置がおかしかった。他殺だとしたら、何故自殺しようとしていた人間を殺す必要があったのか・・・?

■ 感 想
自殺に見せかけた他殺・・・という単純な解決には至らず、自殺か他殺かで何度も何度もどんでん返しが繰り広げられます。トビーとジョージのコンビのユニークさは勿論ですが、他の登場人物もまたまた巧く描かれていて、この複雑なストーリーを更に盛り上げ、面白く読ませてくれます。


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■ 猿 来 た り な ば ■
(原題:Don't Monkey with Murder 1942年)
★★★★☆

引き受けてみればなんと!被害者はチンパンジー!
シリーズ第4弾


オンライン書店ビーケーワン:猿来たりなば

創元推理文庫 中村有希:訳

 東京創元社 1998.9 \546 4488159168

オンライン書店bk1




■ 内 容
トビーの元にいま一つ要領を得ない依頼の手紙が舞い込んだ。一度誘拐され自力で脱出して来たアーマが二度と同じ目に遭わないよう守って欲しいというのだ。気が進まないながらもトビーはジョージと共に依頼人ポール・ヴィラグの住む村へと向かった。ヴィラグの屋敷に着いた2人はナイフで刺されて死んだチンパンジーの死体を発見。それが、なんと誘拐の”被害者”アーマだった!2人はチンパンジー殺害の捜査をするハメに・・・。

■ 感 想
初めて読んだフェラーズ作品(翻訳されたのがシリーズでこれが一番初めだったため)で、被害者がチンパンジーというのは単に奇を衒っただけで、ドタバタに始終してしまうのかと思いましたが、とんでもない! この奇抜な発想が見事に生かされた本格モノでした。しかも、ユーモアもあり、探偵コンビも魅力たっぷりで、40年代にこんなに奇抜で面白い作品を書く作家がいたことに驚かされつつ、いいものを見つけたとほくそ笑んだ次第。この作品のインパクトはそれくらい強いものでした。


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■ ひ よ こ は な ぜ 道 を 渡 る ■
(原題:Your Neck in a Noose 1942年)
★★★★

”殺人現場”にあった死体は自然死だった!?
ユーモア漂う本格モノ<トビー&ジョージシリーズ>最後の事件


オンライン書店ビーケーワン:ひよこはなぜ道を渡る

創元推理文庫 中村有希:訳

 東京創元社 2006.2 \798 4488159214

オンライン書店bk1




■ 内 容
トビーが招待状をもらって訪ねた旧友の屋敷にはラジオのニュースが響き渡るだけで人けが無かった。開いている窓を探して入り込み電気をつけたトビーの目に映ったものは派手な格闘の跡と思しき散乱した室内と床の血のり、そして椅子に掛けたままで死んでいる旧友ジョン。状況からはジョンが格闘の末拳銃で殺されたように見えたが、ジョンの遺体に傷は無く、着衣にも格闘による乱れは認められなかった。トビーの知らせで駆けつけたジョンの掛かり付け医ゲイゾンはジョンは心臓を病んでいていつ死んでもおかしくないほど悪化しており、死因は心臓麻痺で間違いないという。では、この血のりは誰のものなのか・・・?
「殺人無しの死体と死体の無い殺人」とトビー・ダイクに言わしめた難事件の真相とは・・・?

■ 感 想
他のシリーズ作品に比べるとちょとばかりユーモアが足りないような気がします。まあ、今回はトビーにとっては旧友が死に(友人の死は「細工は流々」でも遭遇していますが)、その上別の友人が容疑者として拘留されてしまうし、ジョージは「もう犯罪には係わりたくない。」と言って協力してくれないしで、かなり切羽詰っているからなのでしょうが。
事件の真相の二転三転もいつもより揺れは少ないようで…。と書くとつまらない作品のように思えてしまうかもしれませんが、そこはフェラーズ。個性的な人物が多数登場させて飽きさせない展開になっています。彼らの裏に隠された性格がストーリーが進むごとに明らかにされて行き、それがあらゆる意味で事件と係わって来て、人間ドラマ的な要素も垣間見えます。
協力を拒んだジョンも最後には活躍を見せ、事件は意見落着。そしてこのシリーズもこれが最終章ということで一抹の寂しさを感じてしまいました。
(2006.4.12)


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■ 私 が 見 た と 蝿 は 言 う ■
(原題:I,Said The Fly 1945年)
★★★★

安アパートに突如巻き起こった殺人騒動は住人一同を巻き込んで・・・
ユーモアとサスペンス満載の本格ミステリー


オンライン書店ビーケーワン:私が見たと蠅は言う

ハヤカワ文庫 長野 きよみ:訳

 早川書房 2004.4 \756 415174651X

オンライン書店bk1




■ 内 容
1942年、ロンドン大空襲で荒廃したリトル・カーベリー通りにやって来たケイ・ブライアントは今は跡形も無い10番地のアパートで起きたあの事件に思いを馳せた・・・。
当時、夫のパトリックと別居中でそのアパートの3階に住んでいたケイだったが、その隣に引っ越して来たパメラ・フラーの部屋でガスの配管工事の際に床下から見つかったリボルバーは、その部屋の前の住人ナオミ・スミスに致命傷を与えたものだった。フランスに行くと言って引っ越して行ったはずのナオミは2週間前にハムステッド・ヒース公園で殺され、身元不明の死体になっていた。凶器がアパートで見つかったことから、コリー警部補はアパートの住人の中に犯人がいると目星をつけている様子で、アパートは騒然となった。住人たちは独自の推理を巡らし議論百出。そんな最中、ケイの部屋から真珠のネックレスが紛失した。そのネックレスは管理人のトヴィーが階段で拾ったと言って家主のグラディス・リンガードに届けたのを、グラディスが「アパートの住人のものだろうから、持ち主に返すように。」と、その場に居合わせたケイに託したものだった。そのことから、アパート内の誰かが盗品の故買屋なのではないか、という疑惑も浮上。それと殺人事件は関係があるのか無いのか、誰かが故買屋だというのは本当なのか? だとしたら誰なのか?・・・今度は夫・パトリックまで加わって、またまた、議論百出。そしてとうとうアパートの中で殺人事件が・・・。

■ 一見軽そう・・・実は様々に楽しませてくれる本格モノ
アパートのあるリトル・カーベリー通りは貧民街というには活気があり、下町というにはちょっといかがわしい、と言った通りで、そこに建つケイの住むアパートも住人から家主、管理人に至るまで、一風変わった癖の強い人たちです。そんな彼ら彼女らの風変わりさ、通りの猥雑さがこの作品をユーモアの源になっています。その中ではケイは夫と別居中という以外は至極まともな女性ですが、夫・パトリックや夫によく似たタイプの住人・チャーリー・ボイスに対する彼女の皮肉たっぷりな観察眼には笑わされたり、うならされたりと読みどころの一つになっています。そして、チャーリーとの間に恋が芽生えそうな雰囲気もあって、それも気になるところです。
こんな風に書くと、ミステリー性の薄いコージーモノのように思えるかもしれませんが、終わってみればしっかり本格推理小説で、ユーモラスな部分も謎解きに必要な要素になっているのです。しかも、終盤はサスペンス性も加わってハラハラドキドキさせられます。住人たちが俄か探偵よろしく独自の推理を展開し、果ては自ら行動を起こしてしまうのもアントニー・バークリーの『毒入りチョコレート事件』のような多重解決の面白さも味わわせてくれます。紳士的でまじめそうなだけが取り柄に見えるコリー警部補も実はなかなかの優れもので、彼の存在が意外な結末を更に盛り上げています。

■ 驚くべき結末
このように、これだけでも非常によく出来た好作品なのですが、更に大きな仕掛けが施されています。それはミステリー性やサスペンス性を高めるためにはとても効果的です。

以下は重要な内容に触れています。構わない方のみ下の*をクリックしてお読みください。>


読み終えた直後は不覚にも、アンフェアに感じてムッとしてしまいましたが、実はそうじゃなかった! 見事にやられました。
(2005.4.29)


■ 参 考 ■
(ご紹介しているサイトは別ウインドで開きます)
 ■ 原題について
この作品の原題”I,Said The Fly”は有名なイギリスの童謡マザーグースの中の1篇”Who killed Cock Robin?(誰が駒鳥殺したか?)”の中の一節です。

 原詩と訳 Mother Goose
七瀬由秋様のHPほわいと・がーでんの中の記事です。マザーグースについても解説されています。


  マザーグースを題材にした推理小説
たくさんの文学作品やコミックなどに題材として用いられたり、引用されたりしているマザーグースですが、推理小説にも数多く用いられています。その中のほんの一部ですが、私が読んだ作品をご紹介します。

■ ”Who killed Cock Robin?(誰が駒鳥殺したか?)”
■ 『僧正殺人事件
オンライン書店ビーケーワン:僧正殺人事件
S.S.ヴァン・ダイン:著 井上 勇:訳
東京創元社 1998.8 \693 4488103049

”誰が駒鳥殺したか?”の歌詞になぞらえて次々と殺人事件が起きます。ミステリー黄金期の巨匠ヴァン・ダインの代表作にして、本格の名作。

■ ”Ten little Injun boys”(十人のインディアン)”

■ ”The Old Woman Who Lived in a Shoe(靴に住む老婆)”
■ 『靴に棲む老婆(『生者と死者と』改題)
オンライン書店ビーケーワン:靴に棲む老婆
エラリー・クイーン:著 井上 勇:訳
東京創元社 1997.11 \714 4488104312

<靴の家>に住むおばあさんと6人の息子たちが見舞われるマザーグースの歌詞通りに起こる連続殺人事件。エラリーも頭を悩ませる珍事件を扱った異色作。



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