ホームサイト作家作品ジャンル読書履歴キーワード新刊情報日記BBSリンクメール


■ 出 久 根 達 郎 ■
(でくね たつろう 1944~)
1944(昭和19)年3月31日、茨城県行方郡北浦町(現:行方市)生まれ。
中学卒業後、集団就職で上京、月島の古書店に就職。1973(昭和48)年独立して杉並区高円寺で古書店<芳雅堂>を営むかたわら、文筆活動を始める。
1985(昭和60)年、『古書綺譚』でデビュー。1992(平成4)年、『本のお口よごしですが』で講談社エッセイ賞、1993(平成5)年、『佃島ふたり書房』で第108回直木賞受賞。


作 品 I N D E X 

 1.犬大将ビッキ NEW



NEW
■ 犬 大 将 ビ ッ キ ■
(2000年)
★★★☆

老母のためにと飼ったパピヨン犬ビッキはとんでもないやんちゃ犬だった!
老母・義母、そしてビッキ・・・出久根家のドラマを静かな筆致で描いたエッセー


オンライン書店ビーケーワン:犬大将ビッキ

単行本
 中央公論新社 2000.12 \1,733 4120030776

文庫版 (画像はこちらのものです。)
 中央公論新社 2004.2 \720 4122043255

オンライン書店bk1



■ 内 容
足の弱った老母の散歩相手にと飼ったのに、ビッキと名づけられたパピヨン犬は手の付けられないやんちゃ犬だった。咬み癖はあるわ、散歩に行けば犬ばかりでなく、何にでも吠えかかるわ。これではとても老母の相手はさせられない。・・・ということで、ビッキは子どものいない出久根夫妻の子どもになった・・・。
すっかり弱ってしまた老母、糖尿病を患っている義母、そしてやんちゃ犬ビッキが出久根家で巻き起こす数々のドラマを淡々とした筆致で描いたエッセー。

■ 感 想
老母は寝たきりにこそなっていないもののかなり弱っている。義母も一時は生死の境を彷徨うほど重症の糖尿病患者。出久根家の状況はとても厳しいものです。でも、それがとても淡々とした語り口で綴られているので、うっかりしているとそんな厳しい状況だとは気が付きません。やんちゃ犬ビッキに手こずらされる出久根夫妻、素っ頓狂な老母、無邪気な義母のエピソードはユーモラスで、下の世話までもがほのぼのとした感じで描かれています。
あまりにも淡々としているので、いま一つ物足りなくさえ感じられてしまいます。
しかし、苦労話を如何にもそれっぽく書かれても読む方は辛いだけ。そんな辛さを感じずに読めるのがいいです。
老母や義母の来し方なども殆ど語られていないのですが、短いエピソード一つで、2人がどんな人で、どんな人生を歩んで来たのかが感じ取れます。
ビッキにしてもそうです。出久根さんにとってビッキがどんな存在なのか、最後までよくわからなかったのですが、最後の最後に、どんなに大きな存在だったかがうかがい知れる・・・そんな書き方です。

「2人と1匹のそれぞれの死に方を書きたかった。」とは著者の言ですが、櫛の歯が欠けるように家族が減って行く様に一抹の寂しさはあるものの、ちゃんと看取り終えたという清清しさも感じられて、読んでいて気持ちの良い1冊になっています。
(2006.4.4)


ページのトップへ桂 望実作品INDEXへ

HOMEへ元のページに戻る



Copyright © 2004-2006 yuiga. All rights reserved.