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■ 北 村   薫 ■
(きたむら かおる 1949~)
1949(昭和24)年12月28日、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。
本名:宮本和男 。1989(平成元)年『空飛ぶ馬』でデビュー。


作 品 I N D E X 





■ 円 紫 さ ん と 私 シ リ ー ズ ■

■ シ リ ー ズ 概 要 ■

大学で文学を学ぶ”私”は教授の紹介で同じ文学部の先輩で今は真打の落語家として活躍している春桜亭円紫師匠と知り合う。不可解とも思える謎をスルスルと解き明かしてしまう円紫さんに”私”は身近に起きた不可思議な出来事の解明を持ちかけるようになる。

円紫さんと”私”のコンビが日常の謎を解き明かして行くシリーズ。
”私”の大学の友人・正(しょう)ちゃん(高岡正子)江美ちゃん(庄司江美)などもレギュラーとして登場し、”私”の成長物語としても読める。

■ 円紫さん
このシリーズのホームズ役の春桜亭円紫さん。
その風貌は”男にしては色白で穏やかな顔立ち”で、どこか”しまい忘れた季節はずれのお内裏様のよう”なのです。お人柄も穏やかで控えめ。そんな円紫さんですが、頭脳明晰、博覧強記、どんな難事件もあっさりといてしまうのです。そのギャップがいいんです。
登場場面は意外に少なくて、円紫さん個人に関してはあまり多くは書かれていないんですが、逆に想像力を掻き立てられてしまって、私の中での円紫さん像はドンドンと膨らんで、今では物凄〜く素晴らしいお方になってしまっています。(笑)

■ ”私”
でも、シリーズの主人公はあくまでもワトソン役の”私”です。
ちなみに彼女はシリーズ3作目まで読んだ限りでは名前は出て来ません。きっと今後も出てこないんでしょうね、きっと…。
彼女は文学が大好きで、ちょっとオクテな”普通”の女子大生です。でも、その”普通さ”が極上なんです。普通と言いながらイマドキは滅多にいないタイプ・・・それだけ貴重な”普通さ”(?)なんです。真面目で、純情で、清潔感にあふれていて・・・そんな彼女のキャラクターがこのシリーズの最大の魅力になっていると思います。

■ ユニークな謎
いわゆる<日常の謎>に属するミステリーですが、提示されている”日常の謎”がユニークで、第1作目の『空飛ぶ馬』を読んだ時にはちょっとびっくりしました。
不思議に思っても少し経てば忘れてしまうようなちょっとした出来事を、推理を展開させて解き明かし、立派な一つの”事件”にしてしまっているのは見事だと思います。

■ 難を言えば・・・
あくまでも個人的な感覚なのですが、ちょっと衒学的な感じが鼻につきます。
古今東西の名作文学が度々登場するのは、円紫さん、”私”共に文学を専攻した人たちですから無理はないと思うのですが、同じく文学を専攻しながら名作文学の類いにはからっきし疎い私はコンプレックスを感じさせられることばかりでした。
その文学作品を知らなくても問題なく読めるのですが、自分の不勉強を叱られているみたいでなんだか…。
熱心な北村ファンは登場する作品を追って読んだりするようですが、私にはちょっと・・・。



シリーズ I N D E X 

1.空飛ぶ馬
2.夜の蝉
3.秋の花


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■ 空 飛 ぶ 馬 ■
(1989年)
★★★★

円紫さんと”私”の出会いを描いた『織部の霊』を含む
連作短編5編からなるシリーズ第1作目にして、デビュー作


オンライン書店ビーケーワン:空飛ぶ馬

空飛ぶ馬 鮎川哲也と十三の謎
 東京創元社 1989.3 \1,470 4488023169

文庫版 (画像はこちらのものです)
 東京創元社 1994.4 \609 4488413013

オンライン書店bk1


■ 収録作品 ■
織部の霊 / 砂糖合戦 / 胡桃の中の鳥 / 赤頭巾 / 空飛ぶ馬
■ 感 想
円紫さんと”私”が出会う『織部の霊』はいま一つと言った感じでしたが、『砂糖合戦』は些細に思えることから謎が作り出されているのに驚きました。
『胡桃の中の鳥』では”私”と正ちゃん・江美ちゃんとの蔵王旅行が描かれ、”私”と友人たちの関係が爽やかに描かれていました。一転して『赤頭巾』では、大人の女性の暗い感情が描かれていて、”私”がそれに戸惑いを感じるのが初々しくはあるものの、読後感はあまり良くありませんでした。
一番良かったのは表題作『空飛ぶ馬』でした。クリスマスの話で、丁度読んだ時期(12/14)も良かったのでしょうが、ほのぼのと心温まる作品でした。『赤頭巾』とは違って、同じ大人の女性でも、国雄さんの恋人のひた向きな愛情が微笑ましく、作品集全体の読後感を良いものにしてくれました。
(2005.11.14)

 この作品はリハビリ的読書にも掲載しています。



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■ 夜 の 蝉 ■
(1990年)
★★★★

第44回日本推理小説家協会賞受賞作


”私”の2人の友人や姉にまつわる”謎”と共に
”私”と彼女たちの関係も描かれているシリーズ第2作


オンライン書店ビーケーワン:夜の蝉

夜の蝉(創元ミステリ’90)
 東京創元社 1990.1 \1,575 4488012337

文庫版 (画像はこちらのものです)
 東京創元社 1996.2 \504 4488413021

オンライン書店bk1


■ 収録作品 ■
朧夜の底 / 六月の花嫁 / 夜の蝉
■ 感 想
この1冊はミステリーというより”私”の成長物語という印象を強く受けました。勿論、円紫さんは素敵だし、謎解きも冴え渡っています。
でも、正ちゃん、江美ちゃんという友人たちや姉との関係から浮かび上がって来る”私”の人となりやその時々の想いに強い興味を感じながら読みました。
そうした観点から読んでも、この作品はとてもよく出来た作品だと思います。さすがに後に『スキップ』を書く人です。
(2005.11.16)

 この作品はリハビリ的読書にも掲載しています。



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■ 秋 の 花 ■
(1991年)
★★★★☆

少女は何故墜落死したのか? 残された親友の憂愁の原因は?
シリーズ3作目にして初の長編


オンライン書店ビーケーワン:秋の花

秋の花(Golden thirteen)
 東京創元社 1991.2 \1,365 4488012434

文庫版  (画像はこちらのものです)
 東京創元社 1997.2 \504 448841303X

オンライン書店bk1


■ 内 容
親友同士の女子高生・真理子と利恵。文化祭の準備で学校に泊り込んだ夜、真理子は屋上から墜ちて死んだ。親友だった利恵は以来塞ぎ込み、学校にも行かず、口さえ満足に利かなくなってしまった。
2人の高校の先輩でもあり、2人を小学生の頃から知っていた”私”は恩師から頼まれたこともあって、何かと利恵に気を配って来たが・・・。
そもそも真理子は何故墜落死したのか? 利恵はそれに係わっているのか?・・・利恵の心の傷を癒そうと、円紫さんと”私”はその真相に迫る。

■ 感 想
初めての長編で、人の死を扱った作品だけに、いつにも増して丹念に書かれているような印象を受けました。
真相解明もさることながら、傷ついた利恵や生前の真理子の様子や”私”の心理が非常に良く描かれていて、謎抜きでも充分読み応えのあるものになっていると思います。
私自身精神状態があまり良くなかったこともあって、苦しむ利恵の姿は他人事に思えませんでした。それを”私”をはじめとする周囲が心配し、温かく見守っている様子にこちらまで癒されるような気がしました。
(2005.11.27)

 この作品はリハビリ的読書にも掲載しています。




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■ 覆 面 作 家 シ リ ー ズ ■

■ シ リ ー ズ 概 要 ■

世界社の雑誌『推理世界』編集部に勤める岡部良介は”ひと目見ただけで作品のよしあしを見抜く動物的勘の持ち主”と言われている女性編集者・左近先輩から投稿された作品の著者に会いに行くように命じられる。
一風変わったそのミステリを投稿して来たのは”新妻千秋”。世田谷の大豪邸に住むお金持ちのお嬢様の彼女は”覆面作家”と言うペンネームで作家デビューすることになったが、彼女には難解な事件をスルスルと解いてしまうという特技があった。そしてもう一つ、もっと驚くべきことに・・・。

ホームズ役の千秋とワトソン役の良介が様々な不思議な出来事や事件を解決して行く、コミカルで軽快なミステリーシリーズ。

■ 新妻千秋(=覆面作家)
彼女のキャラクターがこのシリーズの最高にして最大の特徴です。
まず、彼女のお嬢様度がハンパじゃありません。お家は世田谷の一等地に広大な庭を持つ明治村にでも建っていそうな大きな西洋館で、驚いたことに執事までいます。勿論、大金持ち。
そして、お約束のように19歳という妙齢で美貌なのですが、その美貌がまたハンパじゃありません。良介が思わず絶句するほど可憐な天国的美貌で、それは簡単に見慣れるようなシロモノではないらしく、事あるごとに良介を感嘆させています。そして、いつもとてもシックなドレスをまとっていて、如何にも深窓のご令嬢と言った風情。おしとやかでお上品で、異常なほどのはにかみ屋、これまた如何にも深窓のご令嬢に相応しいご性格なのですが・・・。
一歩、お屋敷を出ると全てが激変!
まず、服装がボーイッシュに、そして言葉遣いも振る舞いも、お屋敷の中とはまるで別人です。その変身ぶりが想像を絶するほどに極端なので、まずは呆気に取られます。そして思わず笑ってしまうのです。

■ 岡部良介
彼のボケっぷりがまた、千秋の面白さに花(?)を添えています。
”良”介には警視庁の刑事をしている双子の兄がいて、兄の名は”優”介。この辺にコンプレックスを持っているのがまたおかしくて…。
千秋に振り回され続けてボヤいてはいるものの、どうやら彼は千秋のことを・・・、そして千秋もまた・・・。気になるところです。


■ 品の良いコメディ
コミカルな上に、外での千秋が向こう見ずで乱暴活動的なので、とても軽快な感じがします。でも、おふざけやドタバタには陥ってはいないところが北村さんらしいところです。
左近先輩、執事の赤沼、良介の兄の優介など、コメディに欠かせない特徴的なキャラクターも登場して、とても楽しいシリーズになっています。



シリーズ I N D E X 



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■ 覆 面 作 家 は 二 人 い る ■
(1991年)
★★★★

”覆面作家”誕生! お嬢様探偵のもう一つの顔とは!?

オンライン書店ビーケーワン:覆面作家は二人いる
単行本 重版未定
 角川書店 1991.11 \1,223 4048726781

文庫版 (画像はこちらのものです。)
 角川書店 1997.11 \504 4043432011

C・novels BIBLIOTHEQUE版
 中央公論新社 2002.2 \945 4125007500

オンライン書店bk1


■ 収録作品 ■
覆面作家のクリスマス / 眠る覆面作家 / 覆面作家は二人いる
■ 感 想
とにもかくにも、千秋のキャラクターに度肝を抜かれる1冊です。お家での千秋の桁外れなお嬢様ぶりと外でのサーベルタイガーのような千秋の桁外れなお転婆ぶりのギャップの凄さに、良介が、二人の千秋がいるんじゃないか?と疑ってしまうのも無理はありません。
どうしてこんな二重人格のような変化が起きるのか、それは定かではありませんが、外でのサーベルタイガーのような千秋の行動を、お屋敷に帰った千秋が見も世も無いほどに恥じ入って後悔するのがとても可愛らしくもあります。

初っ端から殺人事件(「覆面作家のクリスマス」)が起き、その後も女児誘拐事件(「眠る覆面作家」)、集団万引き事件(「覆面作家は二人いる」)とシリアスな事件が続きますが、コミカルさが際立っていて暗さは全く感じません。ミステリーとしても勿論良く出来ていますが、優介が千秋を犯人と疑うエピソードがあったり、左近女史の娘が登場したりと、探偵役の2人とその周囲の人物をからめてそれぞれのキャラクターを膨らませている1冊と言った感じで、イヤでも続編への期待が高まってしまいます。
(2005.12.1)

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■ 覆 面 作 家 の 愛 の 歌 ■
(1995年)
★★★★☆

更に広がる”覆面作家”ワールド
本格推理も堪能出来るシリーズ第2弾


オンライン書店ビーケーワン:覆面作家の愛の歌
単行本 重版未定
 角川書店 1995.9 \1,223 4048728865

文庫版 (画像はこちらのものです。)
 角川書店 1998.5 \540 404343202X

C・novels BIBLIOTHEQUE版
 中央公論新社 2002.10 \1,050 4125007829

オンライン書店bk1


■ 収録作品 ■
覆面作家のお茶の会 / 覆面作家と溶ける男 / 覆面作家の愛の歌
■ 感 想
第1弾で顔見世興行も終わって、いよいよ佳境と言った感じの第2弾です。
更に本格的な謎解きが味わえる1冊で、様々なミステリーの要素が登場します。が、コミカルな味は薄れていません。しかも、千秋という人が更に良く描けていて、ただのユーモアミステリーではなく、若い女性の複雑な内面もそこはかとなく感じられたりもします。

ライバル誌の編集者・静美奈子が新たに登場し、優介と何やら・・・という要素も加わって、”覆面作家”ワールドがドンドンと広がって行くのも楽しみです。
(2005.12.23)

 この作品はリハビリ的読書にも掲載しています。



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■ 覆 面 作 家 の 夢 の 家 ■
(1997年)
★★★★

千秋と良介の仲はどうなるの!?
気になるシリーズ最終作


オンライン書店ビーケーワン:覆面作家の夢の家
単行本 重版未定
 角川書店 1997.1 \1,365 4048730258

文庫版 (画像はこちらのものです。)
 角川書店 1998.5 \540 404343202X

C・novels BIBLIOTHEQUE版
 中央公論新社 2003.2 \945 4125007977

オンライン書店bk1


■ 収録作品 ■
覆面作家と謎の写真 / 覆面作家、目白を呼ぶ / 覆面作家の夢の家
■ 感 想
ちょっと切ない「覆面作家と謎の写真」、非常に切ない「覆面作家、目白を呼ぶ」と続いて、最後の「覆面作家の夢の家」でムードが一転、素敵な余韻を残してシリーズは終わります。
謎解きは勿論どれも良く出来ていますが、それ以上に感じるのが事件の背後に隠された人々の想いです。どの短編からもそれが良く伝わって来ます。それだけに最後の「覆面作家の夢の家」は千秋と良介のこれからを予感させるようでシリーズを通して読んで来た読者には感慨ひとしおです。
最後とわかっていても「続きが読みたい!」と思わされる素敵なシリーズでした。
(2005.12.24)

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