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■ 畠 中   恵 ■
(はたなか めぐみ 1959~)

作 品 I N D E X 




< し ゃ ば け シ リ ー ズ >


■ 公式サイト ■
(ご紹介しているサイトは別ウインドで開きます)
 しゃばけ倶楽部 〜バーチャル長崎屋〜
新潮社が運営している公式サイトです。
ストーリーや登場人物の紹介、著者の畠中さんのコラムなども読めます。



■ し ゃ ば け ■
(2001年)
★★★☆
第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作


花のお江戸を舞台に若旦那と妖怪たちが難事件を解決して行くファンタジックな捕物帖
シリーズ第1弾


オンライン書店ビーケーワン:しゃばけ

単行本
 新潮社 2001.12 \1,575 4104507016

文庫版 (画像はこちらのものです。)
 新潮社 2004.4 \540 410146121X


オンライン書店bk1


■ 内 容
江戸で有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが、目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。
以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は、家族同様の妖怪と解決に乗り出す。若だんなの周囲には、店の手代として犬神(佐助)白沢(はくたく 仁吉)の2人(2匹?)が世話を焼いているのを始め、屏風のぞき、鳴家(やなり)など妖怪だらけなのだ。
殺人事件解決に乗り出したその矢先、犯人の刃が一太郎を襲う・・・。


■ 感 想
半ばくらいまでは<グイグイ感>が感じられずに期待を裏切られた気分でした。また、テンポが悪く盛り上がりに欠ける感じもしていました。
軽妙な語り口の米村圭伍さんの作品を読んだ直後だったため、特にそう感じたのかも知れません。
最後までそういった感覚に付きまとわれ、読了直後の感想はあまり良いものではありませんでした。

良く言えば、<妖怪物と推理物の両面がほど良い>という事なのでしょうが、もう少し妖怪物としての奇想天外さが欲しかった気がしました。妖怪たちのキャラクターや、ユーモア感もちょっと薄めで、中途半端な感じでした。
ストーリー的には良く出来ているし、若だんなや幼なじみの栄吉などの心情も良く描かれているとは思いましたが・・・。
でも、<妖怪物>という先入観を取り払って、もう一度思い直してみると、若だんなの人柄や、あまりでしゃばらせずに怪を描いた作者の作り上げた世界観が、何とも心地良く感じられるようになって来ました。

<しゃばけ(娑婆気)>とは、「俗世間における、名誉・利得などの様々な<欲望>にとらわれる心」だそうで、そもそも、妖(あやかし=妖怪)は、それが凝り固まって出来たものだと作品中で語られています。
謂わば妖怪の世界は、人間の心の裏側の世界で、ちょっと道を踏み外せば、妖怪の世界に引き摺り込まれてしまう可能性があるという事です。
そのようにして生まれた妖怪たちの世界が華やかな江戸の町の夜の闇に存在している・・・(この感覚は、平安朝の人々が<物の怪>を恐れた感覚と似ていると思います)それが、作者が描こうとしている世界です。
しかし、若だんなの周りに居る妖たちは皆、恐ろしい存在ではありません。
若だんな自身は、「丈夫になりたい。もっと強くなりたい。」という<欲望>を持っているために、自分が妖の世界に片足を突っ込んでしまっているのだ、と思っています。でも、その欲望は人を押し退けてのものでもないし、それどころか、人として真っ当な願望です。その上、若だんなは真っ直ぐで思い遣りのあるお人柄なのです。
そんな若だんなとは、妖たちも悪心を持たずに接しているのだと感じます。真っ当な心を持った者には、妖の世界の恐れるに足りず・・・と作者は言いたかったのかな、と思います。
そう思うと、この作品がとても温かい、優しい作品だと感じられるようになりました。
(2004.4.6)

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NEW
■ ぬ し さ ま へ ■
(2003年)
★★★★

若旦那に腹違いの兄が!? モテモテ男仁吉が失恋!?
更に賑やかなシリーズ第2弾


オンライン書店ビーケーワン:ぬしさまへ

単行本
 新潮社 2003.5 \1,365 4104507024

文庫版 (画像はこちらのものです。)
 新潮社 2005.12 \500 4101461228


オンライン書店bk1


■ 内 容
長崎屋の若旦那・一太郎は相変わずの蒲柳の質。両親は勿論、兄やの仁吉や佐助や取り巻きの妖(あやかし)たちにべたべたに甘やかされて暮らしている。
そんな若旦那なのに、何故か難事件に遭遇してしまうのも相変わらず。仁吉に付け文をして来た商家のお嬢さんが殺されるわ、幼馴染の菓子屋の倅・栄吉の饅頭を食った隠居は死ぬわ、新調した布団は夜泣きするわ・・・それらを妖たちの協力で解決して行く若旦那の利発さもまた相変わらずで・・・。

若旦那の腹違いの兄の存在が明らかになったり、仁吉の千年越しの失恋話などもあって、しゃばけワールドが更に広がる第2弾。
■ 掲載作品
ぬしさまへ/栄吉の菓子/空のビードロ/四布の布団/仁吉の思い人/
虹を見し事
■ 親しみ易さが増す
1作目の「しゃばけ」からグンとこなれた感じがします。妖たちの個性もだいぶはっきりして来たし、適度に散りばめられたユーモアも程が良くて、格段に読み易く、親しみ易くなっています。若旦那や妖たちが著者の畠中さんの中で自由に動き出したんじゃないでしょうか。そんな自然に筆が走っている感じが読む側にも伝わって来るようです。
ただ、仁吉は恋文事件(「ぬしさまへ」)があったり失恋の顛末が語られたり(「仁吉の思い人」)して随分とキャラクターがはっきりして来たのに対して、もう一人の妖の兄やの佐助はまだまだ影が薄いのが不満と言えば不満です。佐助に関しては第3弾、4弾に期待です。

■ どんどんと広がりと深まりを見せそうな
若旦那に腹違いの兄がいたとはびっくりですが、その異腹の兄の松之助のエピソード(「空のビードロ」)は、若旦那も妖たちも殆ど登場しませんがじーんと来てしまいます。松之助も今後はレギュラーに定着しそうで、若旦那の周辺も広がりを更に見せそうな予感があります。
それだけでなく、若旦那が日頃から身体が弱くて年中寝付いていること、そんな身体だからこそ甘やかされ放題にされていることを心の中では厭っている様子も描かれていたりして、これからのシリーズが広がりばかりでなく深みも増して来る予感もばっちり! 続編への期待がいやが上にも高まります。
(2006.2.17)


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