ホームサイト作家作品ジャンル読書履歴キーワード新刊情報日記BBSリンクメール


■ 伊 勢 英 子 ■
(いせ ひでこ 1949~)

作 品 I N D E X 





■ グ レ イ が ま っ て る か ら ■
(1993年)
★★★

<絵描き>の一家とハスキー犬・グレイの日常を
作者の挿絵をふんだんに盛り込んで綴ったほのぼのエッセー


オンライン書店ビーケーワン:グレイがまってるから

単行本
 理論社 1993.4 \1,365 4652072163

文庫版 (画像はこちらのものです)
 中央公論新社 2000.3 \560 4122027640

オンライン書店bk1




引越し好きな絵描き(作者の伊勢さん)は、新しい家を大好きなブルーグレイ一色で調えた。その頃、ハスキー犬の子犬をもらえる事になり、ブルーグレイの家にグレイのハスキー犬が居るのを想像して、子犬がやって来る日を心待ちにしていた。
しかし・・・やって来た子犬が生後3ヶ月になる頃には、折角ペンキを塗った家具や誂えたカーテンは齧られボロボロ。ブルーグレイだった絨毯には全体に茶色のまだら模様が・・・。
作者の伊勢さんは松谷みよ子の『モモちゃん』の挿絵などを手掛ける画家さん。

リアルだけれど温かい雰囲気の絵が、グレイの愛嬌たっぷりな様子を良く伝えていて、絵を観ているだけでも楽しいです。
文章はちょっと硬い感じでイマイチ。絵の方がずっと良く伝わって来る気がします。

理想とは大違い、散歩散歩の毎日で絵描きの不規則な生活までもが一新して・・・。
グレイに振り回されながらも幸せそうな一家の様子には、ほのぼのとしたユーモアが感じられます。

肩を凝らさず読め、ほっと出来て、息抜きには最適!

――でも、★3つの訳――
重要な内容にふれています。OKという方は*をクリックして読んでください…未読の方は読まない方がいいかも)


それが無ければ★4つです。
続編に『気分はおすわりの日』『グレイのしっぽ』があります。
(2004.4.21)


ページのトップへ伊勢英子作品INDEXへ

■ 気 分 は お す わ り の 日 ■
(1996年)
★★★

『グレイがまってるから』の続編

オンライン書店ビーケーワン:気分はおすわりの日

単行本
 理論社 1996.4 \1,365 465207221X

文庫版 (画像はこちらのものです)
 中央公論新社 1999.7 \560 4122034620

オンライン書店bk1




『グレイが〜』を上梓し、刷り上った見本が届いた日、グレイは発作に襲われた。定期的に起こる発作はてんかんらしかった。しかし、薬のお蔭で、何とか平穏な日々を取り戻し、夏の高原を楽しんだり、絵描きの頓狂なチェロの演奏に悩まされたり・・・。
普段はやっぱり、いつものグレイ!

発作の場面は胸が締め付けられそうになります。でも、元気な時は相変わらずなグレイ。伊勢さんの絵も文も明るく、それにはちょっと、ほっとしました。

しかし、伊勢さんのグレイに対する気持ちには変化が見られるように感じられます。
ちょっと情けないけど、可愛くて可愛くて・・・そんな単純な、ウキウキした気分から、<愛する>という気持ちに変わって来たように思われます。オモチャじゃなくて生き物。そんな実感が湧いたのではないでしょうか。
病気を抱えてしまったグレイを語る時の文章は、切なさに溢れています。

逆に、元気な時のグレイを努めて明るく描いているようにも思えます。 病気を経験したからこそ、元気で居てくれる事のありがたさを再認識し、平穏な日々の幸せが貴重なものに感じられたのでは・・・?

それでも、原っぱの真ん中で空を見上げてスケッチする<絵描き>を描いた絵には、そこはかとない寂しさが感じられてしまいました。
(2004.4.26)


ページのトップへ伊勢英子作品INDEXへ

■ グ レ イ の し っ ぽ ■
(1999年)
★★★★☆

グレイは風になった・・・<グレイ>三部作の最終章

オンライン書店ビーケーワン:グレイのしっぽ

単行本 理論社 1999.6 \1,470 4652072228

文庫版 中央公論新社 2002.10 \600 4122041120

オンライン書店bk1




■ 内 容
てんかんの発作を起こすグレイのために絵描き(著者の伊勢さん)は引越しをする。仕事中でもいつでもグレイを見ていられるようになって絵描きは幸せ。グレイも幸せそうだった。
そんなある日、グレイは今までに無い酷い発作を起こし緊急入院することに・・・。グレイの病気はてんかんだけでは無かったのだ。もっともっと恐ろしい病魔がグレイを襲う。必死に看病する絵描きと家族たちだったが・・・。

グレイと絵描き一家の壮絶な闘病の様子と、絵描きのグレイに対する想いが切々と綴られたエッセー&イラスト集。<グレイ三部作>の最終章。
■ も く じ ■
見えない犬
公園機芯/夜/玄関/雨/音楽/公園供晋えない犬
グレイのしっぽ
グレイの不安/新しい家/グレイの安心/ヨドコーの犬小屋/はみ出す犬/空白/面会/インフォームド・コンセント/在宅ケア/ねがえり/窓辺の花/甦る犬/グレイ点描機織哀譽づ隻銑供燭修譴任癲屬諭廚隆蕁CT検査/グレイのしっぽ/しつこい家族/麻酔/大の字のグレイ/甦るグレイ/退院/つめ/夜空の向こう/ブルー/抜糸/誕生日/ガン/時/グレイ点描掘燭佞襪笋里發蝓浸纏/八月/犬見/スケッチ/グレイ/透きとおる羽毛のような巻雲がどこかに向かって急いでいた
時を超えて
空のてんらん会/一〇〇〇人のチェロ・コンサート/<神戸−プロローグ>/<第一楽章−資格>/<第二楽章−参加>/<第三楽章−賢治・光のパイプオルガン>/<第四楽章−一〇〇〇のチェロ・一〇〇〇の風>
ふたりのあとがき<二〇〇二年夏>
ここに――小M/夜空のこちらから――大M
■ グレイが残してくれたもの
物言えぬグレイの苦しみや伊勢さんの喪失感が言いようも無いほどに切なくて、涙無しには読めませんでした。
でも、それだけじゃないんです。伊勢さんや伊勢さんのお嬢さんたちのことが大好きで一緒にいられるのが最期まで嬉しくて仕方無かったグレイの様子や、グレイと共に過ごせたことに対する伊勢さんたちの感謝の気持ちなどが書かれている以上に行間から強く伝わって来て、切なさと同時に心が温かくなるのも感じられました。
たった5歳で逝ってしまったグレイですが、伊勢さんたちの心にどれだけ大きなものを残したか、それがよくわかります。

■ グレイへの餞
グレイの余命がわずかだと宣告されて動転する伊勢さんですが、動転しながらも死に物狂いで看病をします。その間も仕事は待ってくれず、精神的にも肉体的にも伊勢さんはボロボロになってしまいます。
しかし、伊勢さんはそんな過酷な状況の中で改めて”自分は絵描きなのだ”という認識を強く感じます。そして、絵描きとしてグレイの生を憑かれたようにスケッチし続けるのです。病み衰えた姿も、それでもいつもと変わらぬグレイのしぐさを、そして手術の様子までもを克明にスケッチする伊勢さん。そこには絵描きの性(さが)が強烈に感じ取れますが、それがくじけそうになる伊勢さんを救ったのだと感じました。そして、その結果生まれたこの本によって、グレイという大らかでちょっととぼけた感情豊かな犬は実際のグレイを知らない読者の心の中にも強い印象を残すことになるのです。
たくさんのものを伊勢さんたちの心の残して逝ってしまったグレイに、絵描きの伊勢さんは伊勢さんにしか出来ないやりかたで最高の餞を贈った・・・それがこの本なのです。
(2006.2.10)


ページのトップへ伊勢英子作品INDEXへ

HOMEへ元のページに戻る



Copyright © 2004-2006 yuiga. All rights reserved.