東京女子学院

塾対象説明会 2004年10月6日


東京女子学院は、西武新宿線の武蔵関駅でおりて、徒歩数分のところにあります。校門まで坂道を上ると、左手に女子校としては広い土のグラウンドが見えます。正門を抜けると噴水があり、その中央にエーゲ海のサモトラケ島で出土したギリシャ神話の勝利の女神、ニケの像のレプリカが立っていました。

しばらく首のないニケの像に見とれてから校舎の方に向かって歩きつつ、すこし不安を覚えていました。というのも、たいていの説明会では、校門とか校舎の入り口の手前に「塾対象説明会」と書かれた看板が立てられていたり、案内の先生が立ってらっしゃったりするものなのですが、なにも見当たらないからです。ひょっとしたら説明会の日時をまちがえて来てしまったのではないか・・・と、ちょっと冷や汗をかく思いです。

校舎の入り口から入ると、やっと受付が見つかり、ほっと胸をなで下ろしました。手続きを済ませて校舎の中を歩くと、驚いたことに廊下がすべて板張りです。そればかりでなく、廊下の壁にもすべて化粧板がはられています。

もちろん木造の校舎などではなくて、校舎の外見は何の変哲もないコンクリート製です。つまり、コンクリートの上に板が張られているのであり、いわゆるフローリングというのでしょうか・・・? なんとなくすごく豪華な感じがします。

総板張りの校舎内はとても落ち着きもあり、女学校チックな校舎の好きなわたしは、いっぺんで気に入ってしまいました^.^

説明会場は会議室のような場所でした。この会場も全体に豪華で重厚な感じがします。テーブルはどっしりとしており、椅子は木製の、背もたれが垂直のものです。飾り彫が施してあり、なんとなくヨーロッパのお城にでもありそうな感じです。

窓の外に目をやると、両腕のないミロのヴィーナスの彫像のレプリカが目に留まります。さきほどのニケの彫像といい、芸術関係の教育に熱心な印象を受けました。

入り口でいただいた資料を点検すると、「えっ、これだけ?」と、その少なさにちょっと驚きました。ふつう塾対象説明会というと、シラバスの冊子とか、大学進学状況の資料など、どっさりといただくことが多いのですが、本校ではパンフレットと生徒募集要項のほか、数枚のプリントがあるだけです。おそらく保護者対象説明会で配付されるものとほぼ同じだと思えました。

開会を待っている間にチャイムが鳴りましたが、華麗な美しい鐘の音でした。全体的に、私立らしいと言いますか、お金のかかった立派なつくりの学校であるなあ・・・という印象です。

定刻になり、はじめに校長先生のお話がありました。校長先生は「つね日ごろ、原点に帰って物事を考えて行くと、職員に申しております」そうで、お話には何度も「原点」という言葉が出てきました。

先だって行われた私立学校の合同説明会のアンケートで、「私立学校は特色がなさすぎるのではあるまいか」という意見があったからだそうです。そのため「原点に戻り、建学の精神をもう一度考えてみなければならない」とお考えになってらっしゃるそうでした。

また、学校の教育改革については「日本の文化を大事にして、生徒の持っているものを引きだしていくのが大切」と考えてらっしゃるそうです。人間は持っている能力の3パーセントしか使っていないという説があるそうで、その能力を引きだそうというのが本校が創立された理由です。

教育の目的は「人格の完成」であり、知的・道徳的・芸術的な面で、生徒が持っているものを引きだす。そのための校訓である「至誠・努力」が本校の原点である、とのことでした。

具体的には「4つの事項を磨いていこう」ということで、「すなおな心」「向上心」「思いやり」「忍耐心」を身につけさせます。これらのことが人格の完成につながっていくと、創立者も説いてらっしゃるそうです。

校長先生のお話が終わるとすぐ、各科目の先生が順に出てらっしゃって、入試の出題傾向のお話になったので、ちょっとびっくりしました。というのは、たいていの説明会では校長先生のお話のあとに、授業のカリキュラムやクラス編成、大学進学指導、生徒の学園生活のようす、クラブ活動、行事などのお話があり、それから入試の話に進むことが多いからです。

塾対象説明会ということで、塾の先生にはこういう情報が喜ばれると思ってのことかも知れませんが・・・。実はこの説明会で、わたしのお友だちでよその塾に勤めている人とたまたま会い、帰り道にいろいろと本校の感想についてお話しました。その際、「出題傾向のああいう長いお話はいらないよね」ということで意見が一致しました。

というのも、たとえば「国語の文章問題の出典はこの本」とか、「算数でつるかめ算とダイアグラムは必ず出題する」といったような具体的なお話ならともかく、例年と変わらない出題傾向であるなら、中学受験で生計を立てているプロの講師であれば、抽象的なお話をされるより「過去問を見たほうがよほどよくわかる」からです。

さいきんでは塾対象説明会でもアンケートを取られることが多く、かなり出席者の意見とか要望が取り入れられることが多くなったように思います。そのためか、各科目の先生方が順に出ていらっしゃって出題傾向を説明する、という形式はだんだん減っていっているように感じます。

ある学校で「教師というのは、話しだすと止まらなくなって長くなりますので」と断りをお入れになったうえで教頭先生が各科目の要点をまとめて読み上げられましたが、このように教頭先生または教務主任の先生が全科目をまとめて短くお話になる形式が増えているように思います。

要は、学校まで足を運んで塾対象説明会に出席する講師にとって、知りたいのは、出題傾向ももちろん大切ですが、進路面談などで「この学校はこういう特徴があるのでお勧めです」「この点がご希望に合っていると思います」「この校風がお子さんにぴったりだと思います」と保護者のかたや生徒に伝えるための情報なのではないかと思います。

その点で、残念ながら本校の説明会では、端的に本校の特色を伝えるための情報が、あまり得られなかったように感じられたのは残念なことでした。

ただ、付け加えておきますと、本校では来年の入試から出題傾向に変化があるようです。一言で言うと記述式が増えるようです。記述式と言いますと、「難しくなる」と思われるかも知れませんが、反対に、部分点を与えるためではないかと思えます。ですので、途中式をぜんぜん書かないとか、記述式になるとあきらめてしまって何も書かないという受験生は、がんばって何かしら書けるようにする練習が必要だと思います。

また、感心したのは、各教科の先生方の話し方がとてもソフトで、スマイルもあり、いかにも女子校の先生だなあ・・・と思えたことです。特に長身のおひげの英語の先生は、話し方にいわゆる「抑揚・緩急・強弱」があり、とても聞きやすかったですから、生徒にも人気があるのではないかと思います^.^

説明会が終わっての感想ですが、残念ながらなんとなくおざなりな感じの説明会だったなあ・・・というものでした。同じような感じは杉並学園でも受けましたが、率直に言って杉並学院は共学化して、高校入試で千名以上の受験生を集めているわけですから、塾対象説明会にそれほど力を入れる必要がないというのが本当のところでしょう。

しかしながら、先週訪問したばかりの、本校と同じく生徒募集に苦戦している東京文化で感じた、全校一丸となって立て直そうとする悲壮感のようなものは、本校からは感じ取ることができませんでした。生徒募集にぜんぜん困っているとは思えない豊島岡や跡見の方が、本校よりもよほど危機感を感じられたぐらいです。

こういうおっとりしたところが本校の校風であるのかもしれませんが・・・。出席者の塾の先生の数がとても少なく、東京文化のたぶん半分ぐらいしかなかったことが、ちょっと暗示的な感じもします。いろいろな意味で、「なんだかもったいないなあ」と感じられた説明会でした。


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