香蘭女学校中学校・高等学校


学校説明会 訪問日時:2002年10月18日

JR五反田駅のいちばん品川よりに東急池上線との連絡口があるのを知らず、いったん改札を出てしまったため、どこから乗り換えればいいかわからずにしばらく駅前で途方にくれてしまいました。地図でようやく池上線の駅の場所を知り、デパートの4階にある改札を抜けると、「東京にこんなちっちゃな電車が走っていたんだ〜」と思わせる、みじかい編成の電車がホームに止まっています。

その電車に乗り、五反田から4つめの旗の台駅の駅前は、東京の住宅街によく見られる昔ながらの商店街といった風情です。そこを抜け、大通りを横断して左に進みます。

しばらく歩くと、歩道の右手に大きなお屋敷のような石垣がつづきます。もしやここが学校・・・?と思いながらなおも進むと、はたして香蘭女学校の校門が姿をあらわしました。

校門を抜けると、左右にうっそうと繁った木々が立ち並び、まるで森の中の遊歩道のようです。現実世界と夢の世界との境い目にあるトンネルのような気もします。

学習院女子も正門から校舎まで左右を木々に囲まれていましたが、学習院女子が荒れ放題で武蔵野の自然の面影を残しているように感じられたのに対し、この学校の木々はきれいに手入れされているように見えます。ただ、先生たちが乗ってらっしゃったのでしょうか、数台の自動車が駐車してあったのがすこし雰囲気をこわしていましたが・・・(^^;;

やがて木々の間から、レンガ造り風の美しい校舎が見えてきました。五反田から十数分という場所にありながら、この環境はまさにすばらしいの一言につきます。校庭の脇を通って講堂に入ると、開始5分前なのにもうほとんど満員で、座る席をさがすのに苦労しました。あとでこの講堂は一千名収容とのお話がありましたから、出席者の数は相当多そうです。

説明会の開始を待つあいだ、パイプオルガンの演奏が鳴りひびいています。同じプロテスタントの普連土学園の講堂を質実剛健とするなら、おうぎ形のこの講堂は「華麗」ということばがぴったり当てはまるような気がします。ただし、座席は布一枚はってあるだけの固い木のベンチです。

ロマンスグレーの校長先生は、品のあるご口調で、始めに講堂がいっぱいになるほど来場者が多いことについてのお礼をのべられ、学園の歴史についてお話を始められました。

本校は1888年の創立で、ことしの9月19日に114周年のお祝いをなさったそうです。校長先生は「古いほうがいいというわけではございませんで」とおっしゃいましたが、長い歴史を誇る伝統校です。

学校案内本などでは一般にプロテスタント校とされていますが、保護者のかたからのご情報によると、厳密には立教系の学校と同じく、英国国教会を母体とする聖公会系の学校であるそうです。(本エッセイでは、プロテスタント校と表記させていただきます)。

本校の創立者でらっしゃるエドワード・ビカステス主教は宣教師として英国からいらっしゃいました。明治時代でしたので、当時の日本の女性の教育はまだ十分ではありませんでした。そこで日本の女性の持つ美徳をさらにキリスト教によって高めるため本校は創立されました。当初、校舎は麻布永坂町にあったそうです。その後、芝白金三光町をへて、太平洋戦争開戦の年である1941年に現在の地に移転してきたそうです。

この校地はある実業家のかたのお屋敷跡の一部であるそうでした。そのお屋敷は一万坪の面積を持ち、10の建物があったそうです。左右に緑が深く、当時の面影が残っているそうです。校門からの木のトンネルは「築山」と呼ばれ、生徒たちに愛され、登下校の時に心をいやされる宝物のような場所であるそうです。季節によっては美しい花で彩られ、これからは紅葉の楽しめる時期になるとのことでした。

この環境のよさはお話の中で何度も強調されていました。また、「学習環境は一通りそろっております」とのことで、設備も充実しているようです。ただし食堂とプールだけはありません。お昼はお母さまの手作りのお弁当が伝統であるそうでした。

「校門を入りますと、いかにも女子校という環境を提供できております」とのことでしたが、これはあくまで「ハードウェア」であり、「ソフトウェア」である「人的環境がさらに大切だと思っております」とも述べられました。

いい環境の中でいい教育を授けていくことに全力を挙げておられ、その成果か、生徒たちは明るく伸び伸びしていてすなおな優しさを持っているそうです。

そして、学業はもちろん大切だけれども、キリスト教の精神にのっとり、他者を愛する、人とのかかわりを大切にする心を6年間で育て、心のやさしいすてきな女性、品位のある女性になってほしいとのことでした。

つづいて高橋チャプレンより本校の宗教教育についてのご説明がありました。「チャプレン」とは信者でないかたにはなじみのないことばですが、「施設付きの牧師さま」のことです。主たる目的として、「精神的なサポート、援助を責務とする」ということがあげられました。

高橋チャプレンは何度も「ミッションスクールとは必ずしもクリスチャンの数を増やすことを目的としておりません」ということをくり返して強調なさいました。ミッションスクールとは、キリスト教の3つの柱である「心身共に健康であること」「信仰」「教育」をもとに、根底に聖書の教えを置く学校です。

学問を積み重ねることによってまわりの人に貢献することが重要で、「キリスト教は愛の宗教と思われていますが、ほんとうに大切にするのは命と、他者とのかかわり」であり、「あの人もたいへん、だけどわたしもたいへん」ではなく、「わたしもたいへん、つらい。でもあの人たちも苦しい、たいへんだから何かを分かちあおう」という心が大切であるとのお話でした。キリスト教の精神がたいへんよくわかるすばらしいお話であったと思います^.^

つぎに、ビデオ上映による学校紹介がありました。じっさいにはビデオでなくスライドでしたが、先生による生ナレーションつきというのが変わっている点だと思いました。「香蘭の四季」というタイトルで、この学校の自然の豊かさがよくわかるものでした。

つづいて教頭先生より本校の特色についてのご説明がありました。まず本校の「香蘭女学校」という校名ですが、女学校という名前は戦前のものであり、この名前を残しているところに特色がある、とのことでした。

また、「お嬢さま」というのは非常にいいことば、品位のあることばであると思うとのお話もありました。

そして、香蘭は「処罰」というものをしない学校であるそうでした。教頭先生がこの学校にいらっしゃってから25年になるそうですが、その間ただの一人の退学者も停学者もいないそうです^.^ 処罰でなく指導によって対処する。だから時間がかかるそうでした。

つづいて「品性ある女性について、ちょっとつけたし」とのことで、人は「何を見て上品というんだろう」というお話をなさいました。理屈ではなく、「その人の心の姿」なのではないかと思う、とのことでした。

ところが、次に「学校を選ぶとき、偏差値や進学実績を見られるでしょう。実はそれは品がないことなのです」とお話が続いたので、わたしはちょっと白けてしまいました(^^;; 校長先生のお話を始めとして、せっかく格調高いお話がつづいていたのに、急にえり首をつかまれて現実の生々しい世界に引き戻されたような感じです(^^;; かなり興醒めでした(^^;;

たしかに偏差値と進学実績は香蘭の弱点とも言える部分です(^^;; 四谷大塚の偏差値推移を見ると、1997年には55あった偏差値が、この5年間下がり続け、2002年には47と出ています(^^;; 原因はといえば、わたしには大学進学実績の低迷としか思えません(^^;;

ことしの合格実績を見ると、35名の推薦枠のある立教大学に外部受験もふくめて37名。そして早稲田に10名、慶応2名、上智5名となっています。ことしの卒業生が入学したときには四谷大塚の偏差値で53ぐらいあったはずですから、入り口にくらべて出口が物足りない感じです(^^;;

おなじプロテスタントの普連土学園も応募者減と偏差値下降に悩まされていますが、普連土の塾対象説明会では「危機感」ということばが何度も発され、深窓の令嬢が髪振り乱すかごとくの悲愴感でもって改革への決意がのべられていました。

香蘭では「早稲田に何名、慶応に何名という指導はしません。ケアーはしますが」とのことでしたから、そういう学校と割り切るべきなのかもしれません。ですけど、この学校は普連土と比較しても人間教育への取り組みは互角と思えるだけに、教頭先生のお言葉は、なんだか「開き直り」ということばが頭をよぎるようで、たいへん残念な気がします。

つづいて教務課長先生より教育課程、入試についてのご説明があったのち、めずらしいことに質疑応答の時間がありました(@@) わたしは香蘭で訪問した学校が37校目ですが(のべですと51校目)、質疑応答の時間が取られていたのは初めてでした(@@)

興味深かったのは、小5の子のお母さまのご質問で、「再来年の2月1日は日曜日になりますが、入試日程はどうなりますか」というものでした。それに対し、教務部長先生より「2月1日でいく予定です」とのご回答がありました。来春の入試で女子聖学院が日曜日の2月2日にも入試をするということで驚いたものですが、プロテスタント校もだいぶ柔軟になってきているのでしょうか・・・?

木のベンチでおしりがだいぶ痛くなったころ、やっと校舎見学となりました。講堂から出ると、校庭はアンツーカーで、テニスコート3面分の広さです。ちょうど体育の時間で生徒たちがソフトボールの練習をしていました。ときどき受け損なったボールがころころと見学者の方に転がっていくのですが、それを取りに「すみませーん」と言って駆けていく生徒たちが明るくていい感じです^.^

校舎に入ると、なにしろ見学者の人数が多いので、大渋滞となっていました(@@) いくつかのグループにわけられたのですが、案内の先生の数が少なくてどこにも見つけられません(^^;; ですから、説明なしでのろのろとストップ&ゴーをくり返しつつ、ただ歩いて見てまわるだけとなってしまいました(^^;;

校舎に入ってすぐのホールは純白の天井が印象的です。大きな絵画がいくつかかけられていてまるで美術館のようです。教室のほうに行くと、廊下の天井がずいぶん低く感じられます。1クラス45名だそうですが、あまり詰め込まれているという感じはしませんでした。

授業で見学できたのは中1と中2の普通教室と、いくつかの特別教室だけでした。中1は緊張してお行儀よくしていましたけど、中2ではすこしにぎやかなクラスもありました(^^;; でも、明るく楽しそうな子が多かったと思います^.^

びっくりしたのは、中2からかなりスカートの短い子が多かったことです(@@) もしも今まで訪問した学校のスカートの長さの平均を出したら、短さではまちがいなくだんとつ1位になるであろうと思います(^^;; 特別教室の一つでは最前列に太ももがずらーっと並び、見学者の中に大勢いらっしゃったお父さまがたは、さぞかし目のやり場にこまられたのではないかと思います(笑)

香蘭の制服は「ちびまる子ちゃん」みたいな吊りスカートですから、ウエストを折り返すことはできなさそうです(^^;; みんなスカート改造してるのかなあ・・・などと思います(^^;; このへんはプロテスタント校らしい大らかさなのでしょうけど・・・(^^;;

とはいえ、見学者のほうを険悪な目つきでにらむような生徒は一人もおらず、全体的に生徒の感じはとてもよかったと思います^.^

すばらしい環境を持ち、人間教育に期待が持てるものの、大学進学指導には多少不安を覚える香蘭・・・。志望校として考えた場合、学校になにを求めるか、何に価値を置くかによって評価が大きく割れそうな学校だと思いました。


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