| ◆◇◆◇ 筋 炎 ◇◆◇◆ | ||
| 筋炎とは、筋肉に起こる炎症のことで、筋炎による筋萎縮と脱力、皮膚の紅斑が主症状です。 この病気は女性に多く、男性の2倍の割合で発症するとみられています。 成人では、多発性筋炎と皮膚筋炎が単独で発症することもあれば、混合性結合組織疾患などの 結合組織疾患の一部として発症することもあります。 膠原病や自己免疫疾患の一つに分類されていますが、原因は不明です。 (ウイルスや自己免疫反応などが関係すると考えられている) また、癌も多発性筋炎と皮膚筋炎を誘発する要因と考えられています。 (癌に対する免疫反応が筋肉内の物質を直接標的として攻撃するとみられている) ≪多発性筋炎≫ 症状は、対称性の筋力低下(特に上腕、腰、大腿)、関節痛、嚥下障害、発熱、疲労、体重減少 などがあります。 通常、成人よりも小児の方が突発的に発症します。 当初、筋肉(骨格筋)だけが障害される疾患と考えられていましたが、 肺、心臓、関節、消化管などの他の臓器障害も合併することがあります。 ■筋力低下■ 徐々に発症することもあれば、突然起こることもあり、数週間から数カ月で悪化します。 体の中心に近い筋肉が最も障害を受けやすいです。 また筋肉痛を認める場合もあり、自覚的になくても、筋肉を握ったりすると痛む人もいます。 下肢の筋力低下・・・「しゃがんだ姿勢から立ち上がるのが困難」「風呂に出入りするのがつらい」 「バスに乗る時、足が上りにくい」「階段が昇りにくい」など。 上肢の筋力低下・・・「洗濯物を物干しにかけるのがつらい」「髪がとかせない」 「高い所の物をとれない」「手に持った物が普段より重く感じる」など。 頚の筋肉の障害・・・「頭を枕から持ち上げられない」など。 物を飲み込むのに必要な筋肉(後咽頭筋)、言葉を話すのに必要な筋肉(構語筋)の障害 ・・・「食物の嚥下障害」「逆流」「鼻声になる」など。 ■レイノー現象■ 手の指が突然青白くなってピリピリしたり、寒冷や感情的動揺に対する反応としてしびれる現象。 レイノー現象は、他の結合組織疾患を合併している場合によくみられます。 約20−30%の人に見られますが、強皮症の患者さんと違い、軽症のことが多いようです。 ■関節痛・関節炎■ この病気がある人の約3分の1に、関節の痛みと炎症がみられます。 しかし、腫れたり赤くなったりせず、持続時間も短く、軽症のことが多いと言われています。 関節リウマチのように、関節が破壊されたり、変形したりすることは稀です。 ■肺・心臓■ 肺に炎症が起こり、咳や息切れ、呼吸困難などの症状を認めることがあります。 この肺の炎症は細菌感染などで起こる肺炎とは異なり、間質性肺炎と呼ばれています。 (約30−40%に合併しますので、定期的にチェックすることが大切) また心臓の筋肉が障害され、不整脈を起こしたり、心臓の力が弱ったりすることもあります。 多発性筋炎は通常、のどや食道以外の内臓器官は侵しません。 ≪皮膚筋炎≫ 特徴的な皮膚症状のゴットロン徴候(手背側の手・指の関節表面の皮が剥けた紫紅色の皮疹)や ヘリオトロープ疹(眼瞼部の腫れぼったい紫紅色の皮疹)などを伴う場合には、皮膚筋炎と呼びます。 皮疹は、四肢や体幹部にも出ることがあります。 その他、石灰が四肢の皮下に沈着することもあり、 爪床にも紅斑を認めます。 皮膚筋炎では、多発性筋炎にみられるすべての症状が発症します。 ■悪性腫瘍の合併■ 50歳以上の皮膚筋炎における悪性腫瘍の合併率は高く、実に50%に達すると言われています。 合併する悪性腫瘍は、日本では胃癌がもっとも多く(40%)、ついで肺癌、子宮癌、乳癌などです。 したがって、皮膚筋炎と診断された時点で、徹底的に悪性腫瘍の検索を行うことが大切です。 また皮膚筋炎に悪性腫瘍を合併した例では、本来の悪性腫瘍単独例より、その進行が早いと 言われています。 筋炎の日本での推計受療患者数は、多発性筋炎3000名、皮膚筋炎3000名(1991年の全国疫学調査) |
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| 治 療 | ||
| 発症した時(急性期)にはできるだけ安静にし、筋肉に負担をかけないようにすることが大切です。 また、障害された筋肉の温湿布は筋痛の緩和に有効といわれています。 身体のこわばり、動作の不自由さ・筋力の回復のために、リハビリテーション、理学療法は 重要ですが、何時から開始し、どの程度を行うかは難しい問題で、病状により様々です。 一般的には筋原性酵素(CK値)が薬物療法により低下し正常値に近くなり、 筋力が順調に回復していることを確認してから、徐々に開始します。 また身体の蛋白の分解が亢進していますので、食事は高蛋白、高カロリー食で消化のよいものを とるようにします。 治療は、薬物療法が中心となります。 主に副腎皮質ステロイド剤(ステロイド)が使用され、効果的です。 副腎皮質ステロイド剤の効果が不十分であったり、副作用が出現した場合に、 免疫抑制剤が使用されることがあります。 多発性筋炎が癌を合併している場合、プレドニゾロンには通常よく反応しません。 しかし、癌の治療がうまくいけば症状は普通改善されます。 |
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| 予 後 | ||
| 膠原病の中では予後はよいとされていますが、 悪性腫瘍、感染症、心肺合併症(嚥下運動の障害 による誤嚥性肺炎、呼吸筋障害による呼吸不全、 心筋障害による心不全など)により左右されます。 悪性腫瘍の合併のないものは生命予後は比較的良好で、5年生存率90%、10年生存率80%と されています(その経過は、個々により異なる)。 現在、一番問題となっているのが肺に炎症を起こし呼吸困難をきたす間質性肺炎、 とくにその急激に進行するタイプ(急性間質性肺炎)です。 残念ながら、その原因は未だ不明で、治療法も確立されていません。 副腎皮質ステロイド剤がよく反応しますが、再発をくり返すことが多いので注意が必要です。 |
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