2004年4月17日 

 


予備自補訓練記 〜汚れてニッコリ第1週(前編)〜
 

2度目の冬

◇小爆発

飯盒でネギトロ丼


◇2度目の冬

2月2日(月)、そぼ降る雨の中、半年ぶりの武山に着隊。楽しみにしていた季節が、また巡ってきた。

私にとって4度目となる今回の訓練は、予備自補教育訓練全50日中の31〜40日目にあたるG・Hタイプ。驚いたことに、進度の早い2期生はもう追い付いてきていて、1期生の私たちと一緒に教育を受けることになっていた。担当は、327中隊。予備自補総勢は23名で、うち女性が5名。但し、翌日にはひとりが入院したため、全部で22名に。

先週までに営内ではインフルエンザが大流行していたらしい。予備自補にも班長たちにも罹患する人が続出しているとかで、訓練にもその影響が出た。まず、着隊の晩に予定されていた戦闘訓練は雨を考慮して延期。また、翌日の晩に行うはずだったテントを張っての露営も隊舎での通常通りの就寝に変更。

私たちの体に配慮して下さっているのはわかる。でもなあ、そこまで気を使うのはどうなんだろう。楽しみにしていた露営ができなくて残念ということもあるけれど、それだけでなく、これでは私たちが当初予定されていたレベルに達しないことになってしまう。

ある自衛官の方が、
「自衛隊は一度事故が起きると、危険だからと言ってその訓練そのものをやめてしまう体質がある。それでは、実戦に向けてはなんの意味もなさない。本当に大切なのは、実戦で起こりうる危険にどう対処するかを訓練することなのに」
と語ってくださったことがある。本質を突いた発言だと思う。

そんな言葉を思い出しながら、なんだか過保護だなあと感じてしまうことが、この訓練中、しばしばあった。

一方で、この週一番うれしかったのは、中隊長が朝礼でイラク派遣の報道について、
「仲間が頑張っているのを、これまで以上に関心をもって見守ってください」
と、言ってくださったこと。この「仲間」という言葉が、心に響いた。

というのも、予備自補制度の発足そのものについて賛否両論が聞こえてくる中で、
「いくら後方警備だっていったって、たかが50日訓練したくらいの人間に(怖くて)背中を向けられない。現場の人間はみんなそう言っている」
などと心ないことも言われたからだ。私には、その言葉は、
「お前らなんか、とうてい仲間とは思えない」
と聞こえた。

そんなことがあっただけに、中隊長のさりげないその言葉には、胸にじんわり染み入ってくるものを感じたのだった。

 

☆     ☆     ☆

◇小爆発

翌日の訓練では、まずテントを張った。テントは自衛隊式の蒲鉾型で、8人が泊まれるかなり大きなものだ。立て続けに二度演練(練習)したお陰で、二回目にはそれなりに自信をもって設営できた。

自衛隊テント


完成後、それぞれのテントを見学しつつ、お互いに駄目出し。そうやって仲間どうしでもチェックしあうというのは助教(教える人)からだけ指摘されるのとは、また違う重みがあってよかった。なんでもそうだけれど、他人の欠点はすぐ目についても、自分のそれにはなかなか気付けないものだ。

実際、ちゃんとできたつもりだった私たちのテントにも不完全だった部分がいくつか見つかったし、また、仲間のミスを発見することによって、今後自分たちも陥る可能性の高い過ちをあらかじめ自覚しておくことにも繋がったように思う。

すっぽり寝袋

夜の露営が中止になったため、ひとつのテントにだけ体験的に寝袋を並べて見学。冬なのでテントの中央には、石油ストーブが置かれている。荷物が置かれていないこともあり、かなり広く感じた。それぞれの寝袋の下には、色さえカラフルになれば海辺で使われていそうなぶ厚いエアークッション。


「寝てみたい人?」と言われて、すぐに手を挙げた。顔以外は頭まですっぽり覆ってしまう寝袋に入り、イモムシ状態で転がったエアークッションの威力にびっくり。こんなに寝心地いいテント内の寝床は初めてだ!これなら木の根や石などの大地の凹凸や固さ・冷たさにも悩まされることなく安眠できるだろう。これまで体験してきた自衛隊の装備品は、正直に言うと前時代的なイメージの強いものがほとんどだったけれど、これでちょっと印象が変わった。

お昼は、飯盒炊飯だった。地面に四角く穴を掘り、そこに固形燃料を並べて、上に渡した棒から飯盒をかける。固形燃料の上に炭を置いたところが新鮮だ。なんだかおいしいご飯が炊けそう。

ところが、この炭が曲者だった。固形燃料を消火する際のこと。いつものようにフタをしたら、
「ボンッ」
という音ともに、フタが飛んだのだ。
「わっ!」


やらかしてしまった。どうやら、炭のかけらが残っていたままだったために酸素がなくなり切らず、小爆発を起こしてしまったらしい。

お騒がせして、ごめんなさい……。

飯盒を火にかける


つづく



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