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| 予備自補訓練記 〜狙ってあれれ第2週〜 | |
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◇ヘリボン訓練 ◇弾着は心を映す!? ◇ビューティ&スキンケア ◇終わり、そして、始まり |
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「ヘリボン訓練があるらしいですよ」 |
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今回の訓練では、体験搭乗がいくつか用意されていて、先週は指揮通信車と高機動車がやってきた。このうちの高機動車に乗り、短い距離ながら戦闘訓練場までの移動も経験。そして今週は、雨の予報を吹き飛ばし、立川から多用途ヘリUHが! |
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ブロロロロとローターの音を轟かせて青い空からヘリがやってくると、反射的に心が躍ってしまう。サイレンの音に反射的に遠吠えしてしまう犬も、きっとこんな気持ちなんだろうなあ。みんなの顔も子どもみたいに輝いている。先週で終わったはずの戦闘訓練を「ヘリから下りたら、そのまま1本」やると言われても、嫌がる空気は流れなかった。 乗降の要領を習ってから、グループごとに搭乗。座席は取り払われているので、片手で銃口を抑えつつ床に直接あぐらをかく。機体が地面を離れると、見る見るうちに戦闘訓練場が小さくなっていった。いくら堆土や地隙の陰に身を潜めても、上から見下ろせばすべてが一目瞭然。敵にこうして狙われたらと思うとぞっとして、隠蔽や掩蔽の必要性、重要性をこれまでになく実感できた。 |
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火曜日に今度は200mの実弾射撃。射場指揮官でもある中隊長の、 特に、膝射ちは伏射ちほどの安定性がないので、照準しても揺れている。それを止めるのは不可能に近く、ほとんど勘で引き金を引いている感じだ。班長の指導のお陰か、幸いその割には当たっていたのだけれど、検定射撃までのその後の2日間にはそれぞれに色々なドラマがあった。 射撃するごとに銃の部品が煤で汚れるので、今回の訓練では手入れのため毎日のように分解結合をしていた。例によって分結の苦手な私は、あるとき図らずも世界にひとつしかないオリジナル小銃を製作。ネジの締まり具合がいつもと違い「何かおかしい」とは気付いたのだけれど、「何がおかしい」のかはわからず、確認をお願いした班長や周りの仲間たちを唖然とさせてしまった。 そんなウルトラ機械音痴の自分が結合した銃で実弾を撃つなんて、ほとんど驚天動地の事態だ。本当にちゃんと弾が出るだろうかと、射撃そのもの以前にそちらが心配だった。回を重ねるうちにだんだん自信を持てるようになりはしたものの、毎回1発目の弾が無事に銃口から飛び出すと、密かに胸をなで下ろしていたのだった。 |
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射撃は50点満点で、伏射ち5発、膝射ち5発の合計25点以上が合格となる。以後の射撃予習では、この25点以上と未満の組に別れてバディを組み、未満の人には班長がほとんどつきっきりで強化練習することになった。 |
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回を重ねることで良い自信がついた分解結合とは対照的に、悪い自信になってしまったのが射撃だ。射撃予習に予想以上の時間が割かれたり、強化練習を垣間見たりしたせいか、いつのまにか変なプレッシャーが生まれてしまった。そして、迎えた検定射撃。これまでになく緊張したけれど、結果から見れば1回目はまずまずの出来。 それで安心したのがよくなかった。調子がいいような錯覚を起こして増長し、こうなったら的のど真ん中を撃ち抜いてやれーと無意味に意気込み、注意されていた下際照準のことなど山の彼方の空遠くに忘れ、とにかく思うがままにばーんと撃った。その結果……。(後略) 後から思えば、それまで気にならなかった周りの音や耳栓も、このときだけはやけに気になった。気持ちが浮いて集中できていなかったんだろう。 教訓。『射撃は謙虚さが大事。下心はそのまま結果に現れる』。
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☆ ☆ ☆
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私は『アミノバイタル』をよく人に勧める。筋肉痛や疲労の予防にとても効果があるからだ。 その日、同じ班の男性Hさんが食後の売店で、ゼリータイプのアミノバイタルを購入した。が、集合した班員がざわついているのでどうしたのかと思いきや、Hさんが手にしていたアミノバイタルにはすべてピンク色の文字で「ビューティ&スキンケア」と書かれているではないか!ゼリータイプのものには4種類あるのだけれど、それを知らずに買ってしまったらしい。ちょうどポケットに顆粒タイプのものを持っていた私は、 |
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2日後の木曜日、検定射撃。それ以来「ビューティHさん」と呼ばれるようになった彼は、200mの射撃で当初強化組に入っていた。が、検定ではおそらく点数が2倍くらいになってしまった、らしい。発表された成績を見て、 「自分の点数じゃないみたい」 と我が目を疑っている。彼曰く、 「ビューティ&スキンケアのお陰だ!!」 これからは、アミノバイタルの効用に「射撃力倍増」が加わるかもしれない!? |
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かくして、3年間50日に渡る訓練が終わった。修了式で、大隊長が、 最後の晩、作業服や作業帽から徽章や名前を外した。縫い付けるときに苦労したのを、昨日のことのように思い出す。毎晩磨き続けてきた半長靴ともこれでお別れだ。新品だったものが、いつしかすっかりいい味わいを醸し出すようになっている。愛着がわいて、離れがたい。 見送りでは、別の中隊の皆さんもずらりと整列して下さった。これまでお世話になったすべての方が揃っていないのはちょっと残念だけれど、こうやって思い出のあるみなさんに送られると感慨ひとしおだ。 打ち上げの席で区隊長と話していたら、 制度発足当初から3年かけて訓練を修了した私からすると、年々体制が整って来ているなあと肌で感じる。内容も充実してきているし、今回などは私たちが予備自の訓練に参加した際に困らないようと、課目にはなくても今後必要となるであろう内容を加味して下さったりもした。 とはいえ、まだまだこれからの課題も多いだろう。修了式の翌日、私たちは予備自衛官になった。予備自補出身の予備自衛官がどんどん増えていく今後、私たちが自衛隊にとっても国民にとっても、なにがしか実際に役立つ存在であれたらと切に願う。そして、そのために一番重要なのは、私たちひとりひとりの「自覚」に違いない。 以前、朝霞にある陸上自衛隊広報センターの3Dシアターで、レンジャー訓練の映像を見た。その中で教官が語っていた「日々抜かない刀を磨いている」という言葉がとても印象に残っている。 私たちが出動しなければならないような日は、できれば来てほしくない。けれど、不幸にして万一そういう事態が生じた場合、日々の積み重ねがなければ現実には使いものにならないだろう。一日一日の変化は目に見えなくても、地道な時間の蓄積は大きい。 訓練期間以外に分解結合や実弾射撃はできないかもしれないけれど、だからと言って発想を変えればできることは無数にある。大切なのは、それぞれがそれぞれの「刀」を、怠らず日々磨き続けること、なのだ。 1週間後、一緒に訓練していた女性と再会したところ、体力の無さを自覚した彼女は、 |
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武山から持ち帰ったどんぐりのは、東京湾のゴミの島を森にするための苗木にすることにした。どんぐりは私たち自身でもあるのだと思う。ひとつひとつのどんぐりから出た芽が成長して木となり、やがて「国を守る」大きな森の一部となる。それが、私の夢だ。 |
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予備自補訓練記 〜 完 〜
※これまでお世話になった第117教育大隊の皆さん、私が予備自補になるきっかけを作ってくださった自衛官の皆さん、共に汗を流した予備自補の仲間たち、そしてこの訓練記を応援して下さったすべての皆さんに、この場を借りてお礼申し上げます。
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