その1・オジサン天国
(00/02/02 UP)
おじさんはせっかちだ。
今日も今日とてピコピコピコピコ音がする。
『何だこの音は?』と、コピー機の方を見ると、K氏がクリアボタンを押しまくっている。
何やら小さい声で「違った違った、違うんだよ。20枚も要らねえんだって。」と呟いているので、
どうやら前に使用した人がクリアボタンを押さず、 1枚しか要らないコピーを20枚も取ってしまったようだ。
分ったから、静かにね。
自慢じゃないが私は転職魔。
そして、1つ仕事を変わるごとにそのオジサン人口の多さに驚く。
どこに行ってもオジサン。
オジサンオジサンオジサン。
若いのはいないのか!?
松嶋菜々子似の派遣嬢Tいわく
「おじさんほど勘違いする生き物はいない」
らしく、彼女はどこに行ってもその執拗なアタックに辟易している。
「君のためなら家族を捨てる」と言われたことも2度3度ではなく
(そのたび派遣先を変えてもらっているらしいが)、
「捨てんでいい、捨てんで!」といつも心の中で叫んでいたという。
しかも、彼らはT嬢が自分に気があるということを前提に話を切り出す。
その自信、是非分けて欲しいもんじゃのう。
ところで、現在私が勤務する会社にも素敵なオジサンが。
オジサンというよりオッサンか。
そのG部長はガッツ石松そっくりなので私は彼に話かけるたび
「
(ガッツそっくりな)
G部長質問が…。」
「あ、どちらにお出かけですか
(ガッツそっくりな)
G部長」
と心の中で注釈をつけている。
彼は携帯電話にダルマのストラップをつけ、
鶴に富士山の図柄の漆塗り風ボールペンを愛用なさる。
彼のニューグッズを発見するたびハッとするのはどうしてだろうか。
ついでに彼の作った文書を読むと"例え"が"例へ"に、
"Q&A"が"想定問答集"になっているので少し戸惑う。
ああ、魅惑の
(ガッツそっくりな)
G部長。
彼の他にも、お気に入り人物として安達さんがいる。
基本的に本名は避けたいのだがこれは仕方あるまい。
なにがお気に入りって、その名前である。
だって、安達よ。アダチ。
"アダチばかよね"の安達だ。
安達さんに罪は無いのだが、こんな美味しい名前に生まれたのが運のツキである。
この安達さんとの間にはとっておきのエピソードがある。
うちの会社は東京に本社があり年に一回、
各支店から新人女性と中堅男性の1名ずつが参加して意見発表会のようなものが行われる。
私が組まされたのがこの安達さんだったのだが…。
なにせ評判の酒癖の悪さなので、打ち上げでは大暴れ。
普段は非常に腰が低く、目下の人にも敬語なのだが、酔うと目上にも「貴様」呼ばわり。
からんでからんでからみまくり、帰り道ではタクシー待ちの女性にまで
「へっへっへっ、お姉ちゃんどこ行くの〜。(後は下ネタ)」とからんでいた。
が、翌朝宿泊先のホテルで朝食をとろうとレストランのドアを開けると、
小指を立ててカプチーノを飲む安達さんが。
カプチーノってあんた…。
そして、元は横浜に5年も住んでいたので飛行機出発までの空き時間2時間を、
是非横浜案内させてくれという。
「ああ、ナミ君にいろいろな横浜を見せてあげたいなあ」
などというので仕方なくついていくと、なんだか調子がおかしい。
横浜駅をぐるぐると10周くらいただ回っているのだ。
『これがあんたの見せたい横浜か!?』疲れもピークになり始めていた頃、
彼は急に地下コンコースから上にのぼり始めた。
しかし、エスカレーターは全速力で歩いてのぼるし、決して後ろは振り向かない。
後からついていく私は大きな荷物を抱えて半泣きである。
目的の屋上に到着すると、安達さんは一言
「はは〜ん。グランドタワーは東にあるな」
と呟き、また全速力で下に降り出した。
そして人に聞きまくってタクシー乗り場に出ると、
グランドタワーとだけ行き先を告げて後は死んだように真っ青な顔で黙り込んでしまった。
『さすがに彼も疲れていたのかもしれんな』
と思ったが、私の怒りは絶好調。
こんなことなら他の支店の人たちとあのまま青山でショッピングしていれば良かった…。
後悔いっぱいの私に、グランドタワーはたかが景色を見るだけのくせに
1200円(確か)も取るわ、あの駅から見た景色とたいして変わらないわで最悪。
ついでに帰りも思ったとおり道に迷って走りまくり、
空港バスの中で息も絶え絶え状態の私に安達さんは言った。
「ナミ君はやっぱりダメだなあ都会に住んだら、毎日こんな調子なんだよ」
う〜ん。それは違うだろう。
翌日。会社で2日分の貯まった仕事をこなす私にウフフと笑いながら近寄ってきた安達某は
「ナミ君、昨日2人きりで横浜に行ったことは皆んなには内緒だよ。」
と唇に人差し指をあて、シィ〜という仕種でウィンクをした。
このオッサンは…。
なんだか幸せな人だよなあ。と、憎めないまま本日に至る。
会社はオジサンで出来ているので、オジサンが暗いと会社も暗い。
だから、オジサンにはなるべく明るくいて欲しいものだ。
そして、なんだかある意味
私の方がオトナ
みたいなので、
諸所のことは我慢してあげよう、なんて思う今日この頃なのだ。
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