渓谷の早瀬 響く滝音 里見富士

常陸太田市(旧里美村)にある富士山は地元で「小里富士」と呼ばれている。この山へのアクセスは国道349号を北上し里美村小中地内の「常陸太田市森林組合事務所」のT字路を右折する。

里川の橋を渡り,舗装された林道を900bほど行くと行き止まりとなる。ここが登山口である。右に行くとテレビ塔を経て山頂に至る尾根コース。左側が薄葉沢を詰め,前峰を経て山頂に至るコースで,かなりの迂回と急登を強いられる健脚向きのコースである。

私たちはテレビ塔の尾根道を登り,薄葉沢へ下りるルートを選んだ。畦道を少し歩くと杉木立の薄暗い山道となる。テレビ塔を建設する時の幅2bの作業道が続き,グリンツーリズムを企画する「里楽ゼーションの会」が,173月からコース案内標識などを整備しており,要所に道標や樹木への赤ペンキマークの目印がある。これらの目印がなければ道に迷う箇所が多く,とても助けられました。どうもありがとう。

50分でテレビ塔に着く。塔と言っても電信柱の左右に2基のUHFアンテナを取り付けただけのもので周辺の杉木より低い。もう,ここから山頂までは指呼の距離である。

晴れた山頂から木立越しに眺望がきく程度で,2つの祠が鎮座している。古い祠には「天保13年寛7月移羽黒山」とある。1655年頃より多くの修験者が居住し,麓の小中町野神田には羽黒神社が祀られ,その境内に富士神社も祀られている。小里富士は現在でも,その奥の院となっており,富士講の名残を止める山でもある。

友人と蜜柑を食べながら休憩をとり,今度はナラやクヌギ,山桜など広葉樹の明るい薄葉沢側へと下る。10分歩くと前峰の三角点に出る。樹木の赤ペンキを頼りに急斜面を落ち葉に足を滑らせながら下る。うんざりした頃,薄葉沢の渓流の音が響く分岐に出る。豊富な水量の沢で「早瀬の滝」「塩の草滝」「薬研の滝」とバラエティーに富んだ滝が次々と現れる。特に「薄葉沢の滝」は見事な景観である。渓流の周辺が杉林でなく,モミジやカエデの広葉樹なら関東の奥入瀬渓谷と称せられる景勝地となったであろう。           (天海敏徳)

                                                                                                                                                                                  

<コース記録> 0612月3日(日)晴れ 2名 (小貫)

 林道終点登山口(9:00)中間地点道標(9:25)テレビ塔(9:50)山頂(10:0010:15

 前峰(10:25)滝めぐり分岐(11:10)登山口(11:35