森につつまれ ただ静かなる 笠間富士

旧笠間市内に2つの富士山がある。1つは佐白山に隣接し,ツツジ祭りで有名な富士山である。国道50号線から仰ぎ見られ,舗装された道が頂上まで続き稲荷神社や陶芸市場から周遊する観光客が訪れ華やいだ富士。山というよりツツジ咲く丘陵であり,私の富士感からは馴染めないので「ふるさとの富士シリーズ」からは外すことにした。

2つめの富士山はJR水戸線福原駅より東方面にある本戸地区に位置し,国土地理院の地図「羽黒」に富士山と標記されている183bの低山である。

登山口は福原からも本戸からも複数ある。私たちは最短コースを選択した。本戸の鍛冶屋集落の南端にある個人宅の庭先をお借りして孟宗竹林の沢を分け入り尾根筋めがけて取り付く。厚く積もった落ち葉に足をとられながら登ると,10分程で杉林の尾根のけもの道に出る。要所に林班界の青い境界杭がある。息があがらないうちに頂上に着く。直径15bほどの円形台地。コンクリート製の三角点と富士山認定協会のプラスチック製標示板が掲げられている。檜や杉が茂り,眺望は利かない。静かな山頂にはただ電車の音が響いてくるだけである。しばし森林浴を楽しみながら熱いコーヒーとカレーパンで空腹を満たし,写真を取り合う。山麓の住民の話によると,昔は枯葉さらいなどの山仕事や私有林の管理がてら登ったことがある。その頃は杉や檜も小さく眺望も良く本物の冨士山がお猪口を伏せたようにほんの少しだけ見えたとのこと。最近は登らないが,登山口の問い合わせが多くなったと不思議がるので,新聞や郷土文芸誌で茨城県内の富士山が紹介されたことを伝えると合点した。この本戸地区にご夫婦揃って著名な笠間焼作家が住んでいる。そこで平成5年頃「星を見る宴」が開かれた。私が初めて天体望遠鏡で土星の縞模様と環を観察し感動した思い出の地でもある。                   (天海敏徳)


<コース記録> 07年1130日(金)曇り 2名(小貫)

 笠間市本戸細谷宅登山口(10:00) 頂上(10:25)(10:45)登山口(11:00

国道50号福原付近から写真撮影(ここから遠望するとなだらかな裾野が広がる)