05年北海道の山旅(8つの登山)

山域・山名   大千軒岳(1072m)・狩場山(1520m)・余市岳(1488m)・斜里岳(1542m) ニペソツ山(2012m)・オプタテシケ山(2012m)・美瑛岳(2052m)・富良野岳(1912m)

目 的       北海道の百名山と二百名山と三百名山の山へ。

         平成17年7月9日(土)〜16日(土)

メンバー     檜山(単独)

記 録

 今回の山旅は,北海道に残された三百名山4つの山を中心に行動計画を練り,そして過去に登ったが天気に恵まれなかった山,斜里とニペソツの頂を目指した。今回は天気にほぼ恵まれ,予定以上の成果を上げることが出来た。この結果,北海道にある三百名山26山を全て登ったことになり,残すは九州4山を含めて19山となった。

     〔行程表〕   計2,475km
         (1)自宅〜青森フェリー         632km
         (2)函館〜松前町大千軒登山口         753km(121km)
         (3)大千軒登山口〜狩場山登山口      996km(241km)
         (4)狩場登山口〜キロロリゾート     1,143km(144km)
         (5)キロロリゾート〜斜里・清岳荘    1,597km(454km)
         (6)清岳荘〜ウトロ温泉              1,665km( 68km)
         (7)ウトロ温泉〜清岳荘下のテン場    1,748km( 83km)
         (8)清岳荘〜杉沢出合登山口         1,966km(218km)
         (9)杉沢出合登山口〜美瑛富士登山口  2,160km(194km)
        (10)美瑛登山口〜上富良野町       2,203km( 43km)
        (11)十勝岳温泉〜苫小牧市・フェリー  2,442km(239km)
        (12)大洗〜自宅                    2,476km( 34km)

        *参考(青森〜函館フェリー料金  14,900円)
        (大洗〜苫小牧フェリー料金 22,950円)
              (日立南太田IC〜青森IC    8,300円)

7/8(金)〜9日()    天気:晴
那珂町自宅16:00-------- (常磐道・磐越道・東北道) ---------0:30青森1:10--------- 5:00函館----- 7:20松前町・大千軒登山口7:45 ----------- 8:30大千軒岳8:45---------- 9:15登山口9:40------------- 松前町 --------------- 北檜山町 ----------- 島牧村---------- 13:45千走川新道登山口14:00 ------------ 14:30第一雪渓------------ 15:00第二雪渓下--------- 15:20南狩場山 ---------- 15:40狩場山15:55 ----------- 17:05登山口---------- 千走川温泉------------ 島牧村 -------- 岩内町-------- 赤井川村小学校(テント)

  買い出しをして,自宅を出発する。高速道を順調に飛ばす。途中で仮眠をする。予定では青森発2:50のフェリーだったが,その前のフェリーに間に合うことが出来た。これで,大千軒と狩場の二つが登れると胸算用を立てた。

  函館から松前町を目指して車を走らせた。見覚えのある風景に,昨年の10月に課の親睦会旅行の折り,札幌から大千軒岳を目指して車を走らせたが松前町に入った時点で時間切れでやむなく引き返した悔しさを思い出していた。

松前町入口の朝日集落から及部川に沿って林道を30km程入る。10km入ったところに入林監視所があり,27km地点の旧道登山口道を過ぎて,松前新道コース登山口に着いた。既に車が2台。同じ関東の群馬と袖ヶ浦ナンバーであった。

    入林届を書いて出発する。天気は日差しもあり上々だ。ブナ林の中の道を緩やかに登って行く。このコースは2.7kmであるが,100mごとの表示があるため,励みやすい登りだ。やがて丈の低いササに覆われたなだらかな尾根に出た。展望も開けて気持ちの良い尾根道だ。頂上直下にはエゾカンゾウやイブキトラノオが乱舞していた。高山植物などを観賞しながら,やがて頂上に着いた。

  頂上には,先行の叔父さんが一人。既にリタイアした群馬の人で,挨拶をして写真を撮ってもらった。頂上からは残念ながら日本海は見えなかったが,谷川からの強い風に雲の流れを稜線を乗り越える迫力ある光景を見た。また,頂上には一等三角測量開始百年記念のレリーフが設置されていて,明治29年(1896年)7月に,ここ大千軒岳他2山で始まったという。朝からビールを開けて,05年北海道の山旅の初登を祝った。家と飯島に携帯を掛けて報告した。

   頂上からは,登った道を下る。労せずして登山口に着いた。着いてみるとタクシーが1台あり,86歳の単独登山者がいた。これから登るという。登山口を教えると,勇躍してその頂上を目指して行った。世の中には凄い,そして酔狂な人もいるものだ,自分を差し置いて思ってしまった。

 本日2つ目の「狩場山」を目指して林道を走らせた。
島牧村元町から賀老高原を目指す。千走温泉を過ぎて,林道を登って行く。途中で,沢筋に豊富な残雪を残した狩場山が見えた。やはり今年は雪が多いのだ。賀老の滝やキャンプ場を過ぎて,暫く林道を行くと登山口に着いた。降りてきたばかりの人に聞くと,雪渓があり,難渋したという。

   時間も遅いので,急いで登る。天気は上々。大汗を掻いてひたすら樹林の中の道を辿った。ダケカンバが倒れて道を塞いでいる箇所もあるがルートは明瞭。シラネアオイの花が数多く咲いていた。30分で雪渓のある場所に着いた。記録では例年だとお花畑となるところだ。雪渓に着けられたルートを辿り,上を目指す。

   第二の雪渓までの途中に真駒内コースとの分岐があるというが,解らなかった。第二雪渓直下で6人の高年登山者と合流した。ルートが解らずに躊躇していた。確かにルートは不明だが,右上を目指して先行した。雪は固く,登山靴ではなく,登山ラン用靴(今回の山旅は全てラン靴で登った。)のため蹴りこみが浅く,2度程滑ってしまった。ようやくして雪渓をやり過ごしてルートに出たので,後続の高年登山者達に声をかけて先を急いだ。

   ここからは岩混じりの急登の道となり,大岩の中の8合目の標識を過ぎると,主稜線上に出て,南狩場山が盛り上がっていた。急傾斜の道を登ると9合目標識があり,雪渓が大量に残った広い暖傾斜の道となった。ガスが一時で出てきて,迷ってしまう。

  本来なら高山植物の乱舞が見られるところであるが,惜しいかな今年はあまりにも雪が多かった。

   小さな赤い鳥居が立っている頂上に着いたときには,ガスがかかり,冷たい風が吹いていた。頂上には誰もいない。早々に写真を撮って下山に掛かった。

  時々日も差すが,天気は下り坂だ。後続の6人組はどうしたのだろうと思いながら下っていった。例の第二雪渓は笹藪沿いにルートを取って,難無くやり過ごした。第二雪渓から少し下ったところで,6人の高年登山者達に会った。結局途中8合目で断念したという。強引に突っ込む高年登山者が多い中で,希有なパーティーだなあ〜と変なところで感心してしまった。

  寝不足と疲れで足が重く感じるようになった頃,登山口に着いた。賀老の滝も見たかったが,一直線に千走温泉まで車を走らせて,茶褐色の湯に浸かった。良い気分で次の目標キロロリゾートに向かった。

   しかし,テン場はキロロまで10km程度手前の小学校に張った。(公民館と思っていたら,張ってから小学校と解った。)雨,風が防げる場所と判断した結果だが。

     《千走温泉》400円。泉質・効能不明

 7/10(日)   起床;5:00  天気:曇時々小雨    就寝;21:30
小学校5:10------- 5:30キロロリゾート6:20 --------- 7:05朝里ゲレンデ(登山口) 7:10-------- 8:00ゴンドラ駅との分岐------8:45余市岳9:00 -------- 9:35 分岐---------- 10:10登山口 --------11:00キロロリゾートホテル11:25-------朝里IC --------(道央道) ------比布JCT------ (紋別道) ------上川IC------ 上川--------- 層雲峡簡保の宿 ------------- 石北峠------- 北見市------ 美幌町-----清里町----------- 19:40清岳荘(宿泊)

  キロロリゾートまでは僅かであった。最奥のホテルの脇を標識に沿って林道入口に進む。ところが,鎖が掛かっており,良く見ると通行止めの表示があった。事前情報にはそんなことはなかったので,「アレ!」と思った。近くにタクシーが1台あり,事情を聞くと,運転手もその情報がなく,東京からの客を仕方がないので,5時にここから林道を歩いてもらったという。そうこうしている内にキロロの従業員が来て,鎖を開けている。事情を聞くと,理由は判らないが,今年の6月から林道の通行規制が始まったという。

   仕方がないので,ゴンドラを利用する作戦に切り替えることにした。ゴンドラの始発は,6時30分で往復950円という。ゆっくり朝飯を入れて用意をしながら,乗り場に行くと,強風のためゴンドラの運転は未定だという。機械力を当てにした作戦を反省し,急ぎ自分の足で林道奥の登山口を目指して歩くことにした。

  林道は,直ぐにダートの道となり,3km程歩いて朝里ゲレンデに着いた。そこには登山口を示す大きな道標のあり,登山届け記入して頂上を目指した。

  道は沢沿いに進み,途中で渡渉する。そこからは沢から離れて緩やかな登りとなった。サンカヨウが咲いていた。水芭蕉の咲いている湿地に出ると,道は一転して急傾斜となった。天気は今にも雨が落ちそうである。ぬかるんだ箇所を避けながら行く。

  傾斜が落ちて笹藪のようになると,僅かでゴンドラ駅からの道に出会った。相変わらずガスが掛かって何も見えない。

  分岐から僅かに歩を進めたところで,女性の2人組と会った。尋ねると,タクシーで乗り付けた東京からの人だった。頂上では何も見えなかったという。タクシーの運転手が心配していることを伝えて別れた。

    一旦コルまで下り,また頂上を目指して登り返す。傾斜が緩くなり,ハイマツの中のほぼ水平道になると,行く手にケルンと観音様が現れた。頂上への道を示す道標もあり,それには「頂上はここから300mです。」と書かれていた。風が冷たい。ガスの中の平らな道を辿ると,今度は頂上だった。写真を撮り,風を避けながら食べ物を詰めた。ビールは飲む気がしない。宮ちゃんと小和瀬さんの処に携帯で報告した。

  早々に引き上げることにした。観音様に手を合わせてから帰りを急いだ。水平道からコルへの下りとなり,コルの直ぐ手前で後続パーティーに会った。ゴンドラを待っていた人達だった。

  ぬかるんだ道は滑りやすい。注意を払って歩く。渡渉点を過ぎてひと安心する。僅かで登山口に着いた。天気は少し明るくなっていた。林道をのんびりと歩いてキロロのホテルに着いた。

  濡れ物を片付けて,次なる山をどうするか思案した。ラジオで聞くと道北以外は天気は今日,明日はあまり良くないらしい。予定を変更して,斜里に向かうことにした。

  斜里の麓清里町に着いた時には,暗くなり始めていた。清岳荘への道が判らず少しロスしたが,コンビニで行動食を仕入れて清岳荘に向かった。

  清岳荘には,強い雨の中着いた。そしてそこには今年の6月に新築されたばかりの鉄筋コンクリート2階建て建物があった。13年前の印象は否定され,その変貌ぶりに驚いた。早速管理人に挨拶し,泊めてもらうことにした。既に山荘にはたくさんの登山者がいたが,仕切のない2階の広間には,6人程でゆったりとしていた。

   玄関先で,ビールを開けながら遅いディナータイムとした。雨足は強くなっていた。

        《層雲峡簡保の宿》無色透明,炭酸カルシウム泉 600円
    《清岳荘》一泊1,500円


  ○7/11(月)   起床;6:30    天気:雨夕方から曇   就寝:20:30
清岳荘8:00 -------------10:00ウトロ温泉・番屋の湯---------- 12:30清里温泉緑清荘15:20------------15:45清岳荘15:50 -------- 16:10林道脇のテン場

  4時前に管理人に起こされた。外に置いてあった荷物が,キタキツネに荒らされているという。食料を食べられたのかと管理人が心配してくれた。しかし,食料の被害は皆無である。食べ残しはほとんどなかったのだから。

   雨は相変わらず強く降り,ガスも掛かっていた。その中をバスなどで着いた中高年登山者グループが登っていった。50人以上であろう。

 前回の轍は踏まないと,当然沈殿とした。ここで和歌山から一人で登りに来たという中年登山者と話が弾んだ。明日登ったほうが良いですよと,13年前の登山などを話した。そのほか知る限りの北海道の山情報も話した。

  本日は温泉巡りを計画した。雨の中をウトロ温泉まで車を走らせた。しかし,時間が早いせいか,公衆浴場は午後2時からであり,ホテルは掃除中で断られてしまった。ところが,車を海岸沿いに走らせてみると,道沿いに「番屋の湯」の看板があった。簡易なモルタルの建物が4棟ばかり建っていた。経営者の叔父さんに聞くと,入浴OKだと言う。その湯は,茶褐色の湯であった。のんびりと浸かった。火照った体に浜風が気持ち良かった。

   清岳荘に向けて車を走らせる。途中で「オシンコシンの滝」を見る。雨の中でも相変わらず人が多い。清里町の温泉施設「緑清荘」で,またのんびりと浸かった。客は誰もいない。ここでものんびりと浸かった。そのうえ,湯上がりにビールを傾けて,遅いランチタイムを摂った。仮眠を十分取って,清岳荘に戻った。

  清岳荘にある荷物を回収して林道を下り,清岳荘に戻る時にテン場と決めていた処まで車を走らせた。テントを張って自分だけの空間を確保した。

         《番屋の湯》泉質不明    300円

         《緑清荘》  アルカリ性単純温泉 280円


  ○7/12(火)  起床:4:30  天気:晴   就寝:20:00
テン場4:45 --------- 4:55清岳荘5:00 ---------5:30下二股(六合目) --------- 6:30上二股--------- 6:48馬ノ背 --------- 7:00斜里岳7:40---------8:00上二股 --------- 8:27  熊見峠--------- 8:57下二股 --------- 9:30清岳荘9:50 ---------  清里温泉緑清荘---------  美幌町---------北見市 --------- 石北峠 --------- 三国峠 ---------15:30杉沢出合登山口

 起きてみると天気は最高。雲一つない。一日待った甲斐があった。清岳荘に戻り,管理人に挨拶した。管理人も「待った甲斐があったね」と言わんばかりに良い顔をして送り出してくれた。

   山荘から直ぐに裏手の樹林に入り,ぬかるんだ道を行くとすぐに林道沿いの道となり,林道に出た。その林道の終点が懐かしい旧清岳荘の跡地であった。失火で焼けてから,一時仮プレハブ小屋が建っていたというが,今は整地されていた。

ルートはここから始まる。沢沿いの道を辿りやがて渡渉が始まる。下二股の表示のあるところで道は二手に分かれる。沢沿いの旧道コースと尾根の新道コースだ。当然,沢コースを行く。滑りやすく渡渉も本格的となり,高度を上げていく。川床は赤く,鉄分の多いことがわかる。それぞれ名前の付いた滝が随所に出てくるが,鎖やロープがあり,何の心配もない。大きな滝(名前を忘れた)の上に立って,写真を撮った。朝日が今まさにコルの上に出ようとしているところだ。水も細くなり,傾斜も緩くなる頃に新道コースとの分岐となる上二股に着いた。

   ここからはコルを目指して一気の登りが続いていた。4時過ぎに先行していた和歌山の登山者に追いつき,砂礫の中の登りをひと我慢の登りでコルに着いた。前方には知床連峰が見え,左上には目指す緑豊かな斜里の頂上があった。コルからは最後の登りとなる。急な岩屑の道を辿れば,山頂下のピークに出た。銀色の立派な祠が祀られていた。ここからは一投足で頂上に立った。

  頂上には,既に3人ほどの登山者が山々の同定をしていた。東に知床連峰,その右側に霞んで見えるのは国後の爺々岳,反対の西には阿寒岳が雲海の上に見えた。見上げれば青い空が気持ち良いぐらいに拡がっていた。冷えたビールを開けて,なおさら満足感が拡がった。思えば13年前の9月の時は,暴風雨並みの天候の中を強行登山し,ただ登っただけの頂上だった。だからこそ今回は天気に拘ったのだ。これで本当に思い出深い頂上となった。

   和歌山の登山者達にあいさつをして,後ろ髪を引かれる思いで下山に掛かった。上二股からは新道コースを採った。結構な上り下りである。やはり距離はこちらが長い。

   それでも稜線に上がり,ハイマツの中くっきりと付けられた熊見峠までのルートは,ハイマツがみどりの絨毯のように見えて綺麗だ。振り返れば,緑豊かな斜里の頂上が見えた。しかし,ガスがみるみる出てきて,その頂上を隠してしまった

  清岳荘に戻り,管理人にあいさつして,次なる山あの懐かしいニペソツに向かった。

   麓に降りて斜里を見ると,厚い雲の中に隠れて,その雄姿を見納めできなかったのが 残念であった。再度,緑清荘に寄り,満足感一杯の気持ちを湯船に沈めた。

  目指すは,懐かしき杉沢出合である。途中で食料調達をしながら国内産ウナ重を食して鋭気を養った。北見の天気は暑かった。途中の大雪ダムからは音更山や西クマネシリの山々が,厚い雲の上にその首を出していた。

 懐かしき杉沢出合に着くと,そこには岩手の車が一台あった。3人組(警察職員で一人は同年,外の二人は70近い高年者)が焚き火をつけて既に酒盛りをしていた。良い雰囲気で,一緒にやろうと誘われた。マイビールなどを用意して遠慮なく合流した。お互いの紹介をしながら,山談義をした。程なくしてまた一台の車が到着。奈良県の人だった。この人(学校の先生をリタイアしたという。)も合流し,それぞれの山歴や山の情報を交換しながら自己紹介をし,場はますます盛り上がった。 酒,焼酎,ビールなどふんだんに岩手県が提供するので,申し訳ない思いもあったが,それ以上に気持ちよく勧めてくれるのには,岩手県人の木訥な言葉とともに今更ながら,人と接する暖かさをしみじみと感じた。夜は宵(酔い)の中に更けていった。
 

  ○7/13(水) 起床:3:45  天気:快晴   就寝:19:30
登山口4:10 -----------5:10小天狗の岩場  -----------5:20天狗のコル----------- 6:10前天狗----------- 6:40最低鞍部  ----------- 7:15ニペソツ山7:50 ----------- 8:15最低鞍部----------- 8:50前天狗  ----------- 9:25天狗のコル  ----------- 10:30登山口10:5011:20 ----------- 三国峠  ----------- 上川町・層雲峡  ----------- 旭川市----------- 14:30美瑛町・白金温泉----------- 15:30登山口駐車場(テン場)

  爽やかな気分で目が覚めた。昨日の祝杯が程よく効いたのだろうか。天気は最高。見上げれば樹間に青空が見えた。用意をしているうちに奈良県の芦田さんは,先行していった。岩手の三人組に御礼とあいさつをして,橋を渡った。ルートは,忠実に針葉樹林の尾根上を登って行く。所々ぬかるんでいて,滑りやすい。森林限界近くなって,右手が少し開けてくる。斜度がきつくなって,エゾマツとクマザサが多くなり,行く手に岩場が見えた。小天狗の岩場である。これを過ぎると,テン場の空き地がある天狗のコルである。今年は雪が多く,雪渓が残っているが,綺麗な雪渓ではない。

  ルートは,ダケカンバなどの樹林の中を大まかに登っていく。やがてハイマツと岩礫の斜面となり,視界が開けてトムラウシから大雪の山々が見えてきた。石狩岳や音更山も見える。天気に恵まれたことに感謝の気持ちで一杯だ。期待しているニペソツの尖鋒に会えるのが楽しみだ。

  前天狗の西斜面をトラバース気味に登っていく。その頂上近くになって,待望のニペソツの尖鋒部分が見えた。前天狗から斜面を下り,大きな岩が点在している沢を過ぎて,天狗岳への登りとなった。岩が散在している天狗平に着いて,ついにニペソツはその全容を見せてくれた。感動の瞬間であり,いつまでも見飽きない憧憬だ。ここで初めて腰を下ろして休んだ。ニペソツをバックにして写真を撮った。

  憧れの,そして懐かしいその尖峰に立つべく先を急ぐ。最低鞍部を目指して一気に高度を下げ,細い稜線を辿った。鞍部からは急登となった。灌木帯の中を登り,左側 (東側)が切れた崖となったが,ここから斜度は落ちてトラバース気味の登りとなった。砂礫帯を過ぎるとやがて西側の明瞭な稜線に出た。稜線を忠実に辿って登ると,僅かで頂上に着いた。

4年ぶりの懐かしい頂上であった。改めて周囲の山々を眺め,その絶景に感服し,満足感で胸が一杯になった。ビールを開けて飲む。旨い。またまた充実感に満たされた。近くのウペペサンケから遠く東大雪の山々まで,そして明日登る予定のオプタテシケがその特徴ある山容を眺めながら,至福の時を過ごした。(しかし,この頂上で惜しかったのは,携帯が通じなかったことと,頂上に咲いていたアズマギクを撮るのを忘れてしまったことである。)

    下山の時間となった。充分に満たされ高揚した気分でゆっくりと下る。灌木帯で単独の高年者に会う。そのすぐ下で,昨夜の奈良県人芦田氏を会い,健闘を祝して別れた。その全容が眺められる天狗平までに,3人の登山者に会い,天狗平でニペソツの雄姿を堪能していると,昨夜お世話になった同年の岩手県人が着いた。仲間の二人は少し遅れていた。昨日のお礼を改めて言って前天狗への下りについた。途中で会った遅れた二人の仲間にも改めて昨夜の御礼を言って別れた。下りでたくさんの人と挨拶を交わしたが,一様にその時間の早さに驚いていた。

     杉沢出合登山口に着いてみると,駐車されている車は15台程となっていた。改めて,ニペソツは北海道で人気のある名峰なのだと再認識した。

      三百名山最後の山オプタテシケ山を目指して転進する。途中の三国峠で西クマネシリを確認した。旭川を抜けて,白金温泉を目指した。天気は日差しが暑い。白金温泉のホテルの湯船に満足感一杯の体を沈めた。

    良い気分で今夜の宿地を目指す。白金温泉から野営場を過ぎ,右手にある「美瑛富士登山」の標識のある林道に入った。ただ,施錠されたゲートがあるが,鍵のナンバーを事前に営林署から聞いていたので,難無く通過出来た。3kmほど入ると登山口があり,その先100m程で舗装された駐車場に着いた。既に香川ナンバーの高年者夫婦がいた。挨拶しながら情報交換した。(コースの無い,そして雪の時しか登れない三百名山を除いて,明日登るオプタテシケとカムエク,神威岳,ペテガリ岳を登れば終わるという。そのバイタリティーに感服した。)

      テントを張って,晩飯を準備をしながらビールを開けて,改めて本日の成果に満足し,そして明日の北海道三百名山最後の峰に思いを馳せた。

       《白金温泉》  アルカリ性単純温泉 800円


  ○7/14(木) 起床:3:30  天気:晴時々曇  就寝:20:00
テン場4:00-------------- 5:03天然庭園 -------------- 5:40小屋まで1km表示--------------  6:00美瑛避難小屋6:05--------------  6:50ベベツ岳 --------------7:35オプタテシケ山8:25--------------  9:08ベベツ岳 -------------- 9:40分岐--------------  10:06美瑛分岐--------------10:40美瑛岳11:05-------------- 11:35美瑛分岐11:40--------------11:50美瑛富士12:02 -------------- 12:12美瑛分岐--------------  12:30美瑛避難小屋12:40 --------------13:25天然庭園 --------------14:25登山口駐車場14:45--------------15:00吹上温泉15:30 --------------15:45十勝岳温泉------------上富良野町--------------  16:30車道駐車場(テン場)

 少し明るくなってから起き出した。この間車の開け閉めの音がしたので,てっきり香川の老夫婦は先行したものと思った。バナナ2本を頬張ってから出発した。登山口で入山届に記入して未舗装の林道を辿る。20分程で「山道入口」に着いた。ここからが本格的な登山道となる。

それはロープのある急な取り付きから始まった。ササの道や松林の道,苔むした道,ぬかっている道など,良く踏まれた道であった。やがて周囲にハイマツが出てきて  残雪なども出てくる頃になると,大きな岩の上を歩くようになり,「天然庭園」の道標を認めた。ここからは行く手右側に大きな山が見えた。(下山時に確認すると美瑛富士だと思う。)天気は上々である。ここまでに香川の老夫婦に会わないことに不思議を思った。

  ここからも岩のゴロゴロした道やササの道を辿ると,大きな雪渓に出た。ここからのロケーションを下山時に確認すると,目標のオプタテや奥にはトムラウシが見えていた。ササの道も登りも急になり,道標の「美瑛富士避難小屋1km」を見てから,雪渓の上を何度かトラバースした。右手には常に美瑛富士が見えた。小さな沢を3カ所程渡ると,雪の詰まった大きな沢に出た。水無川の源頭部である。ここを乗り越して少し行くと傾斜も緩んできて,やがて行く手に美瑛避難小屋が見えた。

  小屋の中には,片付けをしている青年が一人。聞けば大雪・旭から縦走をしてきたという。(この青年には,明日の富良野岳で再会することになる。)このほか小屋の中には,先住者の荷物があった。挨拶をして別れた。

小屋からは「分岐」のある縦走路に向かって進んだ。分岐からは岩礫帯を石垣山を目指して登った。この辺から天気は崩れ気味で,風も出てきてガスの流れが早い。ただ,十勝岳方面はそれ程ガスは出ていない。それを慰めるように,高山植物の乱舞が始まった。それはオプタテまでの道沿いに続いていた。チングルマ,エゾヒザクラ,ヨツバシオガマ,キンロバイ,イワヒゲなど。石垣山のピーク近くを抜けて,ベベツ岳とのコルへと下った。コルは広くて平坦であったが,所々に石が積まれていた。ベベツ岳直下には,コマクサの株が散在し,踏まれないように小さな岩で大事に囲まれていた。ベベツ岳の小さな道標が立っている山頂からは,オプタテの中腹以上はガスの中だった。高山植物に感嘆しながら歩を進めた。

ようやくして,念願のオプタテシケの頂上に着いた。そこには三角点と道標が建っていた。小屋からピストンで登ってきた若いカップル(札幌)がおり,快く写真を撮ってくれた。風が冷たい。それでもビールは旨かった。

15〜6分すると嬉しいことにガスが取れてきた。山の同定を一緒にしながら情報交換をした。(今まで会った登山者は,全て道外の登山者だったという。いかにこの時期本土からの登山者の多いことか。)懐かしい芦別や夕張の山々も見えた。しかし中でも,特徴あるトムラウシの雄姿が一等だった。(再度あのピークに立ってみたいと思った。)振り返れば,美瑛岳・美瑛富士の大きな山塊があった。

  頂上と札幌の人に別れを告げて,美瑛岳と美瑛富士に向かうことにした。小屋までの間,高山植物を愛でながらの下降であった。時々振り返れば,オプタテの鋭鋒がガスの中に大きな存在を示していた。

  分岐からは小屋に行かずに,美瑛を目指す。大きな雪渓をトラバースして砂礫の道を行くと美瑛と富士の分岐に着いた。ここは美瑛を先行して登ることにした。岩礫,砂礫の混じった道を一気にひたすら登った。風の強い頂上に立った。頂上にはたくさんの高年登山者がいた。写真を撮ってもらった。頂上からは荒々しい茶褐色の爆裂火口が口を開けていた。十勝岳は高く噴煙を上げていた。

次なる美瑛富士を目指して分岐まで下り,そこから一気の勢いで登って富士の頂上に着いた。既にそこには先行者夫婦がいた。良く見ると,それが香川の老夫婦だった。

    てっきり先行したと思っていたが,本日は小屋泊まりの予定で,明日オプタテを登るという。途中で抜いた人も上がってきて,一緒に山の同定をしながら情報交換をした。

      別れを告げて下山に掛かった。小屋に寄ると,オプタテのカップルがいた。香川の老夫婦の情報を入れて,礼を言ってから本格的な下山となった。

白金温泉を経由して,吹上温泉に寄り,疲れを癒した。ここは温泉も良いが,清潔そうな芝生のテン場もあった。

明日富良野岳を登る予定もあり,前回92年以来の十勝温泉を目指した。3度目の十勝岳温泉に着く。薄いガスが掛かっているが明日の山を確かめから,食料調達のため上富良野の町に降り,そして,テン場を十勝岳温泉への道路沿いの駐車場に決めた。

      《吹上温泉白銀荘》  酸性ナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩泉 600円


  ○7/15(金)〜16() 起床:4:10  天気:晴   
テン場4:20---------4:30十勝岳温泉4:35-------- 4:55分岐 -------- 5:55主稜線分岐 6:00-------- 6:20富良野岳7:00 ------- 7:45三峰山--------8:10上富良野岳  8:30-------8:57分岐 --------  9:25十勝岳温泉10:00 --------上富良野町--------富良野市-------- 占冠村 --------  日高町-------平取町 --------門別町--------苫小牧市フェリーターミナル18:45 ------- 13:30大洗--------  14:30那珂市自宅

最後の山,富良野岳を目指して十勝岳温泉へ。たくさんの人達が出発し,またその準備をしていた。富良野岳の重量感ある山容が見えた。天気は上々,良い気分である。13年ぶりの道を辿り,安政火口への分岐を分けて富良野岳に向かった。

D尾根(何故D尾根の名前が付いたのか不明?)呼ばれる尾根を切るまでは緩やかな登りが続く。D尾根を越えて沢に下ると,雪が詰まっていた。トレースはしっかりと付いており,迷うことなし。上ホロへの分岐辺りは,残雪がビッシリと残っていた。

分岐からは右手の沢沿いを登り,主稜線を目指してトラバース気味に登って行く。
登るにつれて,主稜線から富良野岳への,良く整備された階段状のルートが見えた。

良く整備された階段状の急な道を登ッたところが,主稜線分岐だった。ここで小休止して,少し腹に詰めた。

ここからはきれいに整備された階段状の道を辿った。嬉しいことに高山植物の乱舞が始まった。チングルマ,エゾノツガザクラ,ヨツバシオガマ,ウコンウツギ,ミヤマリンドウなどが咲いていた。これは頂上まで続いていた。さすが,花の百名山だと感心した。頂上までは,良く整備された道だった。

誰もいない頂上に着いて早速ビールを開けた。周囲の山々の同定を一人で楽しんでいると,一人の青年が登ってきて,挨拶をした。お互いに良い天気に登れたことに感謝しながらその青年を良く見ると,見覚えがある。そう,昨日の美瑛避難小屋の青年だった。奇遇に驚き,そしてお互いの成功(特に青年の単独主脈縦走)に,改めて祝した。青年には,ビールとパンをご馳走した。そして,上富良野の町に降りる予定を聞いて,車に乗せることを約して,青年が先に下山していった。

  こちらもあまり彼を十勝岳温泉に待たせるのは悪いと思い,上富良野岳を目指して下山をした。三峰山の登りに掛かった。ハイマツ帯の中の緩い登りや岩の上を歩いて たりして,3つのピークを越えた。途中で,高年 登山者に会い,上ホロ分岐までの下りは良く整備 されている上高山植物が素晴らしいとの情報を得 た。そして,3つ目のピークを越えると僅かで上 富良野岳の頂上に着いた。誰もいない,独り占め の頂上だった。大きな看板と共に写真を撮った。

    満ち足りた気分で,下山に掛かった。確かにこ こも高山植物の宝庫だった。そして,登山道は素  晴らしく整備され,丁寧に作られていた。15年前に,このルートから十勝岳まで一人で登ったことを思い出した。急な下りが続き,途中で雪渓を歩き,そして,今朝通った分岐に出た。ここからD尾根を越えて,十勝岳温泉まで,登山者と挨拶を交わしながら下っていった。

十勝岳温泉に着いてみると,愛車に青年の書き置きがあった。丁度良いバスがあったので下りますと言う丁重な断りの書き置きだった。再々会が出来ないのが,何故か寂しく感じた。

十勝岳温泉に入りながら,今回の山旅が無事終えたことに満足し,そして,来年は大雪から富良野岳までの縦走を是非やってみたいと強く思った。

                                  (記:檜山)

〔今回の山旅で出会った主な高山植物〕

           シラネアオイ                                       シナノキンバイ

      ツバメオモト                                 マイヅルソウ

 

       サンカヨウ                              チングルマとエゾノツガザクラ
       ミヤマオダマキ                          エゾノツガザクラ

                   ハクサンイチゲ                            ウコンウツギ

      コマクサ                                      キバナシャクナゲ