06年北海道の山旅(百名山4山と花の百名山の登山)

1.山域・山名   大雪山旭岳(2290m)・トムラウシ山(2141m)・十勝岳(2077m)・幌尻岳(2052m)・アポイ岳(810m)
2.目 的    北海道の百名山と花の百名山の山へ。
3.日 時    平成18年7月14日(金)〜23日(日)
4.メンバー   檜山隆・宮本昴・関谷銃造・北條友由・菊池一弘
5.記 録
 今回の山旅は,「大雪山旭岳からトムラウシ」までの主脈縦走と日高の盟主「幌尻岳」 登山をメインとした計画である。このうち主脈縦走終了時の転進が日程上の懸念であったが、宮本、関谷先輩の支援により次なる山への転進がスムーズに出来たことは有り難いことだった。トムラウシでは雷との遭遇など前半は天気に恵まれなかったが,日高の盟主の幌尻岳では好天に恵まれ、改めてその重量感ある山容に接することが出来た。
 最終日には、花の百名山で有名なアポイ岳にも登ることが出来たのは幸いであった。


○7/14(金)〜15日(土)
 水戸・那珂市19:00---(常磐道・磐越道)---新潟港23:30-----(東日本海フェリー)----17:20東苫小牧港17:30--- (道央道)---旭川鷹栖IC----22:00旭岳温泉(テント)
 苫小牧から大雪山への登山口である旭岳温泉目指して車を飛ばす。旭川鷹栖ICで降りると、大型スーパーイオンがあった。今晩と明日からの食料を買い出して旭岳温泉に向かった。旭岳温泉の駐車場にテントを張った。


○7/16(日)  起床;4:40   天気:晴れ   就寝;18:30
 旭岳ロープウェー7:00----7:20姿見ノ池 ----8:05旭岳8:30----9:05間宮岳----10:15北海岳(分岐)----11:50白雲分岐12:00----12:16白雲岳----12:40白雲分岐-----13:15白雲岳避難小屋(テン場)

 起きてみると天気は上々である。(朝食の用意などをしているときに全員が小さなアブに刺されたが、北條、檜山は最終日までその痒みに悩やまされることになった。)

  ロープウェーに乗って、一気に標高1600mの姿見の池へ。もう既にたくさんの登山者が先行していた。姿見の池には旭岳が映り、近くには白煙が上がっていた。良く踏まれた赤土の道を登って行く。北茨城から来たという夫婦と話をしながら登る。高度を上げるにつれて前方に見える金庫岩が大きくなる。 岩場の道を少し右に回り込むと金庫岩の上に出た。ここから頂上は、一投足だった。

 広い頂上にはたくさんの登山者がおり、三角点を踏んで今山行の最初の山頂に満足した。5人で記念写真を撮り大休止とした。三度目の正直で、眺望拡がる山頂に立つことが出来た。

 間宮岳を目指して、雪渓を急降下する。下り着いた所がテン場となっていた。間宮岳への登りからチングルマ、イワウメ、エゾコザクラなどの高山植物が咲いていた。

 間宮岳の分岐で、再会を約して両先輩と別れることになる。ここから先輩達は、中岳温泉を経由して姿見池に戻るのだ。縦走班の我々は白雲岳を目指して、元気に出かけよう。

  ルート沿いには目にも楽 しく、たくさんの高山植物 が乱舞していた。高山植物のガイド本と引き比べながら余裕を持って歩を進めた。天気は上々であ る。北海岳分岐を過ぎ、白雲岳を目指す。所々に雪渓があり、渡る風が心地良い。白雲岳からの大きな雪渓を渡ると、わずかで白雲分岐である。ここは小泉岳を越えて銀泉台へのルートともなっており、たくさんの登山者が行き交っていた。

 荷物を置いて白雲岳へ。40分の行程を16分で着いた。ここから旭岳、間宮岳方面を眺めると感嘆の声が挙がった。雪渓の白とハイマツの緑が縞模様を織りなす様は素晴らしい景観だ。さすがは北の大地だ。スケールが凄い。

 分岐に戻りテン場へ。僅かで避難小屋の建つテン場であった。若い小屋番が一人おり、使用上の注意を丁寧に教えてくれた。(雪渓からの水ではあるが煮沸で使用。テント代は一人300円程度。キタキツネが1匹おり、荷物はすべてテント内へ。 石の使用は禁止で代わりにペグを貸与)

晩飯を用意しながら、ビールを開けた。至福の時間が続く。一段落したところでテントに入った途端、雨が落ちてきた。心地良い疲れで、早めに横になった。

  この日先輩達は、然別湖を目指して車を走らせた。
 
 


○7/17(月)  起床;3:00 天気:晴のち曇りのち雷雨   就寝:18:00
 白雲岳テン場5:00----7:00忠別沼 ----7:50忠別岳----8:50忠別小屋分岐----- 9:45五色岳---- 10:55化雲岳11:10-----11:40ヒサゴ沼分岐(待機12:10〜45)----13:50トムラウシ北沼----4:20トムラウシ14:30---14:50南沼テン場

 予定の時間に出発。天気は上々で気分は清々しい。忠別沼までのルートは、ほぼ平らで稜線漫歩のコースである。特に高根ヶ原の台地は高山植物の宝庫で、今回の縦走の中で一番の盛りであった。コマクサやエゾゴザクラなとの群落があちこちに散在して、気分を和ませてくれた。この後もたくさんの高山植物に出会いながらの楽しい縦走路だった。

 途中で、一塊になって立っている先行パーティーに追いつくと、そこにはヒグマの足跡がクッキリと残っていた。(写真を撮らなかったのは失敗した。)やはり付近はヒグマの領域なのだ。

 忠別沼は、テントサイトはなく張れる所ではなかった。(緊急的には可能)この頃から雲が多くなってきた。ルートはハイマツの茂る中に あり、朝露でビッショリ。標柱のある忠別岳に着いて大休止する。単独行者と一緒になった。(彼とは化雲岳手前まで前後して歩いたが、彼はヒサゴ沼 までの予定であった。)

  忠別岳からは、ハイマツの中を上下動をしながら行く。 忠別避難小屋を左に見送って、少しずつ高度を上げて行く。左手には化雲岳が大きい。砂礫帯やハイ マツ帯の道を抜けると五色岳の頂上だった。縦走の登山者が結構休んでいた。ここは休まずに先を急ぎ、化雲岳手前の木道まで歩いた。

 化雲岳への分岐に出て、その木道ルートを辿った。緩やかな登りの果てに、頂上の岩場を突出した化雲岳に着いた。岩場を登ってそれぞれガッツポーズ。天気は黒い嫌らしい雲が出てきた。トムラウシはその頭を厚い黒い雲に隠していた。

 僅かな下りでヒサゴ沼分岐。ここから高度を上下しながら丘状に登り、一端涸れ沢まで高度を下げた。ルートの途中から見えたヒサゴ沼は豊富な残雪が埋めていた。この頃からあまり視界は効かない。

登り返したところが大沼を始め湖沼群のあるところだ。大小の岩と緑で構成された日本庭 園まで来たときに 大粒の雨が落ちてきた。急ぎ雨具を着た途端の12時 丁度にもの凄い雷鳴が響いた。雷は獲物を見つけているかのように執拗に喉(雷鳴)を鳴らしていた。

予定を変更 してヒサゴ沼まで戻ることも考えたが、大雨と雷に追わ れるように先を急いだ。重畳たる岩場の中に4人ほど入れる岩屋を見つけてホットし た。安心して雨宿りをした。(この雷(イカズチ)の原因は化雲岳での北條氏の行動にあると笑いの中に非難が出された。)

 この雷雨の中に先行者が3人いた。中には雨具も着ていない者もいた。後で(十勝岳で会った。)知ったが、彼らはクワンナイ川を遡行して来たという。その他にやはりノー雨具の単独行者が一人。(この単独行者には、この後会うことがなかった。)

 ようやく雷鳴も遠くに去りつつあるようだ。トムラウシを目指して急坂を登り始めた。平坦になった所で先ほどの先行者3人が休んでい た。北沼から山頂を回り込んで直接南沼のテン場にも行けるが、我々は山頂を踏むことにした。登りの途中で大きな雷鳴があり、緊張する。3人組は直接南沼に向かっていた。

 雨の中の苦しい登りの末に、その山頂に立つことが出来た。自分にとっては16年ぶりの山頂だ。みんな良い顔をしている。残念ながら 眺望は効かないが、この悪天の中立てたことに満足した。そして、明日また登ろうと話して下山に掛かった。途中で登山者が一人。聞くと、トムラ ウシ温泉からの登山者100名ほどが先ほどの雷で登山を中止して下山したとのこと。本日の登山者は彼一人だった。頂上から南沼のテン場は直ぐだっ た。

 テン場には既に1張りと3人組がテントを設営中だった。雨はあがり、サイトを決めて設営に掛かった。テント内に入って一安心し、本日の行動に満足した。笑いの中でビールを乾杯し、濡れ物を乾かしながらの楽しい夕餉の時間が始まった。この晩は北條氏持参のバーボンもご馳走になり、満足感に浸って寝入った。

 先輩達は、この日然別湖近くにある天望山に登ったが、視界はあまりなかった。
 


○7/18(火)  起床:3:30  天気:晴のち曇り一時雷雨 
 南沼テン場5:30-----5:50トムラウシ6:05----9:35カムイ天上---10:25トムラウシ短縮登山口11:10---11:30トムラウシ温泉----12:30狩勝峠----上富良野町(買出し)---- 17:00白金温泉国設キャンプ場(テント)

 満ち足りた気分で起きた。最初の行動はトムラウシへの再登頂である。荷物をトムラウシ温泉へのルート脇に置いて空身で登る。振り返ると、昨年登った端正なオプタテシケが雲に頭を隠して見え、それに続く十勝連峰の山々が山半分だけ見せていた。

 左端のピラミダルな山は下カミホロカメットクだろうか。
  20分ほどで再度その頂上を踏んだ。眺望はまずまずである。石狩岳や大好きなニペソツの山々も見えた。歩いてきた縦走路は霞んであまり見えないのは残念。再登頂に満足してトムラウシ温泉を目指した。

 下山して間もなくで雪渓の水が蕩々と流れて、岩と緑がうまく散在し調和しているトムラウシ公園に着いた。ここは、上から見た方が素晴らしかった。岩の累々とした道を辿り、振り返るとドッシ リと重量感のあるトムラウシの姿があった。ここでお別れであり、最後の雄姿をカメラに納めた。下に沢が見え、登山者が登ってくる。何組かの パーティーに会い、挨拶を交わしながら雪の詰まったコマドリ沢降りた。

 下りきったところから難行が始まった。ルートは斜面にシグを切りながら尾根に向かって登って行くが、泥んこ状なのだ。行きも帰りも地獄のようなものだ。この泥んこ地獄から解放されたのは、カムイ天上を過ぎてからだった。ルートは、本来はコマドリ沢から下流の沢に入るのだが、沢ルートが雨の時には危険ということで、新しく斜面に付けられたのだ。そのためまだ馴染んでいないのだろう。

  長い斜面をひたすら登り、尾根に着いても笹を切り開いた道で滑りながら行く。やっとカムイ天上を過ぎて本来の道と合流したが、先輩達の待つ短縮登山口までは一苦労だった。

 ようやく短縮登山口に着いて、二人に再会した。二人は昨日ここにテントを張って待っていてくれたのだ。早速テントや濡れ物を乾かす。 ここにはトイレもあり、車が10数台駐車されていた。また、空模様が怪しくなり、雷も聞こえたところで、温泉に向けて出発した。

 温泉までは僅か10分程度だ。16年ぶりの温泉「東大雪荘」は凄い変貌ぶりだった。木造モルタル平屋が鉄筋三階建てとなっていた。百名山ブームでのトムラウシ山の盛況ぶりが想像できた。着いた途端に雷鳴の大粒の雨が落ちてきた。

 広い露天と内湯に疲れた体を沈めて、満足した。ここで昼食を摂りながら、明日からの行動を打ち合わせした。関谷予報官の予想を信じて、明日は十勝岳登山に変更し、幌尻岳はその後にした。(さすが、関谷予報官の予報はスバリ的中だった。)

 狩勝峠を越えて、一路上富良野町を目指す。いつもの上富良野町のスーパーで食糧 を確保し、紆余曲折の結果、白金温泉にある国設キャンプ場にテントを張った。結果的には良いサイトだった。外で料理をしながら、全員での賑やかな夕餉が始まった。
 


○7/19(水) 起床:3:50  天気:曇り一時雨 
  キャンプ場5:10----5:20望岳台5;35----8:35十勝岳9:00----11:10望岳台----吹上露天温泉---- 上富良野町--- 占冠町 ----平取町---16:20幌尻林道ゲート---16:40幌尻林道テン場

 十勝岳登山に向かう。望岳台までは僅かな距離だった。着いてみると、十勝岳方面からモクモクと白煙が上がっているのが見える。しかし、十勝岳本峰はガスの中だが、富良野岳はその姿が見えた。

 思い思いのペースで登る。十勝岳登山には花はない。植物はオンタデなどがあり、避難小屋までは単調な道である。小屋からは少しづつ高度を上げる。荒涼とした火山礫のきつい斜面を登ると、広い尾根に出た。ガスが掛かって見えないが、ここ から目指す十勝岳は正面に盛り上がっているはずだ。

時折ガスが薄くなり、長い大きな雪渓が頂上から延びていた。ここから尾根を忠実に辿る。やがて尾根は狭くなり、火山岩がゴロゴロした急斜面の登りとなった。少しの登りを頑張れば大きな火山岩の上が頂上だった。たくさんの登山者が居た。全員があまり大差なく登ったが、先輩達も予定時間を遙かに超えるタイムで登り着いた。

 頂上からはガスが掛かっており、周囲の山々を望むことは出来なかったが、5人全員で登ったことに満足して、乾杯のビールを開けた。三度目の頂上もまた、視界は効かなかったが、これまでで一番の天気である。

 下山に掛かる。登ってきた道を辿る。下って直ぐにガスがはれて山頂とそれに続く岩稜が見えた。美瑛方面も少し切れてきた。広い尾根か ら急な斜面の下りに掛かったとき、若い一団が走るように登ってきた。聞けば、距離スキー部の高校生達であった。みるみるその姿は小さくなってし まった。羨ましい若さとそのスピードだ。

 途中でガスは深くなり、また、雨も落ちてきた。避難小屋には、普通の高校生の一団が居た。元気なあいさつをかけられた。しかし、中に は遅れて登る者もあり、頑張れと声を掛けたくなった。小屋を過ぎて少し下ったときに、シャワーのような大粒の雨が落ちてきた。遅れている生徒が何故か気になった。

 下る途中で追い抜いた3人組に見覚えがあり、声を掛けたら、やっぱりトムラウシの三人組であった。富山県の人達で、美瑛から直接下ってきたという。話をしながら一緒に下った。望岳台に着いて、別れた。

 望岳台から予て予定の吹上露天温泉に行く。5年前も入ったところだ。無料の温泉が散在しているのも北の大地らしい。石鹸が使えないのは致し方ない。
 上富良野町に戻り、本日と明日から2日間の食料を買い出ししてから幌尻岳登山口を目指す。占冠でそばを食べて英気を養う。

 幌尻岳登山口は、平取町振内の国道237号線から入る。今年も通常のゲートではなく、その2.5km手前が仮ゲートとなっているが、そこまでが30kmを超える大部分がダートな道である。(このため、先輩達は転進することなく、テン場で2日間待機することになった。)

 仮ゲートを確認(テン場には不適当)し、仮ゲートから5分ほど戻った高圧塔への巡視路をテン場とした。良好なテン場であった。本日も旨い料理とビール、酒に舌鼓をうちながらの大宴会が始まった。

 

○7/20(木)  起床:3:00  天気:曇   就寝:18:00
 林道仮ゲート4:50----6:40取水ダム7:00---9:05幌尻山荘9:30---11:05命ノ水---13:20 幌尻岳14:00---5:00七つ沼カール(テン場)

 仮ゲートに戻り、出発準備をする。取水ダムまで同行する先輩達と林道を歩く。本来のゲートまで30分ほどで着き、更に取水ダムを目指す。予定時間よりは早く着くことが出来た。水量がないので一安心した。

 大休止の後、ここで先輩達と別れて幌尻山荘目指して、額平川右岸の登山道を辿った。本来なら40分程度辿る予定であったが、右岸の登 山道は崩壊しているのか、渡渉点は17分程度のところにあった。用意をしていると、高年登山者の一団が渡渉下山してきた。みんな渡渉が終わって ホッとしているようだ。その後もまた、一団が降りてきた。中には明らかに70は超えているような登山者もおり、その元気に圧倒されそうだ。

  檜山が先導し渡渉を開始する。水量はなく膝下だ。2回の渡渉で、本来の右岸登山道に出た。右岸道を辿り、本来の渡渉点から本格的な渡渉が始まった。 渡渉点には必ず赤布や小さな岩が積まれており、それを見逃さないよ うに注意すれば良い。地図や事前情報では15回程度の渡渉とのことだが、数 えてみたら17回の渡渉 をして幌尻山荘に着いた。

15年ぶりの山荘であったが、少しも変わっていなかった。ただ、今は完全予約制でその人気故オーバーユース状態で小さなトラブルもあり、あの三人だけの2泊した山荘の静けさは、もう望むべくもない。

幌尻岳を目指して山荘横の登山道に入った。針葉樹林帯に付けられた急登のルートを辿る。明るい明瞭な尾根に出て、気持ちが和んだ。少し行くと水場 となっている「命ノ水」である。登山道からほんの少し左に行くと岩の間から冷たい水が湧き出していた。良く覚えている水場だった。

  ここからはハイマツが現れ、高度を上げて行くと 視界が一気に広がった。しかし、ガスが流れており、山頂にも掛かっていた。次々と 登山者が降りてくる。残念ながら頂上からの眺望は叶わなかったらしいが、花にはみんな満足しており、中には「アヅマギク」を賞賛する登山者 もいた。(確かに、高山植物は何種類も咲いており、お花畑は頂上近くまで 続いていたが、大雪からの縦走時に見た高山植 物群の素晴らしい記憶が強烈で、感動は薄かっ た。)

 北カールを左に見ていくつかのコブを越え、 高山植物を愛でながらカール状の緩やかな道を 辿って行く。やがて行く手に頂上らしき盛り上がりが見えた。(幌尻湖はガスで見えなかった。)

 明瞭な尾根道を辿り、念願の2度目の頂上に着いて感激ひとしおだった。北條、菊池の顔も満足感で綻んでいた。一等三角点をしっかりと踏み、握手を交わし、記念写真を撮った。前回は風雨の中だったが、ガスは流れているが眺望は少し効いた。高年
登山者が次々に登ってきた。彼らに挨拶をして後ろ髪引かれる思いで頂上を辞して、テン場の七つ沼カールを目指した。

 頂上から、戸蔦別岳方面に降りる。肩と呼ばれる所まで明瞭な尾根道を急降下する。
 肩を過ぎると、右手にテン場の七つ沼カールが見えた。上から眺めて、期待を裏切らない、緑の中に雪渓の白と青い沼が配置された素晴らしいテン場に感嘆の声を挙げた。

 熊の不在を確認して縦走路から一気にカール目指して下る。途中の雪渓が急でイヤらしい。たどり着く前に羆の遊び場の一角を借用することをもう一度声を掛けた。最上のテン場は高台にあり、そこにテントを張った。我々だけのテン場だった。

 早速冷やしたビールで乾杯し、雲上の楽園での宴を始めた。殊の外旨かった。カールの中は静かで、我々の弾んだ笑い声だけだった。夜になると、頭上には満天の星が煌めいていた。

 
 
○7/21(金)  起床:3:30  天気:晴のち曇り 
  七つ沼カール5:15--- 6:25戸蔦別岳6:40---7:10分岐(稜線)--- 8:50沢9:20--- 9:40幌尻山荘9:50---11:40取水ダム---13:20林道仮ゲート----平取温泉--- (新ひだか町・浦河町)---17:00森林公園

 静かな朝を迎えた。天気は最高だった。戸蔦別岳が大きく盛り上がっていた。稜線まで登り返す。昨日の道と違って、戸蔦別側は、傾斜は同じだが雪渓もなく、道も斜面にしっかりと付けられて登りやすかった。

途中で振り返ると、カール の沼の上に、大きな山塊が見えた。同定すると懐かしきカムエクだった。感激した。稜線に出て、戸蔦別岳への尾根道を辿る。振り返れば、どっしりとした幌尻岳があった。360度の眺望が効く頂上に着いて、ゆっくりと周囲の山々を眺め回した。感動的な眺望だった。最高の気分だった。

 幌尻山荘への下降点である、北戸蔦別岳との 分岐を目指す気持ちの良い尾根道を下って行く。小さなピーク手前に分岐があった。ここからは額平川支流の六ノ沢を目指して、一気に高度を下げて行 く。細い尾根道ではあるが、こちらも花は盛りで、大きなヨツバシオガマやミヤマオダマキ、イワギキョウが咲いていた。途中には大きな岩があるが、 ルートは巧くそれを巻いて付けられていた。しかし、急傾斜な上に道が濡れていて滑りやすく、何度か転ぶ羽目になった。沢の音が大きくなり、笹藪を過ぎるとようやく六ノ沢に出た。

 シューズを変えて山荘を目指す。直ぐ下で本  流の額平川に合流した。ここから山荘まであま  り目印はないが、適当に渡渉を繰り返しながら  下ると、山荘の後ろに出た。山荘で小休止した後、取水ダムを目指した。

 下山の渡渉は北條の先導で行く。天気は曇り空となったが、余裕を持って渡渉して行く。何組かのパーティーに会った。渡渉終了点に着い て靴を履き替えた。ここからダムまでは少しの時間だった。ダムには高年登山者グループがいたが、山荘の車が送迎しているようだった。

 林道を歩いていると、関谷先輩が迎えてくれた。本来のゲートで大休止を採った。聞けば先輩達は米はなく、ジャガイモを蒸かして腹を満たしたとのこと。申し訳ない。

 林道途中で、何組かの登山者に会い、沢情報を伝えた。仮ゲート手前で宮本先輩とも合流し、揃って仮ゲートに着いて、日高の盟主幌尻岳登山が終了した。改めて先輩二人に感謝であった。

  平取温泉をに向かった。温泉に入り二日間の疲れと満足感を湯船の中で浸った。そして、昼食にはブランドの平取牛ステーキなどを賞味した。明日の予定を「アポイ岳」登山に決定し、静内(現新ひだか町)、浦河方面に車を走らせた。

 今夜の食料を静内のスーパーで調達し、テン場である浦河の森林公園に車を登らせた。古い四阿の前にテントを張り、恒例の宴会が始 まる。今夜は関谷シェフが調達したイカを使っての刺身と煮付けがメインデュッシュである。笑いの渦の中で心地良い気分となり、夜は更けていった。

 


○7/22(土)〜23(日)  起床:3:30  天気:曇り
 森林公園5:00--- 5:30アポイ岳登山口5:50----6:40五合目小屋6:50--- 7:10馬ノ背 ----7:35アポイ岳8:10----9:40登山 ----支笏湖一周----20:15苫小牧フェリーターミナル23:45(東日本フェリー)----19:15大洗19:50各自宅へ

 朝食を摂って、アポイ岳登山口へ。花の百名山で盛況な山らしく、登山口は良く整備されており、昨日ここでテントを張れば良かったなぁ〜との声が挙がった。駐車場には車はなく、どうも我々が一番乗りらしい。用意をして出発。

 ルートには距離を示す合目の表示があり、その都度羆除けの鐘が下がっていた。鐘を突きながら高度を稼 げぐ。五合目には立派な避難小屋が建っていた。

 ここからは海が見える。そして、行く手には馬の背から続いて右に盛り上がる形の良い頂上が見えた。天気は薄曇りだが、樹林帯の登りは暑かった。関谷先輩が先行していった。

 ルートは、視界が拡がった尾根の道となった。砂礫状の岩にはミヤマジャコウソウが咲いていた。高山植物に対する保護意識が高く、随所 にロープが張ってあり、意識啓発用の看板が立っていた。

岩の露出した傾斜の強いルートを登り終えたところが7合目だった。ここからは細い稜線を トラバース気味に辿る。馬の背だ。

 先行して登る。馬の背を終えたところが8合目。ここからは150mほどの最後の登りだ。風が冷たい。岩を縫ってルートは付けられていた。9合目の表示を過ぎると、僅かな登りで頂上に着いた。

 頂上は、東側の一方だけが開いていた。三角点を踏んで、写真を撮り、みんなを待った。待つ間寒くて仕方がなかった。関谷先輩が着いて、暫 くしてからみんなの顔が揃った。この寒さ故、ビールを忘れたのは残念ではなかった。記念写真を撮って直ぐに下山した。

 下山の途中で、たくさんの登山者に出会った。やはりここはメジャーな山なのだと再認識した。

 アポイ山荘の温泉は露天もあり綺麗な温泉であった。本日の登山で今回の山旅はすべて終了となった。しかも予定以上に登れたことに満足した。

 今夜の出発まで時間はあるが、襟裳岬は今回省略して、苫小牧方面に向かった。途中の静内での海鮮丼に舌鼓を打ち、鵡川でお土産と今夜のカニを調達し支笏湖を一周して苫小牧に戻り、食料を調達してフェリーに乗り込ん だ。(乗船時間までが永かった。)
 フェリーでは、カニを頬ばりながらのビールと酒三昧だった。

 今回の山旅は、先輩の支援の下縦走が実現でき、また、日高の盟主や花の百名山まで登れたことに大いなる満足感と充実感に浸ることが出来た。そして、これまでの山歴に新たな1ページを重ねることの出来た、忘れることの出来ない楽しい山旅だった。
                               
                                  (記:檜山)


○全走行距離;       計1,780km
   会計報告
     @新潟〜苫小牧フェリー料金    44,200
     A大洗〜苫小牧フェリー料金    79,200
     B食料関係              69,872
     Cガソリン代              29,026
     D高速代(磐越道・道央道)     33,303
     E朝・昼食代             11,250
     Fテント代               3,700
     G旭岳ロープウェー            10,100
     H風呂代               5,000
     Iその他               7,835
 
        計         293,484 円
                一人あたり 58,697円
  
  縦走路で出会った主な高山植物;
チングルマとエゾノツガザクラ         キンロバイ              コマクサの株
ハクサンイチゲ        イワブクロ          エゾコザクラとシナノキンバイ
オヤマノエンドウ          ミヤマリンドウ         リュウキンカ
エゾツヅジ      チシマキンレイカ                   
イワヒゲ         チシマフウロウ            アズマギク 
ヨツバシオガマ         ミヤマオダマキ            イワギキョウ
イワウメ          イブキジャコウソウ            アオノツガザクラ