北アルプス(針ノ木岳〜蓮華岳〜爺ヶ岳

目的    夏山縦走
日時    平成14年8月22日(木)〜25日(日)
メンバー   一家 伴安〔単独〕
記録

8月22日〜23日 天候:くもり時々晴れ 就寝:18:00

新宿23:50======〔急行アルプス〕====5:08信濃大町5:20====(タクシ-)===5:50扇沢6:20-------7:25大沢小屋―――7:55雪渓取付--------8:55雪渓終---------10:30針ノ木小屋12:10-------13:15蓮華岳13:40-------14:20針ノ木小屋

 テントを背負っての北アルプス初めてのワクワク単独行である。期待と不安を胸に急行アルプスに乗り込んだ。昨年の夏もこれを利用して五竜岳に行ったときに思ったのだが,乗客の半数以上が一般客である。座席と座席の間に銀マットを敷いてごろ寝している客なんて自分くらいしかいない。半ば顰蹙をかいながらも,眠りにつくのであった。運悪く喫煙席だったので,列車の中は,ほとんどスモーク・イン・ザ・アイズの状態であった。

 トイレに行く客に,何度も足を蹴飛ばされたせいか,安眠はできなかったが,安曇野平野に降り立ったとたん,アドレナリンが分泌する。幸いなことに柏原新道を利用して鹿島槍に向かうという2組の老夫婦とタクシーを相乗りさせてもらった。大町の
タクシーは親切である。コンビニでの途中下車もいやな顔一つせず,案内してくれた。同じような登山客がいっぱいいるのであろう。

 扇沢に向かう,道中での前方に北葛岳のきれいなピークが見えた。天気は決して良くはないが,稜線上は視界がきいている。鹿島槍や爺もきれいに見える。
 扇沢のターミナルは,シーズン終盤もあってか,たいした人出ではなかった。ターミナル左手の針ノ木登山口より樹林帯へ分け入った。針ノ木岳は,北アの中では最も気になっていた山の一つである。アルペンルートの黒部側の大観望から望んだ針ノ木のピラミダルな山容は,常々,あこがれていたし,佐々佐成政の冬の針ノ木峠越えなど,歴史上の上からも針ノ木は気になっていた。それになんといっても100名山から漏れているのがいい。

 樹林から沢沿いの道に変わるといつのまにか大沢小屋を通過していた。この小屋の主は人のことを「お前」呼ばわりすると情報を得ていたが,通過する際,本当に「お前は上でテントか?」と怒鳴られたので,半ばおかしかった。なにも知らない人だったら,本当にビックリしただろう。
 針ノ木雪渓の取り付きにくると,いままでの暑さが嘘のようである。8月終盤であったので,雪は腐っているだろうと,アイゼンなど持参してこなかったが,ところがどっこい雪は以外にも硬く締まっていた。蹴り込んでも,思うようにステップがつくれず,恐る恐る登った。予想以上の急傾斜であったが,雪渓はあっけなく終わった。

上部の雪は,すっかり溶け,上から見下ろせば,雪渓は短い距離であった。
 雪渓の途中で,Tシャツの茨城県庁山岳部のロゴを見て声をかけてくれる人がいた(性懲りもなく50周年記念Tシャツを着ていたのだった)。その夫婦(?)も,茨城県から来たそうで,男性の方は,県庁脇にある開発公社に勤務しているのだという。その後,この夫婦とは,同じような行程をたどる事になる。

 予想以上に早く,針ノ木小屋についた。小屋のある鞍部は狭く,テント場もあまり条件のよいところではない。1〜2人用テントは,急斜面の崖に張ることになった。小屋はかなり混雑しているようだった。のんびりテントを張った後,空身で蓮華岳へ向かった。秋も近いのに,コマクサがかなり咲いていたのはうれしい誤算であった。

 山頂付近で,さきほどの夫婦に出会った。男性の方は,那珂町出身とのことなので,ダメ元で「ヒヤマさん」のことを知っているか?と尋ねたところ,ナムチェの写真展で100名山を達成した時の写真を見たので知っていると答えが返ってきた。また,この2人は,舞木さんの娘さんとよく一緒に山を登っているのだという。こんなところで随分,ローカルな話題が出るものだと感心してしまった。

 蓮華岳からの眺望は素晴らしかった。槍,剣・立山,明日から歩く爺までの稜線がはっきり見えた。舟窪や七倉へ続く稜線は,随分,地味な感じに見えたが,実際,歩くと,これはこれで味わい深いのだろう。

8月24日(土) 天候:くもり   起床:3:45       就寝17:30

針ノ木テント場5:50--------6:25針ノ木岳6:50―――――7:30スバリ岳7:35―――――9:30赤沢岳9:45-----------10:30鳴沢岳10:45----------11:20新越山荘11:55--------12:40岩小屋沢岳13:05-------------14:00種池山荘テント場

明け方からポツポツと雨がテントを叩いていた。幸いにもたいした雨ではなく,霧雨程度のようだ。天気は下り坂と聞いていただけに,雨中のテント撤収は,避けることができただけ良しとしよう。ガスの中を針ノ木岳山頂目指して登りだす。山頂では,展望がゼロである。また,黒部側から,湿気をたっぷり含んだ風が殴りつけ,大変歩きつらい。赤沢岳付近では,西側にかすかにコバルトブルーの黒部湖が見えた。新越山荘につくころには,天気も回復し,今日歩いてきた,稜線が良く見える。ここから見る針ノ木雪渓は,随分急斜面に見える。

 新越山荘から望む岩小屋沢岳は,きれいな三角錐をしている。かつて冬山合宿で登った思い出の山頂である。岩小屋沢岳は,通過する山ではない。わざわざ登るに値する山である。種池からみても岩小屋沢岳は,堂々たる山容であるし,柏原新道のからみても綺麗である。

 種池小屋は,柏原新道を登ってきた人,冷池から縦走してきた人たちで混んでいた。種池では,テント設営時には,ぺグが必須であり,石や枝を使用して,ロープを張ってはいけないルールがある。私の前のテントは,忠告を無視して,石を使用していたが,夕方,見回りにきた小屋のスタッフに強制撤去されていた。ペグ使用は厳守しなければいけない。

 このテント場もあまりロケーションのいいところではない。20張くらい張れるススペースに奥から順次,間隔を詰めてテントを張らされるため,混雑時には,トラブルがありそうな予感がした。
 種池小屋では,生ビールを販売していた(900円)。針ノ木から蓮華岳の展望を望みながら喉を潤した。明日の天気もよさそうだ。

8月25日〔日〕 天候:晴れ(稜線はガス)  起床:2:45

テント場4:45―――――5:15爺ヶ岳南峰5:25----------5:50種池6:00――――8:00道路出合い――――8:15扇沢 
 信濃大町13:17====================16:37新宿

 天気は良いが,山頂付近はガスがとれない。早々とテントを撤収し,種池から空身で爺ヶ岳南峰をピストン。ガスがとれそうでとれない。見切りをつけて早々と下山した。
 扇沢から大町温泉郷行きのバスに乗り,恒例の薬師の湯で汗を流した。この公衆浴場は,朝の5時からやっているそうなので,登山者にはありがたい限りである。電車の待ち時間を利用し,大町の食堂で,生ビールとトンカツ定食でささやかな下山祝いをした。大勢での合宿もいいが,単独の稜線歩きもいいものだなぁ。しみじみした山行であった。

 
メモ
 ・信濃大町から扇沢までタクシーだと6000円。5人で乗れば一人当たり1200円なので,バス1300円よりもお得である。
 ・水1リットルあたり 針ノ木小屋200円,新越小屋,種池小屋150円
 ・種池のテント場は,ペグが必須。1本10円でレンタルしてくれる。