南アルプス深南部の山登山報告書
1.期 日  平成14年8月31日(土)〜9月2日(月)

2.メンバー 檜山(単独)

3.登山報告の山
@奥茶臼山(2,474m)三百名山 南ア南部の主脈の近くにそびえる好展望の山。
A池口岳(2,392m)二百名山 南ア深南部(光岳以南の山域)にある双耳峰。
B熊伏山(1,653m)三百名山 中央構造線上にあり長野県最南端の山。
C南木曾岳(1,679m)三百名山 山姥伝説と修験者の山であり、好展望の山。

4.行動報告
今回は、以前からの懸案の山であった南アルプス深南部の山「池口岳」を中心として、 その近辺の山を登ることにした。それにしても、熊伏山を除いてこれほどまでその展望 が素晴らしい山とは想像していなかった。まさしく好展望の山であった。

8/31(土) 天気:晴れ 自宅〜青木林道入口 413km 遠山家470km
自宅0:00─── (常磐道・首都高・中央高速)─── 4:50青木林道入口5:17────── 6:45地獄谷林道分岐(第19カーブ7.3km地点) ───7:57林道終点(13.4km)8:05───  8:40稜線───── 9:05集木場跡─────9:18奥茶臼山9:26───集木場跡9:58───10:43林道終点10:48───── 11:33地獄谷林道分岐───12:45青木林道入口─────────16:30遠山家

 効率的に移動するには、夜中に首都高を抜けるのがベターである。松川ICで下車し、小渋湖岸の曲がりくねった道路を慎重に運転して、地蔵峠を目指す。峠手前にある青木林道に着いたのは、夜もそろそろ明ける時刻である。駐車している車はない。

 進入禁止の標識が下がったゲートの前に、邪魔にならないよう駐車する。ここから、専用林道を登山口まで13.5km、高差1,000mをひたすら歩くことになる。このため、ジョギングシューズで登ることにした。(これは大正解であった。)

立派な林道を歩く。1時間ほど登った地点から、特徴のある山が正面に見えた。まさしく奥茶臼山である。時々顔を出してくれた。ずっ〜と先に林道が山裾を絡んで高度を上げて行くのが見える。ヤレヤレまだまだ先かと諦め気分になる。天気は良く、日差しが暑い。大きなカーブに差しかかり、視界が開けたと思ったら、山並みが見えた。中央アルプスの山々であった。

平坦になった林道からは奥茶臼山が大きく見えた。ようやく木材搬出の土場跡を過ぎると、ほんの少しで林道終点に着いた。ここまで、予定より掛かってしまった。(インターネットでの情報者(56)の記録では2時間30分であった。)ここは、前茶臼の八合目とのこと。終点先には奥茶臼への登山道を示  す小さな標識があった。

 ここからは、針葉樹林の中の急斜面に付けられた踏み跡を辿って行く。丸太の橋を渡ると崩壊地に出た。倒木で道が不明瞭になり、踏み跡に注意して辿る。古いテープがあり、これを目印として辿った。稜線らしきところに出た。道が判然としない斜面  の中稜線をはずさないよう注意して登った。左側が開けて、素晴らしい展望である。僅かで、索道や作業小屋のあった展望台に着いた。南アルプスの山々、中央アルプス全山、そして槍・穂高も。驚嘆しながら夢中で写真を撮る。

 頂上は、ここから急な斜面を上に13分も登ると狭い稜線上にあった。周囲の立木のため展望は効かない。二等三角点があった。写真を撮って、直ぐに先ほどの展望台に戻り、ビールをあけて一人乾杯をした。この展望を独り占めしながら、周囲の山の同定を楽しんだ。

 至福の時を断ち切って、下山の途についた。迷うこともなく、林道終点に着き、緊張感がほぐれた。ここからは、林道のショートカットをしながら、2時間で林道入口に着いた。
 本日は、行動中一人も会わなかった。最近珍しいことであるが、長い林道歩きと踏み跡不明瞭さを考えると、三百名山を目指す物好き者しか登らないのかもしれない。

予定では本日中に熊伏山に転進する予定であったが、移動の時間を考慮して、明日の池口岳の後にすることにした。池口岳の遠山家に向かう途中、南信濃村の遠山温泉郷「かぐらの湯」(600円)に満足した体を浸った。

 池口岳登山口の池口集落は、池口川沿いに登って行く。かぐらの湯から30分ほどで着いた。一番奥にある民家が、遠山要さんの家で、池口岳西尾根コースを開拓した方である。(しかし、遠山さんは、昨年8月に亡くなってしまった。お墓が自宅の直ぐ脇にあった。)玄関に立つと、連絡先が張り紙してあった。早速携帯で連絡したら、遠山さん宅にテントを張ることを、快く承知してくれた。

この庭先から、池口岳の双耳峰がスッキリと立って見えるのだ。ここから水平距離にして8kmだという。池口岳を見ながら椅子に掛け、ビールをあけた。もう、アキアカネが乱舞していた。

9/1(日) 天気:晴れ 遠山家〜河原 492km
遠山家(870m)4:30───4:45林道終点・登山口(1,100m)5:10── 5:40山ノ神───6:37黒ナギ6:48────7:28ザラナギ─── 7:33ザラナギ平(テント場)─────8:35加加森山への分岐───── 8:56池口岳北峰(2,392m)9:05─── 9:25南峰(2,376m)9:40───9:55北峰10:15───── 10:25加加森分岐──── 11:05ザラナギ平───────11:50黒ナギ────── 13:10登山口──────熊伏山登山口14:35── 14:50青崩峠(1,082m)── 15:20電波塔─── 15:50分岐─── 16:05熊伏山 16:15──── 16:25分岐───17:05青崩峠─── 17:15熊伏山登山口──────遠山川河原(テント)

遠山林道を走らせて登山口の広場に着いた。既に車が2台。昨日登って、テン場からのアタックだろう。登山口には、ガイド図と道標があった。ヒノキの植林地から登  山道に入る。綺麗に手入れされた植林の中を行く。やや急な登りがあり、少しすると傾斜は緩み、コメツガの大木の根元に山ノ神 が祀ってあった。登山の無事を祈願して先を急いだ。

 カラマツの植林の中を緩やかに登って行く。平坦地となり、面切平の道標を見送る。カラマツ林の中の登山道がだんだん傾斜 が増し、ジグザグに切っての急登となった。上から1組の男女が降りてきた。挨拶をして 先を急ぐ。気持ちの良い笹原の中を登ってくと、南面が明るく開けガレ場の黒ナギに着いた。ここからの目指す池口岳とそれから続く鶏冠山が見えた。風が気持ち良い。

  ここからは、下りと登りを少し繰り返しながらだんだん高度を上げて行く。時々ルートを示す赤布を探しながら登る。やがてザラナギに着いた。急降下してザラナギ平になった。ここには、テントが一つあった。

一旦平坦な道となるが、やがてシラビソの林の急傾斜の道となった。大きな岩場があるが、ロープが掛けられていた。急な登りをひたすら登る。また、岩場が出てきた。ここを過ぎて傾斜は一層増すが、左手に大きな山塊が見えた。加加森山への分岐を見送り、急登を繰り返す。やがて樹林が切れて、先ほど大きな山塊が見えた。南ア聖岳が大きい。光岳も大きく見えた。ここから少しで、念願の池口北峰であった。

シラビソの木に頂上を示す道標が付けられていた。荷物がぽつんと一つ置かれていた。記念写真を撮って直ぐに、南峰を目指した。直下で、1組の男女に会った。テン場のパーティである。

 南峰に向かって、急降下する。草付きの中の滑りやすい道である。中年登山者が一人。頂上の荷物の持ち主であった。登ってきた時間を訪ねられて、答えたら驚いていた。(しかし、この人も遠山家であった時聞いたら凄い。三伏峠から縦走をして3日目という。凄い!)

 最低鞍部からの南アルプスの展望は抜群であった。写真を撮って先を急いだ。急な登り返しとなり、北峰から20分ほどで着いた。南峰にも道標が付けられていたが、こちらの方が視界は開けていた。ここでも写真を撮って直ぐに、北峰に戻った。

 北峰に戻り待望のビールをあけ、ようやく至福の時間を持った。何よりもまして、待望の山でのビールは旨い。189番目の二百名山に一人乾杯した。携帯で家に電話したら、少し話すことが出来た。(下りの途中で改めて家から掛かってきた。)
頂上儀式に満足し、下ることにした。少し下ったところの展望地で、ゆっくりと同定をした。光岳の二つの光石も見えた。聖岳、上河内岳が大きい。大満足である。

下ってみると、結構な登りの連続であり、アップダウンを繰り返しながら、高度を上げてきたのが良く判る。ザラナギ平では、先ほどのパーティーがいた。挨拶をして先を急いだ。ザラナギからは、三角錐の池口岳に改めて感嘆した。途中で、中央アルプスの全山が見え、また、昨日登ったあの特徴ある奥茶臼山が見えた。

黒ナギからも双耳峰の美しさに改めて感嘆し、確かに名山だと一人合点し、今日の登山に満足した。山ノ神に心から今日の登山の無事を感謝し、ようやくして登山口に着いた。(この時点で、本日、ここから熊伏山に転進するに決めた。)

車を日陰に移動して、家から持ってきたスイカを頬張った。冷たくて旨い。元気が出て、遠山家に寄りお礼の携帯を掛けた。(ここで休んでいる例の縦走者に会った。これから熊伏山に転進すると言ったら、熊伏山に登っている仲間が迎えに来るというが、熊伏山のことは良く判らないらしい。)
本日の池口岳に心から満足して、勇躍して、熊伏山に向かった。

青崩峠に向かう。この峠は熊伏山の東側にあるが、その名の通りの崩壊地帯で、中央構造線上に位置するため崩壊が絶えず、その切り立った崖は熊でさえも近寄りがたい峻険さから、熊伏山の山名の由来にもなったという。

国道152号線を行く。兵越峠への国道と分かれて右に入る。あまり管理されていない国道(?)である。営林署の小屋を過ぎると、立派な道標の登山口があった。峠までは遊歩道のように整備されていた。青崩峠には、その由来板や石仏があった。

県境の尾根上に付けられた道を登る。ここからも遊歩道が整備され、歩きやすい階段を登る。崩壊地の縁を登って行く。所々に見晴台があり、青みがかった崩壊の様が見えた。遊歩道の階段が終わると、急登が始まった。ロープやワイヤーなどがあり、下りの滑りが助かると思った。電波塔が見え、一旦視界が開けた。崩壊地の頭に着いたらしい。

ここからはブナなどの林の中を急登は続くが、やがてブナの大木が現れ、広い平坦地となった。もう直ぐかと期待するが、急登を登ると、同じような平坦地が出てくる。

 風が気持ち良い。何度目かの急登、平坦地 の後、ようやく尾根の上に出て、分岐を示す道標を見た。右に折れて先を急ぐ。何度か、上下動を繰り返しながら高度上げると、樹林の一角が切り倒されて、展望  の効く頂上に着いた。真新しい一等三角点が設置されていた。早速頂上の写真を撮った。(これが失敗。写真の眼には、日が陰って暗くなっていたのだ。)

 山頂からは、南アルプスの山々が見えた。深南部の山々も見えるが、なかなか同定が出来ない。本日登った池口岳も見えた。日も暮れてきた。長居は無用と、下山に取り掛かった。滑りやすい足元に注意して下った。途中で、草を刈っている登山者に出会い、話をした。聞くと、野鳥の観察に  来たと言う。ついでに整備しているらしい。「ご苦労様」と声を掛けて、別れた。峠には、先ほどの人の荷物があった。環境庁の自然観察員の腕章があった。

下山後、この時間では移動は無理と判断し、酒屋でキャンプの出来る場所を聞いたら、遠山川の河川敷が直ぐ近くであった。早速、かぐらの湯で、本日の満足感をより一層膨らませ、満天の星空の下、旨いビールと酒に酔いしれた。もの凄い星の数で、同定が出来ないほどであった。(この満天の星を独り占めするのは悪いと思い、何人かの岳友に携帯を入れた。もちろん家にも。)

9/2(月) 天気:晴れ 南木曾岳登山口578km 自宅1,012km
遠山川河原4:00─── 飯田市内・大平街道─── 6:50南木曾登山口7:05────7:20分岐────7:50ノドの滝───  8:00クサリ場────8:35南木曾岳(1,677m)─── 展望台9:30──── 10:20分岐─── 10:48登山口────── 松川IC(中央高速・首都高・常磐道────── 19:40自宅

今回の最後の山「南木曾岳」に向かう。飯田市内を通って、大平街道へ。ここは、昨年の安平路山からの下りに、大平部落に出てきたことがあった。クネクネとした道が続いている。注意して運転する。国道256号線に出て右に折れる。少し行くと、南木曾岳キャンプ場への道標が大きくあった。キャンプ場を過ぎて、更に行くと、登山口があった。登山口には、避難小屋も建っていた。

 ゲート前から右に行き、四阿を過ぎてまた砂礫の林道に出た。少し行って、林道と別れて登山道に入った行く。木の橋などを渡り、少し行って分岐に出た。下山道はここに出てくるらしい。

 谷筋に付けられた道を登る。金時の洞窟を 過ぎて、喉ノ滝という所に着いた。ここが最終水場となっているが、水の流れがなかった。
 ここから左の尾根に入り、原生林の中の急登となった。今日は風がなく暑い。少しで大きな岩場があり、鎖とロープが付けられていた。大まかな岩登りである。その後も急登は続き、カブト岩の道標に見ると前方にそれらしき大きな岩が突出していた。イワカガミの名札があったが、今は咲いていなかった。ようやく、斜度が緩んで少し行くと、頂上であった。

 頂上は、樹林の中で展望はない。写真を撮って、展望台を目指す。南木曾嶽山大神の大岩の直ぐ近くに見晴台の道標があった。目の前に、御嶽、乗鞍が大きく見えた。しかし、中央・南アルプスが見えない。もっと先にあるのだろうと、少し下がっていった。大展望があった。そしてその周辺は、ツガの枯れ木、花崗岩の風化した大きな白い石、クマザサの緑が絶妙に混じって、大自然の庭園が拡がっていた。大展望は、北・中央・南アルプスの山々が一網打尽に捉えることが出来た。何というこの絶景か!そして、ビールが旨い!この素晴らしい展望に乾杯!

 何時までも見飽きないが、今日中に帰る必要がある。仕方なく腰を上げた。摩利支天大神の分岐近くで、昨日登った池口岳の特徴あるピークが遠くに見えた。改めて、今回の山行が素晴らしいものだったと思った。
下山道は、急降下の下りであった。
大平峠から、南木曾岳が見えた。大きな山だった。

今回の山行は、南アルプス深南部の山を中心に4つの山を登ることが出来たが、天気に恵まれたのが最高だった。4つの山全てが、登ったご褒美に、有り余るような大展望を展開してくれる山なのだから。
そして、それぞれのテン場での満天の星も素晴らしかった。