本日は、中野文庫へお立ち寄りくださいまして、誠にありがとうございます。
さて、わが国の勲章は、七宝や真珠をふんだんに用いた、世界で最も美しい芸術品であると評判であります。当然ながら、受章者はその栄誉にふさわしい功績を残された方々です。わたくしは、そのような立派な勲章や受章者を、わが国にとどまらず、諸外国の方にも是非知っていただきたいと思い、この文庫を開きました。
栄典制度を考えるに当たっては、席次についても検討する必要があります。世界史を眺めましても、席次は様々な時代に紛争の種となっております。大使の席次に至っては戦争にまで発展し、ウィーン会議によってようやく収まったことは有名な事例です。国際化の観点からも、国際儀礼に通じることは意味のあることだと考え、席次や階級についても記述いたしました。
これらの制度は、条約や法令の形で法定される場合のほか、国際的な慣習として長年蓄積され、一般的な原則になる場合もあります。いずれにせよ、法と密接な関係を有しており、法令や判例についても独立して一節を設けました。法は、多くの人々にとって決して身近なものではありませんが、そこに規定されていることは、形式的な事項にとどまらず、人々の生活に直接大きな影響を与えるものも存在します。特に判例は、法令を解釈したり、法令に規定されていないことを補ったりすることによって、具体的な紛争解決の先例となり、これもまた人々の生活に関係しています。ですから、当文庫において、みなさまが法令や判例をご覧になって、少しでもご興味、ご理解を深めてくだされば、法を学ぶ者の一人として望外の喜びであります。
拙い内容ではありますが、どうぞごゆっくりご覧ください。内容に不備や疑問の点がございましたら、ご教示くださると幸いです。
平成10年8月15日大安吉日
中野文庫総支配人 中野 誠