中野文庫 華族令

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華族令(明治40年皇室令第2号)

第一条 凡ソ有爵者ヲ華族トス
2 有爵者ノ家族ハ華族ノ族称ヲ享ク

第二条 爵ハ公侯伯子男ノ五等トス

第三条 爵ヲ授クルハ勅旨ヲ以テシ宮内大臣之ヲ奉行ス

第四条 有爵者ハ其ノ爵ニ相当スル礼遇ヲ享ク

第五条 有爵者ノ婦ハ其ノ夫ノ爵ニ相当スル礼遇及名称ヲ享ク
2 有爵者ノ寡婦其ノ家ニ在ルトキハ特ニ従前ノ礼遇及名称ヲ享ケシメ其ノ家ノ戸主トナリタルトキ又ハ襲爵者ナクシテ其ノ家ニ在ルトキハ其ノ者ニ限リ特ニ華族ノ族称ヲ保有セシメ従前ノ礼遇及名称ヲ享ケシム

第六条 有爵者ノ家族ニシテ左ニ掲ケタル者ハ華族ノ礼遇ヲ享ク
 一 曾祖父、祖父、父
 二 爵ヲ襲クコトヲ得ヘキ法定ノ推定家督相続人及其ノ嫡長男子、嫡出ノ男子ナキトキハ其ノ庶長男子
 三 戸主タリシ者
 四 前三号ニ掲ケタル者ノ配偶者

第七条 有爵者又ハ前二条ノ礼遇ヲ享クヘキ者左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ其ノ礼遇ヲ享クルコトヲ得ス
 一 禁治産者及準禁治産者
 二 身代限ノ処分ヲ受ケ債務ノ弁済ヲ終ヘサル者及家資分散若ハ破産ノ宣告ヲ受ケ其ノ確定シタル時ヨリ復権ノ決定確定スルニ至ル迄ノ者
 三 刑事ノ訴ヲ受ケ勾留又ハ保釈中ニ在ル者
 四 禁錮以上ノ刑ノ宣告ヲ受ケタル時ヨリ其ノ裁判確定スルニ至ル迄ノ者

第八条 有爵者ハ法律命令及華族ニ関スル規程ノ範囲内ニ於テ家範ヲ定ムルコトヲ得
2 家範ハ宮内大臣ノ認許ヲ受クヘシ之ヲ廃止変更スルトキ亦同シ
3 有爵者未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ家範ヲ定メ又ハ之ヲ廃止変更スルコトヲ得ス

第九条 爵ハ男子ノ家督相続人ヲシテ之ヲ襲カシム

第十条 爵ヲ襲クコトヲ得ヘキ家督相続人又ハ其ノ法定代理人ハ相続ノ開始ヲ知リタル時ヨリ六箇月内ニ宮内大臣ニ家督相続ノ届出ヲ為スヘシ
2 前項ノ届出アリタルトキハ宮内大臣ハ勅許ヲ経テ襲爵ノ辞令書ヲ交付ス

第十一条 襲爵ハ家督相続開始ノ時ヨリ其ノ効力ヲ生ス

第十二条 左ノ場合ニ於テハ家督相続人ハ爵ヲ襲クコトヲ得ス
 一 国籍喪失ニ因リ家督相続開始シタルトキ
 二 第十条第一項ノ期間内又ハ家督相続開始ノ時ヨリ三箇年内ニ家督相続ノ届出ヲ為ササルトキ
 三 第二十二条又ハ第二十四条ニ依リ華族ノ族称ヲ享ケサルトキ又ハ之ヲ失ヒ若ハ之ヲ除カレタルトキ

第十三条 有爵者及其ノ家族ノ身分ニ関シ監督上必要ナル事項ハ宮内大臣之ヲ管掌ス

第十四条 有爵者婚姻、養子縁組、隠居、協議上ノ離婚若ハ離縁又ハ家督相続人ノ指定若ハ其ノ取消ヲ為サムトスルトキハ戸籍吏ニ其ノ届出ヲ為ス前、隠居ヲ為スニ付キ裁判所ノ許可ヲ要スル場合ハ其ノ許可ヲ請求スル前宮内大臣ノ認許ヲ受クヘシ
2 有爵者遺言ヲ以テ養子縁組ヲ為シ又ハ家督相続人ノ指定ヲ為スノ意思ヲ表示シタルトキハ養子トナル者又ハ之ニ代ハリテ承諾ヲ為スコトヲ得ヘキ者在リテハ其ノ承諾ヲ為ス前、被指定者又ハ其ノ法定代理人ニ在リテハ相続ノ承認ヲ為ス前宮内大臣ノ認許ヲ受クヘシ
3 前二項ノ規定ハ当事者ノ一方皇族ナルトキハ之ヲ適用セス

第十五条 有爵者法定ノ推定家督相続人ノ廃除若ハ其ノ取消ヲ為サムトスルトキ又ハ被廃除者廃除ノ取消ヲ為サムトスルトキハ裁判所ニ請求スル前宮内大臣ノ認許ヲ受クヘシ但シ有爵者遺言ヲ以テ家督相続人ノ廃除又ハ其ノ取消ヲ為スノ意思ヲ表示シタル場合ハ此ノ限ニ在ラス

第十六条 有爵者ノ家督相続人ニ選定セラレタル者又ハ其ノ法定代理人ハ相続ノ承認ヲ為ス前宮内大臣ノ認許ヲ受クヘシ
2 前項ノ規定ハ被選定者皇族ナルトキハ之ヲ適用セス

第十七条 有爵者ノ家族婚姻、養子縁組、分家、廃絶家再興又ハ他家相続ヲ為シ若ハ他家ノ家族トナラムトスルトキハ有爵者又ハ其ノ法定代理人ハ之ニ同意ヲ為ス前宮内大臣ノ認許ヲ受クヘシ
2 前項ノ規定ハ婚姻ノ当事者ノ一方皇族ナルトキハ之ヲ適用セス

第十八条 有爵者又ハ其ノ法定代理人其ノ家ニ入ル者ノ入籍ニ同意ヲ為サムトスルトキハ其ノ同意ヲ為ス前宮内大臣ノ認許ヲ受クヘシ

第十九条 有爵者又ハ其ノ推定家督相続人養子縁組ヲ為ス場合ニ於テハ其ノ養子、家督相続人ノ指定又ハ選定ノ場合ニ於テハ其ノ家督相続人左ノ各号ノ一ニ該当セサルトキハ宮内大臣ノ認許ヲ受クルコトヲ得ス
 一 養父又ハ被相続人ノ男系ノ六親等内ノ血族但シ他家ヨリ入リタル者ノ実方ノ親族ヲ除ク
 二 本家又ハ同家ノ家族若ハ分家ノ戸主又ハ家族
 三 華族ノ族称ヲ享クル者

第二十条 宮内大臣ノ認許ヲ受クヘキ者認許ヲ受ケスシテ第十四条乃至第十八条ノ行為ヲ為シタルトキハ情状ニ依リ華族ノ礼遇ヲ停止シ又ハ爵ヲ襲カシメサルコトアルヘシ
2 第十八条ノ規定ニ違反シタル場合ニ於テハ入籍者ハ華族ノ族称ヲ享クルコトヲ得ス

第二十一条 有爵者死刑又ハ懲役ノ宣告ヲ受ケ其ノ裁判確定シタルトキハ其ノ爵ヲ失フ
2 有爵者ノ婦前項ノ場合ニ該当スルトキハ其ノ礼遇ヲ禁止ス

第二十二条 第五条第二項ノ礼遇ヲ享クヘキ者又ハ有爵者ノ家族前条ノ場合ニ該当スルトキハ其ノ者ニ限リ華族ノ族称ヲ失フ
2 新ニ爵ヲ授ケラレタル者ノ家族ニシテ前条ノ場合ニ該当スル者アルトキハ其ノ者ニ限リ華族ノ族称ヲ享クルコトヲ得ス

第二十三条 有爵者又ハ第五条、第六条ノ礼遇ヲ享クヘキ者左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ其ノ礼遇ヲ停止ス
 一 華族ノ品位ヲ保ツコト能ハサル者
 二 宮内大臣ノ命令又ハ家範ニ違反シ情状重キ者

第二十四条 前三条ニ規定シタル場合ノ外華族ノ体面ヲ汚辱スル失行アリタル者ハ情状ニ依リ爵ヲ返上セシメ、華族ノ族称ヲ除キ又ハ其ノ礼遇ヲ停止若ハ禁止ス
2 第五条、第六条ノ礼遇ヲ享ケサル家族ニシテ前項ノ失行アリタル者ハ華族ノ族称ヲ除ク

第二十五条 有爵者其ノ礼遇ノ停止又ハ禁止中ニ在ルトキハ第五条第一項、第六条ノ礼遇ヲ享クヘキ者モ共ニ其ノ礼遇ヲ享クルコトヲ得ス

第二十六条 有爵者其ノ品位ヲ保ツコト能ハサルトキハ宮内大臣ヲ経テ爵ノ返上ヲ請願スルコトヲ得

第二十七条 第二十条第一項、第二十三条、第二十四条ノ処分ハ勅裁ヲ経テ宮内大臣之ヲ行フ礼遇ノ停止ヲ解除スルトキ亦同シ
2 前項ノ処分及解除ニ付テハ宗秩寮審議会ノ審議ヲ経タル後勅裁ヲ経ヘシ
3 礼遇ノ禁止ヲ解除スルハ特旨ニ由ル

第二十八条 削除

  附 則

1 本令ハ明治四十年六月一日ヨリ之ヲ施行ス
2 明治十七年奉勅達華族令及明治三年九月十日太政官布告宮並華族家人職員ニ関スル件ハ之ヲ廃止ス


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