 |
南満洲及東部内蒙古ニ関スル条約 |
|
南満洲及東部内蒙古ニ関スル条約 |
日本国皇帝陛下及支那共和国大統領閣下ハ南満洲及東部内蒙古ニ於ケル両国問ノ経済関係ヲ発展セシメムコトヲ欲シ右ノ目的ヲ以テ条約ヲ締結スルコトニ決シ之カ為ニ日本国皇帝陛下ハ特命全権公使従四位勲二等日置益ヲ支那共和国大統領閣下ハ中卿一等嘉禾勲章外交総長陸徴祥ヲ各其ノ全権委員ニ任命セリ因テ各全権委員ハ互ニ其ノ全権委任状ヲ示シ之カ良好妥当ナルヲ認メ以テ左ノ条項ヲ協議決定セリ
第一条 両締約国ハ旅順大連ノ租借期限並南満洲鉄道及安奉鉄道ニ関スル期限ヲ何レモ九十九箇年ニ延長スヘキコトヲ約ス
第二条 日本国臣民ハ南満洲ニ於テ各種商工業上ノ建物ヲ建設スル為又ハ農業ヲ経営スル為必要ナル土地ヲ商租スルコトヲ得
第三条 日本国臣民ハ南満洲ニ於テ自由ニ居往往来シ各種ノ商工業其ノ他ノ業務ニ従事スルコトヲ得
第四条 日木国臣民カ東部内蒙吉ニ於テ支那国国民ト合弁ニ依リ農業及附随工業ノ経営ヲ為サムトスルトキハ支那国政府之ヲ承認スヘシ
第五条 前三条ノ場合ニ於テ日本国臣民ハ例規ニ依リ下附セラレタル旅券ヲ地方官ニ提出シ登録ヲ受ケ又支那国警察法令及課税ニ服スヘシ
2 民刑訴訟ハ日本国臣民被告タル場合ニハ日本国領事官ニ於テ又支那国国民被告タル場合ニハ支那国官吏ニ於テ之ヲ審判シ互ニ員ヲ派シ臨席傍聴セシムルコトヲ得但シ土地ニ関スル日本国臣民及支那国国民間ノ民事訴訟ハ支那国ノ法律及地方慣習ニ依リ両国ヨリ員ヲ派シ共同審判スヘシ
3 将来同地方ノ司法制度完全ニ改良セラルルトキハ日本国臣民ニ関スル一切ノ民刑訴訟ハ完全ニ支那国法廷ノ審判ニ帰スヘシ第六条 支那国政府ハ成ルヘク速ニ外国人ノ居住貿易ノ為自ラ進ミテ東部内蒙古ニ於ケル適当ナル諸都市ヲ開放スヘキコトヲ約ス
第七条 支那国政府ハ従来支那国ト各外国資本家トノ間ニ締結シタル鉄道借款契約規定事項ヲ標準ト為シ速ニ吉長鉄道ニ関スル諸協約並契約ノ根本的改訂ヲ行フヘキコトヲ約ス
2 将来支那国政府ニ於テ鉄道借款事項ニ関シ外国資本家ニ対シ現在ノ各鉄道借款契約ニ比シ有利ナル条件ヲ附与シタルトキハ日本国ノ希望ニヨリ更ニ前記吉長鉄道借款契約ノ改訂ヲ行フヘシ第八条 満洲ニ関スル日支現行各条約ハ本条約ニ別ニ規定スルモノヲ除クノ外一切従前ノ通リ実行スヘシ
第九条 本条約ハ調印ノ日ヨリ効力ヲ生ス
2 本条約ハ日本国皇帝陛下及支那共和国大統領閣下ニ於テ批准セラルヘク其ノ批准書ハ成ルヘク速ニ東京ニ於テ交換スヘシ右証拠トシテ両国全権委員ハ日本文及支那文ヲ以テ作成セラレタル各二通ノ本条約ニ署名調印ス
大正四年五月二十五日即中華民国四年五月二十五日北京ニ於テ之ヲ作ル
日本帝国特命全権公使従四位動二等日置益
支那共和国中卿一等嘉禾勲章外交総長陸徴祥
- この条約は、大正4年5月25日に調印発効され、6月8日に公布された。
