中野文庫 大学の運営に関する臨時措置法

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大学の運営に関する臨時措置法(昭和44年法律第70号)

 (目的)
第一条 この法律は、大学の使命及び社会的責務並びに最近における大学問題の状況にかんがみ、大学紛争が生じている大学によるその自主的な収拾のための努力をたすけることを主眼としてその運営に関し緊急に講ずべき措置を定め、もつて大学における教育及び研究の正常な実施を図ることを目的とする。

 (定義)
第二条 この法律において「大学紛争」とは、大学(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学をいう。以下同じ。)の管理に属する施設の占拠又は封鎖、授業放棄その他の学生(これに準ずる研究生等を含む。以下同じ。)による正常でない行為により、大学における教育、研究その他の運営が阻害されている状態をいう。

 (学長等の責務)
第三条 大学の学長、教員その他の職員は、当該大学の正常な運営とその改善に意を用い、当該大学に大学紛争が生じたときは、全員が協力してすみやかにその妥当な収拾を図るように努めなければならない。
2 大学紛争が生じている大学の学長は、当該大学の最高責任者として、当該大学紛争の収拾にあたつては、指導性を発揮して全学的に職員の意思の統合を図り、その収拾に関する方針及び措置を決定し、これを推進するように努めなければならない。この場合において、当該大学の管理に属する施設、設備その他の財産が本来の目的に従つて管理され及び保全されるように適切な措置を講じなければならない。
3 大学紛争が生じている大学の学長その他の機関は、当該大学紛争に係る問題に関し、ふさわしい領域内において提起される当該大学の学生の希望、意見等を適切な方法によつてきくように努め、これらの希望、意見等で当該大学紛争の妥当な収拾及び当該大学の運営の改善に資すると認められるものについては、その講ずべき措置にこれを反映させるように配慮しなければならない。

 (大学紛争の報告)
第四条 国立大学の学長は、当該大学において大学紛争が生じたときは、直ちに文部大臣にその旨及び当該大学紛争の状況を報告しなければならない。
2 文部大臣は、前項の国立大学の学長に対し、当該大学の大学紛争の状況並びに当該大学紛争の収拾及び当該大学の運営の改善のため講じた措置及び講じようとする措置について、必要に応じ、報告を求めることができる。

 (文部大臣の勧告)
第五条 文部大臣は、大学紛争が生じている国立大学(以下「紛争大学」という。)の学長に対し、当該大学紛争の収拾及び当該大学の運営の改善のため講ずべき措置について、臨時大学問題審議会にはかり、必要な勧告をすることができる。
2 前項の勧告は、当該大学による自主的な大学紛争の収拾及び当該大学の運営の改善のための努力をたすけるようなものでなければならない。
3 第一項の勧告を受けた紛争大学の学長及び当該大学のその他の機関は、その勧告を尊重し、勧告に係る措置の実施に努めなければならない。

 (運営機関等の特例)
第六条 紛争大学において、その大学紛争の収拾及び大学の運営の改善に関する措置を迅速かつ適切に決定し及び執行するため必要があると認められるときは、学長は、評議会(これを置かない大学にあつては、教授会。次項において同じ。)にはかり、次の措置をとることができる。
 一 次に掲げる機関を設けること。
  イ 副学長その他これに準ずる学長を補佐する機関
  ロ 大学紛争の収拾及び大学の運営の改善に関する事項について審議する機関
  ハ 大学の運営に関する事項を管理し及び執行する機関
 二 学校教育法及び教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)に規定する機関で当該大学に置かれているものの職務及び権限の一部を、学長がみずから行なうものとし、若しくはこれらの機関の議を経ることなく行なうことができるものとし、又はこれらの法律に規定する機関のうち他の機関若しくは前号の機関に行なわせるものとすること。
2 紛争大学においては、学長は、評議会にはかり、当該大学の大学紛争の収拾及び運営の改善に関する諸問題について意見を聴取し又は協議するための会議を設けることができる。
3 第一項第一号イ又はハに掲げる機関の設置及びその他の機関に対する同項第二号の措置は、学長があらかじめ文部大臣に協議して行なうものとし、同項第一号に掲げる機関(同号ロに掲げる機関にあつては、同項第二号の措置がとられるものに限る。)又はその構成員の任命は、学長の申出に基づき、文部大臣が行なうものとする。
4 第一項第一号ロに掲げる機関の構成員には、当該大学の職員のほか、当該大学の職員以外の者で学識経験を有するものを加えることができるものとし、第二項の会議には(これらの者又はふさわしい領域内の問題について当該大学の学生を代表する者を参加させることができるものとする。

 (教育等の休止及び停止)
第七条 紛争大学の学長は、大学紛争を収拾するため必要があると認めるときは、大学紛争が生じている学部、教養部、大学院研究科その他の部局又は組織(以下「学部等」という。)における教育及び研究に関する機能の全部又は一部を、六月以内の期間、休止することができる。この場合において、やむを得ない事情があるときは、その期間を三月以内において延長することかできる。
2 紛争大学の学部等において大学紛争が生じた後九月以上を経過した場合又は学部等の大学紛争が収拾された後一年以内に同一の学部等において再び大学紛争が生じ、その後六月以上を経過した場合において、なおこれらの大学紛争の収拾が困難であると認められるときは、文部大臣は、当該大学の学長の意見をきいたうえ、臨時大学問題審議会の議に基づき、当該学部等における教育及び研究に関する機能を停止することができる。この場合においては、当該大学の学長に対し所要の措置をとるように指示するものとする。
3 前項の停止の措置がとられている紛争大学の学部等における大学紛争が収拾されたと認められるときは、文部大臣は、当該大学の学長の意見をきいて、当該学部等に係るその措置を解除しなければならない。

 (教育等の停止に伴う効果)
第八条 紛争大学の学部等について前条第二項の停止の措置がとられたときは、その措置が解除されるまでの間は、次に定めるところによる。
 一 当該学部等の職員(次に掲げる者を除く。)については、任命権者は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第七十九条及び第八十一条の規定にかかわらず、これを休職にするものとする。この場合において、教育公務員特例法第十条の規定は、適用しない。
  イ 当該大学の大学紛争の処理に関し特に必要な業務、日常管理業務又は特別の事情により直ちに停止することが困難な業務であつて、文部省令で定めるものに従事する者
  ロ 非常勤職員
  ハ 他の法律の規定による休職者及び停職者
 二 前号の規定による休職者には、俸給、扶養手当、調整手当、住居手当及び期末手当のそれぞれの百分の七十以内を支給する。
 三 第一号の規定による休職者には、国家公務員の寒冷地手当に関する法律(昭和二十四年法律第二百号)の規定に基づく寒冷地手当を支給する。この場合において、同法第二条の二第二項中「一般職給与法第二十三条第二項、第二項及び第五項」とあるのは、「大学の運営に関する臨時措置法(昭和四十四年法律第七十号)第八条第二号」とする。
 四 第一号の規定による休職者は、その併任官職に係る職務に従事することができる。この場合において、その者には、当該官職に係る勤務について、その実態に応じ、人事院規則で定める給与を支給することができる。
 五 第一号の規定による休職は、この条に別段の定めがある場合を除き、他の法令の規定の適用については、国家公務員法第79条の規定による休職とみなす。
 六 前各号に規定するもののほか、第一号の休職に関し必要な事項は、人事院規則で定める。
 七 当該学部等の教員の欠員の補充は、行なわない。
 八 当該学部等の学生については、前条第二項の停止の措置がとられている期間は、法令の規定による在学期間に算入しない。
 九 当該学部等の学生の前号の期間に係る授業科は、免除する。
 十 日本育英会は、当該学部等の学生に対しては、日本育英会法(昭和十九年法律第三十号)第十六条第一項第一号の学資の貸与を行なわないものとする。

 (国立学校設置法の改正等の措置)
第九条 第七条第二項の措置がとられた後三月以上の期間を経過してもなお大学紛争の収拾が著しく困難であり、当該大学又はその学部等の設置の目的を達成することができないと認められるに至つたときは、その事態に応じ、国立学校設置法(昭和二十四年法律第百五十号)を改正するための措置その他必要な措置が講ぜられなければならない。
2 文部大臣は、前項の措置を講じようとするときは、当該大学の学長の意見をきくとともに、臨時大学問題審議会の議を経なければならない。

 (学部等の間の紛争に係るあつせん)
第十条 紛争大学の学部等の間で当該大学の運営についての紛争があり、かつ、これが当該大学における大学紛争の収拾にとつて重大な支障となつていると認められるときは、当該大学の学長は、関係学部等の長の同意を得て、文部大臣に対し、当事者間の紛争の解決を図るためのあつせんを申請することができる。
2 文部大臣は、前項の申請があつたときは、臨時大学問題審議会によるあつせんに付するものとする。
3 前項のあつせんは、臨時大学問題審議会の会長がその委員又は特別委員のうちから指名するあつせん員によつて行なう。

 (紛争大学の入学者の選抜等の協議)
第十一条 紛争大学においてその新入学者に対する教育の実施又は学生の卒業が正規に行なわれるという見とおしをすることが困難であると認められるときは、当該大学の学長は、入学者の選抜又は学生の卒業に関し、文部大臣に協議しなければならない。

 (公立又は私立の大学についての準用)
第十二条 第四条から前条まで(公立大学にあつては第八条第三号を、私立大学にあつては第五条、第六条第三項、第八条第一号から第七号まで及び第九号、第九条並びに前条を除く。)の規定は、公立又は私立の大学について準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

規定 読み替えられる字句 読み替える字句
第四条第一項 国立大学の学長 公立若しくは私立の大学の設置者又は公立大学の学長
文部大臣 それぞれ文部大臣又は当該公立大学の設置者
第四条第二項 文部大臣 文部大臣又は公立大学の設置者
前項の国立大学の学長 それぞれ前項の公立若しくは私立の大学の設置者又は当該公立大学の学長
第五条第一項 文部大臣 公立大学の設置者
臨時大学問題審議会にはかり あらかじめ文部大臣と協議して
第六条第三項 文部大臣 公立大学の設置者
第七条第二項及び第三項 文部大臣 公立又は私立の大学の設置者
第七条第二項 臨時大学問題審議会の議に基づき あらかじめ文部大臣と協議して
第八条第一号 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第七十九条及び第八十一条 地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二十七条第二項、第二十八条第二項及び第二十九条の二
文部省令 地方公共団体の規則
第八条第二号 及び期末手当 、期末手当及び寒冷地手当又はこれらに相当する給与
第八条第四号及び第六号 人事院規則 人事委員会規則、地方公共団体の規則その他地方公共団体の機関の定める規程
第八条第五号 国家公務員法第七十九条 地方公務員法第二十八条第二項
第九条第一項 国立学校設置法(昭和二十四年法律第百五十号) 公立大学の設置に関する条例
第九条第二項 文部大臣 公立大学の設置者
臨時大学問題審議会の議を経 文部大臣と協議し
第十条第一項 学部等の間 学部等の間又は私立大学を設置している学校法人の役員の間
学長 学長(私立大学にあつては、その設置者)
関係学部等の長 公立大学にあつてはその設置者及び関係学部等の長の同意、私立大学にあつては、学校法人の役員の間の紛争に係る場合を除き、学長及び関係学部等の長
前条 文部大臣 公立大学の設置者

2 文部大臣は、前項の規定により読み替えられた第五条第一項、第七条第二項又は第九条第二項の協議に応じてその意思を表示するにあたつては、あらかじめ臨時大学問題審議会の議を経るものとする。

第十三条 削除

 (省令への委任)
第十四条 第七条第一項に規定する部局又は組織の区分、第八条第九号の授業料の免除に関する細目、第十条第二項のあつせんに関する手続その他この法律の執行に関し必要な事項は、文部省令で定める。

  附 則 (抄)

 (施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して十日を経過した日から施行する。
 (廃止)
5 この法律は、その施行の日から五年以内に廃止するものとする。


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