中野文庫 特別都市計画法

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特別都市計画法(昭和21年法律第19号)

第一条 この法律は、特別都市計画に関し、都市計画法の特例を定めるものである。
2 この法律で特別都市計画とは、戦争で災害を受けた市(東京都の区の存する区域を含む。第十八条を除き第二条以下これに同じ。)町村の区域により行ふ都市計画をいふ。
3 前項の市町村は、主務大臣が、これを指定する。
4 特別都市計画事業は、行政官庁は、これを執行しない。

第二条 この法律で宅地とは、政令により公共の用に供するものと定める土地以外の土地をいふ。
2 この法律で借地権とは、借地法にいふ借地権をいひ、借地とは、借地権の存する宅地をいふ。

第三条 主務大臣は、特別都市計画上必要と認めるときは、第一条第三項の市町村の区域内において又はその区域外にわたり、特別都市計画の施設として緑地地域を指定することができる。
2 第一条第三項の市町村の区域外にわたり緑地地域を指定しようとするときは、区域外関係市町村の意見を徴しなければならない。
3 第一項の規定により指定する地域内における建築物又は土地に関する工事若しくは権利に関する制限で特別都市計画上必要なものは、政令で、これを定める。

第四条 行政庁が行う特別都市計画及び特別都市計画事業に要する費用については、都市計画法第六条及び第六条の二の規定を適用する。

第五条 行政庁が、特別都市計画事業として施行する土地区劃整理については、耕地整理法(都市計画法第十二条第二項で準用する同法をいふ。以下これに同じ。)第四十三条第一項の規定にかかはらず、同項に掲げる土地(名勝地、旧蹟地及び古墳墓地を除く。)は、同項但書に定める認許又は同意を得ないでも、これを土地区劃整理施行地区に編入することができる。
2 前項の土地区劃整理については、耕地整理法第三十一条の規定にかかはらず、整理施行地の全部について工事が完了する前においても、換地処分をなすことができる。

第六条 前条第一項の土地区劃整理の施行地区に編入された土地について、所有者(その土地に地上権、賃借権又は永小作権がある場合は、これらの権利の権利者を含む。)の同意があつた場合には、政令の定めるところにより、換地を交付しないで金銭で清算することができる。
2 前項の規定により換地を交付しないで金銭で清算する場合において、同項に掲げる権利者があるときは、その権利についても金銭で清算する。

第七条 第五条第一項の土地区劃整理について、宅地地積の規模を適正ならしめるために必要があるときは、土地区劃整理委員会の意見を聞いて、過小宅地に対し、地積を増して換地を交付し、又は換地を交付しないで金銭で清算することができる。
2 前項の規定により、過小宅地に対し、地積を増して換地を交付するために必要があるときは、大なる地積の宅地に対し地積を減じて換地を交付することができる。
3 前二項の規定により、地積を増し又は減じて換地を交付する場合に、その換地について存する地上権、賃借権又は永小作権に付し、又、第一項の規定により換地を交付しないで金銭で清算する場合に、従前の土地について存するこれらの権利に対しては、各々これらの権利の全部又は一部について、金銭で清算することができる。

第八条 第五条第一項の土地区劃整理について、借地地積の規模を適正ならしめるために必要があるときは、土地区劃整理委員会の意見を聞いて、過小借地の借地権に対し、その地積を増して権利の目的たる土地若しくはその部分を指定し、又は従前の権利を消滅せしめて金銭で清算することができる。
2 前項の規定により、過小借地の借地権に対し、その地積を増して権利の目的たる土地又はその部分を指定するために必要があるときは、所有者を同じくする土地について存する他の地上権、賃借権、永小作権又は地役権について、その地積を減じてこれらの権利の目的たる土地若しくはその部分を指定し、又はこれらの権利を消滅せしめて金銭で清算することができる。
3 前二項の規定により、地積を増し又は減じて権利の目的たる土地又はその部分を指定する場合に、その増減のあつた部分については、金銭で清算する。

第九条 第七条の過小宅地及び大なる地積の宅地並びに前条の過小借地の意義その他前二条の場合に関して必要な事項は、政令でこれを定める。

第十条 第五条第一項の土地区劃整理を施行する場合において、換地に関する事項及び第十六条の規定による補償金の配当割合に関する事項は、土地区劃整理委員会の意見を聞いて、これを定める。

第十一条 土地区劃整理委員会は、土地区劃整理施行地区毎にこれを置き、行政庁がこれを監督する。
2 土地区劃整理委員会は、会長及び委員若干人を以てこれを組織する。
3 会長は、委員の中からこれを互選する。委員は、土地区劃整理施行地区内の土地の所有者及び借地権者が、各別にこれを選挙する。
4 土地所有者及び借地権者は、政令の定めるものを除いて、その土地区劃整理施行地区にある土地区劃整理委員会の委員の選挙権及び被選挙権を有する。

第十二条 この法律に定めるものを除いて、土地区劃整理委員会に関し必要な事項は、命令でこれを定める。

第十三条 第五条第一項の土地区劃整理のために必要があるときは、換地予定地を指定することができる。
2 前項の規定により換地予定地を指定したときは、換地予定地及び従前の土地の所有者にその旨を通知し、且つこれらの土地の全部又は一部について地上権、賃借権、永小作権又は質権を有する者その他命令で定める者(以下関係者といふ。)があるときは、これらの関係者にもその旨を通知する。

第十四条 従前の土地の所有者及び関係者は、前条第二項の通知を受けた日の翌日から、第七条第一項若しくは第二項又は耕地整理法第三十条第一項の規定による換地処分が効力を生ずるまで、換地予定地の全部又は一部について、従前の土地に存する権利の内容たる使用収益と同じ使用収益をなすことができるが、従前の土地についてはその使用収益をなすことができない。
2 従前の土地の関係者が、前項の規定により使用収益をなすことのできる換地予定地の範囲は、前条第二項の規定による通知と併せて、これらの関係者にこれを通知する。
3 第一項の場合に、換地予定地に建築物その他の工作物が存するときその他特別の事情があるときは、換地予定地について、別に使用開始の日を定めることができる。この場合には、従前の土地又は換地予定地の所有者及関係者にその旨を通知する。
4 換地予定地の所有者及び関係者は、前条第二項の規定による通知を受けた日の翌日若しくは前項の規定による使用開始の日から、第七条第一項若しくは第二項又は耕地整理法第三十条第一項の規定による換地処分が効力を生ずるまで、換地予定地の使用収益をなすことができない。この場合において、その換地予定地の所有者及び関係者がその使用収益をなすことができないために損害を受けたときは、通常生ずる損害に限り、これを補償する。
5 第三項の規定により換地予定地について別に使用開始の日を定めたために、従前の土地の所有者及び関係者が、損害を受けたときは、通常生ずる損害に限り、これを補償する。

第十五条 第五条第一項の土地区劃整理のために必要があるときは、土地区劃整理施行地区内に存する建築物その他の工作物について、三箇月を下らない期限を定めて、所有者に対してはこれらの工作物の移転を命じ、占有者に対しては立退を命ずることができる。
2 前項の規定により工作物の移転を命ずる場合には、第十三条第一項の規定により、換地予定地を指定しなければならない。
3 第一項の工作物の移転又は立退に因り損害を受けたときは、政令に特別の定のある場合を除いて、通常生ずる損害に限り、これを補償する。

第十六条 第五条第一項の土地区劃整理の施行により、土地区劃整理施行地区内における施行後の宅地価格の総額が施行前の宅地価格の総額に比し減少したときは、その減少した額について、土地所有者及び関係者に対して補償金を交付する。
2 前項の土地区劃整理施行後の宅地価格の総額の算定の方法は、政令でこれを定める。
3 第一項の土地区劃整理で主務大臣の指定するものについては、その土地区劃整理施行地区を数区に分ち、各区について、前二項の規定を適用する。

第十七条 第十四条第四項及び第五項、第十五条第三項並びに前条の規定による補償金は、補償審査会が、これを決定する。
2 前項の規定により、補償金額の決定があつたときは、都道府県知事は、その金額を補償金の交付を受ける者に通知する。

第十八条 補償審査会は、都道府県又は主務大臣の指定する市毎にこれを置き、都道府県知事が、これを監督する。
2 補償審査会は、当該都道府県の区域内(その区域内に主務大臣の指定する市があるときは、その市の区域を除く。)又は当該市の区域内にある土地について、前条に掲げる権限を行ふ。
3 補償審査会は、会長及び委員若干人を以てこれを組織する。
4 会長は、都道府県知事(第一項の規定により主務大臣の指定する市においては市長、以下これに同じ。)を以てこれに充てる。
5 委員は、関係各庁の一級又は二級の職員、都道府県又は市の議会の議員及び学識経験ある者の中から、都道府県知事が、これを命じ又は委嘱する。
6 補償審査会に臨時委員を置き、都道府県知事が、関係市区町村長及び関係市町村の議会の議員の中から、これを委嘱することができる。
7 臨時委員は、関係市区町村に関しない事項については、議事に参与することができない。
8 補償審査会に関する費用は、公共団体の負担とする。

第十九条 この法律に定めるものを除いて、補償審査会に関し必要な事項は、命令でこれを定める。

第二十条 清算金を納付する義務ある者に対し、土地区劃整理施行地区内の土地に関する権利について、第六条、第七条第一項若しくは第三項、第八条又は耕地整理法第三十条第一項但書の規定による清算金又は第十六条の補償金を交付する場合には、その交付する清算金又は補償金は、その者から徴収する清算金にこれを充てることができる。但し、その補償金が耕地整理法第二十五条の規定により供託する必要のあるものであるときは、その補償金を交付すべき土地に関する権利について徴収する清算金にのみ、これを充てることができる。

第二十一条 第五条第一項の土地区劃整理について徴収する清算金については、政令の定めるところにより、利子を附してその分納を認めることができる。
2 前項の規定により清算金の分納を認める場合には、第六条乃至第八条の規定により換地を交付しないで清算する場合又は土地について存する権利を消滅せしめて清算する場合を除き、交付すべき清算金について、政令の定めるところにより、利子を附してその分割交付をすることができる。
3 前二項の利子は、これを清算金とみなす。

第二十二条 第五条第一項の土地区劃整理について、清算金に剰余を生じたときは、その剰余金は公共団体に帰属する。

第二十三条 第五条第一項の土地区劃整理において、土地に関する権利について、清算金を徴収又は交付さるべき場合に、その土地に関する権利を譲渡したときは、当事者双方は、連署して、遅滞なく、土地区劃整理施行者に、その旨を届出なければならない。
2 前項の届出をしない場合には、清算金の徴収又は交付に関し、その譲渡は、これを以て土地区劃整理施行者に対抗することができない。
3 土地に関する権利について清算金を徴収又は交付さるべき場合に、その土地に関する権利の分割譲渡について第一項の届出があつたときは、土地区劃整理施行者は、遅滞なく、各当事者に対しその者から徴収すベき清算金額又はその者に交付すべき清算金額を通知しなければならない。

第二十四条 第五条第一項の土地区劃整理において、土地に関する権利について、清算金を徴収又は交付さるべき場合に、その土地に関する権利が消滅したときは、前条の規定を準用する。

第二十四条の二 第十三条第一項の規定により換地予定地の指定があつた場合においては、整理施行者は、必要があると認めるときは、換地予定地を使用収益することができることとなつた者から清算金を概算徴収し、従前の土地を使用収益することができなくなつた者には清算金を概算交付することができる。
2 前項の規定による清算金の概算徴収については、第二十六条において準用する都市計画法第二十四条第一項の規定により国税滞納処分の例により滞納処分を行う場合においても、国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)第二十四条の規定による公売は、これをすることができない。
3 第二十条、第二十一条、第二十三条及び第二十四条の規定は、第一項の規定によつて清算金を概算徴収し、又は概算交付する場合に準用する。
4 第一項の規定により概算徴収し、又は概算交付した清算金は、換地処分の認可の告示があつたときは、直ちに、精算する。
第二十五条 第十四条第四項若しくは第五項、第十五条第三項又は第十六条の規定により補償を受くべき者が、補償金額の決定について不服があるときは、その決定の通知を受けた日から三箇月以内に、通常裁判所に出訴することができる。この場合においては、訴願し又は行政裁判所に出訴することができない。

第二十六条 都市計画法第二十三条乃至第二十六条の規定は、この法律又はこの法律に基いて発する命令によりなす処分について、これを準用する。

第二十七条 耕地整理法第二十五条の規定は、第六条、第七条第一項及び第三項、第八条、第十四条第四項及び第五項、第十五条第三項、第十六条並びに第二十四条の二の規定により払ひ渡すべき金銭について、これを準用する。

第二十八条 第五条第一項の土地区劃整理について、耕地整理法を準用し難い事項に関しては、政令で必要な規定を設けることができる。

  附 則 (抄)

2 神宮関係特別都市計画法は、これを廃止する。
3 神宮関係特別都市計画法に基き、この法律施行前に発生した事由に因り交付する補償金、この法律施行前に行政官庁のなした処分に基く損失補償及び費用の負担並びに補償に関する訴訟に関しては、同法はこの法律施行の後においても、なほその効力を有する。
4 この法律施行の際現に公共団体が都市計画事業として施行してゐる土地区劃整理は、命令の定めるところにより、これを、第五条第一項の土地区劃整理とみなすことができる。


制作者註


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