中野文庫 癩予防法

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癩予防法(明治40年法律第11号)

第一条 医師癩患者ヲ診断シタルトキハ患者及家人ニ消毒其ノ他予防方法ヲ指示シ且三日以内ニ行政官庁ニ届出ツヘシ其転帰ノ場合及死体ヲ検案シタルトキ亦同シ

第二条 癩患者アル家又ハ癩病毒ニ汚染シタル家ニ於テハ医師又ハ当該吏員ノ指示ニ従ヒ消毒其ノ他予防ヲ行フヘシ

第二条ノ二 行政官庁ハ癩予防上必要ト認ムルトキハ左ノ事項ヲ行フコトヲ得
 一 癩患者ニ対シ業態上病毒伝播ノ虞アル職業ニ従事スルコトヲ禁止スルコト
 二 古著、古蒲団、古本、紙屑、襤褸、飲食物其ノ他ノ物件ニシテ病毒ニ汚染シ又ハ其ノ疑アルモノノ売買若ハ授受ヲ制限シ若ハ禁止シ、其ノ物件ノ消毒若ハ廃棄ヲ為サシメ又ハ其ノ物件ノ消毒若ハ廃棄ヲ為スコト

第三条 行政官庁ハ癩予防上必要ト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ従ヒ癩患者ニシテ病毒伝播ノ虞アルモノヲ国立癩療養所又ハ第四条ノ規定ニ依リ設置スル療養所ニ入所セシムベシ
2 必要ノ場合ニ於テハ行政官庁ハ命令ノ定ムル所ニ従ヒ前項患者ノ同伴者又ハ同居者ニ対シテモ一時相当ノ救護ヲ為スベシ
3 前二項ノ場合ニ於テ行政官庁ハ必要卜認ムルトキハ市町村長又ハ之ニ準ズベキ者ヲシテ癩患者及其ノ同伴者又ハ同居者ヲ一時救護セシムルコトヲ得
4 前項ノ規定ニ依リ市町村長又ハ之ニ準ズベキ者ニ於テ一時救護ヲ為ス場合ニ要スル費用ハ必要アルトキハ市町村又ハ之ニ準ズベキモノニ於テ繰替支弁スベシ

第四条 主務大臣ハ二以上ノ道府県ヲ指定シ其ノ道府県内ニ於ケル前条ノ患者ヲ収容スル為必要ナル療養所ノ設置ヲ命スルコトヲ得
2 前項療養所ノ設置及管理ニ関シ必要ナル事項ハ主務大臣之ヲ定ム

第四条ノ二 国立療養所及前条ノ療養所ノ長ハ命令ノ定ムル所ニ依リ入院患者ニ対シ必要ナル懲戒又ハ検束ヲ加フルコトヲ得

第五条 私立ノ癩療養所ノ設置及管理ニ関シ必要ナル事項ハ主務大臣之ヲ定ム

第六条 北海道地方費又ハ府県ハ命令ノ定ムル所ニ従ヒ第二条ノ二第一号ノ規定ニ依ル就業禁止又ハ第三条第一項ノ規定ニ依ル入所ニ因リ生活スルコト能ハザル者ニ対シ其ノ生活費ヲ補給スベシ

第七条 左ノ諸費ハ北海道地方費又ハ府県ノ負担トス
 一 第二条ノ二第二号ノ規定ニ依リ行政官庁ニ於テ物件ノ消毒又ハ廃棄ヲ為ス場合ニ要スル諸費
 二 入院患者(国立癩療養所入所患者ヲ除ク)及一時救護ニ関スル諸費
 三 検診ニ関スル諸費
 四 其ノ他道府県ニ於テ癩予防上施設スル事項ニ関スル諸費
2 第四条第一項ノ場合ニ於テ其ノ費用ノ分担方法ハ関係地方長官ノ協議ニ依リ之ヲ定ム若シ協議調ハサルトキハ主務大臣ノ定ムル所ニ依ル

第七条ノ二 本法ニ依リ北海道地方費又ハ府県ニ於テ負担スベキ費用ハ東京府下伊豆七島及小笠原島ニ於テハ国庫ノ負担トス

第八条 国庫ハ第六条及第七条ノ規定ニ依ル道府県ノ支出ニ対シ勅令ノ定ムル所ニ従ヒ六分ノ一乃至二分ノ一ヲ補助スルモノトス

第九条 行政官庁ニ於テ必要ト認ムルトキハ其ノ指定シタル医師ヲシテ癩又ハ其ノ疑アル患者ノ検診ヲ行ハシムルコトヲ得
2 癩ト診断セラレタル者又ハ其ノ親族ハ行政官庁ノ指定シタル医師ノ検診ヲ求ムルコトヲ得
3 行政官庁ノ指定シタル医師ノ検診ニ不服アル患者又ハ其ノ親族ハ命令ノ定ムル所ニ従ヒ更ニ検診ヲ求ムルコトヲ得

第十条 第一条ノ規定ニ違反シ又ハ第二条ノ二ノ規定ニ依ル行政官庁ノ処分ニ違反シタル者ハ百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス

第十条ノ二 第二条ニ違反シタル者ハ科料ニ処ス

第十一条 医師若ハ医師タリシ者又ハ癩予防事務ニ関係アル公務員若ハ公務員タリシ者故ナク業務上取扱ヒタル癩患者又ハ其ノ死者ニ関シ氏名、住所、本籍、血統関係又ハ病名其ノ他癩タルコトヲ推知シ得ベキ事項ヲ漏泄シタルトキハ六月以下ノ懲役又ハ百円以下ノ罰金ニ処ス

第十二条 行旅死亡人ノ取扱ヲ受クル者ヲ除クノ外療養所ニ入所中又ハ第三条第二項及第三項ノ規定ニ依ル一時救護中死亡シタル癩患者ノ死体又ハ遺留物件ノ取扱ニ関スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

  附 則

本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム


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