名古屋

宇宙の形 カーブドユニバース
(実写版Ⅲ)

Grigori Perelman became famous, despite his adamant opposition, for proving a conjecture from Henri Poincaré, pictured here.

アンカレ予想の証明 the first of three short preprintsPoincare conjecture
ペレルマンとサンクトペテルベルグ奥の山小屋    

ポアンカレ予想を証明するまでには、ウイリアム・サーストンの幾何化予想、さらにリチャード・ハミルトンのリッチフローを理解しないと、進めません。 宇宙の形1、2幕を出版して、質問が集ったのは、この点でした。この宇宙の形は、一般のひとが数学や天体物理学などに興味を深めてもらうため、書いたもので、その先に進んでいるひとに、ここに証明の概要だけをまとめました。

サンクトぺテルブルグから30キロ余り離れた友人の山小屋にひっそりと篭るペレルマンは、ここでも多くの時間を過ごし思索を進めていました。

まず、ハミルトンの証明方法。
1、リッチ・フロー(熱方程式のようなもの)を多様体にかけて、その経過をみる。いわば、わからない3次元の図形を空気で膨らませる。そして、どんな形に変化するかを見極める。これで、ねじれた図形、穴があいた図形、2つ穴、クラインのつぼもその正体がわかる。
※リッチ・フローとは、多様体を膨張させたり、収縮させたりして、多様体の形を見極めるための微分方程式。

2、多様体は負の曲率をもった図形なら、リッチフローをかけると、膨張し、その図形からでっぱりやへこみが消えるまで進めて行く。やがては単連結の輪をするりとぬけてしまい、ついには消えなくなる。
※単連結とは、ロープを地球に投げかけ、両方の端を左手でにぎり、右手で2本をひっぱって行く動作と同じ。

こうして、サーストンがみつけた、8つの形(サーストンの幾何化予想)のどの形になるかを探る手法。ハミルトンが考え出したこの方法は、どんなに曲がっていようが、ねじれていようがリッチフローを施し、その変化をみれば、8つのサーストンの基本モデルかその組み合わせになるという考え方だ。

正の曲率をもつ多様体とは球形がその代表。正、π(180度、水平)負かどうかによって図形を特定するもので、そっている場合は負の曲率をもつ。球は正の曲率、ひとつ穴ドーナツが曲率0、鞍が負の曲率。


ハミルトンは1982年、「微分幾何学ジャーナル」に発表し、ポアンカレ予想、サーストンの幾何化予想の両方の証明に近づいたとして反響を呼んでいる。
これはトポロジーの問題を解決するために、別の数学分野(微分)の技術を使えば解決できる可能性を示したもので、この分野はペレリマンが得意とする分野だった。
ペレリマンはサンクトペテルブルグのステクロフ研究所で、まさにこの分野の研究をしていたのだ。
この項は、宇宙の形の第3幕のかきかけです。時間をみて進めています。


2、彼が挑んだ問題
 フランスの学者ポアンカレが1904年に発表した宇宙の形状について予想した難題である。
「長いロープをつけたロケットを宇宙に向けて打ち上げ、そのロケットが宇宙をぐるりと回って地球に戻ってきて、その両端を手元にたぐり、すべてのロープを回収できれば、宇宙の形状は概ね球体であると言えるか」という証明問題だ。
また、ポアンカレは「引っ掛かって回収できないなら、宇宙はねじれた形状、穴が空いた形状かも知れない」とも予想している。そして、この問題はわれわれをはるか、遠いところに行かせるだろうと予言している。

3、宇宙の形
上のわからない映像は、この本のために制作したソフトです。宇宙の形が仮に球体であったとしたら、どこをどう観測すればよいか手がかりになります。実際にWMAPで行った観測方法は、宇宙に映写機を打ち上げて、360度回転させながら、緯度をずらす方法で、全方向の画像を納め、それをデータ化、分析したものです。このソフトは3つの機能を隠してします。①各映像がクリックで大きな画面に②あなたが右に旋回するとその映像が現れます③視点を変えると反応③右クリックで映像が切りかわります。

われわれの宇宙は誕生と同時に、いったい何方向に展開したのだろう? 方向とは次元の数である。縦横高さの3次元空間、時間が4次元、重力が5次元、膨張が6次元、、。これを考えるとき頭のなかでグラフのベクトル、xyz軸を追加して行くとわかりやすい。そして、時間の正体に気付いた科学者たちは、時空を呑みこんだ7つ目へ。次元を行ったり来たりしなければ解けない宇宙の姿は、数学者、物理の天才たちを次々と死へと追い込んで行く

4、第2幕 予告

宇宙の形は、時空の曲率で決まる 宇宙空間に時間と重力の罫線を3次元(ノートのグラフ罫線を立体を加えたもの)にするとわかりやすい。時空はまがっている。すでに太陽が存在するだけで、地球はそのため、沈み込んだ3次元罫線グラフ(目には見えないが)を軌道周回している。
WMAPは宇宙にある物質の平均密度が臨界質量つまり、 10-29g/cmより、
大きい数値なら曲率はプラス  閉じた宇宙 三次元球体 ○
小さい数値なら曲率はマイナス 開いた宇宙 双曲空間  鞍
そして、2つ穴トーラス
同じ数値なら0(ゼロ)  平坦な宇宙 ひとつ穴トーラス◎
に対応する。
4次元球体の表面(3次元球面)に住む住人が見る宇宙や自然界の映像ソフトを「日本サイバー図書館」にもアップロードしています。図書館のなかを映像がすり抜けていく様は、住人にはどのように見えているのかをシミュレーションしたもので、こちらは、背後まで回転するソフトで、みなさんに楽しんでもらうためにつくったものです。

 しかし、WMAPとは、宇宙全体を観測した結果ではなく、ある有限の空間を調べた結果の数値で「おおむね平らだった」と発表している。平ら宇宙とは、長方形の平面を言ってるのではなく、曲率がゼロ。つまり、形に直した場合は、ひとつ穴トーラスだけなのである。二つ穴、3つ穴トーラスは、双曲空間、開いた宇宙だからだ。E2,H2,S2は平面の図形なので、われわれの宇宙ではないことを示します。第3幕では縦横高さの3次元に追加された4次元、つまり時間がなぜ生まれたのかを解き明かします。これはわかったときには世界の地平が大きく拓けるはず。そして、次元を考えるときに必要な考え方は、ベクトル(軸)を増やして行くこと、この世界に入ったあなたは、やがて宇宙の本当の姿が見えてきます。理論物理学者はいま、宇宙誕生のなぞを探るため、巨大なシミュレーションと、もうひとつブラックホールの最深部にその焦点を絞っています。精神を病んでしまった物理学者や、仲間からも現場からも見捨てられた研究者。この探求はあなたをきっと英知の最前線へ誘います。

His only comment, offered through a closed door: “I have all I want.”

著者 -EVAN 宏幸 新谷