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01 / 02 / 03 / 04 / 05 / 06 / 07 / 08 / 09 / 10 / 11 / 最終話/ DVD特別版
第1話 初めての仕事2006/1/8
「鬼軍曹…そんなトコだろ」 小牧での訓練を終えて配属された小松基地で、いきなり本郷三佐に おまえは中途半端だと怒鳴られてしまった主人公・内田一宏三尉。 読書家らしく色々な本を持ち込み、背筋がしゃんとしているので タクシーの運ちゃんには「自衛隊関係?」と見破られる新人自衛官だ。 小牧ではパイロットとして選抜が行われるらしく、内田はヘリに配属される。 ファイター志望だったらしいけど、適正とかあるんだろうね、やっぱり。 同じくファイター志望の小坂はジェットに振り分けられ、しかも小松で 一足先に訓練を始めているらしい。これが内田のコンプレックスを刺激し、 今後の小松救難隊での成長にどういう糧になっていくのか興味深い。 お隣の女の子に「お兄さん」と挨拶したのに「知らないおじちゃんがいる」と 泣かれちゃったり、東京にいる恋人の能登めぐみとはすれ違いばかりで 結局一度も言葉を交わせないままだったり携帯買えよ…私も携帯持ってないから人のこと言えんけど そんなところに起きた地震は、救難隊に要請が入るかもしれないという事で 急遽ブリーフィングに参加するため、一宏は夜道を走り出す…で次回へ。 今回はOPがなかったけど、OPが美郷さん(舞-HiMEのED)で、EDがJAMプロという ある意味「え?それって逆じゃないの?」という配置にビックリ。 初めての街に引っ越してきて、管理人への挨拶、真っ先に連絡を入れるのは 故郷の家族ではなく遠距離恋愛中の恋人、家財道具を揃えにいったわりに、 荷物の中に布団が届いていないことに、布団を使う夜になって気づく… 若い男の子がしそうな失敗満載の日常生活が微笑ましい。 まぁカーテンを巻いて寝るかどうかはともかく、冬の始まり?なのか、 北陸のあの独特のどんよりした雰囲気と、灰色の日本海へ向かう時に一宏が パイロットらしいセリフを吐きながら走っていく時の様子など丁寧に描いてる。 宅配の間違いを謝罪する電話に、うんざりしたようにカーテンを見るのもいい。 またそれ巻く気かい!ダウンジャケットとか寝袋とか持ってないんかい! 内田が読んでいたのはサン・テクジュベリの「人間の大地」 私は新潮文庫で読んだのでこの中公文庫版とは題名が違って、最初は 気づかなかった(新潮は「人間の土地」)これは彼の私小説になるのかな。 飛行機乗りとしての色々なエピソードが語られていくんだけど、なんといっても 砂漠に不時着して生き延びるまでの様々な心理的葛藤と、自分は帰るべき場所に 帰らなければならないという確信と強い意志と責任感が印象的な物語だった。 入院が長引いて現国の単位を落としかけた私は、この本を読んで感想文を 書くよう教師に言われた。難しかったねぇ。アホ頭にはかなり厳しかった。 3日で書き上げて感想文を提出したら、先生と討論になったんだ。 「なぜ主人公がこんなにも自信をもって、自分には帰れる場所があると 信じられたのかわからない」というのが私の持論だった。あの頃は世界は全て マージナルで、自分に一番自信のない時代だったからこそそう思ったんだろう。 でもあの時これを読ませてくれた先生には感謝してる。それに留年すれすれの 私の為に春休みに学校で待っていてくれた先生と討論した思い出は忘れられん。 1クールものなのにちょっと丁寧すぎるんじゃないかと心配するくらいだけど、 その分スタッフの意気込みは伝わってきて、次回からの救難物語に期待したい。 本郷のいきなりの理不尽な罵倒は、ああいう軍隊式というか体育会ノリが 心底嫌いな私にとってはちょっといただけないけど、理由が示されることも 期待したいところ。視聴はもちろん継続。深夜アニメが加わるとレギュラーに ならない限り、これで日曜の週アニメレビューが当日じゃなくなるけどね。 △
第2話 困難な仕事2006/1/15
前回ウッチーの家はあまり揺れなかったから大した事ないと思ってたら どうしてどうして、被害状況が寄せられてみればえらい事になっててビックリ。 ことに東宇留間島の被害は甚だしく、火災まで起きてるじゃないか! 「これも利子よ」 アラート隊員はデート中だろうがパチンコ屋で大勝ち(大負け)してようが即出動。 明日は子供の入学式の本郷は非番で寛いでいたけれど、間の悪い事に アラート待機のパイロットが2人一度に怪我をするという物語上必要なありえない事態に急遽出動する事になる。内助の功の奥さんが素晴らしいよ。 「見学だからといってお気楽な気持ちでやられては困る」 おまえは競輪選手にでもなるつもりか?むっとするウッチーに乗るなら 自転車も流行の物ではなく、実用的なものにしろと畳み掛ける本郷。 「いじめてるんじゃない。鍛えてるんだ」 確かによく考えたらこれからいつ眠れるか、いつ飯が食えるかも わからない現場に行くのに、無駄な事で体力を削るのは間違ってる。 ことにウッチーは仮にもパイロットなんだし…ってか、今気づいたけど、 小松って隊舎ないの?それとも階級が三尉だから基地外居住可なのかな? きびきびと集合する隊員、テキパキと進むブリーフィングの光景は 多分丁寧な取材の賜物なんだろう、かなりリアルで面白かった。 気づけばすっかりキャラと緊張感を共有してる事に気づく。 「これ、どうやらやっぱり面白いぞ」とわくわくしてくる。 どこかにいませんかねぇ、自分から乗せてください、自分は新米ですが、 とか言ってくるヤツが…本郷の挑発にまたしてもムッとするウッチー。 乱暴に傷を握り、その痛がる姿からパイロットのケガは思ったより酷いらしく、 無理をしているなと表情を曇らせる本郷のキャラクターがそろそろ見えてくる。 むしろ最前線に出る本郷より、ウッチーを見学だけでもと呼びつけた隊長の 村上の方が、いざとなればルーキーだろうが使おうと考えてるのが面白い。 そしていよいよ始まるこの番組の最も根幹となる救難救助シーン。 CGで描かれたヘリや偵察機は戦闘機じゃないからスピード感はそこそこだけど 滑らかな動き。ただ結構雨と風の荒天だったんだけど、航空自衛隊のヘリは 本当にあんなに安定して飛行できるものなのかな?それが少し気になった。 「降下開始!」 海岸に取り残された車の運転手を救助するシーンは、ただひたすら淡々と進む。 よく考えたらこういう時、主人公が「あんなところに!」とか「要救助者の 救助には、○○という方法を取る」「僕たちが乗るヘリオス78は…」なんて 解説をしそうなものだけど、そういえばこれまでもそういうのが全然ない。 いずれまとめて説明する回があるのかもしれないけど、今はただひたすら 迅速にテキパキと救助シーンが続く。あー、こういうのもなんかいいかも。 「吊り上げ中!吊り上げ中!」 要救助者が助けられるとほっとしたのに、別の場所で別の救助者が発見される。 確かに救助が重なる事もあるはずだよな。場所は「ケガニンタスケテ」と校庭に SOSを書いた学校。今回はウッチーも降下し、16人の重軽傷者を順々に救助開始。 「知り合いがやると、死亡者が出た時にトラブルになりやすいんです」 順番の決定は情を絡めないよう第三者的判断で自衛隊が行うのは当然だよな。 こういう局面でテンぱっちゃって隊員に食って掛かる人もいるんだろうな。 現場に残されたウッチーは、喘息に苦しむ高倉さんのおじいさんの薬を 取りに瓦礫の住宅街に戻る。この風景もかなりリキが入ってて、瓦が落ち、 柱が傾き、障子が倒れてぐちゃぎちゃの家屋の状況がかなり描きこまれてる。 この時、余震が多発する地域の様子をテレビで見る恋人も初登場。 ただ確かに心臓の薬やてんかん発作の薬などを持ってこなかった持病持ちの 人は困るだろうけど、こういうウッチーのスタンドプレーはどうなんだろう。 本郷が後でどんな叱り方をするのか今からドキドキだナニゲに萎縮してんなー私 それに加えて怯えている猫を連れてきた内田に、重ねて感謝する高倉さん。 でもこの独善的な行動が後にとんでもない事件を引き起こしてしまう。 それを見ていた少女、岡田さくらが自分の犬を探しに行って姿を消したのだ。 もちろん私は犬や猫は絶対置いて行きたくないよ。阪神や三宅島や新潟でも 一番気になったのは正直言うと人間より犬や猫や牛などの動物の事だった。 優先順位がある時は、人間は助けてもらえるけど、動物は見捨てられる。 だけどこういう状況ではやっぱり…そう考えそうになりつつ、でもさくらの 気持ちも痛いほどわかるし、黒木と話もせずに飛び出したウッチーの行動は 自衛隊員としては冷静さを欠いてるんじゃないかと思い…感情変換が忙しいよ! OP出現。荒れ狂う海で要救助者を助け出すというシーンはなかなかの迫力。 オットリテンポの歌なれど、何しろ堅実な作りの作品なので悪くはないかな。 難点はキャラクターにリアルさがある分、描き分けが出来ていない事。 最初に出てきたファミレスでデートしてる女の子と恋人の区別がつかん。 こう考えると同じリアル系統のキャラデザでも、プラネテスの千羽さんは やはりすごかったんだなと実感(まぁあっちは元になる原作があるけど) 最悪の想定をしてウッチーを追う黒木。未だ繋がれたままの犬。 果たして内田の初出動は天国となるか地獄となるか。 △
第3話 苦しい仕事2006/1/22
「安請け合いをするからだ!」 救難をやっていくならこれからもこんな事はいくらでもある。 おまえはこれからも遺族全員に謝り続けるつもりか。 内田の耳に本郷の言葉が突き刺さり、心をえぐる。 「岡田さくらちゃんですか」 黄色い傘を見て違うと否定し、混乱する母親。 二次災害が怖いような崩れた家の柱や梁をどかし始めた内田や黒木には ハラハラしたけど、よく考えたら彼らは航空自衛隊の救難隊なのであって 多分消防や陸自みたいなそこまでの専門的救助訓練は受けてないと思うし。 濁流に落ちた工事車両の要救助者を助けに行く場面は、足場の悪い車体から 窓枠に掴まるまでの細かい動き、そして中の人間の胸の部分がありえない リズムで動いている(体に木材のワイヤーが絡んでしまった?)事が その救助者がもう生きていないという事を示すリアルさに寒くなった。 「要救助者です!」 内田がこの遺体を見てはっとした時、隊員が言ったこの言葉がよかったなぁ。 「娘をお願いします…お願いします!」 要救助者が重症の子供、場所は崩れた家が密集する住宅街という情報から 本郷はピックアップは不可能と判断し、砂防ダムに着陸して彼女を収容する。 「必ず助けます」 内田はそう言うも、クラッシュ症候群を起こしたさくらの容態は急変する。 この時点でまた別の重症患者が大至急の回収を求めてきても救助は無理だなと 思っていたら、今度は燃料が足りないって…畳み掛けるなぁ。このまま風速が 上がれば燃料消費が激しくなり、最悪の場合基地への帰投前に海に墜落する… ここのやり取りはてきぱきと迅速。自衛官や消防官の仕事をナマで見る事は そうそうないけど(見ない方がいいわけだし)訓練を受けている人たちの動きと いうのはきびきびとしてて気持ちがいい。ダラダラ人間の私には絶対無理。 うるま島に戻る判断を下した本郷に内田は食い下がり、海自の護衛艦で補給を 受けましょうと提案する。おとなしそうな顔のペーペーのくせに大胆なヤツ。 しかしまさか海自の護衛艦に着艦する航空自衛隊救難ヘリが見られるとはね! 悪天候の中、20ノットで航行中の船に初めて着艦する時も変に大袈裟すぎる 演出をするわけでもなく、スレスレの車輪がすっと着艦した時は息を吐いたよ。 補給を受けたヘリオス78は村上の尽力で直接病院へ向かえと指示が入るけど、 1830(帰投予定時刻)前後の街は停電で病院の位置も着陸地点も見えない。 けれどその時、一つの滑走路が見えてくる。 病院前の敷地にはズラリと車が並び、ヘッドライトで照らされていた… って、ここはズル過ぎるよ〜〜〜〜!困難を乗り越えて これって、映画じゃないんだからそんな演出ズルいってば!全米が泣いた 誰もが一生懸命だったし、誰も手を抜いてなんかいなかった。 でもせっかく助けた小さな命は失われてしまった。 俺が猫なんか連れてこなければ…助けるって約束したのに… 軽率、短絡的、余計な事…非難するのは簡単だけど、本郷はむしろ内田が それを背負い込むことを責めた。そうだよウッチー。これは仕事なんだよ。 自分の行動に責任が持てないとすぐに跳ね返ってくる。学生と社会人の 大きな違いは、跳ね返りが自分だけで済むか済まないかの違いなんだよ。 ところが内田は感情のあまり葬儀社の人を殴ってブタ箱に入れられてしまう。 それはあんたの役目じゃないでしょう。いい加減にしなさいウッチー。 さくらとそう変わらない娘を膝に抱きながら、実は内田が憧れていた ファイターだった本郷も、同じ父親として何も感じないわけがない。 スナックで大皿を平らげて騒いだ後に果ててる隊員たちも。 「皆の様子を見ると、辛い仕事だったようです」 声が聞きたいとフラフラになってめぐみに電話をする内田を見た時より、 軽いだけのサラリーマンに見えた彼氏に届いた一美のメールが沁みたな。 「うわ…怖…」「おいおい」「ムリムリ」 つい呟きながら見てしまうのはのめりこんでる証拠だと思うアブない人ともいう 内容が濃いせいだろう、とにかく非常〜〜〜に30分が長い。アイキャッチで 「えっ、まだ15分?」と驚く作品はそうはない鋼やプラネや巌窟王、ガンソ終盤など こういう物語はドラマのリアルさも悪くはないけど、ドラマは子役の棒読みの セリフが聞けたもんじゃなかったり、オールスタントの救助シーンはいっつも ロングショットで、主人公は歯を食いしばった顔のアップばっかりだったりで 何よりスピード感が…それこそが命の気がするんだけどイマイチの事が多い。 アニメは、実写なら一体いくらかかるんだというありえないカメラワークや カット割りの多さによるスピード感を出すのは得意だからね。 リアルとフィクション、クールとドラマティックをうまく分配してると思う。 △
第4話 大切な人2006/1/29
「そしたら電源切っとけ!」 東京から会いに来た恋人、恵と過ごす時間をめちゃくちゃ丁寧に描いた回。 まるでドラマだよ。こういうドラマありそうだもんなそしてドラマなら私は100%見ないのだ 本筋であるレスキューはないのに、内田の葛藤や苦しみがよくわかったし、 恵の優しさが実に沁みた。そうそう、恋人がいるってこういう事なんだよなぁ。 GWは彼女とハワイだ、親孝行だ、当直だ…新入りは実家に帰るらしいぞという 黒木たちの噂とは裏腹に、部屋に篭って悶々とする一宏の元に恵がやってくる。 なんで来たんじゃ…思いもかけない訪問は嬉しさ半分、ややウザったさも半分。 仏頂面の一宏に余裕を持って対処する恵が偉い。いやホントに偉いわ… 「ホンマ、東京とおんなじじゃ」 一宏が住む小松をこそ案内して欲しいという恵の本心を推し量れず、 何でもある金沢に連れていっちゃうあたり、まさしく男脳だよね。 考え方が合理的だから「何もない」→「つまらない」に直結してしまう。 レンタカーを借りるシーンと、多分借りたのは1300ccってのがリアルすぎる。 金沢に来て兼六園にも忍者屋敷にも行かないなんてもったいなぁ。 けれど、携帯電話に幾度も入る連絡に一宏はついにブチ切れてしまう。 「これじゃから携帯は嫌いじゃ!」 掛け間違ったボタン。楽しかった時間との温度差。ケンカの後の距離。 そんなとこまでリアルに表現しなくていいよと思うくらいリアルだ。 強引なキスの後は、外はホテル街というシチュエーションに気まずい車内。 うちを抱いたら、元の一宏に戻るんじゃろうか… 2人の出会いは高校時代、一宏が飛ばした飛行機が偶然恵に当たったこと。 最初、一宏がわざと恵を狙って飛ばしたのかと思ったけど違うようだ。 「ありがとう…当ててごめんな」 おずおずした下級生に優しく言う先輩。そりゃもうフォーリンラブだね! メガネをかけた文学少女だった恵は、確かに東京に出て垢抜けたな。 でも今時あんなオーソドックスなセーラー服が制服の学校ってあるのか? 「なんで俺がヘリなんじゃ…なんで俺が救難なんじゃ」 どうしても折り合いをつけられん…でもわかったんじゃ。 「俺には救難も務まらん!」 もうどこにおったらいいんか…わからんわ… ついに零れだしたのは押し隠した心。誰にも見せられなかった本音。 ガキくさいのに、これまでの事を知ってるが故に実に胸を打つ叫びだった。 子供を取り落としたキャッチャーは、どうなったか書いてないのか… 救難隊に配属された一宏を誇りに思っていたことを語る恵に、一宏は言う。 事情を聞かなくても、様子のおかしい一宏に何かあった事は察して余るべし。 こっちからすれば恵は実に優しくていい娘なんだけど、それでもなお恵自身は なぜもっとちゃんと一宏の苦しみをわかってやれなかったのかと悔しいもの。 本当にもう充分なのにね。だって東京からここまで来てくれたんだぜ? 泣き出した恵の姿に驚き、ようやく一宏の心もほぐれる。 大丈夫じゃ…そう言って恵を抱きしめるシーンはよかったね。 弱ってる時は激励したり叱り飛ばしたりされるより、まずその弱った気持ちに 共感して欲しいというのは、男にとっても女にとっても確かに理想なんだよね。 それがうまく合致すればいいけど、片方に余裕がなかったり、パワーバランスに 差があったりするとこううまくいかなかったり。簡単なのに難しいな、恋愛は。 「八つ当たりして、ごめんな」 ようやくホントに仲直りした翌朝、目覚めた2人の姿も当然なわけで。 着替えながら、鳴り続ける携帯の内容が自分のミスによるクレームであること、 仕事の内容も本当は編集ではなく営業である事を白状する恵は大人だなぁ… 「パイロットが一身上の都合でオタオタしてるようでは、『おえん』ぞ!」 わだかまりがほぐれ、飛行機までの短い時間を、小松でのデートに費やす2人。 ところがそんなラブラブを白拍子三曹にバッチリ見られたのが運のツキ。 基地ではすっかり『おえん』ブームが起きてる上に、休暇届に 虚偽の申告をした者がいると隊長にまでバレバレなのも可笑しくて。 でもそんな風にからかわれるのも仲間として認められつつある証拠。 だから鬼軍曹の顔も、呆れながらも温かい。 「繋がってると思うだけでええんじゃ」 携帯は確かにウザったくて厄介だ私は持ってない でも遠く離れた恋人たちにとっては、大事なデジタル糸電話なんだよなぁ。 △
第5話 必要なこと2006/2/5
「よく見ておく事が、あんたの仕事だ」 今回の話は身に沁みた。いやもう全てが心に沁みるんだけど。 何が必要なのか、何が足りないのか…本郷が投げかけた疑問に 対して誰も陳腐な答えを出さなかった。だからこそ逆に沁みた。 「どうしました?ちっとも動いていませんよ」 実地訓練にも慣れてきたけれど、まだまだ緊張の毎日です…恵に送る メールからは、少しずつ自信をつけつつある内田の姿が浮かんでくる。 でも実際には、ピックアップ訓練時に、右にと誘導されても動けず、 ミーティングでは四角四面の決まり文句を並べるだけ。 「ホントに感じてんのか?」 伝わらないんだよな、気持ちが…危険な場所ですくんだ心を 言い訳する内田に、メディックたちの不満は尽きない。 「わかっては…いたんですが…」 「自分なりに」反省しました、努力しました、頑張りました… そんな言い訳は要救助者には通用しない。間違った方向に向けた 努力が何の意味も持たないように、主観的な反省も意味がない。 そんな努力も反省も無駄だと思う。そんなものに時を費やすのは愚かですらある。 おまえには、救難パイロットとして大切なものが欠けている。 本郷は内田をパイロットが一度は経験するメディックの踏破訓練に参加させる。 「弱音を吐いたら…負けだと思ったんですが…」 熱射病で倒れた内田の言葉は、「迷惑をかけてすみません」とは比例しない。 意地で仕事をされてはたまらないのに、内田にはまだそれがわかってない。 野営地でのメディックたちの寛いだ姿がヤバくて笑える。野郎どもにビールが 入れば話す話題は女の事。最初の救難時、格好よかった黒木は迷走しまくった 一穴主義とか、モールトンと彼女とどっちが乗り心地がいいかとか、恵は 10年前の和久井映見に似てるとか(タヌキ顔って事?)面白いね。 後の伏線となるんだろう、救難ヘリのパイロットになる人は…という鈴木の 言葉を聞いた途端、辛そうな表情に変わったウッチーを、久保は見逃さない。 山道で見つけた要救助者を、ヘトヘトだったのに顔つきが変わってテキパキと 手当てする鈴木。彼女のピックアップのために、久保は岩場に戻るという。 ここまで来たのに?「しかし、あの岩場にヘリは…」「大丈夫です」 同じ頃、荒れた天候での救難に難色を示すコパイに、「久保曹長がいる」と 落ち着いて答える本郷の格好いい事とてもふざけて娘をくすぐる甘々父さんには見えん そして互いを信頼する2人の姿が、言葉は短くとも実に雄弁に語られる。 シャフトの持ち上がり、ヘリオス78の窓の鋲打ちまで細かく再現され、 相変わらずのリアリティのある絵のクオリティはすごい。 「いや、いけます」 天候の回復を待って…という内田から通信機を奪い、すぐにピックアップを 開始するよう指示する久保。あと5メートル、4メートル、3メートル… もうもう、車の幅寄せなんてもんじゃないよ!!!マジで怖いんだよ!! 最初に3メートル寄せられない内田はヘリの中からの視点がメインだったけど、 本郷の操縦は大胆かつ繊細に寄せていくのが外から見える分めちゃくちゃ怖い。 もし今、突風が吹いたら…一瞬でもグラついたら…プロペラが岩をかすめたら… 洞窟内で高速移動中の戦闘機が壁にぶつかるのがいかにありえない事かってわかるだろ!? でもこのシーンが実に秀逸。誰も無駄口をきかない。内田の心境の吐露もない。 ただひたすらに彼らの仕事を見せるだけ。そこに答えがあるとばかりに。 内田を導く久保曹長が素晴らしい。自分の部下に対しての厳しさは 本郷以上で、叱り飛ばし、檄を飛ばしながらも、自分より年若く、 経験もないのに階級が上の内田には最低限の敬意を持って接する。 私だったら恥ずかしくて恐縮しちゃうよ、こういう人に敬意を払われたら。 教えてくれる人の熱心さは、教わる側の飲み込みの早さに比例する。 怒られてるうちに仕事を覚える努力をしなきゃダメなんだよね。 本当にどうしようもないヤツには呆れて何もしたくなくなるものだ。 怒られなくなったら終わりというのはウソじゃないと思う。 楽になったんじゃない。職場のおミソになっただけなんだよ。 「俺は まだまだです」 自分の足で本屋を巡り、傷んだ本のカバーをかけ換える恵の方が、 ずっと仕事の意味をわかってた。でも、ウッチーもこれで一つ成長。 △
第6話 Bright side of life(前編)2006/2/12
哀しい事もあるだろさ 苦しい事もあるだろさ だけど僕らはくじけない 泣くのはイヤだ 笑っちゃお 進め〜! OPが変更…ではなく。 モノクロームの画面の年代は1993年。 雨の中、千歳で営まれた井上三尉の葬儀で流れたのは彼が好きだった曲。 やがてカットインされる新聞記事が理由のわからない視聴者に語りだす。 パイロットが2名行方不明。うち1名死亡。事故原因の究明。自衛隊の安全管理。 ひょっこりひょうたん島 ひょっこりひょうたん島 ひょっこりひょうたん島〜♪ 「一宏〜、デザートは私のカ・ラ・ダ」 GWにブッチした実家への帰省を盆に果たす内田は、車椅子生活の父、 その怪我をした父の代わりに酒屋を切り盛りする母と3人家族らしい。 親父が脳梗塞ならリアルだったのに。酒屋じゃシャレにならんけどね。 同じく帰省中の恵は父親が獣医らしくて、生意気な高校生の妹がいる… ホントに世間では姉妹ってあんな会話してんの?私なら金もらっても妹とあんな話はしないね そして二人は倉敷デート。いや、ちょ、そこでのUターンは絶対無… あ〜あ〜、やっちゃった。「ホントに大丈夫じゃっちゃ」じゃないね恵さん。 その頃、本郷は千歳の井上三尉の家で線香をあげていた。 思い出す事も少なくなったと呟くのは、12年前、幼い息子を抱いていた妻。 私は思い出します…本郷は言う。救難隊が自分を見つけてくれない、 ロープが切れる、そして結局助からない…本郷がそんな壮絶な悪夢に 苛まれ続けていたのかと、むしろこっちの方が衝撃を受けてしまった。 前回、本郷の家の冷蔵庫に貼られていた葉書の住所は千歳。 行方不明になったもう1人…助かったパイロットは本郷だったのだ。 どうやら本郷の巻き込まれた事故はバード・ストライクだったようだ。 本郷には落ち度はない。それでも、現実は厳しい。 走らせていたバンのフロントグラスに鳥がぶつかった事に呆然とする本郷。 血まみれのスナージは対抗車線のトラックに潰されていく… この時、なぜ呆然としていたのか本郷の心境が後々にわかるこの演出の憎さ。 救難シーンで無駄な説明がないせいか、状況が日常会話で少しずつ明かされる。 救難隊はそもそも、遭難・ロストした自衛隊員の救難が主要な仕事であること、 内田たちパイロットに決まった機体はなく、むしろ整備の方が「機付」として 自分の機体を持つ事。そして本郷が94年、一尉時代に蒙った「F転」というのは ファイターからの転属のこと。有体に言えば当然「降格」の事らしい。 その一方で、本郷の操縦技術は日本でもトップ3に入ると評価されている事も… 「下に3メートル…ダメ。もっと下げて」 風の影響を考えてやれ…降下できず、結局コントロールを渡す体たらく。 熊田への強がりとは大違いで実力が伴わずダメ出しばかりの内田だけど、 一緒に乗ってる鈴木によれば、以前よりはずっとよくなったようだ。 「なんだ?」 本郷の背を見つていた内田にかけられた言葉、いい感じじゃなかった? 飲み会には出席だろ…今回の件が終わった後は皆と寛いで飲む本郷の姿が 見られるかな(宴会好きの自衛官の飲み会は壮絶らしいと聞いたけどな) 本郷について少しずつ知っていくけど、自衛隊を辞めようかとほのめかして 親を心配させたり、相変わらずファイターになれなかったコンプレックスは ふっ切れていないようだ。めぐみ曰く、ホントに「腰の定まらんヤツじゃなぁ」 しかしこの表現、当たりは柔らかいのに的確ですごくいいなぁ。 「おまえだけは見捨てたるわ」 基地に響くアラートはイーグルのレーダーロストを知らせるもの。 走り出す隊員。包み込む緊張。飛び立つヘリオス78とアルテミスにEDが被る。 くだらない嫉妬からシャレにならない言葉を同期にかけてしまった内田。 緊迫したストーリーに、果たして本郷の過去がどう絡んで来るのか。 毎回本当にいい仕事してくれるよなー、このスタッフも。 △
第7話 Bright side of life(後編)2006/2/19
生きてる 生きてる 生きてる 生きてる 生きてる … 荒れた海、暗い空、強い風…冷静に操縦桿を握る本郷の操縦だからこそ、 内田もメディックもあの荒天で落ち着いてサバイバーを探せるんだろう。 でなきゃ機体が不安定に揺れて探すどころじゃないと思う。 今はパイロットも矯正視力1.0以上と聞くけど、ああいう悪天候ではやっぱり 眼がいいに越した事はないんだろうね。裸眼視力条件は0.2以上らしいけど、 助けられる方だってコンタクトやメガネが破損したら救難ヘリが見えないよ。 視力のいい人はアレルギーのない人同様、貴重な財産だと思っていいよね。 もし機体の整備不良が原因だったら…いてもたってもいられないんだろう、 前回、めぐみに説明した「機付」が、どんよりした空をただ無言で見上げる。 一瞬の気の緩みが事故を引き起こす事は整備もパイロットも同じ。 航空機事故と聞くとすわ整備不良と思いがちだけど、彼ら整備員のことを深く 考えた事もなかった。彼らだって自分の仕事を一生懸命やってるに決まってる。 やがて見つかったのは、波間に浮かぶF-15の垂直尾翼。 それが示すもの、内田が基地に伝える事実は最悪の結果だった。 クシャッと潰された紙コップが悔しさとも怒りともつかない感情を示す。 整備の祈りは届かず、戦闘機は落ちた。あとは時間との勝負になる。 搭乗パイロットは新婚一年目の熊田三尉と、九州から父が小松に飛ぶ芹澤一尉。 この仕事だけは慣れないと言葉を濁す仕官の姿を見て事実を悟り、くず折れる 熊田の若い妻が痛々し過ぎる。自衛官ならこうした事故は当然想定すべきこと ではあるんだろうけど、そんな事言われたってねぇ…割り切れないよねぇ… 捜索開始から3時間が経過し、アルテミスが漂流者を発見する。 海の色を広範囲に染めるマーカーが投下され、メディックが果敢にダイヴする。 「レスキューです!」 けれど、その声はもう届かない。永遠に。 秒針の音だけが響く。第6航空団の控え室で待つ若い妻に、やはり何度も この仕事をしているのかもしれない女性自衛官が感情を押し殺し、事実を 述べる。芹澤一尉が、発見されました。残念ながら亡くなられていました。 虚空に左の腕を伸ばしたまま、何を掴もうとしたんだろう… 無言の時間が流れ、メディックの沈痛な気持ちだけが伝わる。 その後硬直が解かれ、無造作に寝かされた彼を見て父は言う。 「むごいもんですな…心臓は止まったっちゃ、時計は動きよる」 秒針の音が、実はもう動かない彼の腕時計のものだったという演出のにくさ。 「辛くても、あんまり落ち込んだらおえんよ」 真っ暗な海。打ち上げられる救難筒。向かってくるヘリ。 やがてサーチライトが自分を捉える…捜索は夜を徹し、軽食の準備が出来たと 呼びに来た内田に、自分と同じ機に乗っていて死んだ井上について本郷は語る。 「まだ23歳だった」 本郷にとって、内田がなぜ特別な存在だったのか。 甘ちゃんで頼りない事、元ファイター志望である事、人づき合いが苦手な事… もろもろあって放って置けないんだろうけど、何より内田も23歳なんだよね。 「熊田三尉!」 黒木は叫ぶ。大丈夫ですか?大丈夫だ… レスキューだって疲労が蓄積してるだろうに、白拍子も喜びのあまり叫ぶ。 「生きてるよ!」 そう、熊田は生きていた。ビールが飲みたい…首を痛めた時の痛みは 壮絶なものらしいけど、長い漂流で感覚が麻痺してたのかもしれない。 「小松に帰ったら俺が奢ります。思いっきり飲みましょう」 助けに来てくれた黒木が天使に見えたと言う熊田が無事に回復したら、 その酔いどれ天使と差し向かい、明るく笑いながら飲める日を祈りたい。 「生きていてくれた」 でも、決してそれだけが全てじゃない。 頚椎だけならまだしも、頚髄も損傷していた場合、損傷の位置によっては 四肢麻痺(完・不全)、知覚障害、体温調節障害、排泄障害などを併発する。 筋力回復と生活リハビリを含めたって、社会復帰には相当かかるだろう。 仕事はADLの自立が出来れば可能だけど、自衛隊って受傷後数年所属させて 退職金上乗せ後、退役するパターンが多いはず。現実は容赦なくそそり立つ。 新婚一年目のあの奥さんはこれから本当に大変だ。 ポジティブに行きましょう…死より辛い生も確かにあるけど、 死んだらもう味わえない楽しみも幸せもたくさんあるもんね。 「内田…もし俺が事故ったら…その、よろしく頼むわ」 小坂は救難の大切さを知り、内田に謙虚に言う。 くだらない嫉妬で、言ってはならない事を言った事を内田も知ったはず。 やめようと、逃げようと考えていた事を、内田は父への電話で打ち消す。 歩けなくなっても、夫婦で頑張ってる人がすぐ身近にいるじゃないか。 本郷が内田とのデュエットに選んだ歌は「ひょっこりひょうたん島」 運昇さん歌うまいな!最初は乗り気じゃない内田も本郷が真面目に歌うので リキを入れたり。やがて全員で合唱し、EDに突入していくのはズル過ぎる。 前編はOP、後編はEDにひょっこりとは。ホントにひょっこりにやられたよ。 今回は正直、ぎょっとするようなセリフも飛び出した。 そんな事を今言う必要はないと憤る人もいるかもしれない。 そういう空気じゃないと眉を潜める人もいるかもしれない。 でもこれはリアルとフィクションの絶妙なミキシングであると きちんとわかっていれば十分楽しめると思う。 めぐみに送られたメールや白拍子の6勝目も印象深かったけど、熊田の妻に 悲報を伝えていた女性自衛官が、彼の生存を伝える時、それまで伏せていた 顔を初めて笑顔として見せた演出が実に秀逸だと思った。にくたらしいぜ! △
第8話 少年の旅路(前編)2006/2/26
「2回戦止まりじゃないッスかー?」 「何の話ですか!」 違うぞキサマら!大事なのは数より質だホント、何の話ですか? モールトンが登山に向いてないのか、単に内田に体力がないのか… メディックの体力がすごいことは認めるから休ませてくれという内田と、 出発してまだ3時間なのに?と懇願を却下する鈴木は、温泉と紅葉狩りの 下見に「ミドリ山」に登ってきたらしい。どこでも下っ端は辛いよ。 今回の「少年」は吉岡悟という高校生。髪型や顔が内田に似てるのはこの作品の キャラデザの特徴なので仕方がない。学ランを着てるのでそれで判断できるし。 悟はボリュームを最大にして人の話を聞くことを拒否る音楽を手放さない。 CDショップでCDを万引きし、学校への通報、親への連絡を経て、今回は窃盗罪に ならなかったけど、万引きは立派な犯罪なのでもっとうまくやれやめましょう。 「自衛隊だって人の子よ!」 そもそも仕事でも日常でも抑圧されてる人ほどハメを外すよね。 ハンドル握ると人が変わる、酒を飲むと本音が言える、2人になれば喋りだす… 努力不足だな。自分をちゃんとコントロールできてないだけじゃないか。 社会生活を営むならソーシャルスキルは高いに越した事はない。 ビールかっ喰らってご機嫌の鈴木は悟を誘い、一緒にミドリ山に登ることに なるけど、少年はママチャリ、内田はヘバってるので2人はロープウェイを 使って頂上に向かう。それでもチャリの鈴木の方が早そうなんだけどね。 モールトンが折りたたみできて持ち運べる事も何か伏線になるんだろうか。 人付き合いのヘタクソな内田は能天気な鈴木のようには少年を受け入れられず、 ストレートに学校は、親は、どうしてこんなところに?と聞いて反発される。 ロープウェイに乗り込んだのは老夫婦、ヤンキーのカップル、そして少年が 食堂で見た、子供のご機嫌をとる父親と、父親に買ってもらったミニカーを ゴミ箱に投げ捨てる男の子、そして彼を腫れ物に触るように子供を扱う母親。 やけにギスギスした親子だと思ってたら、この子の母親は離婚して出て行き、 父が再婚した?新しい母親になつけずにふてくされてるという事だったみたい。 私は最初、この親子はこれから山の中で一家心中する気なんじゃないかと 思ってた。その異常な雰囲気を読み取って子供が反発してるのかなと。 すいません、つまらないアホなドラマを考えてしまいました。 悟がこの家族を気にしてるのは、自分が父1人子1人だからだろう。 彼の母親は亡くなってしまったらしい。まだよく事情はわからないけど、 万引きをしたり学校をサボってこんなところにいるのは、どうやら部活を やめさせられた事が原因…なのかなぁ?だったらちょっと安直過ぎるかな。 いっぱしに正義漢も強いのか、こんな狭い空間で、携帯にデカい声で おしゃべりを続けているヤンキーにガンたれ、逆にビビらされる悟。 「やめてもらえませんか。迷惑ですから」 理不尽な暴力を恐れなくて済むように、暴力をよく「知る」事は大事だよな。 内田は決して武闘派には見えないけど、それでも訓練を積んだ自衛隊員なので 対処ができるからこそ…いや、やっぱただの負けん気のような気もするけど。 さぁレスキューもののお約束といえば「主人公が当事者になる」って事で やがてロープウェイに異変が起き、ゴンドラが宙吊り状態で止まってしまう。 こういう時の為にやっぱりイベント前にトイレに行っておくことは大事だよね。 命を失わなくても人生においてとてつもなく大切なものを失わないためにも。 ロープを掴むアームの不完全握着により、ゴンドラは片輪で支えられている 不安定な状態にある上に、緊張感を高める為にいい感じで風も出てきた! 異変に気づいた鈴木も警官、消防官が現場を仕切る対策本部に向かう。 頂上まであと100mなんだから動かせという意見には吹いた。豪気な論だな。 結局は上空からの救難に決まるも、風速は15メートル、消防レスキューの 小型ヘリではホバリング待機もままならない、小松に連絡をと進言する鈴木。 とはいえ飛び入りの特別国家公務員が口出しするな!と地方公務員に怒られ、 ここはまず実力差を思い知らせる為にオレンジに出動してもらわねばならん。 オレンジが主役ならこれで助かるんだけど、それにしても急な突風に あおられてブラーンとなって離脱するオレンジには泣いた。立つ瀬ナシ。 いよいよ本郷たちが出動か…と思ったら、鈴木から事情を聞いた内田が ゴンドラ内の緊急用避難装置を見つけ、それで地上に降下することを宣言。 どうやら救難隊出動前にまずはやれる事をやってみるって事になるようだ。 携帯がない時代はこういう事態になっても事情がわからなくて大変だった。 これまで頑として持たなかった内田もまたまためぐみに感謝だな。 しかし内田みたいに落ち着いて事態を把握する自衛隊員なんかがこんなピンチに いたら、妙齢の女性は皆惚れちゃうよね絶対。まさに吊橋効果ってヤツですよ。 だからこそやはり危険そうな場所に行く前にトイレは行っておくべきだ!まだ言うか △
第9話 少年の旅路(後編)2006/3/5
「おっかないのが来たぞ」 「ギリギリだな…内田を飛び降りさせて軽くするか」 内田の言葉には春にはなかった信頼感が垣間見えるし、難しい接近なのに 本郷から冗談が飛び出すのはそこに内田がいるからだろう。半年以上を経て 2人の間に確固とした信頼関係が築かれた事を物語ってるフレーズだよなぁ。 そしてゆっくり機体の78が見えてくるのは、ヘタなロボット物より見せる。 ゴンドラに閉じ込められて2時間。恐れていた事が起きてしまいました。 「オシッコ」 これだよ、これ。これが一番怖いんだよ。 今回はそのために男の子だったし(なるほど女の子じゃないわけだ)、時間も短かったけど もしも10時間も閉じ込められたら人間誰でもピンチになるよね。 だからTVで「ゴンドラ宙吊り」や「観覧車止まる」のニュースを見るたびに その中での世にも恐ろしい人間ドラマを思うと身がすくむんだよなぁ。 「家出か?家出だろ」 いいじゃんか、もう。こんな事態になれば子供なら誰だって親の事思うよ。 内田もうるさいパパになりそうだな。しかも本郷も顔負けの子煩悩でね。 まず脱出するのは子供と母親。 おうちに帰ったら、ホントのお母さんに会いに行こうか…子供のオシッコを 処分し、義理の母は言う。でも義理の母に抱かれて降りようとする子供は 直前でパニックになる。お父さんがいい、お父さんと一緒じゃなきゃイヤだ… 悟は途方にくれる母親やなだめる父親の間に入り、彼が捨てたミニカーを渡す。 「大丈夫だよ。お父さんもすぐに降りていくから」 子供と女性が優先という事で次はばーちゃん、そして悟の番になった時、 ゴンドラは大きく傾いて緊急脱出装置も外れてしまう…っていうか、 あんなに簡単に外れるものなのかあれは!?うわ、絶対使いたくなーい! オレンジもダメ、自力脱出もダメとなれば満を持して小松レスキューの出番。 それにしてもここで挿入歌って!これまでは結構ハード路線できてたのに なんだかいきなりベタベタな演出になってガッカリ…しかけたんだけど、 どうもこれもある種演出の一部だったんじゃないかと思えるんだよね。 本郷たちが出動してきたらレスキューシーンはいつも通りになってたから。 「カーゴスリングで行くぞ」 対策本部に着いた広沢がまず聞いたのがゴンドラの総重量。 え…まさかゴンドラごと?実際あれは3.5tもあるわけで、そんな物を あんな頼りなさそうに見えるヘリで吊れるものなのかとビックリした。 カーゴスリングアクセスドアがオープンし(ようはヘリの底が抜けた)、 白拍子が屋根に接地してワイヤーを切り離し始める。ハードだなぁ… 「ビビってんだろ〜?」 自衛隊のヘリはすげーんだぞ。そんなゴンドラの1つや2つ吊り上げちまうんだ。 鈴木が悟に声をかけた通りに、プロ中のプロたちは迅速に冷静に仕事を進める。 ここで広沢の指示が入り、内田は衝撃に備えて自分の自転車を入れてる袋を 切り裂いて固定ベルトにするんだけど、同時に内田の経験の浅さが露呈する。 つまり、本当はさっきゴンドラが傾いた時点で全員にこれを施しておかなきゃ いけなかったわけだ。一つでも間違えば、それこそゴンドラの底から誰かが 落ちてもおかしくなかった事がわかる。皆全身を打ちつけて気を失うほどの 状態だったので、何もなかったのはフィクションだから運がよかったわけだ。 ガゴンと自重で落ちるゴンドラ。ヘリが揺れ、ホイストが軋む。 何が大事ってやっぱりバランスなんだろう。さしもの本郷の手元もぶれる。 今は落ち着いて書いてるけど、何しろレスキューシーンはリアリティが あるので結構ハラハラする。久保が絶対に動揺した声を出さないのも きっとメディックの鉄則なんだろう。やがてゆっくり離脱するヘリオス78。 歓声が上がるわけでも、駆け寄る人々がいるわけでもなく、ヘリはただ ゆっくり降下し、サバイバーを降ろし、基地へと帰投していっただけだ。 男の子が父親を待ってる間に母親とどんな会話をしたのかとか、悟の苛立ちは 解消されたのかとか、人間ドラマについてはちょっと描ききれてないと思う。 チンピラも何か役に立つのかと思ったけど単にうるさいBGMでしかなかった。 ただ、悟が内田やレスキューの仕事ぶりを「見ていた」という描写が きちんきちんとあったので、それだけでいいって事かなとも思う。 現実もきっとこんなものなんだろうしね。この時は自衛隊はすごいと思っても、 日々の記憶が積み重なればアクシデントもやがて思い出になり、色褪せていく。 そもそも人前で抱き締めあったり、名前を叫んだり、泣き喚くなんてことは 我ら意地っ張り誇り高き大和民族はそうそう簡単に安売りしないもんな。 悟が見たのはスーツ姿にちんばのサンダルを履いて駆けつけた父親。 会話は何もなく、野球のニュースを見ながら2人は黙ってラーメンをすする。 そんな平凡な日常の中に命のやり取りがあった、ただそれだけの一日。 △
第10話 パーティー2006/3/12
シーズン的にクリスマス「パーティー」かと思わせておいて、 実は本郷一家との「鍋パーティー」なのかと思わせ、そして 最後には冬山登山「パーティー」という3段落ちだった。 3つの「パーティー」の話が同時進行して行く最終話への導入部分。 ついこの間年が明けたと思ったのにもう1クール終了か。いや〜、早いわ。 クリスマスシーズンに決算を迎える書誌西瓜堂の毎年の憂鬱は返品された 本の断裁手配。作られても誰も読まない、売れない本。 7割の返品率が高いのか低いのかわからないけど、それ以上に感心したのは このあたりの取材もきっちりこなされてる事。レスキューには関係ないのに、 こういう丁寧な裏づけがあるとドラマに更に信憑性ができてくる。 「意欲は買うよ。でもとんだ勇み足だ」 古本屋に当たって、断裁する本を買い取って貰おうと張り切るめぐみ。 でもそれは素人の私が聞いても、えっ?それはいくらなんでもちょっと…と 思ったら案の定。売れない本を作ってる会社なんてモロバレじゃヤバいでしょ。 「出来る事は我々もやってきた」 宣伝もフェアも、コストや利益が絡まなければできないもの。 シビアに断裁手続きをしてるように見えても、本については熱く語る 編集長も本が好きとわかる描写はよかったな。それにいい上司だよね。 めぐみの青臭い頑張りを潰さないように、でも現実を説明してくれて。 タッチ・アンド・ゴーもサマになってきたわね。 助けられる側になってみて、わかった事もあるんじゃないですか? その頃、真摯に訓練に向かう内田もまた8ヶ月間上官として つきあってきた本郷の家に招待される。 「おいしい?」「おいしいよ」 そうだよね、まずはお茶を煎れてくれた人に感謝を示さなきゃいけないよね。 「それ、毒入りだよ」 コラー! あつ子の悪さにつきあって苦しむフリをする内田。毒は入ってないけど お薬が入ってるのって言ってたぞ?まさかそれももちろん冗談だよね? 「可愛いですね」「母親似だ」 ホント、本郷の奥さん若くて綺麗だよなぁ。 部下を家に呼ぶのは嫁さん自慢も兼ねてるわけだ。 そしてすっかり家庭の温かさに癒された内田は、家族っていいですねと はまりがちな人生のトラップに足をかける。張り合いがあるんじゃないですか? 「逆だ」 冷たくもなく、否定するわけでもなく、本郷は言う。 自分がいつどうなるかわからない…その不安はいつもつきまとう。 要救助者が自分と同じような境遇にいると、判断も難しい。 本郷はうるま島でのあの時、島に引き返そうとした。 内田は海自の船に補給を受けましょうと言った。 けれど一歩間違えばパーティーは全滅の可能性があった… 結果的にあの子は死んでしまったが、救難隊は無事だった。 けれど、今でもあの判断が正しかったのかわからない。 「難しいところだ」 最後のミッションを迎える前に、「はじめての仕事」を振り返る… フィクションとしての構成に実に隙がない。めぐみも内田も仕事に慣れ、 危なっかしさは減ってきた。けれど慣れれば今度はモチベーションの維持が とても難しくなってくる。ルーティンワーク、トラブル対処、そして諦観… ちょうどそんな葛藤が始まった時期に、結婚や将来を考える事になるのも また人生だよなぁ。二人とも自己実現と将来設計の軋轢に悩む事になりそう。 山ではすっかり部員が少なくなったと嘆く山岳部が冬山踏破中。 ペーペーの武田の体力のなさにあわせた代償は天候の悪化。 体力を奪い、疲労が判断力と反射神経を鈍らせてやがて滑落。 あのスピードで落ちて、もし運悪く真下に岩でもあったら…! ぞっとし過ぎて寒い!画面が冬山だからじゃなくて寒いよ! 命はとりとめても、武田の足はねじくれてまるで「ジョジョの奇妙な冒険」 部員二人に稜線に出て救助を呼び、天候が悪化するようなら山小屋へ戻るよう 指示したのは当然部長だろう。冷えていく武田を抱き、部長は呟く。 大丈夫だ…助かる…大丈夫だ… 低気圧が二つ。小松でも荒れ始めた空を見上げる内田。 相変わらず先が気になる終わり方。もうじき終わりなんて寂しいなぁ。 △
第11話 ビバーク2006/3/19
「内田、おまえはいつもどんな眼で空を見てる?ヘリパイの眼で見ているか?」 絶望的状況に置き去られている要救助者を前に離脱するヘリオス78。 一分一秒でも早く助けなければならないのに、あと少しなのに近づけない。 第3話の引き返すか否かの決断は、単に初心を思い出すためなのかと思ってたら とんでもない。その決断を自問自答し続ける本郷に、再度突きつけられた天秤。 引くか、行くか。 稜線に出て電波を捉えた工藤たちは110に連絡。あ〜もう、所轄に回す時間も 惜しいってのに…これがお役所仕事。とにかく事情を聞き取りながら録音して 所轄に回すとか、通信の最先端技術(どういうものがあるのかはよく知らんけど)をまずこういう ところに使うとか、とにかく絶対に抜本的改革をやろうとはしないんだよなぁ 公務員は。ま、すぐに「税金の無駄」とかいう国民も国民だけどどっちもどっちだ この寒さではバッテリーも消耗するし、通信はこの一回限り。 工藤たちは山小屋に戻る選択をし、恒松と武田とは別行動になる。 山登りには縁がないので、山岳警備隊や所轄の警察署がどういう体制で遭難者を 救護するのかわからないけど、悪天候の中でも救難ヘリはすぐに飛んできた。 つまり工藤たちが山小屋にたどり着いていれば、助かった事は間違いない。 (あの悪天候での救助は無理でも、とりあえず寒さは凌げたはず)けれど事態は甘くはなかった。 ホワイトアウトに近い吹雪で二人は道を見失い、山小屋にはたどり着けない。 眼の前で去っていくヘリ。いやぁ…あんな絶望感はないね… 時間ばっかりが過ぎていくのが見ててもう歯がゆくて辛くて。 武田を寝袋に入れ、テントの中でビバークする恒松たちにも着々と死への カウントダウンは始まってる。虚ろな眼。どす黒い顔色。耳から流れる血。 繰り返されるうわごとは松本行きあずさのチケットを買おうとしてるのか… まつもとまで よにん ちけっと おねがいします ちけっと よにん まつもと… こういう時の一騎の声は怖いんだって。石井さんの虚ろ声めっちゃ怖い。 東京の恒松の家に連絡が入り、安曇野署に集まった家族から、恒松の父母に 向けられる刺すような視線が…同じじゃん…リーダーだって条件は同じだよ。 この様子じゃ、恒松だけが生きて帰っても…人の感情ほど難しいものはない。 「もう………ダメだ」 やがて、テントの中で命が消える。本当にふっと。何の劇的なこともなく。 そしてテントのない二人もまた、静かに死を迎える。武田の見開かれた眼は 恒松によって閉じられたけれど、吹雪の中、ランタンの淡い光を凝視し続けた 工藤たちの眼は、もはや何も映し出さなくなっても閉じられてはいなかった。 人間が人間を殺すのと違って、自然は彼らを殺そうとなんかしていない。 彼らの存在など低気圧にはなんの意味もない。山にはなんの関係もない。 「要救助者を見つけ出し、助け出す事だ」 生死を詮索する事じゃない…ヘリパイとしての本郷の空は常に小さな突破口。 僅かでも降りられる空地、ホバリングできる空間があれば、空に道ができる。 Aパート最初の気象状況説明と救助計画のブリーフィングはBパートに連結。 Aパートは雪山では緊迫していたものの、めぐみの仕事が差し挟まったり、 内田サイドはややノンビリしてたんだけど、Bパートに入ると張り詰めた。 今日(2006/3/20)は奇しくも八ヶ岳連峰阿弥陀岳で3人の遭難者が死亡。 これは茅野署が救助に出ただけで自衛隊までは連絡が来なかったけど、 自衛隊って県知事からの要請で動くのか。知らなかった…無知でスマン。 もう一機のヘリオス52が見つけたのは要救助者二名。 彼らはテントを持っていない。残り二名はビバークしている可能性がある。 テントを持たずに、視界すらままならないこの吹雪の中で見つけられた彼らが どんな状態かは聞かなくてもわかる。けれどヘリオス78に任された残る2人は 命綱のテントを持っているのだ。一縷の望みがある。生きているかもしれない。 内田の眼に一瞬、翻る布が映ったその時。 膝を抱えて寒さに耐えていた恒松が顔を上げたその時。 燦々と照りつけるライト。力強く廻るプロペラ。頼もしい機体。 ホイストを下げ、メディックが降りてくる。助かる。帰れる…生きられる。 そう思ってたのはテレビの前で安全にぬくぬくしてる私だけだ。 恒松は手を振るでもなく、叫ぶでもなく、もちろん喜ぶわけでもない。 ただただ茫然とした姿が、いかに彼が絶望の中にいたかわかる演出がうまい。 ブリーフィングでは風速35ノットって言ってたよな? 平地での安全着地風速は13ノットだってよ。この悪条件で35ノット… それをあそこまで耐えた本郷の腕がどこまですごいんだって事だ。 キャビンからコクピットへ…コクピット…本郷三佐!…本郷さん!! これまで、どんな時でもあれだけ冷静だった安田が叫ぶ。 本郷を呼ぶ声が変わっていく事が、最悪の事態への流れを物語っていて。 引きずられる久保もめちゃくちゃ危ない。ワイヤーに火花が出る速度だぜ。 よく怪我もせず…いや、もしかして肋骨くらいは折ってるのかもしれない。 さしもの本郷にも機体を立て直せない。よしんば立て直しても救助は無理だ。 アルテミス17からも帰投を命ずるコール。それでももう一回降ろしてくれと 久保が頼むのは、要救助者を見てしまったから。あそこにいる。生きてる… 「離脱する」 内田と久保たち4人の命を預かる本郷に突きつけられた天秤は傾く。 一瞬、全員の目に映るサバイバー。恒松の眼に映るのは身を翻すヘリ。 微かな蜘蛛の糸を見てしまった分、恒松もこれから辛い夜が待ってるなぁ。 寝袋を使うのは抵抗ないだろうけど、防寒の為に武田の上着を剥ぐかどうか… 選ばれたのは生か、それとも死か。 次回、本当に本当に惜しいけれども最終回。 △
最終話 レスキュー2006/3/26
「『俺の空は まだよみがえらん』言うんは、どういう意味?」 気温はマイナス15度。体感温度はマイナス25度以上になる… ハバロフスクで越冬した人曰く、寒さを防ぐもっともいい防寒具はやはり何を おいても毛皮なんだとか。もっともダメなのは科学繊維。あれは凍るらしい。 犬ぞりを使って極点踏破したアムンゼンはイヌイットに倣ってアザラシなどの 毛皮を着、極点争いに敗れて遭難死したスコットは牛皮製の防寒具だったとか。 最近南極物語を見たので寒さには詳しいぞ!ホント、こういう知識ってどうでもいいですね! 「あのバカタレが生きて帰れるように」 ただ祈るしかない…心配がやりきれない怒りに変わる父。 申し訳ないと思いながら、我が子の無事を祈らずにはいられない母。 同じ頃、岡山では彼を助けようとする息子を心配するもう一組の老夫婦がいる。 一宏、アラームなんじゃろうか…そうね、無意識に止めないように2台はセット… って、ちがーう!ちなみに私は3台セットしてます。マジです。毎朝死に物狂いです 発見された遺体はヘリオス52によって運ばれ、白く冷たい世界とは違って、 気温は暖かいけれど、どす黒いゴシップと醜い好奇心だらけの下界は騒然。 いや〜、しかしやっぱりこの作品は質がいい。 前回があれだけドラマティックだったのに、今回はむしろかなりトーンを 抑えて淡白すぎるほど淡々としてる。失敗したこと…レスキューにとって、 目前まで行ったのに引き返さなければならないこと、しかも残してきた サバイバーは1分1秒単位で死に向かっているとなればいたたまれないだろう。 でも彼らは何をすべきか知っている。だから無駄口は叩かない。 階級は下とはいえ先輩の白拍子に黒星を減らすときっぱり宣言する内田。 整備班も松本に向かい、ヘリオスの整備は万全。もう一度この手にチャンスを! 内田ももう、うるま島のように状況判断より感情を優先させたりはしない。 本郷が「あの時の判断がよかったのかどうか…今も迷ってる」と言ったのは、 一瞬の判断ミスが全てを決めるからだということが、我々にもいつの間にか わかっている。あの時は明らかに「運がよかった」だけだ。判断は常に その場で迅速に行わなければならない。本郷の判断は間違いじゃない。 今回は二次災害のリスクがあまりにも高すぎた。 「行くぞ!」 メディックは荷物を担ぎ、パイロットはメットを被り、再びのアタック。 アルテミスの飛ぶ雲の向こうと、ヘリオスの飛ぶ荒れ狂う空のなんという違い! やっぱりどこから宇宙かって境ははっきりしてないのかな?ねぇ、ユーリ。 今回降下したのは黒木。けれどアイスバーンはアイゼンを拒絶し、 黒木はワイヤーをつけたままとはいえ滑落寸前。危ないよぅ…それでも ようやくたどり着いたテントの中には凍えきった恒松が膝を抱えていた。 要救助者、発見。生存を確認。 気は抜けない。けれどどれほどほっとしたろう…心ならずも見捨てた彼が、 たった一人、この極寒の地でまだ命を繋いでくれていた。待っていてくれた… けれど、恒松は救助を始めようとした黒木の腕を掴む。武田を…仲間を先に乗せてください… 思いがけない申し出に黒木は優先順位を断言する。当然だ。ありえない。あいつを先に乗せてください 「君の仲間はもう死んでる。君が先だ」俺はどうなってもいいんです…あいつを乗せてください… 凍傷で足も手もヤバい上に、体力も限界のはず。けれど恒松は言うのだ。 体内に残るわずかな水分を、涙にかえて。 年若い後輩をむざむざ死なせてしまったという後悔と罪の意識。 そして彼はまだ知らない。残る2人も既にこの世にはいないことを。 彼らがここに来たのはどうなってもいい命のためではない。 死体は凍っている。もう武田は寒がりはしない。苦しみもしない。 それでも最期を看取った恒松には、ここに彼を一人で残していくなんて いたたまれないんだろう。黒木は約束する。君の仲間も必ず乗せると。 実際、よほどの回収困難がない限り、発見した遺体を置いていくわけには いかないだろう。しかしその「よほどの困難」がヘリオス78を襲う。 「落石です!」 落ちてきた石。破損するフロントグラス。一瞬ぶれるコントロール。 揺らぐ機体。必死に操縦桿を握る手に、ポツッと落ちる血… 大丈夫だ。取り乱すな…顔色を変えた内田に本郷は言う。 「ユー・ハブ・コントロール」 鬼軍曹がペーペーにコントロールを譲る…それは本当のアラート。 「内田…おまえは…」 かなりのダメージなのか弱気になったのか、もしかしてさしもの本郷も おまえなら大丈夫、やれる、自信を持てとか言うのかなと思ったら、 「本当に操縦がヘタクソだなぁ…」 と言ったので、思わずくくっ…と笑いをこらえてしまったよ。 死にそうになっても一刺しは忘れない。さすがだよ鬼軍曹。 死の淵から戻っても、恒松本人も家族も無責任な非難の嵐に晒される。 内田はワイドショーのスイッチを切り、本郷もまたミュートで画面を 見てるだけ。報道の真の姿勢を貫いて取材に基づいた事実を伝えるなら まだしも、本当に勝手なことばかりを垂れ流すマスコミにはうんざりだ。 生き残った事を…後悔しているような涙でした… 彼は泣いていました。それを見たのは、俺たちだけなんですよね。 気にすべきは救助者の生死ではなく、まして救助者の善悪でもない。 まだまだ修羅場経験の浅い内田に、俺がF転だった事は知ってるかと語る本郷。 あの頃、俺は空に拒絶されていると思っていた。 もう自分には飛べる空がない…俺はまるで死んでるようだった。 でも、ある時、本当は自分が空を拒絶してると気づいた。 だから俺は自分を憐れむのをやめた。空を恨むのをやめたんだ。 空は何も拒まず、何も受け入れなどしない。ただそこにあるだけだ。 100回やって、100回成功するようになります! だから、また怒鳴られる日を待ってます…ムカつくけど尊敬に値すべき 上官に、負けん気の強い可愛げのない部下からの精一杯のリスペクト。 めぐみはジャッキーの挿絵というアイディアを形にし、吉岡少年は失った 夢に代わり、メディックを目指すという新たな目標を持って歩き出した。 そしてここでなんと、ライ麦畑の「キャッチャー」の伏線も回収された! なら、向いてるよ、きっと。ボールの代わりに、人間を受け止めるんだ… 本郷には中途半端にしか見えない若造も、後進から見れば眩しく輝く大人。 まだ春は遠いけれど、内田は小松の街を駆け抜ける。 ファイターにすらなれなかった自分にも、本郷のように生き返れる時が 来るんだろうか…内田にはまだ救難はただの「仕事」でしかない。 よくわからない。自分にヘリパイが向いているのかということは。 けれどあの春の日、不満の塊のようだった内田よりは少しだけ前進した。 だから、少しだけ思う。希望はまだ見えないけれど、愛する人に伝えてみる。 いつの日か、内田の空はよみがえるだろうか。 タイトルの「よみがえる」の意味がこれだったとは! 全く、最後の最後までやってくれる。 公式がオープンする前からずっと期待していたのだが、期待通りの名作だった。 世間が萌えとハーレムとエロアニメに傾く中、こういった社会派のアニメを 作ろうとする人たちがいる事が本当に嬉しい。今期は映像では「蟲師」が 突き抜けたが、物語の作りで突き抜けたのは「よみ空」だったなぁと思う。 それにしてもわずか1クールでここまでの完成度を見せるとは。 2話、3話構成の物語の合間にインターバルを入れ、バランスもよかった。 キャラデザがリアル感ゆえに見分けがつきづらいこと、人物の動画には やや不安定さがあったこと以外は特に気になる問題点は見当たらなかった。 背景と機体のリアルさは素晴らしかった。今回も帰投したヘリオス78が 着陸する時の重量感や、レスキューがヘリに向かうシーンの緊迫感、 凍った武田の顎のつらら、前回の吹雪によるホワイトアウトなど、 臨場感たっぷりだった。かなり詰め込んでるのに全くそうは感じさせず、 賞味わずか22分の内容の濃さが倍ぐらいの時間に思わせる。 爽やかなOP、熱血バラードのEDのギャップ。OPとEDがひょっこりひょうたん島 の回は本当にしてやられた演出だった。終わってしまった事が残念でたまらん。 めぐみとの遠距離恋愛や、吉岡が高校を出てメディックとして入ってくるとか、 今後も数多く訪れるであろう現場での内田への試練など、続編も作れそうな 状況だけど…でもスパッとやめるのもまた英断かなぁと思うし基本的に続編は嫌い でももし続編があるとしたら、航空自衛隊が出動するようなレスキューは 山火事とか山中への民間機墜落事故、超高層ビル火災などかなぁ… うん、本当に良作だった。 これをリアルと取ればご都合主義と批判する人もいるだろうけど、あくまで フィクションなんだから、リアルに迫ってはいるけど履き違えないで欲しい。 そのフィクションとしての起承転結もしっかりしていて、事件の起こし方も スタッフに吟味されてるなぁと。3ヶ月、どの話も本当に楽しませてもらった。 監督初めスタッフ、キャストの皆さん、本当にお疲れ様でした。 制作者の意気込みが強く感じられる、実によい作品でした。 泣いたり笑ったり、本当に面白かったです。ありがとうございました。 △
第13話 最後の仕事2006/9/17 視聴感想・トップ
「助かったんだ!あんたは助かったんだ!」 かつて、冷たい海で絶望的に漂う本郷を救ってくれたメディックがいた。 物語は時を遡って2003年2月13日。これはよみがえる空の主人公である 内田一宏三尉が、恐らくはまだパイロットですらない頃の物語だ。 今回の主役は本村太一郎。2005年現在は庶務総括の職にある准尉だ。 毎朝の日課である小松と家を結ぶランニングタイムは日に日に落ち、 体力の限界を感じ始めた本村のもとに、鈴木空士長が配属されてくる。 普段は穏やかで寡黙でありながら、こと任務となると誰よりも厳しい本村に 憧れて救難を志願した鈴木にとって、この配属の喜びはひとしおだったようだ。 私は幸運にもこれまで上司には恵まれてきたけれど(後で聞いたところによると 上司の方がストレスを感じてたこともあったらしいのだが)上の人がいいと上司の為に 頑張ろうと本当に思えるものだよな(私の場合それが迷惑だったのかもしれんが…) そんな思いを抱いて娘を嫁に出したその日、本村は本郷に決心を打ち明ける。 本郷さんはまだまだ大丈夫だ…けれどそう言われた本郷もまた表情を曇らせる。 「そうか…ファイターだったら、そろそろ後進に道を譲る頃か…」 まさか名作「Bright Side of Life」で明かされた本郷の過去に出てくる、 嵐の海で救いの神に見えたあのヘリに乗っていたのが本村だったとは… そして、その本村があの時本郷と内田が助けたものの、既に事切れていた 芹沢一尉の父…鹿児島から駆けつけ、息子の心臓は止まっても、時計だけは 動いてるとはむごいものと呟いた父親にその死を告げたあの人だったとは… 平成の世だというのに、まるで時が止まったような日本家屋で、夫婦が 何も喋らずにただ茶の間で座っている。妻が見ているのはアルバム。 それをめくる音と、柱時計の音が交差し、やがて本村が口を開く。 「小松に…墓を買うか」 結婚式では定番の新郎新婦の過去を振り返るスライドの中に、家族揃って写る 写真があったんだけど、写っていたのは本村、妻、娘の夏美、そしてもう1人。 なんで姉の結婚式なのに、あの学ランを着てる弟がいないんだ? いやいや…まさかなぁと思ってたら、やっぱりそうだった。 事故なのか病気なのかは一切語られなかったのでわからないけれど、 息子の翔太は若くして亡くなり、既にこの世の人ではなかった。 「正直、私はほっとしています」 村上二佐に救難からの配置転換を願い出た本村に、妻は言う。 心配しないわけがないのに、メディックという激務が本村の生きがいだと 十分知ってるからこそ、決して口には出せなかった言葉なんだろう。 毎朝走って出勤する夫を見送ると、カレンダーにナナメの線をいれ、 無事に返ってくるともう一本ナナメの線を入れることでその日は終わる。 カレンダーには土日以外きれいに×印が並び、夕方、もう一本の斜線を 書き入れる瞬間まで、待ち続ける彼女の気が休まることなどないとわかる。 相変わらず憎たらしいほど細やかな演出こそが「よみ空」らしさ。 本村の厳しい指導を受けて一日も早く一人前になろうと頑張ってきた鈴木は、 納得がいかないながらも、自分が一人前になるまで見届けて欲しいと告げる。 う〜ん、喚いたり納得できないと自分勝手な言い分を騒ぐかと思ったけど、 やっぱり内田に比べたら全然大人だね、鈴木も。内田なんか慣れてきた今、 本郷が辞めるなんて言おうものならえらい動揺してテンパるよね、絶対。 そして静かだった基地に救難のアラートがかかる。 二本松や西田たちの敬礼に見送られ、本郷が操縦するヘリオス78はフェリーの 急病人を救助に向かう。ホイストを下げ、降下する役を買って出たのは本村。 最後の仕事は、決して難しすぎるレスキューでも、劇的だったわけでもない。 けれど確実に正確にこなされた仕事は成功し、それによって男の子は助かり、 苦しむ我が子をただ見守るしかできなかった両親もさぞや安心したことだろう。 そしていつもより帰りの遅い夫が帰って来た時、待ち続けていた妻もまた。 妻が陰干ししてくれていた制服に身を包み、現場から総務・庶務という縁の下で 支える仕事に就いた本村。少し寂しそうに、でも笑顔で見つめる鈴木がいいね。 けれどその本村が、なんだか泣いてたような気がすると黒木が言う。 やっぱり感傷的になるんだろうかと白拍子は言い、鈴木も少し心配そうだ。 久保は、娘の結婚式でも泣かなかったのにそんなわけないだろうと否定する。 フェリーで助けた男の子からの手紙を読んで、もし本村が泣いていたとしたら… けれど久保も白拍子も間違いなのだ。本村の気持ちは誰にもわからない。 その子の名が死んだ息子と同じだったなんて知る必要もないことなのだ。 1クールで話もだれず、きっちり完結したことで十分満足したはずなのに、 それでももう1シリーズ見てみたいと欲をかくのは質の高い作品である証拠。 本郷のエピソード、本村が何者であるかに気づいた時の物語の連続性の復活、 そして鈴木という過去と現在、未来を繋ぐキャラクターの使い方のうまさ。 相変わらず派手な見せ場も大袈裟な演出もないのに、その分実に沁みてくる。 久々に聞く懐かしいEDがかぶり、小松の時が移っていく。 娘夫婦には子供が生まれ、すっかり孫に夢中の本村はただの爺馬鹿。 職場では50の手習いとばかりにパソコンに奮起し、やがて2005年の春が来る。 「三等空尉、内田一宏」 それは若く、まだ力弱い翼。 「本日をもって航空救難団小松救難隊に配属を命ぜられました」 けれどそれはいずれ、あの空を超えて遠くへと向かうのだろう。 本村がメディックとして空を翔けることはもう二度とない。 彼の旅は終わり、翼はたたまれ、大地に身を置いて新たな人生を歩む。 次々とやってくる若く危なっかしいヒヨッ子が1人立ちする姿を見ながら。 そして本村の空もきっと、新しい翼が羽ばたいていくたびによみがえるのだろう。 △