妄想代理人

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妄想代理人

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第1話 少年バット参上
2006/12/18

「ただいま」
ヒットキャラクター「まろみ」の産みの親である天然フシギちゃん鷺月子。
なんつーかもう、月子を見ててイライラする猪狩の気持ちはよくわかる。
能登がまた能登らしいから余計にフシギちゃん全開。
打っても響かない、またはてんで見当違いのところで鳴る人とはつきあえん。

次のキャラクターのアイディアに悩まされていた月子が駐車場で襲われ、
謎の通り魔「少年バット」事件が世間を震撼させる。くの字に折れた
バットを持った犯人は野球帽にローラーブレードを履いた小学生…?

しかしホームレスのばーさんとか闇が迫ってくる様子とかキモかったなぁ。
彼女を追い回していたフリーライターの川津の物真似喋りが笑えた。
いや全部各声優がやってるから物真似じゃないんだけどさ。

動き出したまろみちゃんとお喋りする月子、川津が人身事故で
入院費を払わなきゃいけないじーさんが何やらすごそうな数式を
駐車場に書いていた事など、断片的に謎がちりばめられている。

川津にしつこく追い回され、追い詰められた月子を救うかのような
少年バットの出現。ピンチを救う救世主か、それともただの犯罪者か。

今作品といえば当然の神作画はもちろん健在。
というか恐ろしいまでのクォリティ。顔の表情の描き込みがまたすごい。
OPはある意味誰もが笑ってて抜けるような声で歌い上げてるんだけど、
それが逆になんとも病的で精神的にイヤ〜な感じなのが苦笑を誘う。
相変わらずちょっとイヤなところを引っかいてくれるよなぁ。

<妄想たる夢告>
「510」
鷺月子のルームナンバー。


第2話 黄色い靴
2006/12/18

「ずっと一緒にいたんでしょ?」「あの…大丈夫ですか?」
猪狩のマヌケぶりに吹き出した。まぁ月子は川津の事を聞いただけなんだけど。

今回は少年バットの疑いをかけられていじめられてしまう何でもNo1の優等生
優一ことイッチーの物語。まーこのガキがこれまた自己顕示欲の塊のやなガキ。
勉強も運動も人気もNo1。頭はいいかもしれないけど心の中は真っ黒で自分勝手。
自分がいじめにあうのはウッシーのせいだと決め付け、心の中は妄想で一杯に。

「ラッキー!」
特徴が似てるだけでいじめが始まるなんてホントにあるだろうな。
警察の事情聴取はますますイッチーの立場を悪くし、ますます孤立するだけ。
全部ウッシーのせいに違いない…自分も以前いじめられていたからイッチーの
痛みを理解してくれるウッシーへの逆恨みばかりが積もった時、現れたのは
少年バット。ウッシーは殴られ、後を追ったイッチーはその振り向いた姿が
まるで自分そのもののように帽子を上げて笑ったのを見て愕然とする。

自分の邪悪な想いが少年バットを呼んだのか、それとも、あれは…自分?
児童会選挙の日、妄想の中で嘲笑われ、後ろ指を差されて追い詰められた
イッチーは、逃げ惑う先に少年バットを見る。ほら、皆さん見てください。
少年バットはちゃんといる。そして…僕を殴るんだ!

<妄想たる夢告>
「1」
イッチーは勉強も運動も人気もNo1。


第3話 ダブルリップ
2006/12/18

「僕と結婚してくれますか」
イッチーの「癒し」であるカテキョー晴美先生は、実は多重人格者だった…

晴美のもう1人の人格「まりあ」は夜な夜な体を売るホテトル嬢。
もう一つの人格が出ている時に電話をかけてくるなんてイヤだなぁ。
相手の存在を疎ましく思ってるかと思いきや、催眠療法ではまりあは
晴美が自分の居場所を見つけてくれることを願っているような雰囲気もある。

そんな晴美を選んでくれたのは、研究一筋でダサいけど実直そうな男。
徐々に消えていくまりあの存在…裏の仕事をやめると宣言し、相反する人格は
これでようやく一つに統合するかに見えた…けれど、片付けたはずのまりあの
荷物は再び荷解かれ、プライベートの白い携帯に仕事の依頼が入り始める。

あんなところまでゴミを捨てに行くようなことをするからむしろ妄想に
支配されちゃうんだよ…本気で捨てるなら清掃車に渡せばいいのに。
やがて実体を持ったまりあが追い詰められた晴美の目の前に現れる…
傍目には1人でぎゃーぎゃー大騒ぎしてるキティちゃんにしか見えないけど、
2人は自分の存在を賭けて争い、窮屈な閉塞感から解放されたいと願う。
そう、解放される…月子や優一のように、少年バットに襲われることで。

それにしても三石琴乃の喘ぎ声はそこらのAVよりエロくてけしからん!そこか

<妄想たる夢告>
「蝶」
蝶野晴美、そしてまりあは夜の蝶


第4話 男道
2006/12/19

「お父さん!俺のことはお父さんと呼んでくれ!」
まりあの客だったオヤジはなんと猪狩の同期の警官だった。

あの最初のすごい化粧の女は晴美か。
蛭川は猪狩のように正義感に燃えるわけでもなく、出世したいわけでもなく、
コソコソとヤーさんをゆすっては悪徳気取りマイホームを建設中のエロ親父。
けれど度が過ぎてその兄貴分に眼をつけられたのはイタかった。

警官の蛭川がピンクのマスカラスになって繰り返す引ったくりや窃盗。
なのに払う金は200万から300万、500万と増えるばかり…
足元を見られちゃっちゃ骨までしゃぶりつくされるねぇ。

それにしても追い詰められて酔っ払った蛭川に捕まったあれは何者?
まさか本物の少年バットじゃないよね?だってあれは多分…ねぇ?

<妄想たる夢告>
蛭川が歩みたかった道は「男道」
あの池上風「男道」、誰が書いたんだろう?


第5話 聖戦士
2006/12/19

「ゴーマを襲ったんだ!」「そうだよ」「違う!牛山君だ!」

いや〜、今回はめちゃくちゃ面白かったなぁ。
蛭川にとっ捕まった「少年バット」はゲームオタクの厨房だった。
しょっぱなから妄想ワールドに入り込んで呆れたり怒ったりする猪狩が最高。

ローラーブレードは金の靴、金属バットは黄金剣。
勇者モードの小塚はどう見てもアレだし、吟遊詩人だのに変化する馬庭は
どう見ても楽しんでるとしか思えないし。そりゃ禁煙もやめたくなるよね。

「意味不明はお前だ!」
妄想のRPG界の中で川津、ウッシー、イッチー、そして晴美と殴った経過が
ストーリーモードになってるのが可笑しくて。この感覚、わかる気がする。
エロエロから突然邪悪な表情になる晴美とか、顔芸を見せてくれる猪狩とか
バトルシーンが意外にもよく動いてて楽しい。それになんと言っても今回は
猪狩役の飯塚さんの絶妙なツッコミと、トボけた馬庭のセキトシさんが最高。
2人のボケとツッコミに何度笑わされた事か。ホント、楽しい話だった。

<妄想たる夢告>
「ゴーマを倒す聖戦士だー!」
でもここでGAME OVER。おまえにリセットはないよ。


第6話 直撃の不安
2006/12/21

「1人だったさ…ずっとあのヘンテコな女1人だったさ」
月子が襲われたその時、現場には誰もいなかった…老婆は語る。

ばーさんの孫の話かと思いきや、新しい家を建てるというあたりで気づいた。
できあがったあの新築の妙子の部屋には隠しカメラが仕掛けられていた。
蛭川はエロ親父でお父さんプレイが好きだったけど、玄人好みだから
まさか娘に欲情はしないと思ったのに。それとももしかして真壁に
金をせびられて仕方なく…かな?ま、どっちにしろサイテーだけどね。

「そんな家、なくなっちゃえばいい!」
ばーさんへの職務質問中の怒りたちの表情と妙子が蛭川に言う言葉がリンクし、
突然吹き飛ぶ家の演出は面白かった。荒れ狂う川に飛び込もうとした妙子は
濁流に飲み込まれたばーさんを見つけ、助ける事もできずテンパっていく。

一方、首実験のために呼び出された月子は猪狩たちに事実を突きつけられる。
事件の夜、一部始終を見ていたばーさんの目に、少年バットなどいなかった。
仕事で行き詰まり、追い詰められて行った自作自演だろうと詰め寄る猪狩。

けれどその時、月子はまるで殴られたように体をくねらせ、昏倒する。
そして全く同じ頃、死ぬ事もばーさんを助ける事もできず、途方に暮れて
泣き崩れた妙子が少年バットに殴られた。でも小塚は捕われているのに?

台風がますます不安を煽り、暴かれる事実が緊迫感を募らせる演出で
こちらも一歩間違うと混乱しそうだ。でも不思議で不気味で面白い。

<妄想たる夢告>
「あの、どなたですか?」
そこには一つの再会と、一つの…別離。


第7話 MHs
2006/12/21

なんとも血生臭くなってきた…
追い詰められた人々は少年バットに襲われ、そしてどこかでほっとした…
小塚が襲ったのは既にいじめから脱却していたため、当時は悩みがなかった
牛山と、悩んではいたけどその分昏倒に至らなかった蛭川だけだという。

うまく入らない無線やラジオは、耳にうるさくてイラつかせる。
時折電波の関係で明瞭になったりすると唐突にハッキリ言葉が聞こえ、
すぐにまた雑音の中に消えていくのがまたさらに神経を逆なでする。
怪電波を感じる人々が聞いてしまう幻聴もこんな感じなんだろうか。

「少年バットは今もどこかにいる!ヤツは…野放しだ!」
少年バットは1人であって1人ではなく、精神的に追い詰められた人間を襲う。
そう考えてる馬庭がどう見てもあまりにテンパりかけてるので、やっぱり次は
馬庭かなぁと思った途端、そうだ、もっとテンパったヤツがいたと気づいた。

現れた少年バットに鉄の扉も牢も関係ない。
猪狩と馬庭が見たのは野球帽にローラーブレード、折れたバットを
持った小塚のような少年バットと、撲殺された小塚自身だった…
ニコニコ笑い顔のまますっかり呆けた状態の妙子といい、テンパり具合によって
負う傷が違うのかな?小塚が最も追い詰められてたってこと?まぁでも無理はないかもね

<妄想たる夢告>
一つの卵から二つの黄身。妙子と月子。鏡に映ったじーさん。2人の小塚。
「馬庭…休め」


第8話 明るい家族計画
2006/12/22

ゲイの巨漢ゼブラ、千歳飴を持ったじーさんフユバチ、そして幼いかもめ。
なぜか本編を離れ、物語は死にたがり3人の面白ユカイな自殺行へ分岐。

一酸化炭素中毒で死のうと七輪まで準備して薬を飲んだのに、隠れ家にした
ビルがいきなりショベルカーで解体されちゃったり、電車に飛び込もうと
身構えた途端に先に飛んだヤツがいたりとか(しかもソイツ大怪我を負いながら生きてたり)
首を吊ろうとしたのに結局首が絞まって苦しがってテンパった顔とか、
不謹慎なんだけど思わずぶっと吹き出してしまうようなシーンばかり。

色々試すもなんだかんだでうまくいかないこのへっぽこトリオの物語は
精神病や夢想ものを描きたがるこの監督が実は一番得意な分野だと思う。
監督の作風的にはこういう軽くてシュールなギャグの方が好きだ。
得意なものと好きなものが重ならないことは悲劇なんだろうか。

だけど最後が底知れず不気味…うまくいかない自殺に加えて、ようやく現れた
少年バットを追いかけたのに逃げられてしまった3人。でもなんであの旅館に
少年バットが現れたんだ?なんとなくまた仲良く歩き出した3人が女子高生の
写メに入り込んだ時、彼女たちは振り向きもせず、そして背景に写っていた
「何か」に怯えていた…って、もしかしてこの3人って…

<妄想たる夢告>
「FOX」
自殺願望仲間だった小塚のHN。


第9話 ETC
2006/12/27

団地の主婦の噂話で少年バット。
受験生の体中からは詰め込んだ公式がこぼれ落ちてトイレを黒く埋め尽くし、
嫁いびりする姑と嫁の確執はついに嫁を極限に追い詰め、擂り粉木とすり鉢で
ハリセンバトルに発展し、最後は姑が嫁と間違われて少年バットに殴られる。
「間違えちゃったのよ、追い越しちゃったから!」「少年バットも大変ねぇ」

体外受精で不妊治療にいそしむ産婦人科では、使うべき精子と卵子を間違えて
知らない間に不義の子が出来ちゃってたり。試験管を飛び越える精子もいまや
シャレにならんのだなぁ。ってか腹の中の胎児がバット持ってるってどうよ。

「なんか切ないわね」
切なくない切なくない。どこにでもある最後の一葉のパクリ話。
まぁ描いてる最中に夜が明けちゃったというのはちょっと笑ったけど。
無人島に何しに行ったのか少年バット。ってか100日生きるの無理だろう。
ロケットが打ち上げ失敗ってのはシャレにならんから。金爆発してるから。

なんだかよくわからにままに小話形式で次々語られるエピソード。
減量中のボクサーが道端にケーキ、ゴミ捨て場に寿司、そして少年バットの
前には豪華なご馳走のテーブルって、もう少年バットは全然関係ないじゃん!
どんな弾を投げればいいのかわからないルーキーの情けない声が可笑しい。

「どうやってやられたの!?ねぇ!!」
さんざん仲間はずれにされて意地悪された主婦が、家に帰ったら
少年バットが待ってるのかと思ったのに、違ったのは面白かった。

<妄想たる夢告>
「まいど」
ホント、少年バットも休む暇がない。


第10話 マロミまどろみ
2006/12/27

マロミちゃんの「お仕事大好き!」
今日は“アニメーションができるまで”だよ♪

アニメーション業界の内幕?と、各職種についてめちゃくちゃわかりやすい
解説もついてたけど、何しろあまりにも辛すぎる風刺が利いてるもんだから
見てるこっちが大丈夫かいとヒヤヒヤするようなネタばかりで面白かった。

制作進行のどーしようもないサルから始まり、制作デスク、音響監督、
美術監督、演出、色彩設計、ライター、撮影監督…いや〜、各職種の仕事は
大体頭ではわかってるつもりだったけど、アニメで見ると余計面白かった。

監督が逃げちゃったってのは、今監督もさすがに自分の事は描けなかったか。
シナリオはコンテでいくらでも変わるから、とりあえず指が動けばいいそうだ。
ってか入院したライターって、前回少年バットに殴られたダンナのことかな?
制作デスクはディレクターみたいなものかね。で、使いっぱの制作進行がADと。

最初に急にコンテみたいなラフ画になった時はあれっ?と思ったけど、作画の
遅れてるアフレコのシーンだった。今は絵が入ってないのも当たり前だけど、
80年代はデジ画すらない手描き&色も全部手塗り、でもアフレコの時には
絵はほとんど完成してたっつんだから、今思うとすごいよなぁ。

果たしてサルが全てのスタッフを撲殺していたのか、それとも最後の織田が
もうおかしくなっていたのか、本当の少年バットが各自の元に現れたのか…
「誰がこれをやったのか」ということを考えると、今までで一番難解。
ってかさっぱりわからない。織田だけはサルがやったみたいだけど…
血まみれの人間を見ても気にもしないほど皆もう狂ってるという事か。

「頭はサル並のクセにプライドは人並か!?」
それにしてもサルのバカさ加減にはもうひたすらイライライライラした。
バカのくせに自分はバカじゃないと思ってて、タチが悪いんだこーいうバカ。

<妄想たる夢告>
「オレのせいじゃねー!」
ほとんどおまえのせいだよ。


第11話 進入禁止
2006/12/27

8話からこっち、物語は本筋からそれて脱線してる間に、猪狩がいつの間にか
警察をクビになって警備の仕事についていた。どうやら馬庭も同じらしい。
やっぱり留置所内で小塚が殺されてしまうという前代未聞の出来事のせいか。

猪狩はいくつもの工事現場を転々として警備の仕事を掛け持ち、忙しく働く。
体を動かしていれば全てを忘れられるとでも言うように。
そんな猪狩の前に現れたのは昔堅気のなじみの泥棒、向井だった。

それにしても病弱な猪狩の妻は、目の前に現れた少年バットを座らせて
夫である猪狩への信頼と深い愛情について語り、自分たち夫婦は現実を
見据え、困難を乗り越えていくことを決めたことをとつとつと語る。

少年バットは妻の話が絶望的になるとバットを手にし、希望を持ち始めると
イラついて素振りを始め、小さな少年から大きな怪物にまで自在に変幻し、
やがて手を出せないイラ立ちからなのか周りの物を叩き壊し始める。

少年バットが現れたのは自分の心に隙があったから…人間は確かに心弱い。
けれど、それに真っ向から立ち向かう事が出来るのもまた、人間なのだ。
少年バットが与える死や傷など、単にその場しのぎの救いでしかない。
本当に解決すべき事から眼を逸らしている人間に与えられる逃げ道だ。

「あなたもまた、マロミとやらと同じなのです!」
偽りの癒しを与えるマロミと、偽りの救いを与える少年バット。
でもなぜここでマロミが出てくるんだろう?

鼻先までバットを振り回されながら殴られる事もなく、ついには少年バットを
退散させてしまった妻の強さにすごいじゃんと思ってたら、何のことはない、
この人が一番頭がおかしかったというオチにずっこけた。シャイニングかよ!

病弱な妻はいつしか心まで病み、ずっと彼女を支えてきた猪狩はもう一つの
生き甲斐だった仕事を失った事ですっかりやる気を失ってしまったのだった。
そして猪狩もまた、夢の世界へと足を踏み入れてしまう。望んだのは自分が
時代遅れとは言われないレトロな世界。けれどどん詰まりで何を思うのか…

<妄想たる夢告>
「幸せだった…」
女房が 言うほど亭主 偉くなく


第12話 レーダーマン
2006/12/27

再び動き出した物語は激流へ。
それにしても、大層なシャレ男だったのに髪型はボサボサ
髭はぼーぼーの馬庭は一体どうしちゃったんだろうか。

既にあっちの世界に足を踏み入れつつ、それを自覚しながら
こっちの世界にも存在しているという事なんだろうか。
とりあえずスーパーマンでもバットマンでもレーダーマンでもいいけど
何しろタイツの上からパンツを穿くのだけはやめようよ。おかしいよそれ。

「想像がヤツを育んでいく!」
人知れず醜いモンスター化した少年バットと闘う馬庭。
語ることが、考える事が、人々が噂する事がヤツを育てる…
前回、人々の口にのぼる少年バットのウワサはいつの間にか迷走を始め、
既にその姿は少年ですらなく、岩のようなゴツゴツしたモンスターのよう。
今、馬庭の眼の前のそれは見上げるほど大きい牙を剥く怪物になっていた。

猪狩の妻が少年バットを退けたのは「マロミとバットが同じ」という言葉。
「老師」とやらにヒントを貰いに行った馬庭はじーさんの臨終を看取り、
フィギュアの助けを借りて情報を探し出す。もう何がなんだか…
なんでフィギュアが飛び回ってるのかとか、そもそもなんで喋るのかとか、
勝手にマニアの部屋に入っていいものかとかサッパリわからんのだけど、
馬庭もやっぱりボーダーを半分超えてるね。んで半分こっちにいるんだよ。

見つけ出した情報は、10年前月子が通り魔に襲われた子供だったということ。
馬庭は自動車の屋根に乗って(それはおかしいとか気にするな。俺は気にしていない)
月子の父親に会いに行き、恐らくその事件そのものが彼女の狂言だった事、
父は母のいない彼女を厳しく育てたがゆえに、ウソを叱る事がどうしても
出来なかったこと、そして犯人を叩きのめしてやると用意されていたのは…

しかしバットと馬庭のバトルシーンはよく動いてたなぁ。
バットまで肉々しく再生するところなんかはグロくて素晴らしかったよ。
街からはマロミが消え、マロミの番組を見ていたものには多かれ少なかれ
異変が起き始める。イッチーの靴箱にはヤシの木が置かれ、白と黒の服が
半々だったクローゼットはいつしか真っ黒になって、晴美ではなくマリアが
現れ、じーさんの死は川津のせいになり、猪狩の妻は倒れて運ばれる…

<妄想たる夢告>
「月ちゃんは悪くないよ!」
なら、何をした?


最終話 最終回。
2006/12/28

「居場所がない現実が、オレの居場所だーっ!!!!!」

月子が現実から消えた事でマロミが消え、癒しの存在を失った人々は心の
拠り所を失い、突然あちこちから噴出してくる黒い塊に飲み込まれ始める。
もはやその姿は少年バットですらないけど、やっぱり少年バットなんだろう。

「そうだ…俺は娘が欲しかったんだ…」
妻が流産をしたその時、現実を受け入れると言った自分…
その場しのぎの救いなんてまやかしに過ぎないと言った自分…
命の尽きる前に夫を連れ戻しに来た妻を見て、ようやく眼が覚めた猪狩は
自らの世界を自らの手で打ち砕く。居場所がなくても生きなきゃならない。
居場所がないなら見つければいい。自分が立てる場所を探せばいい。

「係長!焼肉は割り勘です!」「…はぁ?」
現実に戻った猪狩と月子を待っていたのは馬庭だった。
月子を前にして馬庭が語ったのは10年前の真実。

飼い犬だったマロミはあの日、月子が死なせてしまった…

少年通り魔が狂言だったというのはもちろんビンゴだったけど、まさか
マロミが死んでしまったとは!しかも月子の不注意が原因だったとは!!

真実を知っていた父親のバットを持って、晴美やイッチー、マニアや川津、
真壁までをも飲み込んで巨大に膨れ上がった黒い塊…いや、少年バットに
挑んだら、そりゃもう真実ストライクでやっつけると思わないかフツー?
飛び掛った途端、簡単に吹っ飛ばされるなんて思わなくないかフツー?
力の抜きどころがあまりにもウマ過ぎて吹いたわ!

黒い塊に追われる月子と猪狩。
走っている最中、マロミを落としてしまった月子は振り返り、子犬に変わった
マロミを追いかけていく。10年前に失ったあの子を捕まえたその時、黒い塊が
月子を襲い、やがて猪狩をも飲み込んで辺りは闇に包まれる。

「アイツのせいだよっ!!!アイツが来たんだもん!!!!!」

引き綱を離してしまったあの日、マロミは一人で道路に飛び出し、車に轢かれて
死んでしまった…血まみれで動かない小さな体を見て呆然とする幼い日の月子。
お父さんが貰ってくれた犬…お父さんに叱られるのが、怖かった?

馬庭が父に真実を知られるのが怖かったから通り魔をでっちあげたと言った時、
月子がお父さんが怖い?と声をかけた時、全然違う、そうじゃないと思った。
月子は、マロミを失って哀しかったんだ。あまりのショックに心は防衛を命じ、
感情をシャットアウトした。だからその哀しい気持ちを表現できなかった。
出たのはもっともプリミティヴな感情…「怒り」だった。

何かを怒りの対象にしなければ、月子の心は壊れてしまったのだろう。
怒りはエネルギーを必要とする感情だ。その強さゆえに人に再び生命力を
与えてくれるくらいのハイパワーを持つ。哀しみより喜びより原始的な感情。

それが少年バットを生み出した。母を失った月子は厳格な父を恐れ、猪狩を
父に見立てた時も遠慮がちに「お仕事が忙しいならいいよ」と言っている。
いつも遠慮し、鬱屈していた心は、悲しみではなく怒りに照準を合わせた。
もし悲しんでも、彼女に共感し、慰めてくれるには父では力不足だからだ…

「マロミ、ごめんね…ごめんなさい…」

悲しみを共有してくれること。辛さをわかってもらうこと。
一番欲しかった気持ちを、自分自身に与えてあげる月子。
哀しいね…大好きな友達を失った事は、本当に本当に哀しい。
だからごめんねって言ってあげよう。優しく抱いてあげよう…

「さよなら」そうか、それで「ただいま」だったんだ…

現実から逃げ続けた月子の夢はおしまい。
結局自分を受け入れ、現実を受け入れて生きていくしかない。
少年バットは姿を消し、猪狩はまるで戦後のようにズタボロの街を歩く。

2年が経って街は何事もなかったように復興し、人々の雑念や感情がまたしても
上空に吐き出されてよどんでいる。何も変わらない。マロミもどきの猫キャラが
売り出され、携帯はピリピリ鳴って不平や不満があちこちで聴こえてくる。

猪狩は今日も警備の仕事に立ち、川津は相変わらず記事を売り込もうとし、
そして月子は髪を切り、普通のOLのように制服を着て喧騒の中を歩いていた。
たまに心のスイッチを切り替えながら、うまく折り合って生きていくこと。
それが多分、ちょっとした生き方のコツなんだろう。

認知症のじーさんと統合失調症の猪狩の妻は飲まれる事のなかった妄想世界。
だからミドルレンジに入り込んでた馬庭も最終段階では飲まれなかったけど、
事が終わればやっぱりあっちの世界行き。すっかり髪も白くなっちゃって…
ちなみに晴美のような乖離性同一性障害では飲み込まれてしまうらしい。

この作品、見た人によって感想が全然違うだろうな〜挫折した人も多そう
わからない、面白くないという人もいそうだし、あまりの不条理展開に
嫌気がさす人もいるだろうし、インテリぶって蘊蓄を並べる人もいそう。
私はもちろんすごく面白かった。4話あたりまでどうかなぁと思ってたけど、
5話あたりから急激に面白くなってきて、普通ならストーリーにはあまり
関係のない8〜10話もすごく楽しめたし、最後のまとめ方もとてもよかった。

ストーリーを一言では説明しづらい作品だけど、それほど長く感じないので
一気に見た方が面白いかも。作画も動きも最後までハイクォリティだったな。
各話で主役を張ったキャラがモブにちょこちょこ出るのを探すのもよし、
隠されてた伏線を探すのもよし、まだ解けていない謎をとくのもよし。
もしかして改めて2回目に視聴する方が楽しいかもしれないね。
スタッフ、キャストの皆さん、今さらですがお疲れ様でした!

<妄想たる夢告>
「最終回+読点」のタイトルが壊れた看板にタイヤという憎らしさ。
そして最終回のはずのラストになぜか夢告。え?なんで?しかも馬庭?
「それではみなさん、さようなら」
これにて妄想代理人、終幕。


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