映画感想 2012
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 2012

最強のふたり10/24(水)

年明けごろ、深夜の映画紹介番組か何かで「ヒットしているフランス映画」として紹介されていて見たいと思っていた。
ハリウッド・リメイクも決まっているようだが、「ニキータ」や「赤ちゃんに乾杯」のように、フランス映画独特の乾いた感じが失われてしまいそうな気がする。

主人公はパラグライダーの事故で頚椎を損傷したフィリップと、パリの下町に住む失業中(彼には宝石泥棒で半年間服役した前科もある)の黒人青年ドリス。

少し気難しい大金持ちフィリップの介護を行うケアワーカーの面接に来ていたドリスは、実は仕事が欲しいわけではなく、失業給付を受け取るために「就職活動をしていた」という証明が欲しかっただけだと言う。

面接に来ていたのは施設で働いた経験のある介護職、大学で研究ばかりしていたというもやし男など、誰もが「人の役に立ちたい」「障害者の自立を助けたい」という「熱心な」健常者ばかりだったが、ドリスは首から上しか動かせないフィリップに対し、「今すぐ書類にサインしてくれ」と普通に言ってしまうような青年なのだ。
若さだけが取り柄のような黒人青年を見て、フィリップは何か思うところがあった様子。
母親に家を追い出されて行くあてのないドリスが翌朝書類を取りに来ると、なんとフィリップの介護者としての「条件付採用」が決まっていた。

若さと体力に自信のあるドリスは、フィリップを抱えたり移乗させ、シャワーを浴びさせ、血行をよくするためのストッキングを履かせ、毎朝足のマッサージを行う。
けれどおよそ「介護」などしたことがないドリスは、熱いポットが足に当たっても驚きも身じろぎもしないフィリップに驚き、ポットを押し当てたり熱湯をかけたり。
こんなものを見たら「障害者虐待だ!」なんてすぐに誰かが叫びそうになるけど、ドリスにとっては無論悪意などではなく、単なる好奇心のひとつに過ぎない。

シャンプーが泡立たないと言うので確かめると、足のマッサージクリームで洗ってる。 ドリスばかりがドッキリ発言をするわけではなく、フィリップも「字は読めるんだろうな」となかなかキツいパンチをかますので、見ている方もくすくす笑える。
他にもこのチョコは「健常者用だ」とか、雪遊びとか。

原題が「Intouchables(禁制)」なのだから、実際にはフランスでもタブー視される部分を含むのだろう。障害者の性についてなど、正直映画の中にはかなりドキリとするような表現もある。
けれどフランス映画らしいアイロニーやエスプリが利きまくっていて、決して不快なばかりではない。でも万人ウケを目指すハリウッド映画ではこの毒は和らぐだろうし、日本でドラマ化するとなればもっとデリケートにオブラートに包んでしまうに違いない。<(ことに日本では障害者の性はタブーとされる傾向が強い。そのくせ障害者に対する性犯罪もしっかりあるんだから、だらしない下半身を持つ人は全くもって恥ずかしい)

フィリップがドリスを気に入った理由が、彼が自分を「特別扱いしない」ことなんだけど、確かに見ていてハラハラすることはあるにせよ、ドリスはフィリップを「生活するのに少し手助けが必要な人」くらいに考えて普通に接しているようだ。
だから携帯が鳴れば取ってやって「はい」と突き出すし、コールの受信機を置いてのんびり風呂に浸かっていたり、介護側から見たら「なんちゅーことをするんだ!」的行動も多い。

だけどその一方で、夜明け前に発作が起きて眠れない彼を外に連れ出してパリの街の散歩につきあったり、文通相手との仲を発展させようと電話したり、その彼女と会う勇気を持てなかったフィリップを何も言わずに郊外に連れて行ったりと、およそ「介護人らしからぬ」行動でフィリップを慰めていく。
馬を運ぶんじゃないと介護用の車をいやがってフィリップを高級車に乗せるエピソードは、自分勝手さも含めてドリスらしい。
堅苦しい親族による誕生パーティも、ドリスの手にかかればたちまち楽しいダンスパーティに。この時ドリスに席を追い出されたオバハンがきょとんとして立ちんぼしてるのが可笑しかった。

とにかくこの映画、「感動しろ!」「ここで泣け!」という感動映画にありがちな「ドヤ演出」が全くないのがいい。
この、ともすれば静電気がおきそうなほどのドライ感はまさにフランス映画って感じ。
でもこういう突き放し感は嫌いじゃない。こういう国民性のフランス人と仲良くなれるかというと「う、う〜ん…」と考えてしまうが、どこかクールかつ天邪鬼的な演出は「これでもか!」というお涙頂戴に憔悴し、くたびれることもない。

コメディとしても押し付けがましい笑いはなく、ドリスが落書きした絵を1万1000ユーロで売りつけたり、2人でパラグライダーをやったり、半生スイーツを「生焼けだった」といちゃもんつけたり、大笑いではなくくすくす笑えるような要素が散りばめられている。
風俗嬢を部屋に呼んで2人で楽しんだりね。冒頭の、まだ映画の内容がわからいまま見せられるドリスの暴走シーンでも、フィリップの発作演技が素晴らしかった(!?)り。

フィリップの前では天真爛漫なドリスが、実は実の母ではない叔母に育てられ、けれどその後生まれた多くの実の子を育てている彼女に、恩を感じながらも哀しませる事しかできないこともちゃんと伝わってくる。
フィリップの養女が父の介助に無関心で、ドリスや使用人を見下していることを是正させたり、そんな彼女に失礼な事を言って泣かせた「モップ頭」に喝を入れたり、身障者ステッカーが貼ってあるのに平気で駐車しているヤツをガンガン脅しつけたり、ドリスなりの正義があることも。

けれど悪い仲間にそそのかされている彼の弟(実際はいとこになるのかな)が逃げ込んできたのを見て、フィリップはドリスを家族の元へ返す事にし、解雇する。
ここはちょっと意味がわからなかった。だってむしろ収入が安定している方が貧しい家族を支えやすいだろうし…でも住み込みの介護の仕事って、自由がないからね。
「しつけのし直しが必要じゃないか」というセリフが実はヒントで、これはフィリップの「崩壊しかけている家族ともう一度やり直しなさい」というメッセージという事なのかな?

フィリップは新しい介護人を雇ったものの、気まぐれに癇癪を起こしてちっともうまくいかない。新しい介護人も一生懸命なのに報われなくて気の毒だ。この人一番可哀想だったよ。
荒んだひげまみれのおっさんになったフィリップを心配したイヴォンヌがドリスを呼び、二人は久しぶりに再会する。ここが冒頭へと繋がるシーン。

そんなにたくさんは出てこないんだけど、彼らを取り巻くキャラクターもよかった。屋敷を取り仕切るイヴォンヌ、ドリスが粉をかけても振り向かなかった秘書で、実はレズビアンだったマガリー、ダメ娘ながら可愛いところもあるエリザなど。
毎度ながら映画の背景としてはあまりにも絵になりすぎるパリの街もいい。

警官を煙に巻き、フィリップのひげ剃りで大笑いした2人はやがてランチを取るためにレストランへ。
ここでドリスは粋な計らいをしていた。ドリスが選んだ「車椅子に乗っているフィリップ」ではなく、「かつて健常者だったフィリップ」の写真を送っていたゆえに逃げ出してしまったフィリップに、もう一度ダンケルクのイザベル(53kg)と会う機会をセッティングしていたのだ。

盗んだイースターエッグも返し、二人を残して笑顔で去っていくドリス。
スタッフロールと共に、この実話の登場人物であるフィリップとアブデルの姿と現在の様子が語られ、映画はここで終わってしまう。スパッと潔く、本当に綺麗サッパリおしまいだ。

「障害者?人と人との繋がり?交流?ふーん、感動映画ってことだね」と構えて見に行くと、ことにフランス映画に慣れていない、またはフランス映画独特の切りっぱなしの終わりが好きではない人だと、「なんだ、こんなもの?」と思うかもしれない。

これから見に行く人は、やたらと煽りまくっている商業ブログや批評系テキストをあまり鵜呑みにせず、「時間があるから見てみるかな」くらいの気持ちで気軽に見に行くといいだろう。過度な期待を抱かない方が「あ、意外と楽しかったかも」と思えると思う。


SPACE BATTLESHIP ヤマト10/14(土)

うーわー、見てしまった!

ついに見てしまったよ、このZ級キムタク映画を!!
うわー、うわー、これはひどい!!!!!

ハリボテそのものの戦闘機や、「潜水艦か!」と突っ込みたくなるようなヤマト艦内や、意味のない男性キャラ→女性化や、戦う森雪や、とにかく見ていて色々恥ずかしい映画だった。
何より古代進は最初から最後までひたすらキムタクでしかなかったし。

登場人物はアニメのヤマトスーツではなく、スーツの上衣をジャケットに変換して来ているのだけど、下のパンツが自由なので逆に統一感がなく、なんとも違和感…

物語は普通にヤマトを知っていれば理解できるものなのだけど、ガミラスの設定は変わっており、デスラーは本人としては出てこない。いや、まぁ名前?と声だけはデスラーだったけど。

イスカンダルのカプセルによって得たワープ技術でイスカンダルに向かうヤマトに、ガミラスが何度か襲い掛かってきて、そのたびにあーでもないこーでもないと事件が起きる。雪が戻れなくなるとか、沖田艦長の持病が悪化するとか、第三艦橋を斬り捨てざるを得なくなるとか、そんなん。ああ、ガミラスの戦闘機を鹵獲するなんてのもあったっけ。

しかしとにかく何もかもが恥ずかしい。
真面目にやっていればいるほど見ているこっちは恥ずかしい。
キムタクが兄貴を見殺しにしたと山崎努の沖田に牙を剥くのも恥ずかしい。
森雪と古代進の唐突かつどうでもいいラブシーンも恥ずかしい。

柳葉の真田、西田敏行の徳川はまぁまぁイメージどおりだったけど、なぜ佐渡先生が高島礼子なのかさっぱりわからないのだが…先生はおっさんの方がいいでしょー、絶対。
島を演じた緒方直人は久々に見たけど、膨れていたので一瞬「別所哲也?」と思った(緒方とは身長が違いすぎるが、島は業務上座ってるシーンが多いので…)

最後は古代君がヤマトと一緒にガミラスのデスラー艦にドッカーンと突入して終わり。
ってかおまえらちゃっかり子供作ってたんかい!
いや〜、Z級映画だった。つまんないことつまんないこと。
途中で飽きちゃったから税関に提出する「携帯品・別送品申告書」書いてたもん。

つーかなんでこんなものをラインナップに入れているんだアエロフロート!アホか!


ステキな金縛り10/14(土)

アエロフロートの機内上映の中でようやく見つけたのがこの作品(と「ヤマト」)
初っ端はロシア語で慌てたが、なんとか音声を日本語に切り替えて鑑賞。

ぶっちゃけると、「これしかないから仕方なく見たが、全然面白くなかった」作品。

ある時浮気現場に踏み込んできた妻と愛人による殺人事件が起き、死んだ女の夫が容疑者として逮捕される。
誰も引き受けなかったこの事件の弁護を引き受けたのは深津絵里演じるドジっ子二世弁護士。
彼女は被告人のアリバイを証明するため奥多摩の宿で一夜を過ごすことに。
なぜなら被告人は事件当日、「金縛りにあって一歩も動けなかった」と言うからだ…

という、既に設定からして全然面白くなさそうな内容なので、公開当時も全く食指が動かなかった。
そして実際、全然面白くない。
こんな荒唐無稽な裁判ものなら、先日見た「逆転裁判」の方がよっぽどよくできているし、物語も見事だし、笑えるし、感動もできる。いやホントに。

ただ西田敏行は面白い。
こういう役をやらせたら彼にかなうものはいまい。
西田独特の間の取り方やちょっと情けない調子のセリフ回しやイジケっぷりなどは思わずぷっと失笑してしまうものばかり。
おかげで隣で東京のガイドブックを熱心に読みながら東京観光を楽しみにしているらしいフランス男に、何度も奇異なものを見るような目で見られてしまった。

霊の存在を全否定していた中井貴一には、実はロクベェさんの事がパー「見えている」というのは意外で面白かったけど、まぁあとはほとんど悪ふざけのようなものだから「逆転裁判」ほどの真面目さもないとなるとちょっとなぁ…

笑おうにも笑えないわざとらしい力技(変な歌でミュージカル調にしてみたり)や、深津絵里のドジっ子ぶり、ドヤ顔、オーバーアクトも鼻についていまひとつ。
姉と妹が摩り替わってたって、この世界では司法解剖というものはやらないの?
最後のオチが「被害者をあの世から連れてくる」ってのもなぁ…
そもそもロクベェさんが強制送還されてからは締まりがなくて全然面白くなかった。
落ち武者ヘアーの生瀬と、阿部寛があんなにあっさり死んじゃったのはちょっと笑ったけども。

自嘲気味に被告人のKANが「最近霊ばかりが注目されて被告人の僕が蔑ろにされている」とブツクサ言うシーンがあったけど、三谷映画の悪い癖は冗長過ぎること。どれもこれも入れ込みたいのはわかるけど、この映画なら1時間45分くらいでさくっと終わっていい。
まぁまぁ面白かった「マジックアワー」ですら「長い…」とダレたのだから、こんな内容のないギャグならスピーディーに終わっていいと思う。
同じ法廷ものなら三谷は「十二人の優しい日本人」という素晴らしい傑作脚本を書いてるのに、なんでこうなった。

「仕事がうまくいった」ことで条件を満たさなくなり、ロクベェさんの事が見えなくなってしまった深津絵里には、父親の事も見ることができない。
お涙頂戴にもならず、なんとなくダラダラっともう霊が見えない彼女と父親(草なぎ)の会話が続き、ロクベェさんが締めて物語は唐突に終わる。

なんだこれ…と怒る気にもなれない変な作品。
三谷映画らしくゲストなんだか友情出演なんだか色々な役者が出演しているのはいつも通り。
公開して一年だからそろそろ地上波でやりそうだけど、まぁ…残念ながら面白くないよ。


バイオハザードIVアフターライフ9/16(日)

バイオ映画は毎度毎度評判がイマイチなのはわかっているのだが、私はさほど嫌いではない。
この「検廚砲弔い討癲屬發Ωるのが嫌だから見に行かなかった」のではなく、実は「なんとなく後回しにしているうちに見逃した」だけで、今回も実際見てみての感想は「うん、悪くないんじゃないの。結構面白かったよ」である。
いやホント、これはちょっと異端なのかもしれんな…

靴離薀好函¬楹个瓩織▲螢垢見たのは大量の自分のクローンだったけれど、犬呂修離ローンたちが東京に潜むウェスカーに挑み、バッタバッタとやられていく。
「新たなバイオは、東京から始まる!」と宣伝され、中島美嘉(最近見ないなそういえば…)が出ていたそうだが、その意義はよくわからなかった。あんな役なら別に誰でもいいんじゃなかろうか。「キル・ビル」のGOGO夕張くらいのインパクトならともかく。

ウェスカーによって「元の普通の人間」に戻されてしまったアリスはアラスカに向かい、靴巴膣屬燭舛閥Δ法屮▲襯ディア」に向かったはずのクレアと再会する。
とはいえ再会は穏やかなものではなく、アリスはバイオ5のジルのように胸にデバイスを取り付けられて襲い掛かってきたクレアを撃退したものの、クレアは記憶を失ってしまう。
彼らは飛行機に乗ってゾンビに囲まれているロスに舞い降り、生存者と合流する…というのが序盤の展開。

今回は敢えて言うなら、「往年のゾンビものっぽい」というべきだろうか。
気密室物、兇街中でのガンアクション、靴逃亡劇ときて、犬魯哨鵐咾發硫ζ擦「篭城もの」だからだ。ただし舞台はお得意のショッピングセンターではない。刑務所だ。

刑務所の壁は高く、防衛力は堅いのだが、脱出する手立てがなければジリ貧。
そんな中でも明るく知的に皆を率いているリーダー格のルーサーはアリスたちを快く受け入れ、やがて脱出策を実行に移すことになる。ルーサーを見たことがあると言ったアリスに、「あれかな?」と指差した先に看板があったのは笑ってしまう。彼はかつてバスケのスタープレーヤーというオチだった。

落ちぶれたハリウッドのプロデューサーだの、傭兵だの、女優志望だのが逃げ込んだ刑務所には、もう一人重要人物がいた。
それは我らが初代主人公の1人、クリス・レッドフィールドだ。ジル、クレア、ウェスカーときてついにクリスが登場。ゲームではもっとゴリゴリのイメージ(負ける気がしない、という意味で)だが、雰囲気はよく似ているし、すっきりしたクリスも悪くない。
ちなみにクリスは何をしているのかと思ったら、特殊部隊員として刑務所に派遣されたものの1人取り残されてしまい、ルーサーたちからは囚人と勘違いされて閉じ込められているというなんとも哀れな状況であった。
ついでに奇跡的に再会したクレアに「お兄ちゃんだよ!」と名乗りをあげたのに「誰?」と冷たくいなされポカーン。どこまでも可哀想な兄…

さて刑務所を囲んでいるのがゾンビだかマジニさんなんだかは私にはイマイチ区別ができんのだが、とりあえず下水道をがしがしと進んできたゾンビたち(こいつらがこうした頭脳的戦術を取るのはマジニさんがいるからなのかもしれんが)に危機感を持ったアリスたちは、「脱出方法を知っている」とのたまうクリスを解放し、下水道を伝ってクリスの言う「装甲車」と「武器庫」までたどり着こうとする。

この時クリスとアリスと一緒に来た元水泳選手の女優志望の子は可哀想だったなぁ。こういう勇気を持って行動した人間は殺さないで欲しいよ。ポセイドン・アドベンチャーでも潜水が得意なおばあさんが死んだり、タワーリング・インフェルノでも子供を庇ってエレベーターから落ちたおばあさんが死んだり…白人の感覚ってドライだ(そのくせ犬が死ぬと耐えられずに出てったりするとかで、おかげでリメイク版の「南極物語」など全く別の話になっとったぞ!)

アリスたち武器庫組は武器を手に入れたけど、装甲車組は確かにブツはあったものの、それは分解されており、組み立てないと使えないシロモノであると判明する。
とはいえ相変わらずあんまり怖くないゾンビを銃や素手でぶっ飛ばしまくるアリスは、 今回の目玉キャラ、バイオ5でおなじみのチェーンソーを振り回して暴れまくるタフな処刑マジニさんをクレアとの見事な連携プレーでやっつける。

アリスたちの飛行機を奪って逃げたプロデューサー以外は全てゾンビやマジニさんに引きずりこまれたり追い詰められてしまった中、レッドフィールド兄妹とアリスは「ここは安全ですよ」「食べ物もありますよ」と呼びかけ続ける沖合いの巨大船「アルカディア」に乗り込む。

そこで待っていたのはウェスカーとゾンビ犬が2頭。今でこそ戦うヒロインそのものだが、バイオ1では「謎の美女」としてほとんど活躍しなかったジョヴォヴィッチが唯一見せたアクションがゾンビ犬とのアクションだったっけなぁ…

あっさりといなされてしまったレッドフィールド兄妹(このあたりでクレアも記憶が戻った様子)があまりにも程よく冷凍カプセルみたいなものに入ったのはウケた。仲良すぎですよきみら。

マトリックスなウェスカーはどうせならもっと超人的な感じでもよかった気がするけど、マジニさん風パックンチョしようとしたところをアリス特製のコイン・ショットガンで撃たれ、さらに助け出されたレッドフィールド兄妹(一括りにし過ぎか)に止めを刺されてジ・エンド。

一人だけ逃げてウェスカーに加担していたプロデューサーも目覚めたKマート(まさかの再登場にビックリ)にボコられ、さらには置き去りにされ、そして再生したウェスカーがすべて美味しくいただきました♡

もちろん「終わりなどない」バイオハザード、実験サンプルとして冷凍されていた人々は解放されて甲板に出たものの、エンディング後にはお久しぶりのジルに率いられたアンブレラ社の部隊(と思われる)による殺戮が行われた模様。
いや〜、兇任呂泙気法屮献襪修里發痢廚世辰織轡┘鵐福Εロリーが靴能个覆ったのは大人の事情があったと聞いていたので、まさかの本人復活は驚き。こちらもバイオ5でクリスとシェラを相手に暴れまくったエロスーツ着用のデバイス付ジルそっくり。

さてこうしてあからさまに「垢紡海」で終わった犬世、ちょっとした嬉しいサプライズもあった。それはジルたちを先に行かせて取り残されたルーサーが、見事ゾンビたちを振り切り、下水道を突破して脱出したこと。しかも彼は当然アルカディアには行ってないから殺戮にも巻き込まれていないわけだ…というわけで垢砲盻个討い詬融辧

ますますホラーではなく単なるアクション映画になっていくバイオ映画。
むっちりタラコ唇のアンジェリーナ・ジョリーは美貌的に敵ではなかったが、スカーレット・ヨハンソンやアン・ハサウェイの登場で「戦う若くて美しい女」の座を脅かされつつあるミラさん。
果たしてどこまで頑張るのか見ものですなぁ。

そうそう、それと今回はあの絶望的なラストが衝撃的で、内容的にもかなり面白かった「ドーン・オブ・ザ・デッド」と、今回同様高い壁に囲まれた街が崩壊していく様を描いた元祖ロメロの作品、「ランド・オブ・ザ・デッド」を思い出したなぁ。


ダークナイト ライジング9/7(金)

眠らない闇の街は8年間の沈黙を破り、今再び硝煙と悲鳴に包まれる…

光の騎士デントを殺害し、SWATを倒して逃亡したバットマンが去って以来、シュテルンビルト…じゃない、ゴッサムシティには厳しい「デント法」が敷かれ、犯罪者たちは1000人以上も刑務所に閉じ込められている。
街は一見平和で、資産家たちはノブリス・オブリージュに精を出し、市長は亡きデントを讃える。しかし唯一真相を知る警察署本部長のゴードンだけは今もまだ憂鬱だ。
伝えるべき真実は胸ポケットに…彼が苦しい思いで沈黙を守ることが、即ち街の平和を守ることになる。

評価も高いようだし、楽しみにして見に行ったものの、最初は正直、「失敗した!」と思った。

それは作品が悪いのではなく、私自身が前作「ダークナイト」のあらすじをちゃんとおさらいしていなかったから。
ラストがどうだったのか、デントがどんな末路を辿ったのか、自分のレビューだけでもざっと読んでくればよかったと思ったのだが、さすが監督が「3部作ストーリーを完結させる」と言っただけの事はあり、見ていくうちに「ああ、そうそう」「そうだそうだ、思い出した」とちゃんと全部繋がってきたので問題なかった。これは制作陣と違ってその作品だけを追い続けているわけではない視聴者のことをよく考えて脚本を作ってあるなと感心した。

今回は「タフな卍丸」ことベインという大男が悪役なのだが、なんといっても秀逸なのはキャット・ウーマンだろう。アン・ハサウェイは「プリティ・プリンセス」以来結構好きな女優(「プラダを着た悪魔」などでもコミカルで綺麗だった)だが、今回はスレンダーで綺麗で強くて、ちょっと辛い過去を持っているっぽい魅力的な野良猫として登場。
ティム・バートン&マイケル・キートン版ではキャスティングされていたアネット・ベニングが妊娠しちゃったんで急遽ミシェル・ファイファーに変わったんじゃなかったかな。「みゃーお」と鳴く姿がよくCMで流れていたけど、ハサウェイ版は「キャットウーマン」と劇中では名乗らない。
本名をセリーナ・カイルという彼女は身軽な怪盗で、体術にも自信があり、暴力を恐れない。彼女がブルース・ウェインのメイドになりすまし、彼の母親の形見を盗んだ…と見せかけて、実はウェインの「指紋」を盗んだところから物語が動き出す。

前作ラストで足に傷を負ったブルース・ウェインは、杖をつき、取締役会にすら顔を出さず、ただ執事のアルフレッドに世話をされながら隠遁生活を送っていた。武器庫にも近づかず、もはや滝の裏の秘密基地にも足を踏み入れる事はない。
けれど下水道内でベインと対峙したゴードンが重傷を負ったと知るや、外に出る事を決意。けれどそれは「新たな人生を見つけ出して欲しい」という執事アルフレッドの願いとは違い、ウェインにとって「外に出る事」は「バットマンに戻る」事と同義だった。

今回もう一人重要キャラとして出てくるのが、ウェイン財団が援助していた孤児院の出身者にして警官のジョン・ブレイク。ガタイはさほどよくないが熱血漢でバットマンに憧れ、スポーツカーに乗って美女を侍らせているブルース・ウェインを見て「彼も仮面をかぶっている」と看破した感受性の強さを持つ。彼の本名が最後に明かされ、将来が示唆されるのがこれまた憎い。

実直な友であり、技術者であり、社長であるフォックスは、さしものウェイン財団もウェインが隠遁に入った頃から経営が傾いていることを説明し、孤児院への支援も打ち切られていた。核融合によるエネルギー炉開発も「核爆弾への利用が可能」と発表した研究者がいたため停止したままだったが、ウェインはこれをミランダに託すことを決定する。少しずつ「こうやって元に戻っていくのかな」と思わせておいて、事態は急転直下を見せる。

証券取引所が武装集団に襲われ、人質をとった犯人グループと警察のカーチェイスとなる。そこに現れたのは相変わらずものすごいバイク=バット・ポッド(あのタイヤの方向転換は何度見てもミラクルで飽きないぜ)で現れたバットマン。けれど副本部長は犯人ではなく「デント殺し」のバットマンを追えと命令するからこれまたややこしい。
なお今回はバットモービルにかわる飛行用ビークル「バット」が登場。いやー、こっちの社長も相変わらず装備品や乗り物には金かけてますよ!

証券取引所を襲ったベインの狙いは、ウェインを破産させる事だった。
アルフレッドにも去られ、全てを失ったウェインはミランダと一夜を過ごし、恩を売ったキャットウーマンにベインと会わせるよう取引をする。騙されちゃうんだけどね。
ところが「影の同盟」の一味だったベインにボッコボコにされて背骨をずらされ、彼が昔いたという「奈落」に放り込まれてしまう。前半はバットマンがいないし、ようやく復活したと思ったら負けて牢屋行きと、今回バットマンはいいところがないなぁ…

その間にゴッサムシティは大きな変貌を遂げていた。
ゴードンが書き記した「真実」によってデントの正体が暴かれ、犯罪者が解放されて待ちは無法地帯に。しかも核融合炉を中性子爆弾に作り変え、それで街を破壊すると脅して政府にも州兵にも手出しできないようにさせてしまった。資産家や権力者は一方的な裁判で裁かれ、死刑か追放(氷の河を歩かされるので事実上死刑)が言い渡される。この裁判官に見覚えがあるなぁと思ったらあいつだった、ビギンズの医者、スケアクロウ。(この人すげぇイケメンなのにしょぼくせぇ小悪党なんだよね〜)

地下に流し込まれたプラスチック爆弾(このために地下で作業してたのね)が一斉に爆発してアメフトの競技場が丸ごとなくなってしまうシーンや、橋が次々と落ちていくシーンはなかなかの見ごたえだったよ。
ゴードンやブレイクは潜伏し、ベインの策略で地下に閉じ込められた3000人の警官たちと連絡を取りながら反撃のチャンスを窺うものの、潜入してきた大尉たちも全滅させられ、為す術がないまま炉心のメルトダウンが近づいてくる。

その頃、身体を鍛えて何度か「奈落」からの脱出にチャレンジしたウェインは、昔ばなしを語る医者から「いつ死んでもいいと思う者には、何としても生きたいと願う者の強い魂は宿らない」と諭され、命綱なしのクライムに挑む。
この時の「昔ばなし」がストーリーのネックで、かつて将軍の娘と恋に落ちた傭兵が追放され、彼の身代わりに娘が「奈落」に落とされた。ある日医者の手違いで鍵をかけ忘れられ、囚人たちになぶり殺されてしまった彼女が残した子が、登攀に成功し、ここを出て行った「伝説」なのだという。この「こども」って表現にだまされたわ〜

脱出に成功したウェインは、カイルと再び取引して「追放」となったゴードンを救出。
カイルの言う通り「一度騙した相手を信じるの?」というのは尤もだけど、美女に弱いのはハリウッド映画の伝統なので仕方がない。キャノンでトンネルを吹っ飛ばせと言われて「そのまま逃げるかも」と答えた彼女を「きみはそんな事しない」と信じるのは、彼女が弱い者を助ける姿を見ていたからということ?(これであの子供が実はか弱いババァや身体障害者からリンゴを盗んでたらまさにお笑い種なんだが)

ビルに浮かび上がる炎のバットマークは息を殺して生活している街の人々に希望を与え、助け出された警官隊と無法者たちとの一騎打ちも開始される。しかし3ヶ月地下に閉じ込められていたわりには元気そうな警官隊に違和感。ヒゲとか髪とかボーボーになりそうだが、ビジュアル的問題であろうか。

ベインとの決着をつけるべくタイマンを張るバットマンに代わり、中性子爆弾を追うのはゴードン。リモコンのスイッチは妨害したものの、メルトダウンは着々と進行する。
そしてここで真の黒幕が正体ばらし。いや、これはね、恥ずかしながらちょっとビックリした。全く重要視してなかったキャラだったし、どうしても「男」と思うじゃん。

実はミランダ・テイトこそがこの事件の黒幕であり、「奈落」を抜け出した「こども」であり、本名はタリアと言うのだそうだ。大きな眼が印象的な彼女は「ピアフ」のマリオン・コティヤール。こういう少し斜視気味の眼を持つのはスーザン・サランドンとかだよね。
彼女は「奈落」でベインに守られ、脱出後に父であるラーズ・アル・グールと会った。
追放された傭兵とはラーズ・アル・グール…忍者の頭領モドキの渡辺謙じゃなく、リーアム・ニーソンが演じた本物の事だった。けれど父は娘を逃がすために囚人にボコられて酷い顔になったベインを嫌い、破門したのだとか。

殺してはいけないと言われたのに、バットマンを殺そうとして逆に殺されたベイン。黒幕の正体がわかってからは仕方ないとはいえ急激に小物化してしまい、ちょっとあっけない最期だったかな。ちなみに吹っ飛ばしたのはキャットウーマン。ああ、こっちはヒロインじゃないんだと思っていただけにこれもまた小粋などんでん返しだったなぁ。

爆弾を止めようと奮闘するゴードンをタリアが追い、それをさらにバットマンたちが追う。そして物語はいよいよ散々CMで流れたアイキャッチ、「伝説が、壮絶に、終わる」へ。今回のバットマンはいいところがないと思っていたら、最後の最後、身を挺しての自己犠牲が待っていた。

私はノーラン監督の得意技であるフラッシュバックやカットイン、スローモーションの演出がちょっとうるさくて好きじゃないんだけど、今回のライジングではそうした彼得意の演出がほとんどなくて逆に見やすかった。
しかし昨年からアニメで「TIGER&BUNNY」や「ZETMAN」などの視聴が続いているので、「どこかで見た風景」のような気がして感慨深い。原作の方が先に存在したとはいえ、ハリウッド映画は特に最近、日本のアニメ表現にかなり影響されてるからねぇ。

時間切れの中性子爆弾を沖へと運ぶバットマン。
ゴッサムシティの人々が、逃げ場のない孤児たちが見守る眼の前で爆弾は爆発し、彼もまた海の藻屑と消えた。
「傷ついた子供に上着をかけて、励ますような男」こそがヒーローだと告げたバットマンの言葉でその正体を悟ったゴードンはブレイクの辞職を惜しみ、アルフレッドは大切な主人を守れなかったことを悔やんで泣く。フォックスは会社を整理し、ビギンズで焼かれ、ダークナイトで建て直されたウェインの屋敷は孤児院に寄付される事になった…

こうして着々と「遺産」の整理が進んでいくにつれ、ああ、本当に終わりなのかなと思いきや、荷物を受け取ろうとしたブレイクの名前がなくて「本名かな?」と告げたその名が「ロビン」であると明かされる。あらま。
そして遺産の中にウェインの母の形見である「真珠のネックレス」がないと慌てる管財人たち。あらま。
そしてアルフレッドが見た夢が再現されていく。彼がワインを頼んで店内を見回すと、そこに「彼」がいた…夢ではないこの現実に満足し、アルフレッドは席を立つ。

バットマン復活まではかなりのスローペースで、後半に行くに連れてスピード感が増して行く。普通だと「巻き過ぎじゃないか」と思うほどのスピードなのだけど、この監督は差しの演出がうまいので振り落とされるほどではない。バットマンビギンズやダークナイトにはブルース・ウェインという大富豪が「金持ちの勝ち組で鼻持ちならんヤツ」としてにやりとさせた部分すらも今回はないので、とにかくひたすらシリアス。そしてダーク。全編に笑いが散りばめられているアベンジャーズとは対照的な作品で、同じアメコミヒーロー映画として見比べるのも楽しい。

劇中では8年と現実の時間以上に経過している上に(ダークナイトは2008年公開)ウェインが足を悪くしている(途中で膝にギプスをはめて固定する)ので、バットマンがロートルに見えてドキドキしたよ。実際ベインには殴り負けちゃうしさ。
でもやっぱり前作「ダークナイト」のジョーカーがあまりにも印象的過ぎて、今回のヴィランであるベインがあまり魅力的には見えなかったのは残念。黒幕が別というのも意外ではあったけど、どうしてもそれで印象が分散しちゃうからね。

でも相変わらずの重苦しい雰囲気は健在で、リアリティのあるどす黒い悪は表現できていたと思う。こういうダークさを内包したヒーローものは、ジョナサン・デミのスパイダーマンの1作目を見た時も思ったけどかなり好き。とても面白かった。デンバーの映画館での乱射事件など不幸なアクシデントもあったけど、問題なくヒットしたようだし。

しかし続編、というか新シリーズあるのかなぁ?
ロビンが滝の裏のあの基地を見つけるなんとも意味深なラストだったので、それが一番気になったよ。


アベンジャーズ8/31(金)

社長、最高ッス!!

もうね、どのヒーローもよかった。キャラクターもちゃんと踏襲されていて「らしかった」し、最後の決戦シーンでは格好良かった。あの連携シーンなんかゆっくり見たいくらい。

しかしこうして全ヒーローが並び立ってみれば、やはり老舗のトニー・スターク…アイアンマンは素晴らしい。
アイアンマンスーツそのものがカッコいいのはもちろん、ロバート・ダウニーJr.は何度も言うが、やはりシャーロック・ホームズよりは断然こっちの方が向いている。(ヤバい、アベンジャーズを見た後にはアイアンマン祭がやりたくなってしまう…) さらに「アイアンマン」公開当時よりCGがさらに滑らかになっており、見ていてハラハラすることが少なくなってきた。トランスフォーマーのような作品が続いたせいだろうか。

「マイティ・ソー」のラストでフューリーとセルヴィクが合流していたけれど、彼はその後、あのオーディンの箱…「四次元キューブ」の研究を推し進めている。けれどある時その制御しきれない力が次元の扉を開き、そこから現れたのはアスガルドのロキだった。
ロキは暗黒の宇宙の底に落ちた時、好戦的な種族と出会って取引した模様。彼らには巨大な力を、自分には世界の支配を。そんな邪な想いを胸に地球に降り立ったロキはキューブを奪い、あろうことかセルヴィク、ホークアイの心を支配して去っていく。

今回新たにヒルという女性が出てきたけど、この人も勇敢で格好良かった。
そういえばマーベルムービーって、アイアンマンにしろウザい女キャラがいない。戦う女性は皆凛としてカッコいい。ペッパー・ポッツだって有能で優しくて(あんな女好きではちゃめちゃな社長なのに)理解があって、すごくいい女だもんね。この描写は好きだな〜

彼女たちの追撃虚しく奪われてしまったキューブを追うべく追討隊が組織されるのだけど、これがまた一癖もふた癖もある連中ばかりで…というのが導入で、いよいよここからはヒーローたちが集結してくる。

まずは捕縛されて被尋問中のブラック・ウィドウに任務中止命令が。ここの脱出バトルは相変わらず格好良くて、「アイアンマン2」でのアクションに「ええっ、こんな美女が武闘派なの!?」と思わせたヨハンソンに魅了される。若い頃のミラ・ジョヴォヴィッチを彷彿とさせる美人アクションだ。ブラック・ウィドウ…人類最強の「嘘つき」女。

新たな命令を受けてロマノフが向かったのはインド。そこには貧民窟で流行病の治療をしている白人医師がおり、穏やかな彼は「人類の危機」が迫りつつある事、ガンマ線に「詳しい」自分の力が必要だというロマノフの誘いを受けて合流に合意する。彼の名はブルース・バナー…内なる怒りと共に変身するハルク、最強かつ最恐のビースト。

そしてフューリー自らが声をかけたのは70年の眠りから目覚め、変わり果てた「現在」の様子に戸惑っているスティーブ。戦争は終わり、勝ったのだと言われてもピンと来ない。共に戦った友人たちも、愛する人も、結ばれた同志も皆鬼籍に入り、誰も知らない人たちの中で、皆は「歴史上の人物」として自分を知っているというギャップの中、ただひたすらサンドバックを叩き続けている。資料を見た上で参集して欲しいと長官が10ドルを賭けたのはキャプテン・アメリカ…善良かつ正しさを模索するタフなリーダー。

「スタークは私を信用していない」さしものロマノフも根を上げる「天才にして天災」たる社長のもとにはフィル・コールソン。「シールドです!」と、「アイアンマン」では歯牙にもかけられず相手にされなかった彼が、ここまでのキャラになるとは…猜疑心と天上天下唯我独尊が信条の社長より、彼が惹かれてやまないポッツの方が「物事の本質を見抜いている」という描写なんだろうね、「いい名前ね」は。
クリーン・エネルギーの権化たるスターク・ビルに到着してキャストオフしていくシーンはカリ城っぽかった。この場合はジャーヴィスがジョドーだよね。自尊心と好奇心をくすぐられたアイアンマン、稀代の便利屋超特急ヒーロー。

彼らはシールドの「基地」に集められたものの、何しろキャプテンとスタークは水と油のような真反対の性格だし、バナーは穏やかで知的だけれど、感情を揺らされないように「我関せず」を貫こうとする。
長官は何をやっても怪しいし、コールソンは子供の頃から大好きなキャプテン・アメリカに気もそぞろ。このどこか気まずく、なんともバラバラな雰囲気が面白い。
ちなみにこの「基地」、私もキャプテンと同じく潜水空母かなと思ったけどステルス機能付の飛行空母でした。デカいよッ!あんだけの質量を浮かす動力はなんだよ!!

とりあえずインテリ担当のバナーとスタークの理論に基づき、「わずかなガンマ線を追ってキューブの在処を掴む」と方針が決まったものの、キューブの力を引き出すためイリジウムを手に入れるべく、ロキがドイツに現れたと聞くやドタバタとヒーロー2人とロマノフが出動。ドイツと言えば因縁深いのはキャプテンだけど、ここで強制的にもう一人のヒーローが乱入してきた。
雷と共にやってきたのは暴れん坊の神様ヒーロー、力持ちの頑丈最硬男ソー。

ソーは神様としてすっかり落ち着いた趣で、弟ロキを問い詰める。ロキはここぞとばかりにソーへの恨みつらみを暴露し、いざ仕合わんとした途端、ソーは吹っ飛ばされてしまう。とにかく今回、ソーはひたすら吹っ飛ばされまくる。オーディンの加護があるとはいえあの鎧一つでそれでも無事なんだから頑丈にもホドがあるわ。

ふっ飛ばしたのはアイアンマン。兄弟で揉め事するなと言わんばかりに本末転倒の大喧嘩を始めたところでキャプテンの鉄槌…ならぬ盾が飛んできて水入り。それにしてもアイアンマンスーツも悲鳴を上げるソーのスーパーパワー、アイアンマンの多彩な攻撃に吹っ飛ばされまくるソーと、夢のヒーロー対決が今ここに…ってか早くロキを捕まえんかおまえら!

逃げちゃったのかと思ったロキは何か目的があるのかアッサリ捕まり、飛行空母に連行される。一方全員がそろったヒーローたちの不協和音はさらに増すばかり。勝手な行動を取るアイアンマンに怒るキャプテン、これは自分の問題だと言い張るソー、初めからないだろこれはと引っ掻き回す社長ときて、いよいよハルクのターンヘ。

自身の心の傷を抉られながらもロキの企みを見事暴いたロマノフだけど、それは危険なヒーローを呼び覚ます事になってしまう。ホークアイ率いる部隊の攻撃でエンジンを破損した飛行空母は傾き、恐怖とストレスから変身したハルクがむっちゃ怖いんだけど。猛獣が放たれた檻の中で逃げ惑うブラック・ウィドウ。何しろ最後には自分に攻撃した戦闘機に飛びついて落ちていくという凄まじい怒りぶり。
「目標が怒りました!」って、怒るわ、そら!ちなみに脱出後掴まれたものの、パイロットは無事でした

ついでにこの時ロキも助け出されてしまい、相変わらず猪突猛進なソーは分身に騙されて10万メートル下に落とされることに。落ちる直前に脱出したのはともかく、あれだけ中でシェイクされても死なないとはやはり頑丈だなぁ…
しかし反面ブラック・ウィドウ(大活躍やね)のファイナルブローでホークアイが正気に戻り、ヒーローチーム「アベンジャーズ」はマイナス2のプラス1…減ってるやん!

でもいい点もあって、飛行空母を守るため便利な修理屋アイアンマンと勇気凛々ヒーロー・キャプテンが息の合ったコンビぶりを見せた。
「助けてぇ!」
タービンに巻き込まれた時はさすがにダメかと思ったけど、やっぱアイアンマンスーツは伊達じゃない。そして相変わらず中の人が頑丈すぎだろう!生身だとあんなにヤワそうな中年のオッサンなのに!!

ロキの目的はどうやら、扉を開くまでの時間稼ぎと、邪魔になりそうなシールド、特にヒーローたちをバラけさせる事だった模様。彼が一番危険視していたのがハルクであり、次が忌々しいソーのようだ。結果的にそれは成功し、この2人は行方不明になったわけだ。
けれどロキに殺されたコールソンが皆を一つにした。血まみれのトレーディングカードを見て沈黙のキャプテン、チェロ奏者の恋人がいた彼を思うスターク。ロキに借りを返したいホークアイと、そのロキに過去を知られたことを清算したいブラック・ウィドウ。
しかしこっちにとっても長く関わったキャラだけに、ちょっと衝撃だったなぁ、コールソンの死は。 とはいえ「カードはコールソンの胸ポケットではなくロッカーから見つかった」と憤慨するヒルに、それも必要な事と嘯くフューリーを見てるとそれすらも怪しいのだけど。

未知のエネルギーを持つ四次元キューブ、盗み出されたイリジウム、そして凄まじいパワーを生み出すもの…すなわち「スターク・タワー」で「扉」が開くと、いよいよ敵軍が押し寄せてくる。
今回エンタメ満載のヒーロー映画としては「侵略者から地球を守る」ステレオタイプのストーリーは楽しかったのだけど、残念だったのはこの敵が何者だったのか、どういう連中だったのか結局よくわからなかったこと。尖兵たちは母船からの指令で動いているプローヴ兵だったみたいだし、ボスは結局ヒーローたちと相対する事はなかったし。 あれだけ問題児ばかりのヒーローがいて、彼らの団結を描写しなければならなかったわけだから尺的に描けないのは仕方ないけど、ホント、何だったんだろう、あいつら…

クライマックスはこの映画の真骨頂。特にラスト周辺の連携バトルは素晴らしい。 まさかのアイアンマン空中換装(今回最高に格好良かったシーン!ヤバすぎ!)、ハルクのコントロール変身、ホークアイの見事な矢さばき、ブラック・ウィドウ強すぎ、ソーの得意技・サンダーストライクといい、全てがキャラらしい。
空も飛べないし武器もないキャプテンはさすがに見劣りするかなと思ったけど、彼はやはり善意と高潔な精神のもと、人助け第一に地上を守るヒーローなのだった。軍隊気質が抜けないキャプテンに、「なぜ命令する?」と怪訝な顔をした警官もそらついつい従っちゃうよね。

そんな中でも唯一ハルクと互角のパワー勝負ができたソーをハルクがさりげなくぶっ飛ばしたり、そのソーはロキは自分の兄弟だと言った後で「養子だ」と訂正したり、核ミサイルと共に扉の向こうを垣間見た社長の電話にポッツが出なかったり(出たれよ!)、そこここに笑いも散りばめられている。
ロキの最後はハルクにバコンバコンと投げ飛ばされてギブアップだったし。(こらCM!見せるなよ!)やはりハルクが一番の天敵?そういや死にかけた社長を起こしたのもハルクだったしね。

やー、面白かったよ。
難しい事を考えず、とにかくひたすら爽快なヒーローバトルを見るつもりで見た方がいい。
文句なんか言うなら、初めからこんなあまりにもあからさまなハリウッド映画は見ないに越した事ないと笑い飛ばしてやろう。
そういう人はミニシアターで馴染みの少ない国の作品を見ながら難しい小理屈をこねくり回している方がお互いに幸せだ。

ヒーローたちは個性が強くて、それぞれの信条を胸に抱いていて、それを元に言い合いするシーンなんかはまさしくトラブルの種を放り込んだロキが面白がるようないがみあいはハラハラする。シールドも綺麗なだけの組織ではなく、キューブの力を使って武器を開発しようとしていたとか、おまえだって武器商人だっただろと互いに罵りあいが始まった時はもうあかんわーと。

うちの一言投票所でご助言があったように、「キャプテン・アメリカ」と「マイティ・ソー」を見ていない人は絶対見てから行った方がいい。ソーがこちらに来るのは「オーディンに暗黒の力を貰った」と一言で片付けられてしまったけど(もうビフレストがないから)、ソーの世界観を理解してないとちょっとわかりづらいし、キャプテンの「時代遅れの融通の利かない堅苦しさ」は元になる映画を見れば納得できるからだ。

アイアンマンはより格好よく、そして修理・飛行・囮・最終防衛と、全てにおいて便利すぎだよ社長!スーツがナニゲにボロけていくのがまた格好いいのよ。ボロボロなのに格好いいってどういうことよ!
ソーはひたすら強かった。ジェーンが安全な地にいる事を知ってほっとし、アイアンマンやハルクと渡り合うなど、最も仲間と戦ったけど、雷撃やハルクでさえ持ち上げられないハンマーでのバトルは格好良かったよ。
救助優先のキャプテンはロマノフやホークアイと共に人々を守って真摯に戦い続けた。ホント、どうしたって化け物みたいな連中相手じゃ太刀打ちできまいと思ったけどよく頑張ったよ。「(首領の)ロキを倒せ」と息巻くほかのヒーローを諌めて「ロキを倒したら敵は制御が利かなくなって暴走する!」と難色を示したのは、シリア対策のように今のアメリカがそういう戦略をとってるからかな。
ハルクは最終兵器の名に恥じぬスマッシュぶりだった。集中攻撃を受けた時はバテるかと思ったけど、屁でもなかったようだ。そもそもロキを閉じ込めたあの檻自体がハルク用だったらしい。
ホークアイはソーでは出てきただけでその射撃の腕を見られなかったけど、今回は凄腕だった。ロキには止められちゃったけど、鏃はしっかり爆薬仕込みだったしね。
そしてブラック・ウィドウは強すぎるでしょ。なんという最強ぶり。しまいにはキャプテンの力を利用して敵の飛行物体を乗っ取るって…ホントにただの人間ですか?

破壊されたNYは復興を初め、ロキはアスガルドに連行される。
ヒーローたちは元の生活に帰っていき、核爆弾をぶち込まれた敵さんも「手ごわい敵がいる地球には手を出さない」と不敵な笑みを浮かべて、映画は幕が下りる。
エンドロールはそれぞれのヒーロー縁の画像の後、スタッフロールへ。
ここでまたバラバラと席を立っちゃう人がいて、「あれだけマーベルムービーは最後の最後まで席を立ってはいけないとわかってるはずなのに」と呆れてしまう。

案の定全てが流れ終わった後には、アベンジャーズの6人がスタークが食べてみたいと言った「シャワルマ」(攻撃で破壊されているので店員さんは片付けに忙しい)でもくもくとケバブを食っているシーンが。ひたすらもくもく。うまいんだかまずいんだかわからないまま気まずそうにもくもく…というところで出たのは「アイアンマン3」が2013年GWに公開されるタイトル告知。

豪華フルセット全部乗せ映画におなか一杯!
あれこれ思い出してはにやにやしつつ、楽しい気分で劇場を出られたよ。


マイティ・ソー8/24(金)

暴れん坊の雷神王子・ソーの精神修行映画。
神話っぽくもあり、超未来的でもあるアスガルドの描写はちょっと面白かったな。「地球(ミッドガルド)」という惑星概念もちゃんとあるし、ユグドラシルを中心におく宇宙思想も面白い。

そのアスガルドでソーが父王オーディンから王位を継承しようというその時、宮殿に突然氷の巨人が現れる。デストロイヤー(火を使うところもちょっとゼットンっぽいので、以下ゼットンと記す)が出動して窮地は逃れたものの、式典はメチャクチャに。

怒り狂ったソーは、穏便に済ませようとするオーディンの命に背き、仲間たちと共に別の宇宙へ渡る転移装置である「虹の橋(ビフレスト)」を開かせ、ヨツンヘイムに乗り込む。
しかしこの暴れん坊、巨人の王に対してもでかい口を叩くだけの事はあってまー、強い強い。一緒に連れて行った仲間たちはいらなかったんじゃないかと思うほど強い。トールハンマーこと、ミョルニルを投げまくり、巨人たちをバッタバッタと倒していく。

案の定この騒ぎは父の知るところとなり、介入に乗り込んできたオーディンが息子たちをさらって水入りとなる。しかしソーのこの行動は氷の巨人との関係を悪化させ、戦争のきっかけになることは間違いない。

父王はソーからミョルニルを含め全ての力を剥奪し、ミッドガルドへと落としてしまう。同時にミョルニルも落とすのだけど…そう、これこそが「アイアンマン2」のラストに繋がるあのシーンの真相だったのだ!

ソーが地球に落ちてからは、よくある「変な人が降ってきた!」的ドタバタ展開でとても面白い。ワームホールの研究をしているセルヴィク博士とジェーン、そしてダーシー(この人はメガネをかけてて顎の出っ張り具合までもがアンジェラ・アキにソックリなので以下アンジェラと呼ぶ)は、突然起こった砂嵐の中で吹っ飛んできた男を轢いてしまう。

「そんな脅しがこのソーに効くか!」と言った途端にアンジェラのレーザーポインターで気絶させられたり、病院で大暴れしてケツに鎮静剤を打たれたり、逃げ出したと思ったらまたジェーンの車に轢かれたり…こういう世界観ギャップがもっとあると面白かったと思うな。だってあの不思議なアスガルドにいたからなのか、ソーが意外と適応力が高かったからね。テレビやパソコンに驚いたり、急に鳴った携帯電話を投げ飛ばしたり、神様ならではの不遜な態度で街の人の眉をひそめさせたり、もうちょっとコミカルなシーンが続いてもよかったかなと思う。

なんでかっていうと、落ちて来たミョルニルを皆でアーサー王の剣よろしく引っこ抜こうと集まったり、トラックで引っ張ろうとしたらチェーンが切れる…のではなく、荷台が剥がされてしまったりと、結構笑えるシーンがあったからさ。
こういうケネス・ブラナーの「ジョン・ブル的笑い」のセンスはよかったと思うだけに、ソーとジェーンたちの「世界観ギャップ」が抑え目だったのはちょっと勿体無かった気がするよ。

さて「アイアンマン2」のラストでこの現象に気づいたシールドは、誰にも掘り出せないこのミョルニルを保護し、さらにはジェーンたちの研究を「危険視」して機材などを没収してしまう。 この事を知るや、「力の源」である自分の槌を取り戻そうと単身乗り込んだソーは、シールドの武装ガードマンをバッタバッタと投げ飛ばし、猛牛のように突き進む。
キャプテン・アメリカと違って一応こちらは悪役ではないので、銃などはほとんど使わずメインは肉弾戦。そして出動要請の出た「狙撃手」は、ライフルではなく弓を手にする。ははぁ、なるほど、これがホークアイね。でも結局一射もしなかったので、彼の実力は全く不明。もうちょっと活躍してもよかったんじゃないの?せめて勇ましく戦ったアイアンマン2の「ブラック・ウィドウ」くらいは。

邪魔者をぶっ潰し、ついにミョルニルの前に立ったソーは、嬉々として自分の武器に手をかける。
ところがやっぱり、渾身の力を入れて引っ張ってもハンマーはウンでもスンでもなく、絶望したソーはそのままシールドに捕えられてしまう。どうやらやっぱりまだその力に「ふさわしい者」にはなれていないようだ。

北欧神話といえば身体障害者でありながら全能という世界的に珍しいイレギュラーな最高神オーディン(北欧が福祉最先端地域なのはあながちおかしな事ではないのかもね)、勇猛果敢なトール(=ソー)、美青年にして豊穣神のフレイ、愛の女神フレイヤときて、トリック・スターのロキが有名。
マイティ・ソーではソーの弟として魔術に長け、分身や転移、操作など様々なスキルを持っているオーディンの次男だけど、氷の巨人との戦闘中に受けた凍傷が、ヴォルスタッグのそれよりずっと早く治ってしまったことに疑問を抱く。実は彼はオーディンが拾った、氷の巨人の赤ん坊だった。

オーディンはもちろん、ロキには両部族の「架け橋」になって欲しいという意味で真相を告げたんだろうけど、ソーばかりが贔屓されると嫉妬していたロキが「取引材料」と取っちゃっても無理はない。
失意のソーの前に現れたロキは父王が死に、王座は自分が継いだと三行半を突きつける。ここで殺しちゃえばよかったのにねぇ…だってこの時のソーは無力なんだし、武器も当然持ってない。詰めが甘いよね、世のヴィランは(…私の心根が悪いのか?)

ソーを胡散臭いと睨んでいるセルヴィクに助けてもらい、もうアスガルドには戻れないと悟ったソーはジェーンと星空の下で語り合い、このまま地球に残ってもいっかな〜的な雰囲気に。早い、早いよ、諦めるの!仮にも父王の後を継いで国を治めようとしていた人がそんな事でいいのか!?

そんな時、ロキの豹変に納得できない仲間たちは同じくロキに不満を抱いているヘイムダルに地球に転送させてもらい、ソーと再会する。ソーを探して小さな田舎町を歩くこのけったいなコスプレ軍団を見る町の人の眼が面白かった。
再会を喜び合い、さらにはオーディンが眠りについただけで死んでいないと知ったソーだけど、戻れない事に変わりはない。さらにそこに勝手に出て行った4人に怒ったロキが一網打尽にしようと送り込んできたゼットンまでが現れる。

ゼットンがきっとこの町を「一兆度の火球」で無差別に焼き払うんだ、それで怒りのトールハンマーが炸裂するんだひゃっほー!と思っていたら、意外にもソーは仲間たちにゼットンの意識をひきつけさせ、冷静に街の人を避難させるよう告げていた。
そして肝心のゼットンはさほど…あまり…破壊はしてなかったなーセブンイレブンを燃やしたくらい
いや、「全てを破壊しろ!殺せ!殺しまくれ!」なんか言いませんよ?でもさ、でもソー復活のカタルシスのためにはそういう演出もアリじゃない?アリだよね?アリと言ってくれ!(じゃないと私、単なる性悪人間じゃまいか)

勇敢なシフの一撃にはちと驚いたけど、4人では歯が立たず、ソーはゼットンの前に無力な身体を晒す。
これ以上血を流す必要はない…ロキが自分の死を望み、それで戦いがやむならと進み出たソーは、ゼットンパンチを食らって吹っ飛び、そのままお亡くなりに…

戦う事でしか戦いは避けられないとばかりにミョルニルを振るいまくった頃に比べ、すっかり趣旨換えしたソーの手には、これでようやくミョルニルが戻ってくる。力を象徴する鎧と、地位を象徴する赤いマントも戻り、ジェーンやアンジェラたちがあんぐりする中、こうして雷神が復活する。

ゼットンはあっちゅー間に破壊され(アスガルドの守護者なのにええんか?)、ジェーンとの別れもそこそこに、ソーはロキとの決着をつけるためアスガルドに帰還。ロキに凍らされてたヘイムダルさんはホンマ、苦労人。つーかこの人結局全然橋守れてないよね。ただ「見てる」だけだよね。

自分の本当の父である氷の巨人の王を陥れて殺したロキは、同時にヨツンヘイムをビフレストで引き裂こうとする。そんな残酷な事をするならやっぱあそこでソーを殺しておけよと思わなくもないが、憤慨するソーに「以前は(巨人を)素手でくびり殺してたくせに」と言うのはね。まぁアリだよね、ソー、暴れん坊だったしね。

さてこの兄弟喧嘩、伸び続ける虹の橋をトールが壊す事で決着する。けれどビフレストがなくなれば二度とミッドガルドには行けなくなり、ジェーンには会えなくなる。
橋が壊れ、2人が宇宙空間に投げ出されようとした時、救ってくれたオーディンはロキの過ちに首を振る。ロキは手を離して姿を消し、アスガルドには再び平和が戻った。

すっかり落ち着いたソーは、未熟な自分が王位を継ぐのはまだ早いと父に告げつつ、弟を失い、ジェーンに会えない寂しさをヘイムダルの眼を通じて紛らわせるのだった…というところで物語は終わり、お約束のエンドロール後のオマケ映像へと続く。
セルヴィクが会っていたのは、またしても出ましたフューリー!けれどそれ以上に気になるのは、セルヴィクの耳元で囁いたのがロキだったということ。やはりただでは転ばない。そしてソーはアベンジャーズで地球に戻ってくる、とテロップが流れて物語は終結する。

ストーリー的に「勧善懲悪」とはなりづらいものの、ユグドラシル宇宙の描写やバトルはよかったと思う。問題はもっとソーのキャラクターを際立たせるシーンがあればよかったこと。暴れん坊が成長するのも、ロキの言うように女だけじゃなく、もっと人々と関わるような描写があったらと思う。ロキは頑張ってたけど、個人的にはもっとクレバーっぽいほうがよかったな。ヘイムダルや4人を騙し通すくらいのね。

「浅野忠信みたいなのが出てるなー」と思ったら本人で吹いた。 しかし(なぜか)女のおかげで変われたとか、女に会えないと1人ヘコんでるソーを見ると、「千載一遇のチャンスを逃して70年間眠ってた童貞一直線のキャプテン・アメリカはどうなる!?」と思わなくもない。


キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー8/24(金)

「おまえもマスクの下はあんな顔なのか?」

今夏の私の期待作「アベンジャーズ」を鑑賞前に予習しておこうと視聴。同じ事を考えるのか、皆借りまくっていて残り一本だったのが笑えた。

マーベルコミック最古にして基本となるアメリカン・ヒーローは、第二次世界大戦中に研究されていた血清を打ち、ひ弱な体から超人となったスティーブ・ロジャース。
徴兵試験にさえ受からなかった彼は恩人である血清の研究者アースキン博士に「心根のよさ」を買われるのだけど、その理由は血清が肉体だけでなく、精神をも増幅させるから。かつて彼の実験体だったナチスのヨハン・シュミットは悪の部分を増幅させてしまい、今はナチスの中で「ヒドラ」という組織を作り、オーディンの箱を手に入れて着々と兵器を作り続けている。

弱い者は力の価値を知り、力に敬意を払える…けれど、実際に超人となったスティーブに待っていたのは、プロパガンダとして利用され、全米を戦時国債購入のために廻って歩くパフォーマーとしての役割だった。
歌い踊る女の子たちに囲まれて子供たちにサインし、陳腐な戦意昂揚映画まで撮って段々とその役割に慣れていくキャプテンを見てると、「ど、どうなるんだろう、この映画…」とそこはかとない不安に駆られたけど、やはり夢が醒める時はくる。

イタリアへの慰問に来たスティーブは、激戦をくぐり抜けた兵たちに罵倒され、野次られて退場してしまう。自分が本当に望んでいたものがなんだったのかを見失った失意の彼に、訓練時代の教官だったペギーがここにいるのは彼が憧れながらも入隊できなかった107部隊が駐留していると告げると、驚いたスティーブはトミー・リー・ジョーンズ演じる大佐に親友バッキーの消息を尋ねる。

死んでしまったかもしれない彼や、捕虜になった兵たちを助けようと単身敵陣に乗り込むキャプテン・アメリカ。協力者はペギーと怖いもの知らずのハワード・スターク…って、スターク?スターク、スターク…

そう、この映画はキャプテン・アメリカを描きつつ、重要なキャラとしてハワード・スターク、つまり「アイアンマン」たるトニー・スタークの父が大活躍しているのだ!

そしてまたこのハワード・スターク、さらっと薄味に出てきているくせに、よくよく考えたら恐るべき天才なんだよね。あの「天上天下唯我独尊」のトニーが影響を受けただけの事はある。「よく考えたらヤッターマンのボヤッキーってすげぇ天才じゃね?」と気づくみたいなものだ(ちょっと違う)

血清の実験はもちろん、この時の突入時にも対空砲火がゴンゴン飛んで来る闇夜を飛ぼうなんてバカはスタークしかいないと彼女に評され、さらにキャプテン最大の防具にして武器であるシールドもスタークの提供による。こうなると彼の息子とスティーブは「アベンジャーズ」ではどんな関係を紡ぐのだろうと気になるじゃないか!

奇しくも真の意味で初陣(アースキン博士殺害時の捕物は戦争ではないため)となったこの時の救出で、キャプテンはシュミットとも相対する。彼は血清の副作用で顔を失い「レッド・スカル」となっていた。「(総統は)アーリア人の顔を失った私が気に入らないのだ」というセリフはあったものの、スティーブが殴ったら心なしか顔がズレたのにはビックリしたわ。

この突入をきっかけにプロパガンダではなく戦場に残り、仲間たちと共にヒドラの基地を破壊する任務についたキャプテンは、助け出したバッキーはじめ捕虜たちと精鋭部隊を結成し、次々とそれを撃破していく。この元捕虜たちがなかなか個性的で面白い連中なんだよ。コサックみたいなのやアジア人風、パルチザンや黒人など多種多様なヤツらばかりで、キャプテン自らロンドンのパブで「一緒に戦って欲しい」と要請するのもよかった。実際、戦車の下に転がり込んで爆薬を仕掛けるなんて離れ業をするヤツもいてビックリ。
けれど列車への強襲作戦中、ほんのわずかなタイミングでバッキーが命を落としてしまう。親友を失って落ち込むスティーブに、彼を信じて着いて行った親友の思いを裏切るなと諭すペギー。励まされた彼はいよいよ最終決戦に向かう。

ヒドラの「ワルキューレの翼」なる最終兵器がギガントにしか見えないなぁと思いつつ、ニューヨークに向けて飛び立ったレッド・スカルを追うキャプテン。
この時ペギーと最初にして最後のキスを交わしたキャプテンに、「キスはしなぞ!」と断言した大佐に笑ってしまった。

最終決戦は意外とあっけなくて、ノルウェーの神父が警告したように、オーディンの箱の力の暴走で彼は消滅してしまう。
しかし問題はこのままだと機体はニューヨークに突っ込んでしまう。キャプテンは針路を変えるため操縦桿を握り、ペギーと最後の会話を交わしながら北の海へ不時着させることに。初めてのダンスの約束は来週の土曜日に…けれどそれが果たされる事はない。

そして物語は冒頭、氷の中から発見された巨大な航空機とシールドに戻る。
アンティークなラジオ、天井の扇風機、窓からは風と通りの喧騒…ピッタリとしたレトロな軍服をきちんと着込んだ女性兵士が、目覚めたスティーブの病室を訪ねてくる。
しかしそれは偽りだった。見破ったスティーブがハリボテの部屋を飛び出し、21世紀のニューヨークを戸惑いながら走り抜けると、そこに待っていたのはあの、サミュエル・L・ジャクソン…ニック・フューリーだった、というところで物語は終わる。

とにかくキャプテン・アメリカたるスティーブが「いい人」なので見ていて気持ちよかった。2時間程度の短い映画の中で、あんまり悪だの正義だのって悩まれてもなぁと思うし、ここはきっぱりと「いい人」が「正義を為す」という単純明快な方がいい。
それに最後はちょっとほろ苦い。私個人としてはペギーの役割は女性にしなくても成立すると思うのだけど、ハリウッド的にも絵面的にもここはヒロインを配す必要があるだろうから当然だろう(実際、女性キャラは普通のハリウッド映画以上に少ないと思うし)

あのど派手なコスチュームもうまいこと軍服にアレンジされていたし、ブーメランのように戻ってくるシールドの「謎推進力」はなんだろうと思いつつも、うん、とても面白かった。これで予習はばっちりだ。


逆転裁判8/24(金)

「…異議あり。我々の使命は、真実を明らかにする事です」

いやぁ、これ…面白かった。思った以上に面白い。再現度も高い。

公開された当時の私のように、ゲームを全くやった事のない人にとっては「ポカーン」な映画なんだけど、やった人にとっては「どんなアホ作品になったか笑ってやろう」と思ってヘラヘラして見に行ったのに、思ったより面白くてびっくりするというサプライズ作品だと思う。
新米弁護士成歩堂龍一と、若き天才検事御剣怜侍が、増加する犯罪に対抗して取り入れられたご存知「序審法廷制度」に基づき、法廷バトルを繰り広げる大ヒットゲームをもとにした映画版。「クローズゼロ」や「ヤッターマン」などを手がけた三池崇史監督の手で映画化された。ちなみに宝塚でも歌劇化されてるらしい。ど、どうなったんだろうか…

原作は、格ゲーで1時代を築いたカプコンがその後の格ゲー乱立時代を経て、サバゲーとホラーにを合体させたバイオハザードによって覇権を奪われ、まさに大逆転をかけたヒット作「逆転裁判」。
探偵ゲー、捜査ゲーはファミコン黎明期にはよく見られたものの、そういえばナリを潜めていたなぁと(多分存在はしていたんだろうけど)思い出させた。
しかしこれ、ゲームとしても本当に面白い。まぁ評価が高いのは1と3の奇数作らしいので、まだ2も4もやっていない私が全ての評価を下すのは早いのかもしれないけど、ホントに面白かった(DSには「蘇る逆転」というシナリオもあるので、御剣事件は終わっているのだがまだ1が終えられらないのである)

さて映画は、蘇る逆転を除いたこの1の内容をほぼ全て網羅している(だから私にはあまりにナイスタイミングだった)
メインの事件は第4章の「逆転、そしてサヨナラ」と、第2章の「逆転姉妹」。 第3章の「逆転トノサマン」は背景として描かれ、ナルホドくんではなく御剣が姫神を有罪にするし、「事件の陰にヤッパリ矢張」が関わるナルホドくん最初の事件、「初めての逆転」も矢張や千尋さん、イトノコ刑事などのキャラクター紹介的に断片的に出てくるだけ。

とはいえスピード感あふれるストーリー運びなので、このへんは逆にその方がよかったと思う。これによって序審法廷制度が浸透している事や、法廷の様子、ゲームでの「くらえ!」や「ゆさぶる」がどう映像化されているのかがわかるし。

そして千尋さんが殺されてしまう(これにはゲームでも正直「えっ、もう死んじゃうの!?」とビックリしたなぁ…)第2章でナルホドくんは初めて御剣と対決する事になる。ホテルの目撃者が小中大本人になっていたりといくらかの変更はあるものの、法廷の天井に巨大なカラクリがあって大仰に動いたり、その割にはモニターが3Dっぽかったり(これが15年前だとCRTっぽいのが細かい)、三池監督らしい外連味たっぷりのギミックもとても楽しい。個人的には裁判が頻発するであろうこの制度化では、法廷が劇場的な作りになっていたり、容疑者がぶちこまれている牢が汚かったり(使用頻度が高いはずなので)、面接室がお粗末だったりする(足りなくて自然老朽化が進むだろうから)のがリアルっぽくてよかった。(観客はなんか変な連中ばかりだったけど、あれは各自の裁量なんだろうか?)

そして物語はいよいよメイン・トライアルへ。

ひょうたん湖で起きた生倉弁護士殺害事件の容疑者は、なんと御剣怜侍その人だった。
冷徹に、時には黒い噂を立てられつつも強引な手段で証拠提示や審理の押し切りをしてきた御剣の弁護を引き受ける弁護士はいない。けれど幼馴染のナルホドくんは自分が弁護士の道に進む後押しをしてくれた御剣を見捨てる事はできないと、独自の調査を始める。

ヒョッシー騒動(真相解明シーンの再現は素晴らしかった!)、人騒がせな大騒ぎ…ならぬ大沢木ナツミの偽証、そして何より40年間無敵の狩魔検事との対決が、時にゲームどおり、時に映画オリジナルで進んでいく。

特にDL6号事件についてはかなりオリジナル展開になってるんだけど、正直こっちの方が説得力があるんじゃないかと思うくらい。ゲームでは地震が起きて御剣親子と灰根が極限状態に陥った中で事件が起きたという設定だったけど、映画では狩魔との裁判に敗れた御剣信が、偽りの証拠品を手に入れようとして灰根と争う中、銃の暴発が起きるという展開に。でもこっちの方が「エレベーターの外にいた狩魔に弾があたる」よりはマシな気がする。

そしてここから先の改変を私は断然、支持する!
ゲームでは灰根の婚約者だったサユリさんは映画では妻になっている。
勝利にこだわり、真実の追究を投げ出した生倉の弁護は確かに灰根に自由を与えたけど、代償として全てを失うことになる。「御剣を殺した」事を認めて、けれど心神耗弱によって無罪になった灰根は世間の冷たい風に晒される事になり、ついに限界を迎えたサユリさんはベランダで首を吊ってしまったのだ。婚約者と妻では似ているようでやはり重みが違うので、こちらの方が絶対にいい。

自分は復讐を果たしたのだから、もういいのだと崩れ落ちた灰根。彼はオウムのサユリさんに15年間謝り続け、サユリさんは彼が教えたとおり、「アイシテルワ コウタロウサン」と呟き続けた。カゴに頭を突っ込んだサユリさんはホラーだったけど、彼らの哀しみや苦しみを知ってしまうとなんともやるせない。またこういう、虐げられて世の片隅に打ち捨てられたような人間を演じさせたらピカイチの小日向文世がいいんだよ。ホントに涙ぐみそうになったよ。

さて、しかしゲーム同様ここでは事件は終わらない。
奇しくも獄中で毒殺された小中大同様、果たして灰根に殺人を教唆したのは何者なのか。せっかく無罪になった御剣が「父を殺したのは自分」と告白してしまったことでナルホドくんはさらなる崖っぷちに立たされる事になり、まさしく「藪の中」のDL6号事件解明へとドラマは進んでいく。

ナルホドくんはゲーム同様、熱心で真っ直ぐだけど気弱さや迷いもたくさん持っている、人間臭くて憎めない好漢として成宮寛貴が好演。御剣も加藤力がそれらしく演じているけど、髪の毛は敢えて銀色にしなくてもよかったんじゃないかな。肉感的な美女千尋さんはもちろん、あやしげな霊能少女の真宵ちゃんが私的にはヒットだった。
宿敵のチョーさんこと裁判長は柄本明。ハゲてはいないものの、ゲームよりは良心的に裁いてくれる。

それにしても御剣信が気づいた狩魔の「偽りの証拠」を見事に暴いてみせたナルホドくんは格好良かったなぁ…これもゲームより映画の方が説得力持ってると思う。だって逆恨みより口封じの方が殺人の動機としてはアリじゃない?
息子が銃を構える姿を見て命を落とした父は、口寄せの時、「自分を殺した息子」を守るために偽証していた…人知れずとはいえこれで綾里の名誉も回復され、この事件は15年ぶりに解決を見る。

同時に「給食費盗難事件」も解決。ゲームでは給食費を盗まれた御剣(映画ではなぜか寺田くんという子)は実は真犯人に気づいていた(=矢張が成歩堂をかばうのはおかしいと怪しんでいた)という鋭さを見せて面白かったので、映画ではナルホドくんと一緒にビックリしてたのはちょっと残念だったけど、まぁいいでしょ。

さらにナルホドくんは「灰根さんの弁護をさせてもらおうと思う」と発言し、救いをくれるのだ。これが一番嬉しかったかも。実際に手を下した彼の有罪は覆らないけど、ナルホドくんならきっと最後まで誠実に、被告の「たった1人の味方」でいてくれると思うからね。

いや、ホント、ゲームの再現度といい、ギャグっぽさといい、スピード感ある物語といい、面白かったよ。石橋稜が怪演した狩魔の「正義論」に静かに反論するナルホドくんは頼もしすぎる。そんなナルホドくんに爽やかな感動までもらっちゃった日には、「『相棒』の間に続編も頼むよ!」と成宮くんに言いたくなるじゃないか。


サマーウォーズ7/20(金)
みんなだいすき細田監督。すごいてんさい細田監督。

まずこの映画が封切られた年に私が持った印象と、作品の内容が全く食い違っていた。
田舎暮らしの大家族が、都会から来たもやしっ子を巻き込んで世界を救うために立ち上がる…というものだが、私はなぜか彼ら家族が世界から反目され、孤立しつつも家族の絆で一致団結して立ち向かい、結果として世界を救った…という話だと思っていた。…ザンボット3?
一体なぜそう思ったのかはわからないが、そんな誤解があったために「あり?」と思い、そのうち「ありり?」と首を傾げる羽目になるのだった。

そもそも興味の無い作品なのでそういうヘンテコな誤解が生まれたのだろう。 みんなが大好きな細田監督に、みんなが大好きな貞本絵となればそりゃ黙っていても(固定)客は呼べるさ。

ヒロインである夏希の家は、室町時代から続く旧家。一族を取り仕切る祖母の誕生日を祝うために家族が続々と屋敷に集う中、憧れの先輩・夏希に誘われて「ひと夏のバイト」に来た健二は、なぜか突然彼女の「婚約者」として紹介されてしまう。

この神木隆乃介演じる健二は数学オリンピック日本代表になり損ねた数学オタクで、にぎやかしい大家族に囲まれて一息ついた夜、送られてきた数字列(一瞬クレペリン検査かと思ったが違ったようだ)を説き始める。しかしこれが大変な事件に発展してしまう…というのが導入部。

ちょっと面白かったのは、まるで大名屋敷のような田舎の旧家や、嫁や分家などイマドキ都会ではさっぱりわからないような田舎の大家族関係、庭には朝顔が咲き乱れ、開け放した縁側で涼み、花札に興じる昔ながらの(というかむしろもはやほとんど失われてしまった、というべきか)「日本の夏」を描きながら、この世界は「OZ」というバーチャルワールドが全世界に普及し、公共サービスからゲーム、コミュニケーションに至るまで、ほぼ全てをカバーしている驚くべきサイバー・エイジであること。

何しろいきなり冒頭から数分間、このOZについての説明が続くのだ。
自分が信用できない私は、録画予約をを間違えたのかと思わず内容を確認してしまったじゃないか!疑われた私に謝れ!
OZの管理者であるクジラが泳ぐ巨大なネットの海では、人々はアバターとして存在し、言語はすぐに翻訳され、情報を交換・共有している。ネットは広大だわ…

こうしたローテク(死語)とハイテク(死語)が混在した世界で、今は失われつつある大家族が、健二がセキュリティを解除してしまった(…と、なぜか誤解された)OZは世界中を大混乱に貶め、市民生活が全く機能しなくなってしまう。

やがて健二たちは混乱した世界を救うために立ち上がる、というのが物語の骨子なのだが…
まぁここまで読んだ方なら、私のちょっと投げやりなテキストで「ああ、どうやらあんまり面白くなかったんだな」と思っていただければ正解。

大体相手が好奇心を植え付けられたAIプログラムだったりするので、ぶっちゃけどうしても「ウォーゲーム」を思い出してしまう。
しかもこのサマーウォーズ好きVSアンチの不毛なる果て無き戦いにも「ウォーゲーム」という単語が出てくるので、「おっ、ゆとらーもモノを知ってるじゃないか♪」とほくそ笑んだら、なんのこたぁない。細田監督が監督したデジモンの映画なんだってさ。とほほ…

このAIを作ったのはばあちゃんの養子(じいちゃんの妾の子)だったのだが、彼から買ったプログラムを実際にOZに放ったのは米軍だという。
他にもOZでは無敵を誇る格ゲーアバター「キング・カズマ」である佳主馬や、バイトし損ねた物理部仲間佐久間、それにちょっと頼りない陣内家の男たちの協力を得て、戦うわけだが…

しかし…なんかなぁ…イマイチ盛り上がらないんだよねぇ…
ばあちゃんがいきなり死ぬのもあまりにお約束過ぎてお涙頂戴的だし、「仇討ちだ!」という話し合いの時も、なんで主人公口出しした…と思ったり、カズマがファースト・アタックを仕掛けた時、スパコン冷やしてた氷を警官アニキが持ってくとかどうなのとか…

う〜ん…なんていうかな…笑えない…そう、全然笑えないんだよぅ…
全てが予定調和に見えてしまうというか、健二やカズマが挑んで敗れるのさえもミエミエ過ぎて、「どうせ何か最後の手段があるんでしょ」と思ってたらまさかの花札て…

管理権限を奪ったAIは世界中からアバターを盗んで巨大化し、夏希は健闘するものの取り返したアバターをほとんど取り返されてベットできない状況になる。
そこで発動した最終奥義は「オラに力を分けてくれ!」だったんだけど(ドイツの男の子が勇気を出して最初に申し出たシーンはそれなりにドラマチックでよかった)、わーっとアバターが夏希のバックについて感動的なシーンだったのに、なんかねー、預けた人が13.837パーセントと聞いて吹いた。それ、少なくね!?
まぁ比べる規模が違うのかもしれないけど、もっと莫大な数かと思ったからさー、まさか「え?そんだけ?」と拍子抜け。世界のピンチに意外と皆さんクールでいらっしゃる。
でもとりあえずそれだけ(一億以上)あれば賭けは成立し、クジラからの祝福を受けて衣装チェンジまで果たした(アバターが、だが)夏希は見事勝利をもぎ取る。

で、いくつか疑問が残るのだが、健二は実は最初の問題を解けていなかった(間違えていた)のに、なんで犯人扱いされたんだろう?何しろ世界に55人も解いた人がいたのにさ。
あと最後にAIとのまさしく「ウォーゲーム」に挑むのは健二だと思ってたら、夏希だったのでちょいビックリ。
そこは主人公の健二じゃないのかなと思ったら、健二にはこいこいに勝利した直後、彼の特技で活躍する場が残っていた。残念ながら鼻血まみれで見た目はちっとも格好よくなかったけど。

っていうか、夏希が恐ろしいほど花札強いとかって描写あったっけ?やってるシーンはあったけどさ。
ここ、どうせならばあちゃんが勝負するとかならまさに「ローテクVSハイテク」で面白かったかも。
そもそもばあちゃんを死なせないでおくか、本編どおり死んでたにしても、たとえば特殊な「遺言アバター」が出てきて、最後は夏希とダブルアタックするとかね。
それこそ何でもアリのバーチャルワールドならではの効果になったんじゃないか。

それに負けたくせに衛星「アラワシ」をピンポイントで陣内家に落下させるってどういうこっちゃ。腹いせ?AIに感情があるの?それともゴーストが宿ってるの?

そして吊り橋効果テキメンで夏希センパイはすっかり健二にメロメロ(死語)になり、誕生日に死んだばあちゃんは「ハッピーバースデー」で送られ、AIを作った養子は全てをマスコミに暴露してサマーウォーズは無事終了。

この作品が描きたかったのは家族の絆であり、バーチャルワールドとはいえ向こうにいるのは人間であり、彼らも「まだまだ捨てたもんじゃない」という事なんだろうか?

だってネットへの警告というには尻切れトンボだし、元祖「ウォーゲーム」のように、戦争に明け暮れている人間がAIに戦争の愚かさを教え込むという皮肉な結末でもなく、「女系家族だから男が弱い」とか言う割に怪しげな自衛隊や変なものを扱ってる電気屋や新潟から漁船を陸送してくるような男ばかり。他にも消防救急レスキューに、果ては東大を出てアメリカに渡ってたキレ者や格ゲーキングもいるしね。あ、大体主人公も数学オリンピック日本代表なり損ねだったっけ。すげーのばっかじゃん。

そんなに長い作品じゃなくて助かったけど、ホント、何度も停止して息抜きしなければならなかった。
私の知り合いにも、この作品のどこがいいのかわからないと自分のツレに言ったら、「家族愛や人間愛のわからないヤツ!」と言われたと嘆いている人がいたが、その気持ちわかるわぁ。

正直、私にもこの作品の一体何がいいのかよくわからない。

あ、あと一つだけ声を大にして言いたい事がある。

声優がどーしよーもないほどうんこ!

有名女優や俳優を使うことでハクをつけたいのはわかる。ましてやオリジナル作品では当たるとは限らないリスクが大きいのもわかる。いかな「ぼくらの細田監督」でも、それだけで「NARUTO」や「ボルト」には勝てなかったんだよ!まさに手段を選ばぬサマーウォーズ!<3作品とも2009年8月1日公開のアニメ作品なり

でもこの映画の声優はあまりにも…あ・ま・り・に・も・ひど過ぎる!

同じように有名俳優や女優を使う宮崎アニメだってここまでひどくないじゃん。 頼むからやめてよね、こういうの。


英国王のスピーチ3/20(火)

「しかし…Wの発音を間違えましたな」
「わざと間違えた。僕だとわかるように」

昨年のアカデミー作品賞授賞作品だが、公開された時期が不幸にも昨年春で、
まだまだ余震や計画停電で「いつ何時何が起きるかわからない」状態だった
ため、見逃してしまった。まぁ昨年はそれに加えて仕事が殺人的に忙しかっ
たのでほとんど映画なんか見られなかったんだけど。

幼少時から吃音があるあがり症のヨーク公は、博覧会の閉会スピーチでも噛み
まくる。
独り言や心を許せる相手とならなんでもないのに、ラジオや大勢の人の前では
症状が重くなる彼の「治療」は困難を極め、タバコを吸わされたりビー玉をい
くつも含まされたり。

そんな夫を見かね、エリザベス妃は1人のセラピストの元を訪れる。
平民どころかイギリス人ですらないオーストラリア人のローグは、仏頂面で現
れたヨーク公にいくつか質問を投げかけ、自分の声が聞こえないようにして喋
らせてみたらあら不思議、ヨーク公の言葉はよどみなく、すらすらとシェイク
スピアの一説を読みきったではないか。

時代は第二次世界大戦前夜、世界中が大恐慌に陥った暗黒の時代。
父のジョージ五世は絵に描いたような「威厳ある王」であり、洒落者である兄
のエドワードはシンプソン夫人に夢中。真面目だが王としての教育を受けては
いない内向的なヨーク公は、兄を助け、優しい妻と可愛い娘たちに囲まれてい
ればそれなりに幸せだったに違いない。

でもこれに加えて吃音というコンプレックスがなくなれば人生バンバンザイ。
ローグの方法に光明を見出したヨーク公夫妻は顎や体を動かしたり、早口言葉
を言ったり、Pの前にAをつけたり、言葉を促すために体をゆすったりと、ロー
グのユニークな治療を受けて少しずつ効果を上げていく。

ところが事態は最悪の方向へ向かってしまう。
折りしもヒトラーのナチス・ドイツが台頭し、あとはいつ火薬に火がつくか…
というキナ臭い時代に突入したというのに、王位を継いだ兄はあいも変わらず
シンプソン夫人に夢中なのだ。
さらに悪い事に、彼女と結婚するために王位を弟に譲ると言い出す始末。
王室も政府も世論も「バツ2のアメリカ女が王妃など言語道断」に基づき、あ
っさりと、あまりにもあっさりとヨーク公がジョージ六世として即位する事に
なってしまう。

しかもローグもうっかりと口を滑らせてこの「ヨーク公が一番恐れ、避けたか
った事」を薦めちゃったからさぁ大変。王様とセラピストの和解にはしばしの
時間が必要になる。
さらにはローグが実は医師どころかセラピストですらない事が側近たちの手で
暴かれてしまう。
まぁ医師とは最初から言ってないし、彼の本業が役者である事は我々は知って
いるのだけど…

子供の頃の虐待がトラウマになり、重圧と孤独に押しつぶされそうな王様に必
要なのは、ビー玉を飲ませるような「爵位のある医師」でも、権威の塊である
「ウェストミンスター大主教」でもなく、彼の痛みや苦しみをわかってくれる
心を許せる「対等な友達」だった。
ローグの助けによってジョージ六世は戴冠式を無事に終え、王としての自信を
少しずつ取り戻していく。

ジョージ六世といえば戦時中、大変な空襲を受けたロンドン(「ミニヴァー夫
人」や「ナルニア国物語」「ヘンダーソン夫人の贈り物」でもあったね)に留
まり続け、国民を励まし、慰撫し、屈服する事なかれと戦う事を説いた王なの
で、そこまでいくのかなと思ったけど、開戦時の国民へのスピーチで幕となっ
た。

それは初めこそたどたどしかったものの、実直なジョージ六世の人柄を示すよ
うに、ゆっくりと人々に沁みていく。
ちょっとくらいうまくいかなくても、努力を重ね、家族と友に支えられた王は
責務を果たし、満足げに笑う。

9分にもわたるスピーチをやれと言われたら、普通の人だって大変だよね。
「ブリジット・ジョーンズ」シリーズでマザコンだがいい人のダーシーを演じ
たコリン・ファースの吃音演技は、見ているこちらも思わずうっ、と詰まって
しまいそうなくらいよく研究している。
「アリス・イン・ワンダーランド」で「デカい顔の大竹しのぶ」みたいだった
ヘレナ・ボナム・カーターが知的で優しく、なかなかキュートな王妃様を演じ
ていて好感。

小品だけど、非常に品のいい作品。
これを見た後、未見の方はぜひ「クイーン」を見て現代の王室を楽しむべし。


シャーロック・ホームズ シャドウゲーム3/19(月)

ちょうど前日には日曜洋画劇場で1作目の「シャーロック・ホームズ」が放映さ
れていたが、1作目を見た時の「これはまた小汚いホームズだな」という印象は
健在で、ロバート・ダウニー・Jr演じるエキセントリックで天衣無縫、されど観
察眼と行動力は人一倍のシャーロック・ホームズと、ジュード・ロウ演じる爆
弾が破裂しようがかすり傷、銃弾が雨あられと降っても無傷で走り抜ける不死
身の元軍医ジョン・ワトソンの奇想天外な冒険譚第二弾。とりあえず今回も2人
とも全編に渡ってノリノリで「世界一有名な探偵&医師」を演じているのが楽
しい。

世紀末に向かうヨーロッパは爆弾テロに悩まされていた。
アナーキストによるものかコミュニストによるものか、世間では議論に事欠か
ないけれど、シャーロック・ホームズの推理だけは違っていた。
彼の狙いは自分と同じく「天才的頭脳」を持つ悪の枢軸。自ら手を汚すことは
なく、人を操り社会を混乱させ、経済を握ってある証明を行おうとしていた。
それはいわばカンペキな「需要と供給理論の証明」だ。

今回はいよいよ、1作目ではその存在だけが示唆された「モリアーティ教授」が
満を持して登場。
1作目の女怪盗は最初にチラッと出たものの、教授の姦計にはまり結核菌に伝染
させられた模様。ホームズは彼女が運んだブツからターゲットの医師を爆殺か
ら救ったものの、彼は吹き矢の猛毒で殺されてしまう。
一体なぜ、高名な医師である彼が殺されなければならなかったのか?
ヨーロッパを騒がす爆発事件とともに、ホームズの調査が始まる。
(ああ、でも誰にも依頼されてないんだよね、これ…)
ちなみに結婚のためホームズとのルームシェアを解消したワトソンはいよいよ
本当にメアリーと結婚する事になるけど、まぁ彼が望むような「平穏な生活」
にはなかなかたどり着けないだろうことはこちらも重々承知。知らないのは多分ワト
ソンくんだけだろうなぁ

結婚前夜、ホームズはワトソンを誘って酒場に出向き、そこでロマの女に出会
う。命を狙われる彼女のための大立ち回りは「ああ、ホームズだねぇ」と思わ
せるよ。
そしてガイ・リッチーといえばストップモーションと早送りとスローの組み合
わせ大好き監督だ。これ、3Dだったらさぞや眼が廻るであろう。

医師の死の謎に加え、ロマの女が狙われるのはなぜか?
飲んだくれてズタボロのワトソンを、殴られてズタボロのホームズが結婚式場
に連れて行って結婚させた後、ホームズは直接モリアーティ教授に会いに行
く。
表の顔を堂々と晒しているのがこの教授の小憎たらしいところ。ちなみに著書
に彼のサインをもらったホームズのこの時の観察眼が最後の対決の伏線にな
る。

モリアーティがワトソンを狙うと知ったホームズは新婚旅行中の彼らを救うた
めブライトン行きの列車に乗り込み、またしても大立ち回り。
この時彼は目立たないように変装を…って、目立つわっ!!!
肩幅っ!ヒゲッ!ぶっとい腕!分厚い胸板ーっ!
これで下着やコルセットやガーターまで完璧だったら笑うわっ!!

ちなみに今回はホームズの兄マイクロフトも登場し、その飄々とした変人キャ
ラでなかなか笑わせてくれた。ぶるぶる執事とか、フルチンで人妻メアリーと
おはようさんとか。結果的に彼の大切な「お高級な呼吸器」が鍵を握るわけだ
し。

前回はロンドン中を駆けずり回ったけれど、今回はフランス、ドイツ、スイス
とヨーロッパ中を駆け回る2人は、まずはロマの村で占い女シムザと合流し、彼
女の兄を探す事になる。
パリでオペラ座が爆破されると読み間違えた(これはミスリードで、モリアー
ティがドン・ジョバンニのチケットを手に入れてるんだから爆破されないとい
うのはわかっていた)ホームズは、爆破された本当の目的地で無残な現場に、
不自然な弾痕があることに気づく。つまり狙った人物を狙撃した後、現場を荒
らすために爆発を起こしていたわけだ。

これまで殺されたのは鉄鋼王や石炭王、武器製造会社の社長。
爆弾作りのアナーキストは家族を人質にとられて脅され、シムザの兄は自分の
似顔絵を妹に送ってよこした…
パズルのピースがはまってくるにつれ、危険もそれなりに大きくなる。
ドイツの武器工場でモリアーティに捕えられたホームズは肩にフックを引っ掛
けられてぐ〜るぐる…痛い痛い痛い!

しかし大砲を撃って塔を破壊しちゃうワトソンくんもどうかな、それは!
塔が倒れた下の建物にはモリアーティもいたけどホームズもいたからね!
なお大怪我をしながらも森の中の追走を逃れたホームズは、そのまま眼を閉じ
て天に召され…そうになったけど、わんこ同様生き返ったなんなんだろう、あの薬…

この時の戦いの中でもホームズの観察眼は発揮されており、同じ顔の双子なの
に、1人が撃たれてももう一人は気にもしなかったと疑問に思う。ここ、もう
ちょっと視聴者にもわかるように見せてくれればよかったのにな。そうすれば
気にもしなかった視聴者は「へぇ」と感心し、気づいた視聴者は「自分の観察
力すげぇ!」と思えるじゃん。視聴者も参加させてよ!

最後の舞台はスイスでの各国の元首と大使による会議会場。
そこに紛れたシムザの兄が元首を殺し、国際問題に発展し、やがて戦争が起き
る…さてその時、「砲弾と包帯」を握っているのはだ〜れだ?

ホームズがモリアーティとチェス対決をしていたので、暗殺は阻止したものの
シムザの兄はむざむざ毒矢で殺されてしまう。医師が殺された事を思えば
「あー、やられるな」と思ったら案の定だった。(今さらだけど、あれがモラ
ン大佐なんだよね?)
ちなみに最初の医師が殺された理由はシムザの兄に「整形」を施したから。

タイトルにある「シャドウゲーム」というのは、劇中でホームズが何度か相手
と闘う時に行うバトルシミュレーションの事のようだ。
結局ことごとく阻止はされたものの、常にホームズより上手を行ったことでご
満悦の様子のモリアーティだったけど、ホームズは彼の「赤い手帳」を盗み出
し、莫大な「砲弾と包帯」をマイクロフト&メアリーコンビの手でことごとく
「寄付」させてしまっていた。
そら怒るよねぇ…老いたりとはいえ、傷ついた身でモリアーティと戦うのは不
利と見たホームズは、バリツ…ならぬクリンチで教授と共に滝つぼに落ちてい
く。

なるほど、これで行方不明のまま3作目に続くんだな?と思ったら全く違った。
それか!という擬態で会場も思わず失笑だよ!わんこも逃げるよ、そりゃ!

これに限らず、とにかく今回のホームズはルパンもビックリの変身ぶりであれ
これやってくれたよ。
初めこそ元気がなかったけど、ワトソンが現れてからは元気なのは相変わら
ず。そしてこれまた相変わらず小汚いけどね。


TIME3/13(水)

社会の仕組みをぶっ潰す痛快活劇…かと思いきや、近未来版「ボニー&クライ
ド」だった。

「ガタカ」の出来のよさに「こんな映画があったとは…」と驚かされたアンド
リュー・ニコル監督による近未来サスペンス。
設定を聞いても特に心を動かされることはなかったのだが、何やら若い世代に
えらいウケていると聞いて鑑賞。その「若者の口コミで評判が上がった映画」
の中に「キック・アス」があったので、それなら信用できるかなと思っての
ことだった。

舞台は遺伝子操作により、すべての人類が25歳で老化が止まった未来社会。
主人公のウィルが朝の挨拶をする女性は恋人かと思いきや、その日50歳の誕生
日を迎えた母親なのだ。
貧しい住民にからむギャングも見た目は25歳だが中身は75歳。
場末のバーで美女をはべらせて豪遊している男は見た目は25歳だが100歳を超え
ている。
時間管理官は全員25歳だが、ベテランいわく、50年生きなければ意見を述べて
はならないそうだ。
まさに「体は若者頭脳は年寄り!」ばかりの世界(嘘。若者も子供もいます)

この世界、実は「時間が通貨」になっている。
荒唐無稽なこの設定を聞いて「はぁ?時間が通貨?変なの」と思ったが、この
時間経済、思った以上に過酷だったのはさすが「ガタカ」を作った人だけのこ
とはある。

何しろ電話をかけるのに1分、コーヒー一杯が2分、歩けば2時間かかるバス代が
まさに2時間。
彼らの体内に埋め込まれている時計を、オサイフ携帯やPASMOやSUICAのように
かざすだけで必要な「時間」は引かれ、給料たる「時間」が支給される。
「ふーん、大したことないじゃん」とはじめは思うかもしれない。
ところが彼らの「時間残高」は想像以上に過酷で、主人公ウィルなど、目覚め
たその瞬間から残高は24時間を切ってしまう。日割りの家賃を払い、ローンを
返せば一日必死に働いた残高もまた24時間。
息子に昼食代として30分渡した母など、バスから降りたら30分しか残らないよ
うにローンを返したらバス代が値上がっており、全力疾走の挙句時間切れで死
んでしまう。

そう、この世界では時間切れ=死なのだ。
町には時間切れの死体がごろごろと転がり、貧しい者は同じ貧しい者の数時
間、数日分を掠め取り、皆まさしく一日、いや、一時間、一分先のためだけに
生きている。
ちなみに子供は25歳までは時計そのものが発動せず、25歳になった途端、残高
一年の時計が動き始める。ちなみに殺されると時間を奪うことが出来ず、残高
を残したままボディ・クロックは止まってしまう。

そんな世界で、まだわずか28歳のウィルは結婚するどころか恋人も作れず、あ
くせく働くばかり。ノルマが果たせないからと給料を削られ、孤児に5分分けて
やりながら、細々と暮らしている。父は時間を賭ける賭け試合の名手だったら
しいけれど、あまりその事を語りたがらない。

そんなウィルがバーで助けた男は、残高100年以上という所謂「富裕層」の男。
スラムでは一分一秒を盗みあうというのに、実はこの世界にはもうひとつの顔
があり、別のエリアにいる富裕層は永遠に生きられるほどの莫大な時間を手に
している。
その格差は、遺伝子操作によって死ななくなった人間を適度に間引く社会体制
の中で生まれたもの。持てる者が永遠に生き、持たざる者は確実に死ぬよう
に…

彼は命を助けてくれたウィルにこうした「社会の真実」を語って聞かせる。
ちょっとこれだけだと弱いので、この後何かもうひとつ仕組まれてるのか
なぁ…と思ったけど、残念ながら何もない。死にたがっていた彼がウィルに
100年以上を渡すのは少々動機が弱い気もしたけど、まぁ「死に逝く者のセン
チメンタル」って事かなと自分を納得させ、母を失ったウィルがいよいよ富裕
層の住む場所へ乗り込んでいく展開になるので、「さぁこれで彼がこの歪んだ
社会の枢軸をぶっ壊…ぶっ壊……ぶっ壊さないんかーい!」と思うことし
ばし。

いや、まぁぶっ壊すといえばぶっ壊すんだけど…もうちょっと、こう…なんつ
ーかな…理性や知略を駆使してやるのかなと思ったのでね…拍子抜けという
か…「ええ?銀行強盗?」みたいな…

「赤ずきん」で主役を演じたアマンダ・セイフライドが富豪の娘を演じてい
るんだけど、親父もおふくろも祖母も皆25歳だからね。どれが親子でどれが
夫婦やねん!というのが笑える。25歳の若僧に人生について説かれてもなぁ…
人間ってやっぱりビジュアルも大事なのかも。

時間管理官に時間を押収され、富豪の娘シルヴィアを人質にして逃げたウィ
ルは、さらにそこでもギャングに時間を奪われ、残り数分という状況に。
娘の身代金として父に福祉施設への1000年分の寄付を求めたものの、それが
社会秩序を乱すと判断した父は支払いを拒否。管理官の車を奪ったウィルたち
は彼女の父が所有する銀行から時間を奪い、貧しい人々に時間を分け与え始め
る。
管理官曰く、ウィルの父も賭け試合で時間を手に入れては貧しい人に分け与
え、どうやらそれが「社会秩序を乱す」と判断されて死に追いやられた様子。
はっきりとは語られないんだけどね。なんかそっちのお父さんの話の方が映画
に向いてそう。

このお父さんの「必勝法」を使ってギャングとの賭け試合に勝ったり、同じく
スラム出身から管理官に「イチ抜けした」彼の追撃をかわしたり(殺しちゃっ
たのはちともったいないかも)、まぁ色々あるんだけど…最終的には父が保管
していた100万年という時間を盗み出し、それをスラムにばら撒いてしまう。

社会は崩壊し、スラムの人々が富裕層の世界へとなだれ込む…まるでベルリン
の壁が崩れた時のベルリン市民のように…というオチなんだけど…

う〜ん、なんかヒッジョーに惜しい感じ。
設定は面白いし、切羽詰った主人公もいい感じなんだけど、「ガタカ」にあっ
たような緊張感・緊迫感はないし、ウィルはギャンブルや強盗しかしないし、
シルヴィアに至っては「刺激がなくてつまらない」とスラムに憧れる始末(後
で後悔してたけど)

やっぱり世界の仕組みを壊すのは力押しよりもうちょっと知略を駆使してほし
かったなぁ。じゃあどうすればよかったんだと言われると困るけど、それこそ
親父の会社に入り込んで時間をスラムに横流しするとか、経済界を牛耳ってい
る連中に1人1人経済バトルを仕掛けて倒して親父に富をもたらし、最後にそれ
を片付ける、とかさぁ…
そういうのを期待してたので「あ、違うんだ」とちょっと拍子抜けしてしまっ
た。

設定は面白いので、ホント、惜しい感じ。
失敗を極端に恐れ、バーチャルなネットでねっとりと交流している若者に受け
たというのは、「他人の領域に入り込まず、淡白ながらも破壊行為を繰り返
し、それが結果的に押しつけがましくない世直しになっている」からなのか
な?

「ガタカ」でのジュード・ロウにあたるヘンリー・ハミルトンが早く死に過ぎ
たのもなぁ…


スクライド オルタレイション QUAN3/9(金)

前編終了後、10分程度の休憩を挟む。
相変わらず長蛇の列になっているグッズ売り場。
男子トイレの方が混んでいる映画館を初めて見た(何しろ男性は2階のトイレに
誘導されていたくらいだ)

私は端の席だったが、おかげで隣はどちらもスカスカ。前にも人がいないので
ゆったりと寄りかかり、足を組んで見られるので、むしろ真ん中を選ばなくて
よかったと思った。知らない人と密着して映画を見るのは好きではない。

後編「QUAN」はプロデューサーが言ったように文字通り「宇宙最速」の公開な
ので、始まると皆の集中が前編以上にスクリーンへと向かう。

「向こう側」に残された残留思念は、いつか誰かが迷い込んだ時のためにとク
ーガーが残してきたもの。ここに人がいると思考力を失い、やがて飲み込まれ
てしまうと言った彼は、カズマを蹴り飛ばして元の世界へ。

「ごめん、わりぃ、すまねえ、許せ」

本編の2クールは劉鳳が記憶喪失になっており、その記憶を取り戻すまで、かな
みとシェリスとの関係や瓜核が絡んだりとちょっとモタつくのだが、劇場版で
は当然ながらカット。
プロデューサーが言ったようにこのへんはうまく編集してあり、寺田あやせ
戦、雲慶戦、そして来夏月戦と畳み掛けていく。
カズマ唯一の色気を感じるあやせ戦は、本編で見るよりよかったかも。

そして無常の「劉家からこんにちは♪」に続き、ホーリーアイの撃破へ。
大気圏突破したバカ2人がデブリを撒き散らすぜ、いぇ〜い!
しかしビフにかなみを連れ去られてしまい、彼らはピラーへ向かう。

「合ってるでしょう?」

塔ではジグマール戦がないので「老け過ぎ隊長」がなかったのはともかく、ビ
フ戦がなかったのは哀しい。ビフ戦でどれだけ爆泣したかしれんのよ私は。
すべき事をするために残った水守、無常に敗れるクーガー。
そしてバオーと対峙した劉鳳は貫かれ、シェリスの眼の前で命を散らす。

「あたしは…この人以外、何もいらない…」

発動するエターナル・デボーテ。
目覚めた劉鳳の眼の前にはシェリスの着ていた服だけが残り、彼は呆然とした
まま彼女を罵倒し続ける。バカだ…きみはバカだとブツブツ呟き続ける劉鳳。

「おい!何を我慢してる!…おまえは今、泣いていい…」

このカズマの言葉に感情を爆発させる劉鳳。
本編の泣き演技が完璧だっただけに、もう一回やれといわれた緑川さんもそれ
はそれは大変だった事だろう。それほど本編の彼の演技は素晴らしかった。

このシーンはすすり泣いている人もいたが、終了後、劇場を出る前にふと聞こ
えた会話が「なるほど」と思わせるものだった。
それは、「どうしても縮めなければならない部分が多いので、劉鳳がクールで
スカしたキャラだった時期が本編ほど長くなく、だからこそ生きたカズマの
「泣いていい」という言葉での感情大爆発による感動が弱くなってしまった」
というもの。なるほど、確かにそう言われればそうである。

私が気になったのは、ここで劉鳳に追いついたカズマもまた「おまえら、ネイ
ティヴなら意地を見せてみろよ!」と叫んだ、ビフたちと辛い戦いを経て傷つ
いているがゆえにこのセリフを言えたんだろうと思うので(だからこそ私はカ
ズマという男が大好きなのだ)、この流れがなかったのは少し残念だった。

では何があったのかと言うと、新キャラ異納くんとのバトルである。
いや、あれはバトルですらない。拍子抜けするのだが、彼は無常にカズマのデ
ータを送るためにわざと倒されるという役どころで「へっ?」という感じ。
(データなら本編同様、小イーリャンが2人いるし、それこそかなみのハート・
トゥ・ハーツがあるのになぁ…)

そしてバトルは最終局面へ。
カズマVS無常矜持、そして劉鳳VSアルター結晶体。
私が大好きなトカゲモドキのシェルブリッド第三形態、イケメンは顔出しした
ままかよ!とツッコみたい絶影第三形態が発動し、激しいバトルが繰り拡げら
れる。

「油断をするな。容赦もするな。徹底的にやれ!」

向こう側からパワーを得て醜くなり下がった無常とラストバトルに挑むカズマ
に、見せ場を譲り、エールを送る劉鳳のこのセリフはニヤリとする。

それにしてもやはりスクライドは名台詞が多くて楽しい。
当時は黒田もさぞやノリノリで書いていたのだろうと想像できる。
保志きゅんは10年前のテンションに戻すのは本当に大変だったろうと思うが、
叫びまくり、やさぐれまくり、時にはおどけて優しく語りかけ、楽しそうに
笑っていた。

「これが、俺の…自慢の拳だぁーっ!」

君島に見せてもらった「男の子の意地」を張り通し、ついに無常を倒すカズ
マ。シラトリンは粉砕され、アルターを破壊されて消えていきました。

そして25話、26話のエピローグへ。
本土からの精製アルター部隊をあらかた片付け、いよいよ男2人の決着。
ここはかなり新規作画だったろうと思うんだけど、本編の方も素晴らしかった
ので甲乙つける必要はないかな。私はことに、カズマが失った腕を再々構成す
る執念や、「そいつとやってみたかった!」と眼を輝かせる劉鳳が好きだが、
アルターを消してから、ぐっちゃぐちゃになりながら殴りあうシーンが一番
好きだったので、それがあまりなかったのは残念だ。やっぱ素手よね、素手。

二人が荒野に倒れ伏し、物語はいよいよこちらを「え!?違うじゃん!」と
驚かせたラストシーンへと突入する。
本編では滅びを体に刻みながら、ただ1人で己の正義を貫き通している様子の
劉鳳と、同じく滅びの時を迎えながら相変わらず喧嘩上等のカズマの拳で終
わったのだが、劇場版は違う。

再隆起現象はもはや日本に留まらず世界中で起きており、軍隊が出動して悪質
なアルターを駆除しているのはかつてのロストグラウンドと変わらない。
しかしそこに「タチバナカンパニー」というネゴシエイターが介入する。

しゃ、社長ォォォー!なんという大出世をなさってるのですか!!

その役割を担うのはメガネをかけた水守と、成長したかなみ。
けれどうまくいかなかった場合のトラブル解決担当の姿は車の中にない…

「よぅ、手伝うかい?絶影の劉鳳さんよ」
「必要ない。シェルブリッドのカズマ」

えええええ!?
ってことは、新生ホーリーで働いてんの、二人とも!?

…という驚きと共に劇場版は終了。
荒野に放たれたはずの二人は、水守やかなみ、橘たちと共にいた。
劉鳳は本編のように「シェリスのために水守と一緒にはいられない」とは言わ
なかったようで、カズマも美しく成長しつつあるかなみの傍を離れる事はなか
ったようだ。とはいえ、だからといって私は劉鳳と水守がくっつくとも思えな
いんだけど、シェリスファンは納得いかないかもなぁと思ってしまったよ。

なかなか爆弾を放りこんでくれたが、やはりスクライドは楽しい。
ただやはり、これをいきなり見て楽しめというのは酷だと思う。
アニメの26話をがっつり見たからこそ楽しめる作品であって、うーん、これで
スクライドを全て語るのは難しいだろうな(もちろん、モタつく話を削ってあ
るのはいいんだけどね)

あー、しかし楽しかった。
久しぶりにスクライドに浸れたので、私は大満足だ。
スクライドは、ストーリーの裏に隠れたテーマがどうのとか、何を言いたいの
かとか、そういう小難しい事は一切考えないで楽しむ作品。それができない人
は面白く感じないだろう。だってバカ2人がただ喧嘩しているだけだからだ。

人間性を考えたいなら「リヴァイアス」、深いテーマを感じ取りたいなら「プ
ラネテス」、壮大な大河ドラマなら「コードギアス」、伏線と結末の妙を楽し
みたいなら「ガン×ソード」をお勧めする。「スクライド」は肩の力を抜いて
ひたすら男2人が殴り合い、意地を張り合い、刹那を生きる姿を楽しむべし。
ああ、しばらく沈黙している谷口の次の作品が本当に心から楽しみである。

【3/10(土) *初日舞台挨拶について】

前編後編の一挙放映があった翌日、公開初日ということで舞台挨拶があった。
私はイベントに参加していないのだが、行ったツレから聞いた内容をここに書
き留めておく。

登壇者は、保志総一朗、緑川光、谷口悟朗、黒田洋介、酒井ミキオ。
上手からこの順番で並んだそうだ。
ツレはダメ絶対音感がなく声優には全く詳しくないので、「保志が『ぱっぴー
!』と言いながら出てきたけど、なんで?」と首を傾げていた。彼はかなりの
ハイテンションだったそうで、「あいつ、いじられキャラだろ」と言ってい
た。その上ツレは腐女子にも慣れていなかったので、声優が出てきたときの騒
ぎに面食らったそうだ。

MCのお姉さんに自己紹介とスクライドについての想いをと言われ、保志きゅん
は「どうしてももう一度やりたかったので嬉しいです」と言ったそうである。
逆に緑川は「まさかもう一度やるとは思わなかった」と冷静だったとか。
さらに彼は「スクライドを見たことある人」「見たことない人」と問いかけて
見たことのある人がほとんどであると確認していたそうなので、もしかしたら
よっぽど「初めて見る人なんかいねーだろ!」と思っていたのかもしれない。
また保志はやたらと「かなみが可愛い♡」とデレており、ツレは見終わっ
て納得したそうだ。確かにかなみちゃんは大変可愛くなっていた。

谷口監督については、ツレも「監督の話が一番聞きたかった」というだけあっ
て非常に楽しみにしていたのだが、「見た人にも、見ていない人にもわかりや
すく」と心がけ、それでも削らざるを得ないところが多かったようだ。
もともと映画監督志望の彼は、総集編ではなく、さぞや一からオリジナルの映
画を撮りおろしたいことだろう。

酒井ミキオは、実はこの話が来たとき、スクライド用にと一曲作ったのだが監
督に却下されてしまったそうだ。そして結局監督と共作詞となったが、ボツに
なった歌は今月発売のアルバムに収録したので「聞いてやってください」と言
い、会場は笑いに包まれたそうだ。

再アフレコのエピソードとして、TAOの録音時、一回録りだったので声優陣から
「きつ過ぎる」と苦言があり、「QUAN」については二回録りになったそうだ。
ところがその「QUAN」、最初がなんと無常VSカズマのクライマックス戦からで、
「テンションを徐々に上げて持っていくものなのに、最初からテンションマッ
クスで演らなければならなくてこれまたキツかった」と語っていたそうだ。

また、このスクライドの音響監督がとにかく厳しい人で、ベテランにもバンバ
ン駄目出しをするので有名な人なのだそうだ。今回、10年前よりはキャリアを
積んだ保志にも驚くほどの駄目出しが入り、緑川いわく「保志くんがそのう
ち、いなくなっちゃうんじゃないかと思った」のだそうである。こわぁ…

ツレは「多分そうだろうと思ってはいたけど、谷口ってのはしっかりしてん
な」としきりに感心していた。「あの人はしっかり話を作って、スタッフと納
得いくまで話し合って、彼らを信頼して作品を作ってると思うよ〜」とも。
そう思わせる何があったのかと聞いても説明できないようだが、でもそれは私
も何となくわかる。

こうして挨拶が終了すると、ポスターが持ち込まれて写真撮影が行われたそう
だが、声優2人のポーズがなかなか決まらなかった。
すると前方にコスプレをして来ている集団がいて、なんだかやたらデキのいい
シェルブリッドを差し出し、保志きゅんがそれを腕につけて写真を撮ったそう
だ。

彼らが退場すると、腐女子の中には上映を待たずに出て行く連中がいてツレを
驚かせた。次は川崎で舞台挨拶があるので移動するのだろうが…どうせ一回目
の挨拶も見たんだろう彼女たち、朝イチの回はちゃんと映画を見ただろうか?
ちなみに残っている腐女子は、スクライドのブルーレイCMの後に流れたSEEDの
CMでは凄まじい歓びの声をあげてツレたちを辟易させたそうである。

何しろ「谷口の話が聞けたのは本当に嬉しかったけど、婦女子には参った。俺
もレイトショーで野郎どもと心からスクライドを楽しみたかった」と言ってい
たくらいだから、よほどだったのかもしれない。
ちなみにツレが一緒に行ったそのまたツレは、「QUAN」を見終わって曰く、
「なんで『Magma』が流れねぇんだよ!」と憤慨してらしたそうである。

GAINを上げて進め…って、スクライド好き過ぎだろおまえら!


スクライド オルタレイション TAO3/9(金)

「夢を…夢を見ていました」

2001年に放映され、荒唐無稽な物語とキャラクター同士の激しいぶつかり合い
が話題を呼んだ「スクライド」が、劇場版になって帰ってきた!
というわけで、まずは2011年秋に前編「TAO」が、2012年春に後編「QUAN」が
公開されることになっていたのだが、後編公開の3/10(土)に先駆けて、前
後編を一挙にレイトショー公開するという企画を聞きつけて行ってきた。

この日はあいにく一日中雨だったが、客の入りは7割といったところ。
19時半から23時までのぶっ続け上映とあって、男性が多い。
グッズ売り場が混み混みのため、開演時間は5分延ばされた。
「この毒虫が!」Tシャツには笑ったが、翌日のイベント時には全て売り切れて
いたそうだ。

19時35分、予定にはなかったが、プロデューサーが舞台前に現れてご挨拶。
この作品を劇場版にするに至った経緯、10年前のスタッフを全て集結させた
事、さらにはかつて「スクライド」を見ていた人たちが「好きでした。見てま
した。ぜひ参加させて欲しい」と言ってきたことに監督以下、皆驚いたという
エピソードを語ってくれた。
「TAOは恐らくこれが大画面での上映は最後になる。QUANは、スクライドは後半
になればなるほどハードで重い物語になっていくが(ここで会場が大きく頷き、
プロデューサーも笑顔)、うまいこと編集しています」と言うと爆笑。

挨拶が終わり、初めに流れたのは「TAO」のブルーレイ発売のCM。
その後続けて「機動戦士ガンダムSEED」のブルーレイのCMとなり、キラがアッ
プになったものだから会場は謎の大爆笑に包まれる。決して好意的ではなく、
「おいおい、出たよ〜」という失笑の雰囲気であったのが嬉しい。

かなみのモノローグと、大原さやか(ルルーシュからの谷口ファミリー)のナ
レーションでスクライドの背景を語っていくのは、初めての人、記憶が薄れて
いる人への状況の説明だろう。
初っ端、ピングドラムの「子どもブロイラー」のような、子どもばかりを集め
て人身売買をしているらしいチンピラどもの巣窟に、カズマが乗り込んできて
大暴れの末、壊滅させるというオリジナルシーンから。
かなみはこの施設に囚われていた子どもだが、カズマとの出会いはここではな
く、本編同様街角で雨宿りをするカズマにパンを差し出す時だった。

最初のビフとの戦いはほぼノーカット。
これは恐らく、谷口が狙ったという「初めて見る人にもわかるように」という
意図によるものだろう。

物語はほぼ本編と同じように進んでいくが、モタつく部分はカットされている。
たとえばホーリーとのバトルが一回になっていたり、雲慶の脚本が出るのは後
編の一回限りで、カズマがホーリーに入隊するトンデモ話はなくなっている。

削られる話がある反面、加えられている話もあり、特にクーガーとカズマの出
会いはTV本編では語られなかったのでとてもよかったと思う。
そうなのだ、この劇場版はストレイト・クーガー好きにはたまらないと思う。
クーガーは本編でも本当に素晴らしい活躍なのだが、劇場版はその分散してい
る彼の活躍を凝縮し、前面に押し出して見せてくれるので格好良さが引き立
つ。

津久井さんの早口も健在だが、これはやはり10年前にはかなわないかな。
ことにTAOのラスト、カズマと劉鳳が開いた「向こう側への扉」に残っていた
クーガーの残留思念などは、彼のすごさを示す新しい演出だと思う。

無常矜持は本編では後半の重要キャラだが、劇場版では初めから暗躍している
様子が描かれている。新キャラの異納くんを櫻井孝宏(ガンソから参加の谷口
ファミリー)が演じているが、この人はなぁ…ま、後編のお楽しみ?である。
シラトリンの怪演は健在。ただ彼自身の技量が上がり、荒削りだった部分が洗
練されてしまった分、おとなしめなのは残念かもしれない。

君島の死は、やはり1クール分の積み重ねがないとサラッと流れてしまう。
そして!私がスクライドで最も好きなキャラである橘あすかは…残念ながらさ
ほど重要キャラではないため、カズマとの戦闘はザックリとカットされてしま
った。彼らの地下道での共闘がナイスなのだが、まぁそれは仕方がない。
タマタマに夢中な彼は、劇場版でも相変わらずタマタマ言いまくっていた。

しかし「重要キャラではない」と書いたものの、社長の活躍はこれだけではな
い。劉鳳の正義にケチをつけた水守が荒野で襲われているところを我らが社長
が愛するタマタマで救うのである。よかった、ここはカットされてなかった!
水守はあちこちカットされていたせいでウザさは半減していたが、言っている
事ややっている事は結局水守以外の何者でもないので、この人を好きでないと
やはりウザいことはウザい。それに後半の結末もシェリスファンには納得いか
んかもしれんなぁ…(私は別にどうでもいいのだが)

「女ごときが邪魔をするなっ!」

これまで全く歯が立たなかった劉鳳に挑んだカズマは、君島と共に掴み取った
第二形態の「シェルブリッド」で、初めて劉鳳に危機感を抱かせる。
けれど2人のガチンコはあまりのパワーゆえに「あちら側の扉」を開いてしま
うことに。ロストグラウンドは再隆起現象を起こし、海は鳴り、大地が震える。

TV版ではこの現象はシェルブリッド第二形態の発動によるものだった(だから
カズマは平気で劉鳳が記憶喪失になったのか?)が、劇場版は両者のぶつかり
合いが原因と変えてある。後の展開を考えると劉鳳も扉を開くパワーがあると
しておいた方がいいのでいいかもしれない。

あちら側に足を踏み入れかけた劉鳳は追い続けたバオー…じゃない、アルター
の結晶に、そしてカズマはクーガーの残留思念に出会うことになり、ここで前
半の「TAO」は終了。

エンディングでは主題歌である「RECKLESS FIRE」の1番に続いて4番が流れ、井
出さんの歌は敢えて録り直しではなく、10年前と比較しているのか随分声が違
う。

もともとスクライドは作画の乱れはそれほどひどくはなかった(リヴァの方が
大分ひどかった)ので、作画で気になるところはあまりなかった。
ホーリー隊員の中にあの帽子をかぶった「ネーヤ」という隊員がいたり、ブル
ーレイでじっくり見るとそれはそれで色々な遊びが仕掛けてありそうなので楽
しそうだ。

あっ、エルドラスーパーピンチ戦がカットされてなくてよかった!


機動戦士ガンダムF911/28(土)


機動戦士ガンダムF91
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア1/21(土)


機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
ドルフィン・テイル1/15(日)

これも日本未公開かな?
これの前に、四国の方だったかウミガメに義足をつけているってニュースで
見たので、「へ〜、イルカにもそういうのをつけるんだ」と思って見た。
尻尾がないウィンターというイルカが主人公なんだけど、これは本人?が
演じているのだそうだ。

主人公のヒキコモリ気味少年は、水泳が得意ないとこが自慢。
けれど彼は入隊してしまい、少年も学校の成績が思わしくないので夏休みは
サマー・スクールに行かねばならない。その途中、彼は海岸で傷ついたイル
カを見つける。イルカはすぐに保護され、治療を受ける事になる。

少年はNPOの保護施設で、獣医の父と動物たちの世話をしている少女に出会い、
この傷ついたイルカ…ウィンターの友達として治療や訓練を手伝うようになる。
ウィンターは泳げるようになるまで回復するんだけど、新たな問題が発生する。
尻尾を失ったイルカは、本来縦に動かす体を横にくねらせるので、人間で言え
ば脇腹の筋肉が発達してしまい、それで背骨を圧迫してしまうのだとか。
命にもかかわるとあっては、自由に泳がせることもままならない。

同じ頃、いとこが任地で爆発に巻き込まれ、装具なしでは歩く事ができなくな
ったというニュースが入る。彼が入院している病院で、少年は義肢作りの専門
家、モーガン・フリーマンに出会い、イルカの装具を作れないかと打診する。

主人公が元気になっていくのとは逆に、NPOの経営状況は悪化の一途を辿り、
ある日のハリケーンで建物は壊滅的なダメージを受けてしまう。
施設の売却が決まり、動物たちも引き取り先が決まったけれど、障害を持つ
ウィンターの行き先だけが決まらない…

生きる意欲をなくしたいとこをどうやって立ちなおせるのか、ウィンターの
姿を見てとか、一緒に泳いだりしてとか色々考えてたんだけど、ものっそい
アッサリ立ち直って、ウィンターにもアッサリ会いに来て、しかも最後には
自分の記録を塗り替えた後輩と一騎打ちするまで元気になってて拍子抜け。

えええええ?そこに至る過程を少年が仲立ちするんじゃないの?

ウィンターを心配し、遠くから会いに来てくれた女の子は車椅子だった。
いとこをはじめ、皆に勇気を与える事ができる。ウィンターの居場所を残す
ため、困窮するNPOを救おうと、少年と少女はウィンター基金を募り、チャ
リティ・イベントを発案する。

結果は、大々的なこのイベントが大成功、買い手のおじさんも感動して、50年
の土地の無償貸与を申し出てしまうほど。なんという美談ナリか〜やや棒読み

というわけで、お約束どおりの感動話だった。

一番面白かったのはウィンターの尾びれにつける補装具の試行錯誤かな。
激しく動かすものだから堅くてもダメ、陸上の獣と違って滑らかな肌を持つイ
ルカの肌に、接触面がこすれるものはダメ。結局、医療用シリコンのようなぷ
るぷるした素材を使う事でウィンターも不快な摩擦から開放されたらしい。
他にも遊びに誘う姿とか、ウィンターはとにかく可愛かったよ。

日本では同じく尾びれを失ったイルカに装具をつける実話を元にした「ドル
フィン・ブルー」という作品があるらしいので、機会があれば見てみたい。


カウボーイ&エイリアン1/15(日)

いや、これはね〜
CMで見た時、「ネタギレもここまで来たかね」と鼻で笑ったものだけど、
たまたま見てみたら予想外に面白かった。いや、意外にも面白かったよ。

だってさ〜、西部劇にエイリアンが出るって、どう考えても「キワモノ映画」
だと思うじゃん。「ジェイソンNYへ行く」みたいなダメダメスメルがするじゃ
ん。もうネタが切れたらなんでもやるぞ!みたいなヤケクソ感。

ところがこれ、まず主人公のジェイクが記憶を失っていて正体不明。
そしてなにやら手錠のようなものを腕にくっつけ、腹に大怪我をしている。
逃げ出した囚人と思われてならず者に襲われた彼はしかし、見事返り討ちにし
て服と馬と犬をゲット。そのまま金が出ないのでさびれつつある街へと向かう。

そこで牧師の手当てを受けた彼は、「大佐」と呼ばれる大牧場主のダメ息子と
ひと悶着起こし、保安官に掴まってしまう。どうやら街の人も牧場主も彼をよ
く知ってるらしく、しかも強盗や殺人を犯す極悪人だったらしいのだ。

と、思ったところでエイリアンがいきなり来襲。
馬で荒野を走ってる時代に空飛ぶ円盤で襲われちゃひとたまりもない。
街の人々は次々さらわれ、壊滅状態に陥ってしまう。銃では太刀打ちできな
いそんな中、ジェイクの腕の装置は敵を感知し、ビームを発射して撃破する…

一夜明けた街では、さらわれた人々を取り戻す捜索隊が組織される。
でもジェイクは単独での行動を好み、一人馬を進めていく。女の尾行も断って。

未来から来た?敵とは敵対する宇宙人?それとも敵の裏切り者?

ジェイクの正体がわからないまま、映画はダメ息子を奪われた牧場主のハリソ
ン・フォード、幼い頃彼に救われたネイティブの青年、唾をさらわれ、銃を撃
てない酒場のマスター、牧師、保安官の祖父をさらわれた少年、家族を奪われ
た女など、なんともちぐはぐなロードムービーに移行していく。
牧師が殺されたり、女が傷を受けて死んだのに蘇り、実は別の宇宙人だったと
わかったり、ネイティヴたちや、ジェイクのかつての仲間である強盗団と出会
ったり。
後にジェイクが彼らを説得して連れてきたシーンは、大佐とネイティヴの件も
絡んでなかなかの感動クライマックスシーンだった。

そんな中、ジェイクの謎も明らかになる。
全ては、妻の元に持ち帰った金貨から始まった。
金貨は突然変性し、爆発と共に意識を失ったジェイクが目覚めた時、エイリア
ンは妻の体を調べつくし、そして炭化して彼女を永遠に消し去ってしまった。
彼が実験された時、痛みのあまり振るった腕に装置が装着され、エイリアンの
眼を傷つけたため相手に隙が生まれた。そして辛くも逃げ出した…というのが
顛末だった。ショックのせいで記憶を失っていたジェイクは全てを思い出し、
やつらのアジトに向かう。ちなみにエイリアンは金を集めているのだそうだ。

まぁこうやって謎が明かされるまでにも色々とドラマがある。
ハリソン・フォード演じる頑固者の大佐は騎兵隊だったのでネイティヴを嫌っ
てるんだけど、彼に助けられてバカ息子のお守りをしているネイティヴの青年
は、大佐に馬鹿にされながらも彼を尊敬し、父のように慕ってるんだよね。
女がネイティヴの言葉を通訳した事でそれを知った大佐だけど、自分を比類な
き勇者だと長に伝えてくれた彼を、最後の戦いの中で失ってしまう。
「おまえのような息子が欲しかった」
彼は大佐のそんな言葉を聞きながら息絶える。
及び腰だったマスターは仲間を救い、臆病だった子供は勇気を手に入れる。

そしてアジトに侵入したジェイクと彼女は人々を開放して親玉と戦うけど、
彼女の目的はもっと本格的に奴らを滅ぼす事。ジェイクの腕から引き継いだ
装置を手に、彼女は宇宙船の中枢へと向かい、そこで自爆してしまう。

人々はジェイクがそうだったように記憶を失っているけど、孫や夫を覚えてい
る人もいる。大佐の「もう一人の」息子は残念ながら記憶を失ったまま。
でも、エイリアンがネコババしていた金が出るようになったので、街は大きく
発展することになるだろう。そんな中、ジェイクは一人旅だっていく。
妻も彼女も失った彼に、大佐は言う。「彼女はきっと、天国にいるよ」

アホらしい設定で、安っぽいSFウェスタンなんだろうと思ってたので、この、
囚われた人を無事解放してエイリアンもやっつけて勝利したのに、なんとも
寂しい余韻を残す終わりにちょっと驚いてしまったよ。意外と面白かった。


What's Your Number?1/7(土)

これって、日本で公開されたのかな?
よくわからないんだけど、日本語吹き替えだったのでなんとなく視聴。

男と見ればすぐにセックスしてしまうおバカな女の子アリーが、20人目の男で
打ち止めにするため、過去の男の消息を調べ、焼けぼっくいに火をつけようと
画策する。協力するのは同じく女と見ればセックスしまくる隣人コリン。

2人は奇妙な友情で結ばれ、アリーの元彼を探していく…
まぁぶっちゃけ、「アリーMYラブ」みたいなノリのラブコメ映画。
昔の男が上院議員になってたけど、自分と付き合って「ゲイだと気づいた」と
言われちゃったり、婦人科の医者には診察を受けるまで思い出してもらえず、
イギリス人の離婚したばかりの元彼にはおかしな英語で愛想をつかされる。

なかなかうまくいかないこうした彼女の恋路をコミカルに描いていく。
デブで神経質だった男は痩せて美女と結婚すると聞いて焦りを隠せず、一番の
有望株を早く探して欲しいとコリンに頼めど、どうも生返事しか返ってこない。

あーあ、結局このコリンと付き合うことになるのかーと思ってたら、案の定。
これが最後まで友情を育むのなら逆に新鮮で面白いんだけど、独身同士だと
やっぱりそうもいかないのかねぇ。
趣味だから、バンドやフィギュア造りに賭けてみようとは思わなかった互いが
「新しい道を探してみようか」と思ったのは、お互いが一番自然でいられる
相手だから、ということのようだ。ま、あそこまで遠慮がなきゃそうだよね…
(コリンはマッパで部屋から出てくるし、アリーは男関係を赤裸々に語るし)

妹の結婚が近づいたある日、友達の言葉に揺らいだアリーは、コリンに
「あなたは結婚前につきあうタイプだもん」と言い放ち、決裂してしまう。
でもコリンが調べてくれた有望株と再会し、金持ちのボンボンである相手も
どうやらアリーに未練たっぷりのご様子。ママは大喜びだし、このまま順風
満帆と思われた式の途中、アリーは「やっぱ無理みたい」と彼をふってしま
う。

アリー役のアンナ・ファリスは35歳だそうだけど、スタイルがよくて20代に
しか見えないくらい。おっぱいはあるのにお腹はペッタンコだったよ。
吹き替え声優の演技もうまかったので、コミカルで面白かった。

最後はドレスで街中の結婚式という結婚式に乱入しまくり。
その中には元デブの神経質男もいたけど、もちろん眼中にない。
アリーが探すのは結婚式でバンド演奏をしているはずのコリン。
やがて舞台で歌う彼を見つけたアリーは、「自分が自然でいられる相手が
一番!」とコリンを選び、めでたく21人目をゲットすることになる。

ところが後日、いちゃついている2人の脇で留守番電話のメッセージが吹き込
まれる。それは元彼の一人で、「酔っ払っちゃったからヤッてないよ」という
衝撃の告白だった。これにて20人で見事打ち止め…になるかねぇ、ホントに…


リアル・スティール1/7(土)

思った以上のダメ親父ぶりがやや意外。

舞台は少しだけ未来の2020年。
生身の人間同士が殴りあうボクシングは廃れ、人々は遠隔操作でロボットを
戦わせ、熱狂していた。操作は鉄人28号もびっくりの手持ちリモコンだけど、
音声認識やデカいデータを駆使して動かすものなど様々な方法があるようだ。

正規の大会あり、ノミ行為が横行する賭けバトルあり、「動物園」と呼ばれる
行けば必ずスクラップ、という物騒なアリーナもある。
そんな世界でロボットバトルに夢中になっているのがダメ親父チャーリー。

大切なロボットを雄牛に壊され、再起をかけようとしたところに、別れた妻が
死んだという報が入る。2人の間には息子がいて、元妻の妹は彼を引き取りたい
と願っているので、チャーリーとしては願ったりかなったり。しかも彼女の夫は
資産家で、条件に出した金をすぐに用意できるほど。小躍りしたチャーリーは
さっそくロボットを買いつけ、夏の間預かる事になった息子に悪態をつかれる。

息子のマックスは思ったよりは大きい11歳で、2人は反発しあいながらも、
やがてマックスも父が夢中なロボットバトルの世界へと入り込んでいく。
何しろゲームで鍛えられたマックスの方がロボットの扱いに長けているから。

調子に乗ったチャーリーが、かつてのチャンピオンロボットで無様に敗北して
しまったため、2人はスクラップ置き場に使える部品を探しに行く。
そこでマックスは、第2世代のスパーリングロボット「アトム」に出会う…

マックスはアトムをチャーリーのパートナーで整備士のベイリーと協力して
直し、人の動きを模倣する機能があるこのアトムを「育て」始める。

スパーリングのためのロボットなので、アトムはとにかくタフ。
それに向かい合っても隣にいても、忠実に認識した人間のマネをするので
マックスと一緒にいる時の様子は可愛い。日本人だったらもっとロボットを
人間らしく描いて、より感情移入させやすくすると思うんだけどねぇ。
まぁスピルバーグは「A.I」で生身の人間使ってそれをやったけど。

子供の道楽くらいにしか見ていなかったチャーリーだけど、動物園や
アングラの大会で次々勝利をおさめるアトムを見て、興奮が収まらない。
ボクサーだった自分が、ロボット格闘技の台頭でリングに上がれなくなったため
始めた稼業だけど、今は自分のボクシングを教え込む事でアトムは勝ち続ける。

勝ち続けるのはもちろん、マックスとダンスパフォーマンスを繰り広げる姿と
いい、アトムの評判は広く知られるようになり、全米チャンピオンとして君臨
する「最強のロボット」ゼウスのオーナーに煙たがれる存在にまでなっていく。
デボラはアトムをゼウスのスパーリング相手として買いたいと破格の値段で打
診。当然ながらチャーリ−は舞い上がるけど、とはいえ賢いマックスがダメ父
ちゃんに全権を渡すわけはなく、ダブルヘッドに勝利したリング上でゼウスに
挑戦状を叩きつける始末。ああ…やはりこの子はチャーリーの子だったよ…

けれどその歓喜の夜、かつてチャーリーと金でもめた興行主が二人を襲う。
金を奪われ、息子を危険に晒してしまったチャーリーは、マックスを叔母の
家に返してすっかりやる気を失い、腐ってしまう。でもNYでベイリーに会い、
もう一度挑戦してみようという気になった彼はマックスを迎えに行く。
今度こそ、アトムでゼウスに挑むために。息子と2人で戦うために。

ゼウスとのバトルはひたすら長い。
何ラウンドやったんだろう、あれ。初めは当然ゼウス優勢で進むんだけど、と
にかくアトムがタフ。途中でコントローラーが利かなくなると、諦めかけた
マックスにチャーリーが「まだ眼で見られる!」と自らリングサイドに立って
パンチを繰り出す。双方ボロボロになり、ゼウスもエネルギー消耗が激しい。
それでも倒れないアトム。会場の興奮は絶頂に達し、最終ラウンドが終わる。

結果は、ゼウスの判定勝ち。
アトムの健闘を讃える会場はブーイングの嵐だけど、マックスは満面の笑顔で
「父さん!」とチャーリーに抱きつき、まるで彼らこそが優勝したかのよう。
すぐ隣でボロボロのアトムが、チャーリーのまねをしてマックスを肩に担ぐ
しぐさをしているのが可愛い。

しかしここで負けたのはよかったな。勝っちゃったらさすがにご都合過ぎる。

いや〜、CM見る限りではロボットを介した「父と子のロードムービー」だろう
くらいにしか思ってなかったので、チャーリーのダメっぷりが意外だった。
いや、そりゃダメ男だろうとは予想はしてたんだけど、上回ったというか…

格闘ロボットの動きは元々ロボット好きの日本人にとっては馴染み深いので、
「多分こういう映画だろう」と思う通りの映画といえるかな。いい意味でも
悪い意味でも予想の範囲を出ないというか、ハリウッドらしいというか。

しかし「アトム」って名前は、あちらさんでは使えないんじゃなかったの?


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