
映画評・トップ 映画鑑賞レビュー 2010年 劇場公開作品
機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer- 12/31(金)
「乱れ撃つぜぇ!」 とりあえず、戦闘シーンがすげぇ。 それは認める。ホントにすごい。サンライズの底力を見た。眼ぇ回るわ! あれだけでも見る価値はあると思うが、自分としては不利な状況を 地形や利用できる物を生かし、作戦を立てる知略戦が好きなので、 「すごい」とは思うけど、楽しかったかといわれるとどうかな。 あと子熊やグラハムが次々と死んでいってリストラも完了。 コーラサワーが死なないのはもはや鉄板のデフォルトにしても、 グラハムが死んでビリーが生き残るってどういう事なんだ…おかしいだろ 前半は正直ちょっと退屈で、刹那が最後に脳量子波でわかりあえる 反則イノベーターになったこと以外、2ndシーズンってストーリーは どうだったんだっけ?と完全に忘れており、けったいな映画に出てきた アロウズとカタロンの違いも「どっちがどっちだっけ?」と思う始末。 そのアロウズが解体され、連邦政府によって緩やかで穏やかな 「宥和政策」がとられている、2年後から物語は始まる。 沙慈が「それはソレスタルビーイングとアロウズの苛烈な戦いによって 植えつけられた恐怖の上に立つ偽りの平和」であると言ってたけど、 ラストに訪れた平和はそうではないということなのかな? しかし木星からフェストゥムELSなる金属生命体が現れたことで世界は一変する。 木星から突如地球に向けて進んできた探査船エウロパは連邦軍によって 破壊されたのに、小さくなった破片が燃え尽きることなく地球に降り注ぐ。 そして刹那同様、イノベーターになる素質のある脳量子波を持つ人間を 次々と襲っていく。刹那はアレルヤたちを心配したのかと思ったけど、 しっかりルイスや沙慈のことも気にしていたようで彼らをレスキュー。 2ndではティエリアにしろ刹那にしろ、成長が見えてずいぶん人間的に なったというのが私的には非常に好印象だったんだけど、2ndラストで ティエリアは「ヴェーダの妖精さん」になり、今回、刹那もすっかり 無口で何を考えているのかよくわからんキャラクターに戻ってた。 あーあ、これは残念。色々乗り越えて、自分が宗教に踊らされ、 親をその手で殺してまで殺し合いをしていたという辛い過去を 乗り越えて成長したかなーと思ってたのに、人外になっちゃね… 正直、フェルトが彼を気にかけるのもあんまり嬉しくない。 私は彼女が嫌いではないし、別にいいんだけど、なんかトートツで。 監督だか脚本だかスタッフだかは知らんが、「種の轍は踏まない」 ひとつとして、「恋愛ガンダムにはしません」と言ってたんだから、 そんな描写もいらなかったんじゃないのー(しかも成就しなかったし) ってか00の恋愛は全部唐突。今回のビリーとネーナ+スメラギもどきとか アニューはもちろん、ミレーヌがティエリア好きってあれマジだったのか。 となると、まともだったのは沙慈とルイス、コーラサワーくらいでは!? しかし驚いたのは純粋イノベーターのデカルト・シャーマン大尉! えっ!?えっ!?ここで終わり?出番終了!?って感じでおしまい。 刹那が対話をすることは物語上当然だろうとは思ってけど、彼にも何か 役割があるのかと思ってたのに、あっという間に取り込まれて終了だもん。 ビックリだよ〜何のために出てきたかな、も〜! ティエリアは新たな肉体(容れ物)を得て復活したと思ったら、 自己犠牲で刹那を守ってラファエルごと消えちゃって「あらら…」 しかしすぐ後に本物の妖精さんになって再登場きみは21世紀版チャム・ファウか? アレルヤの「時々ハレルヤも出てきます」的超兵っぷりは笑えたけど、 それに対してひたすら「了解!」と答えるだけのマリーに爆笑した。 きみ、受け入れすぎやで。後ろの人、明らかに変な人やったで? さらにはキャラが立つどころの話じゃないロックオン2号。これはひどい。 単なる「乱れ撃ちお兄さん」要員と化していて、全然話に絡んでこない。 (彼だけ脳量子波についてはただの人なので蚊帳の外というのもある) でもサバーニャは一番面白い機体だったな。あのパネルを担いでる間は 「ジャマ」って感じだったけど、あれを展開したらもう無敵じゃね!? ハロも二体になってるし、一つ一つの防御力も高いけど、直列して少し 長めのシールドになったり、防衛的攻撃も行えたりして面白れぇ! 私は比較的防御系が好きなので、単に攻撃一辺倒のファンネルや ドラグーン系よりも、ああいう攻勢防衛武装が好きなんだよね。 しかしELSはまんまフェストゥムだったね。 まだ地球外生命体との対話態勢のできていない人類は、どうしても恐怖心から 相手に攻撃を仕掛けてしまい、そうしたこちらからの激しい攻撃を学習した ELSは、その攻撃性を真似、武器やモビルスーツをコピーしてしまう。 彼らに悲しみや痛みや恐怖を教える乙姫ちゃんも総士もいないから、 ELSはマネキンたちが攻撃すればただひたすら攻撃を仕掛けるばかり。 地球に向かったELSと共にアンドレイ・スミルノフが殉職し、 グラハムが率いるソルブレイブス部隊も次々と飲まれていく。 マネキンの艦も、虎の子の粒子砲も失われ、トレミーも汚染が進み… なんということだ!このままでは人類が汚染されつくして滅んでしまう!棒読み そこに颯爽と現れたのはダブルオークアンタに乗り込んだ刹那。 フェルトの祈りが届いたのか、地球上で、宇宙で必死にこの過酷な現状に 抗おうとするマリナ姫やルイス、沙慈、戦い続けるロックオンやアレルヤ、 さらにはお亡くなりになったリヒティやクリス、ロックオン1号とも霊界通信。 それによって目覚めた彼は新たな機体に乗ってELSとの会話をする事を決意。 妖精さんと共に月ほどもある巨大なELS内部に突入すべくトランザムするが、 ティエリアはELSとの相互理解にとっておかんかと怒る。チームワーク、悪… 2ndでは仮面をかぶってミスター・ブシドーなどと言って遊んでいたおかげで 最終回にはほとんど出番もなくからみもなく終わったグラハム・エーカーは、 今回2回も刹那の危機を救いに現れ、最後は血反吐を吐きながら内部への 突破口を開くためにプレスされてお亡くなりになってしまった。 なーんか残念なキャラだったね、最後まで。 量子化した刹那は、彼らが滅び行く星を後にしてきた流浪の民であると知る。 融合で意識を共有する彼らに一体何を教えたのかは知らんけど、刹那は 地球が見える場所に、平和の象徴であり、荒野にひっそりと咲く花を イメージして、彼らの居場所を造ってやった…って事でいいのかね? よくわかんねーよ。なんで花なのというのはツッコんじゃダメなの? スタッフロールが流れた後に現れたのは、物語の約3世紀前と半世紀後。 若き日のイオリア・シュヘンベルグが、リボンズの原型となったらしい 友人?とその時代にはまだ先駆的過ぎる多くの技術を後世に託す話をする。 さらに55年後、人類は外宇宙に出るべく宇宙船「スメラギ」で出航を待つ。 イノベーターは4割を超え、ELSに半身を侵食された女子高生は若いままで スタッフとして働いている。艦長はクラウスさんらしく、ティエリアタイプの イノベイド?それともミレーヌとティエリアの子孫?かはわからんがその姿も。 きっとあの宇宙船では「無限のリヴァイアス」のような混乱が…違います そして政権を退き、アザディスタンの質素な家で1人で暮らしている マリナ・イスマイールの元には金属生命体と融合した?刹那が現れる。 眼の見えないマリナにとって彼が今どうなっているのかなど関係はなく、 時を越えてきた彼にとっては年老いた彼女の姿など何の関係もなく… 戦うのではなく、わかり合うことが大切だと解いた彼女と抱き合う刹那。 すれ違い続けた彼ら自身がようやくわかりあえたことで、物語は終わる。 ぶっちゃけよくわからん。 こういうラストでいいのかガンダム。これしかないのかガンダム。 ソレスタルビーイングがいなくても、2014年にELSが来たんだろうから、 いがみあってた人類は慌てて結託し、手を取り合って戦って… そんで滅んだんだろうなぁ、きっと。ソレスタがあったから助かった? でもソレスタがなければイノベーターは生まれず木星からのお客さんは 来なかったのかもとか、「たら」「れば」の話ばかりで気が狂う〜。 うーん、やっぱりよくわからん。 これで終わりだから、結局「こういうガンダムでした」でおしまいなのかな。 △
ミックマック 9/22(水)
「アメリ」を撮ったジュネ監督のいわゆる「パリコメ(ディ)」 それにしてもどんな映画でも、やっぱりパリほど絵になる街は ないかもわからん。ローマもいいセンいくけど、やっぱパリかな。 かつて父を地雷の爆発で失ったバジルは、しがないビデオ店の店員をしてる、 イマイチぱっとしないフツーのおっさん。そんな平々凡々の彼が、ある夜 偶然店の前で行われた銃撃戦に巻き込まれ、脳天に流れ弾を受けてしまう。 取り出せば植物状態、そのまま放置すればいつ死ぬかわからない… 「どっちがいいか医学では決められない。コインで決めよう」 医者はコインに尋ね、その結果バジルの頭には銃弾がのこったままに。 退院してきたものの、職はなくなり家はなくなり荷物もなくなり、 バジルに残されたのは日銭を稼ぐ形態模写と穴のあいた靴下くらい。 ある日彼がオルセー美術館の前でカフェの客相手にパフォーマンスを していると、「ギロチン男」ことプラカールに声をかけられる。 体がくにゃくにゃのゴム女、ギネスに載った事のある人間大砲、 ガラクタを作り変えてしまう魔法の手の持ち主、見ただけで 距離や長さが正確にわかる人間計算機、料理上手な肝っ玉母さん、 ことわざ大好きな元民俗学研究者など、一癖も二癖もある仲間に 引き合わされたバジルは、彼らと家族になり、安息の場を得る。 ところがある日、彼は自分の頭の中に残る弾丸を作った会社を 知り、また父を殺した地雷を造った別の会社を知ってしまう。 死の商人には鉄槌を…世界には平和を…! というわけで、オヤジたちの、大真面目なんだけどなんとも 可笑しく、時にはバカバカしい「非暴力」復讐劇が始まる。 ひたすらコメディタッチに進む2人の死の商人への復讐(というほど おどろおどろしくはないのだけど)が楽しい。ゴム女を宅配便を 装って潜入させ、なんだか悪趣味なコレクションを奪い取ったり、 アナログ好みの警備員をビデオショップの店員と彼氏の協力を得て 色仕掛けで撃退したり、それぞれ仲間たちの一芸を活用しながら 口数少なく采配を振るっていくバジル。ゴム女との間にほのかな 恋愛感情も芽生えてきたり、仲間たちの結束も強くなったり。 ところが連中もそうそう騙されてはくれず、ついにバジルは拉致されて 車のトランクに詰め込まれてしまう。このままセーヌの藻屑となるのか… というところで、仲間たちが奮起し、強力な磁力重機を利用したりして 見事バジルを助け出し、逆に拉致った連中に最後の総仕上げを行う。 飛行機の振動とエンジン音。着陸と同時にタラップを降ろされ、 ジープに乗せられてどこまでも走る。時折通り過ぎる街では、 彼らを捕らえたゲリラに声をかける子供たちの声が聞こえてくる。 麻袋をかぶされ、手足を縛られた2人の死の商人は恐怖に怯え、 やがて砂嵐の舞う荒野で、2人はようやく麻袋を取り去られる。 そして1人は足の下に自分たちが作った地雷を踏まされ、 1人は手榴弾を口にくわえさせられる。彼らの前にいたのは ターバンを巻いたゲリラと、チャドルをかぶり、地雷で 死んだ子供たちの写真を胸に掲げた無言の女たちだった。 このシーンがあまりにもシビアで、今まであんなにコメディっぽく 進んできたのに、最後はこんな現実のような終わりになるのか… と、見てるこっちにもちょっと緊張感が走ったんだよね。 怯えきった彼らは自分だけ助かろうと必死に命乞いを始める。 有力者との繋がりや、自分の罪を軽くするため、あのテロで使われた 爆弾はあっちが作ったこっちが作ったととライバル会社の所業を告発し、 2人は醜い懺悔合戦を繰り広げる。録画されているとも知らずに… やがて興奮した2人は地雷から足を外し、手榴弾を落としてしまうが、 もちろん爆発などしないし、目の前のゲリラたちも次々とその装束を 取り払う。子を失ったお母さんがなぜかヒゲモジャのおじいちゃんに! このネタばらしシーンがとにかく楽しかったなぁ。 見ていた人たちも緊張が一気にほぐれたみたいで映画館がどっと沸いた。 いや〜、やられた! この緩急はホントに素晴らしかった。 彼らの告白は「YOU TUBE」で配信され、ありとあらゆる国の人々が この映像を見ることになって株価は暴落し、どちらも破産が決まる。 非暴力で見事、本当に復讐を成し遂げたバジル。 ちょっと意地っ張りだけど「柔軟で」素直なところもある恋人を得、 愛すべき仲間たちと仲良く楽しく暮らしてめでたしめでたし… 事情があって飛び込みで見た映画だったけど、まぁ悪くなかったかな。 この日はとにかく映画を見ようと思ってたので、何でもよかった。5分違いの 「魔法使いの弟子」と迷ったけど、間に合いそうだったのと、先週の王ブラで リリコがジュネ監督と対談してて撮影秘話を聞いていた事や、彼がパリにある アメリが働いていたカフェ「ムーラン」に行った時、日本人があろうことか 監督に貼ってあるアメリのポスターの写真を撮りたいからどいてと言うので、 「僕がこの映画の監督だよ」と言ったら、全然信じてくれなかったよという お笑いエピソードが耳に残っていたのでこっちにしたんだよね。 そこここにあるムダに豪華なセットや小道具、フランス風味のエスプリや、 泥臭いギャグ、そしておっさん・おばはんが奮闘しまくる中盤もいいけど、 何よりラストが素晴らしかった。あの見事な復讐完遂スッキリ爽快感には 「おお、やるじゃん!」と感心すらしてしまったよ。スカっとしたね。 △
インセプション 9/15(水)
いきなり日本語で始まったので、「あれ、字幕版だよねコレ!?」と むちゃむちゃ焦った。謙さんの潜在意識内だったから日本語なのね… それにしても導入部分が非常に難解に思えた。 観終わってみれば語るより先にいきなり世界観を観客にぶつけるのが 狙いだったんだとわかるんだけど、夢なのか現実なのかわからず、 話している内容もさっぱりで、そこにいた謎の美女は謎だらけで… でもこの謎の美女・モルこそがこの物語の大切なキーとなる。 ディカプリオ演じるコブは、繋がった夢の中にダイブしてターゲットの 潜在意識の中にある「アイディア」や「考え」を盗む産業スパイ。 どうやらこの世界では「夢の中に入り込む」ことは可能だと認識されており、 従ってこうした夢盗人に何かを盗まれないように、企業のトップになると 潜在意識の防衛訓練を行って自衛しているようだ。 10年前、マトリックスの頃だったらこうしたアイディアはさぞや「斬新」 「誰も見たことも考えた事もない世界」と絶賛されていたかもしれない。 とはいえ、だからといってこの映画が「使い古された電脳ネタを使った ありがちで古臭いパクリ物語」なのかというととんでもない間違いだ。 彼らがターゲットを誘い込む夢は、夢といっても漠然と観る夢ではなく、 設計士が夢のディテールを整え、偽装師が相手を騙すために様々な キャラクターに偽装し、調合師が深く眠るための安定剤や導眠剤を 準備して作り上げる「周到な夢」だ。もちろんあらかじめターゲットを 調査する事も忘れない。そうして夢の中で「これは現実である」と信じ、 気を許したターゲットからアイディアを盗むのがコブの仕事らしい。 導入部分では渡辺謙演じるサイトーがコブのターゲットなのだけれど、 下調べ不足から彼は夢の中で「自分の部屋に敷かれたのは羊毛の絨毯だ」 と認識し、化繊の絨毯が敷いてあるここは夢の中であると気づいてしまう。 ターゲットに夢だとばれてしまうと、夢は大崩壊する。 そもそも夢なので「目覚めれば終わる」のだけど、この設定が実に面白い。 夢の世界では非常に長く感じる時間が、現実では数秒・数分に過ぎなかったり、 夢の中で大きなショックを受ける…即ち「死ぬ」ことで目が覚めたり、逆に 眠っている肉体の方に物理的ショック(=キック)が加わると覚醒したりする。 確かに、「夢はほんの数分、長くても数秒」しか見ておらず、しかも我々が 覚えているのはほんのわずかな「夢の断片」に過ぎない、とは言われるよね。 夢は大脳のデフラグの一種というのも聞いたことがあり、本当は人間は全て 記憶しているのだけど、必要なものだけを取り出しやすいところにしまうため 不要なものやあまり使わないものを潜在意識下にしまいこんで認識範囲を 狭めているとも。即ち、それが夢では解き放たれるので、夢の中には色々な 物や人が溢れる。それは皆、その人の記憶の中の「投影」なのだという。 特に面白いのが、アリアドネがコブの夢の中で自由自在に設計すると、 コブの潜在意識下の記憶が皆、彼女を見るんだよね。確かに、自分の中で 誰かが好き勝手やってるんだから、潜在意識は彼女を「異物」と捉える。 夢の中のコブは理解しているのに、夢を見ているコブはアリアドネを 異物と見るから、通り過ぎる人が皆彼女を凝視していく…というわけ。 面白い。これは面白いよ。夢は意識下にあり、主観が支配する世界。 同じように見えても、あくまでも客観物であり、共有性が高い (であろうと思われる)電脳世界にはない概念じゃないかな? さらに面白い事に、夢は現実の自分(=夢を見ている人)と必ず リンクしているので、自分が顔に雨のしずくを浴びれば夢の中でも 水浸しになり、トイレに行きたかったら土砂降りになり(ホンマか) 実際の肉体が水に落ちれば夢の中に大量の水が流れ込む現象が起きる。 確かに我々も夢の中で暑いと感じて起きると灼熱の太陽を浴びていたり、 悪夢にうなされて目覚めると猫が胸の上に乗って人の顔を覗き込んでたり、 肉体の影響を受ける事があるもんね。だからそれらは経験上、至極当然に 受け入れられる。だって夢を見たことがない人なんかいないはずだからね。 さて、ターゲットだったサイトーはコブの腕を買って仕事を依頼する。 しかしそれは、彼が自分に仕掛けたような「盗み」ではなく、アイディアを 「植えつけること」、即ちインセプションだという。ライバル会社の息子に、 父が築き上げた会社を潰させるため、その「アイディア」を植えつけて欲しい。 実はこのへんの依頼の話については「ん?ちょっと展開が荒いのでは?」と 思ったんだよ。何より自分の会社のシェアを広げるためにライバル会社を 潰すという動機が、そんな危険を犯してまでやる事かいなと思ったし… (実際、サイトーがどれだけの資産家で、相手もどんな規模の金持ちかとか、 そういう事は意外と語られないのね。観終わるとそれは不要とわかるんだけど) ところがこの映画は一筋縄ではいかないのだ。作戦の夢が何層にも渡るように、 ストーリーもまた、もうひとつ別の階層が用意されてるんだよね。やられたわ。 彼が出した条件に飛びついたコブは仕事仲間を集め始める。 ちなみに彼に夢へのダイブを教えたのは父らしい。父の優秀な教え子である アリアドネを夢の設計士に、モンバサで偽装師イームスを、調合師ユスフを 仲間に加える。モンバサでは失敗したミッション(ターゲット=サイトー)の 落とし前のため追っ手に追われるんだけど、ディカプリオが逃げる途中で、 メディナ(途中の上空からの撮影で街がモロッコっぽいなと思ったらやはり モロッコでのロケだったらしい)の壁の隙間を通り抜けるシーンがあったけど、 「あー、ギルバート・グレイプの頃のアンタならすんなり抜けたろうにね」と 笑いそうになってしまった。でも一時期のポーク状態よりは大分痩せたよね。 まずはターゲットのロバートを夢に誘い込むため、10時間は邪魔されない 眠りが必要。それはサイトーが航空会社を買収してファーストクラスを 利用する事でクリア。彼自身をその気にさせるため、確執のあった父との 和解を利用し、父の遺言を聞いて「会社を潰す」と思わせる事が最終目的。 ところがまず第一段階の夢の中で、彼らは武装集団に襲われる。 これは潜在意識の防衛訓練を受けたロバートの、いわば「攻勢防壁」なのだ。 コブがアリアドネの設計にはない列車に阻まれた隙にサイトーが撃たれ、 ロバートを篭絡できなかった事もあって仲間たちは夢の第二階層へと進む。 何しろサイトーがここで死んだら目覚める…とはならない。薬が強いため、 体は目覚めても心が目覚めず、彼は「虚無」に堕ちてしまうのだと言う。 次の段階ではロバートに「これは夢だ」と認識させた上で、次の夢に誘導。 この作戦には、ターゲットがこれは本当に夢と気づいて目覚めてしまい、 夢が崩壊して終わるというリスクが伴う。とりあえずこれは何とか成功し、 夢はさらに第三段階へと進んでいく。そこは雪山に隠された父のいる病院。 ロバートの心が父への不信感と絶望で一杯だからあんな雪の中なのかな? この映画、さっき「もう一段階ある」と言ったとおり、メインストーリーとは 別にもう一つ物語が同時進行していく。いや、むしろこっちが本筋なのか…? コブは産業スパイの犯罪歴に加え、妻殺しの容疑がかけられているため、 本国への帰還ができずにいる。この「妻殺し」事件が、実は彼がかつて 妻に対して行った「インセプション」によるものという事が明かされていく。 私たちでもあまりにも面白い夢を見ると、「もう1回見たいなぁ」「続きは どうなるんだろう?」と思ったりするものだけど、彼の妻モルはまさしく そんな夢の世界に囚われてしまった人。彼女は夢の中で街を作り出し、 長い長い時間を共に過ごし(けれど現実ではほんの一瞬に過ぎない)、 幸せに、思うままに、好きなように、愛する夫と生きてしまった。 50年もの時間を夢で過ごした彼女は、ついに夢を現実と思うようになり、 現実に戻ろうとしなくなる。コブは彼女を連れ戻すため、ある事を彼女の 意識に刷り込ませる。「ここ(夢の中)は現実ではない」「現実に戻るには、 死ぬしかない」という植え込みが行われ、彼らは列車に轢かれて戻ってくる。 アリアドネの街に「列車」が現れたのはコブの意識の投影だったわけだ。 ところが戻ったものの、彼女はやはり現実を受け入れる事ができない。 彼女の心には植え込まれた考えがはびこり、増殖し、彼女はついに、 現実である現実を現実ではないと否定し、飛び降りて死んでしまった… ところどころに現れる、非常に謎めいた彼女が何者なのかという事と、 破天荒な夢の中での無重力バトルやチープで陳腐な父と子の確執が 交錯し、でもそれは全部夢の中という感覚が不思議と面白かった。 とにかくストーリーの謎解きが気になるので、ちょっとバトルシーンが だれる感じもあったんだけど(ノーランはダークナイトでもこの傾向が)、 終わってみれば「う〜む、なるほど」とうならされる事請け合いだと思う。 冒頭の謎のシーンも最終的に解決され、コブは虚無に堕ちて孤独の中で 老いさらばえ、死を待つだけだったサイトーを救う。夢の中では何年も 経つのに現実では数分じゃ、肉体が死ぬまで精神が虚無に残るとしたら、 自分のイメージしかない空しい孤独の中の時間は途方もないに違いない。 目覚めたサイトーは約束どおりコブの犯罪歴を消し、彼はついに懐かしい 我が家に帰ることができる。一度も振り返らなかった投影の子供たちと違い、 愛する子供たちは父の姿を見て走ってくる。モルが残したトーテム(鉄独楽) が回り続け、それが軌道を揺らして倒れるか…というところでエンドロール。 これが現実なのか夢なのか、不安な余地を持たせるあたりが憎たらしい。 監督がCGではなく実写にこだわったというパリの爆破シーンや、 セットで再現したというアナログの無重力シーンは圧巻だったよ。 「アバター」もアバターに精神を乗せかえる擬似サイバーワールドでの 物語だったけど、「夢」という題材はもっとアナログなだけに面白い。 亡くなった今敏は同じく夢を題材にした「パプリカ」でアニメならではの 表現を使ってたけど、物語的にはやはりインセプションの方が面白かった。 私が見た中ではハズレばっかりのディカプリオ映画の中では、「タイタニック」 以来の面白かった映画だな。「夢」に潜るプロセスから、夢の中の様々な表現 (パラドックスとか)二重になった物語、アクション主体で、夢の迷宮を創る 設計士アリアドネもまさしく「糸玉の王女」として「難問の導き手」だったし、 変な恋愛話が絡まなかったのも私的には本当にナイスだったよ。 彼らに目覚めを知らせるエディット・ピアフの歌が効果的でよかった〜。 これってモルを演じたマリオン・コティヤール(エディット・ピアフで アカデミー主演女優賞を獲得)へのリスペクトだったのかしらん? うん、ホントに面白かった。いや〜、それにしても妻殺し(女殺し)と 恋愛排斥が大好き(!?)なノーラン映画はホント、ハズレがないわ。 △
ヒックとドラゴン 9/10(金)
英語版を機内上映で観たのだが、その後何度も「よかったですよ」と お奨めされたため、改めて3Dで鑑賞。ただし行きつけの映画館では 上映が終わってしまった上、一番近い上映館はレイトショーでしか やっていないので、車を出しての大掛かりな鑑賞になってしまった。 (だってピカデリーもバルト9も3Dだと2000円以上するんだもんよー) 低い身長、ひ弱な体、相手の表情を窺ってばかりの遠慮がちな性格… かつてドラゴンとの戦いで手足を失った鍛冶屋のゲップの手伝いを しているヒックは、勇猛なバイキングのリーダー、ストイックの息子。 ドラゴンを倒さなければ一人前とは認められないバイキングの中で、 一人だけ訓練を受けさせてもらえないことに不満を持っている。 とはいえ、実際ひ弱で臆病で役立たずでもあるのだけど… 彼らのバーク島は、一年のうち8ヶ月が雪に覆われ4ヶ月はひょうが降る島。 しかし一番の特徴はドラゴンが襲ってくること。 羊を狙う彼らとの戦いは熾烈を極め、夜な夜な続いている。 皆からおミソ扱いされるヒックはある夜、自分が作った投擲機を持ち出す。 そして見事、「ナイト・フューリー」と呼ばれる、誰も姿を見た事がない、 スピードと攻撃力を誇る伝説のドラゴンを仕留める事に成功する。 確かに手応えありと信じてヒックが森の中に分け入ると、 そこには縄でぐるぐる巻きになったドラゴンがいた。 ヒックは彼を殺して父に自分がドラゴンを殺した証拠を見せようとするけど、 ヒックを見詰めるドラゴンの眼を見て、殺すことが出来ず、逆にロープを 解いてやる。自由になったドラゴンは怒りのあまりヒックに襲い掛かり… とにかく! もうとにかくナイト・フューリーことトゥースが可愛い! ヒックが、飛べなくなったトゥースとの距離を縮めていくシーンの緊張感は 大したもの。初めは遠くから見ているだけだったのが、やがて魚を持って行き、 いつもはしまわれている牙が飛び出すことを知り、ついにはその体に触れる。 この時のヒックの手に触れるトゥースが猫がすり寄るみたいで可愛いんだよね。 好きに動いている彼を放っておきながら、ヒックが彼の姿を地面に スケッチしていると、負けじと木の枝で地面に絵を描いてみせたり、 大好きな草の香りを嗅ぐと酔っ払ったみたいになってしまったり、 頭の後ろを掻かれると気持ちよくて、あごの下を触られると気絶したり… そんな「知らなかった」ドラゴンの生態を、やたらと可愛いトゥースとの 触れ合いの中でヒックは学んでいく。そして「きわめて凶暴、見たら殺せ」 としか書かれていなかったドラゴン百科にしろ、自分たちがいかに ドラゴンを知らなかったか、知ろうとしなかったかに気づいていく。 ヒックはドラゴンの巣を探しに出かけた父の計らいで、同世代の仲間と共に ドラゴン退治の訓練を受けられる事になるのだけど、自分にはドラゴンを 殺せないと身をもって知った今、そんな訓練は苦痛でしかない。 それに、今のヒックにはドラゴン退治よりもっと気になることがあった。 ヒックはトゥースが飛べないのは尾翼がないためだと気づき、自分の技術を 使って「義翼」とでもいうべき飛行補助具を作る。これを取りつける時、 山ほどの魚(でもトゥースはウツボが嫌い)を持ってきて食べさせながら 作業を進めるんだけど、カゴに頭を突っ込むトゥースが可愛くて可愛くて。 やがて装着が終わった時、「ん?」という顔をしたトゥース可愛い♪はヒックを 背に乗せたまま大空に飛び立つ。成功したと思った途端、バランスを崩して 墜落はしてしまったけど、どうやらもう一度空を飛ぶことはできそうだ。 ヒックが知識を使い、訓練を乗り越えていくのも痛快。 デッドリー・デンジャーにはマタタビみたいな草を嗅がせ、 グロンクルのあごの下を撫で、ナイトメアにウツボを見せる。 「猛獣使い」として名を上げたヒックはアスティと争った最終テストを 勝ち抜き、「ドラゴンを殺す権利」を手に入れることになるのだが… アスティはヒックの憧れの女戦士なんだけど、ヒックの快進撃を 疑って彼の後を追い、トゥースと対面する最初の人間になる。 最初はヒックの存在すら無視してるような冷淡な雰囲気だったのが、 ドラゴン訓練で実力ではNo1の自分を凌いでいるヒックを意識し出し、 ついにはトゥースにさらわれて大空の旅へ。女はロマンチックに 弱いというか吊り橋効果というか…まぁアスティはすっかりヒックに 心惹かれるようになっちゃうわけですな。手の平返しすぎだろー! しかしドラゴンを手なずけようとするヒックの戦いぶりを見た父は、 それはバイキングの戦いではないと怒り、大きな音でドラゴンを 興奮させてしまう。猛ったドラゴンは当然ヒックを襲い始める。 この時、ヒックの危機に駆けつけるんだよねぇ、トゥースが。 ヒックがいないから飛べないんだけど、必死に走ってくるの。 もー可愛いというかけなげというか…たまらんね、この子は。 父はヒックを「ドラゴンの側についた裏切り者」として断罪し、 ヒックの命に従って攻撃をやめたトゥースを捕らえてしまう。 ドラゴンが村を襲うのは、捕らえた羊や魚を「ドラゴンの巣」に 巣食うバケモノのような大きなドラゴンに貢いでいるから… ドラゴンたちはヤツに逆らえず、そいつを退治すれば もともと人懐こいドラゴンと人間は友達になれるはず… ヒックの主張はしかし、これまでドラゴンに何百人もの仲間を奪われた ストイックには届かない。こっちだって彼らを何千匹も殺したろう! 相容れない親子は断絶し、父は仲間と共にドラゴンの巣を目指す。 水先案内人として捕らえたトゥースを連れて… 黙って見送るしかできないヒックに、アスティが なぜ最初にドラゴンを殺さなかったのかと聞く。 臆病だったから…自分には殺す勇気がなかったから… でも本当は、「あいつも怖がってるように見えたから」 そんなヒックの優しさが、ドラゴンを理解し、ドラゴンに 乗るという快挙を成し遂げたのだと気づかせるアスティ。 ラストバトルは3Dの本領発揮でゴージャスだった。 ボスドラゴンはもっと見上げるようにデカくてもよかったなぁ。 アニメなら許されるじゃん、絶対にありえない大きさだって。 ドラゴンライダーとなった仲間たちと共に父たちのピンチに駆けつけた ヒックは、捕らえられたままのトゥースを開放しようとするんだけど、 船はボスドラゴンに破壊されて沈んでしまう。それでもなおトゥースを 助けようとするヒックの息がつき、浮かんでいく時のトゥースの表情は 反則でしょー。もうとにかくヒックが心配で心配で仕方がないわけです。 ヒックを助けたストイックは再び海に潜り、その怪力でトゥースを開放する。 トゥースもまたストイックを海面に上げ、ついにヒックとのタッグが復活。 もうね、燃えるんだよここが。誰よりも速く飛ぶ黒いドラゴンは格好いい。 トゥースの吐く炎は他のドラゴンと違ってレーザーみたいなんだよね。 素早さでボスドラゴンを撹乱し、落下したアスティたちを救いながら、 いよいよ戦いはボスとのガチンコに移っていく。巨体を浮かすことの できる巨大な翼が翻り、戦いは高い高い空の上、雲の中での空中戦に。 尾翼の調整をしながら攻撃のタイミングを読むヒックと、相手の吐く 紅蓮の炎で尾翼を焼かれてもなおヒックを信じて飛ぶトゥース。 引きつけて引きつけて、弱点である口の中にトゥースの炎を打ち込む。 勝利はしたものの、最後っ屁ともいえる炎の中に落ちていくヒック。 燃え盛る炎を恐れもせず、トゥースは大切な友人を救いにつっこんでいく。 トゥースに助けられたヒックは、けれど左の足を失っていた。 うまく歩けないヒックを、うまく飛べないトゥースが支えて外へ出ると、 外では村の仲間たちがドラゴンを楽しげに乗りこなしている光景が。 もうね、わかったよ、 トゥースがなぜこんなに可愛いと思えるのか。 なんでってこの子、「まるで猫のような犬」 あるいは「限りなく犬っぽい猫」なんだもの。 犬と猫のいいトコどりだもの。 猫のように気まぐれで、警戒心が強くて、自由で、気まま。 そのくせ大好きな人には心底心を許して、尽くし、信じ、 共に戦い、命がけで守ろうとする。これは犬じゃん、絶対。 目覚めたヒックを見て喜ぶ姿も犬(ペロペロ)であり猫(梁に登る)! 犬であり猫だなんて、夢のような存在なわけですよ。爬虫類だけど。 飛翔シーンは臨場感あふれて、わざわざ3Dで見た甲斐があった。 個性的な造詣のドラゴンにはちょっと違和感があったけど、 トゥースの可愛さにはかなわなかった。あれは可愛いわー ホント、アメリカのアニメは人間がイマイチ可愛くない分、 こういう動物系は可愛いよねぇ。肌の触感とか産毛やシミまで 描きこまなくていいから、もうちっと可愛くすりゃいいのに… 物語も父と子の確執、「知らないもの」への理解と温かい交流、 仲間たちとの友情、行動によって変わったコミュニティなど、 ベタではあるけど、そこにドラゴンとの激しいバトルを 混ぜ込むという、日本アニメ風クライマックスが面白い。 主人公が永遠に体の一部を失うというなかなかエグい現実も サラリと描かれ、義足を使って歩き出す未来も決して暗くはない。 まぁツベコベ言わずトゥースが可愛いから見ろや!って感じかな。 同時上映はこの冬公開のシュレックのさわり部分をチラリ。 シュレックは実は1作も見てないんだよねぇ。だからよくわからんのだが、 紹介してくれた藤原紀香が老けててビックリ。腕とかたぷたぷやんか… それにしても「ヒックとドラゴン」のCMは、結構クライマックスまで 語ってたよね。え、それも出しちゃう?的なネタバレCMであった。 △
ハングオーバー 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い 9/8(水)
結婚式を控えた新郎が、独身最後の数日間を悪友たちと楽しもうと 「はちゃめちゃラスベガス・ツアー」を企画する。 ところが楽しいはずのその旅は、「トイレにトラ」「見知らぬ赤ん坊」 「盗んだパトカー」「チャイナ系マフィアに命を狙われる」「歯が抜ける」 という、どれも昨夜の記憶にない事ばかり。挙句の果てが「新郎行方不明」 こうしてどーしようもない男3人の「しょーもない記憶探し」が始まる。 とにかく独身男たち(教師のフィルは妻帯者だけど)のバカ騒ぎが楽しい。 クスリ入りの酒で記憶が飛び、前夜何をしたか全く覚えていない中で、 ひとつひとつ自分たちがやったバカを見せつけられ、問題を解決していかねば ならないバカバカしさ。酒で失敗したことのある人なら身に沁みるのかも… しかも下品極まりないからね。きっと字幕ではとても載せられないような お下劣スラングがてんこ盛りだったんだろうなぁと思ったよ。 まずはバカ騒ぎが過ぎてフィルが担ぎ込まれたらしい病院で情報収集。 赤ん坊は、きっつい恋人を残してきた歯医者のステュがノリで結婚した (もちろん記憶はない)ストリッパーの子供だった。式の後、恋人に プロポーズしようと思っていたステュは、ホロコーストを生き抜いた 祖母の形見の指輪が彼女の指にあるのを見てビックリ仰天してしまう。 パトカーはやはりノリで盗んだらしく、警官との取引によってスタンガン プレイで痛めつけられた後に無罪放免。なくなったベンツも無事戻った。 ところがそのベンツのトランクの中からはなぜかフルチン男が! なんだかわからないままにぶちのめされ、さらにホテルに戻ればそこに マイク・タイソンがいて新婦の弟で酒にクスリを入れた元凶のアランが ストレートを食らう。どうやらトラはタイソンのペットだったようで… そのおトラ様を苦労してお届けにあがり、トラを盗んだ時にはまだ新郎が いたことを確認してほっとしたのもつかの間、今度はフルチン男が仲間を 引き連れて金を返せと迫ってくる。彼はカジノでバカヅキしていた4人に 近づいてたんまり儲けたものの、その金、8万ドルがなくなったという。 フルチン男の元には人質が!それが新郎だと思った3人は、ストリッパーにも 協力を頼んでインチキ賭博でなんとか8万ドルを作り上げる。ところが人質は 新郎ではなく同じ名前のダグ違い…さぁ困った。一体新郎はどこにいる? あと5時間で式なのに、果たして新郎を花嫁のところに連れて行けるのか? …という、ホントにおバカ丸出しの乱痴気ムービー。 観てる人たちは数が少ないせいもあったのか笑い声もほとんどなく 冷め切ってたけど、私は結構楽しかったな。むしろ1人で観た方が 大笑いしたりツッコんだりして楽しく観られたかもしれん。 ラストはなんとか新郎を助け出した男3人が、彼を連れて車をぶっ飛ばし、 無事に結婚式を挙げるというもの。結婚なんて墓場だとブツクサ言いつつ、 素敵な奥さんと可愛い息子にメロメロ(死語)のフィルや、この旅ですっかり 義兄たちと仲良くなったアラン、相変わらず男を支配下に置きたがる 怖〜い彼女に三行半をつきつけたステュの姿が微笑ましい。 しかも新郎のポケットにはなんと8万ドル分のチップが! おおおおお!ラッキー! エンディングではデジカメに残っていた彼らの「バカ騒ぎ」映像がてんこ盛り。 下品でおバカでどーしよーもないけど、男騒ぎで楽しそうだった。 血まみれになりながらペンチで歯を抜いたりとか。バカだ… 来週末にはデートの約束をした控えめで心優しい子持ちストリッパーと ステュがうまくいくといいなーと思ってしまうさりげない演出が心憎い。 やっぱり男の自尊心を損ねるような鬼のような女は、古今東西老若男女、 受け入れられ難いものですな! 世の淑女の皆々様、努々、ご亭主の操縦術を誤らないようお気をつけあそばせ。 △
トイ・ストーリー3 9/1(水)
大人になったアンディと、サヨナラする日が来た。 いつもなら吹替版など意地でも観ないのだが、トイ・ストーリーについては 前二作とも唐沢&所コンビで見ているので、馴染みのある吹替版で鑑賞。 17歳になったアンディがおもちゃで遊ぶ事はもうない。 けれどアンディを大好きなおもちゃたちは、何とか彼の関心を引こうと オモチャ箱の中で携帯電話を鳴らしてみたりと涙ぐましい努力をする。 大学進学のためにアンディが出て行けば、おもちゃの運命は屋根裏かゴミ。 ウッディだけを大学に連れて行くことにし、アンディはバズやジェシーなど 他のおもちゃを屋根裏部屋にしまおうとする。そこで彼らは静かに時を待ち、 いつの日かアンディに子供ができたら、もう一度遊んでもらえる日が来るさ… そんな夢が打ち砕かれたのは、ママがゴミと間違ってバズたちを 捨ててしまったから。ウッディがやっとのことで彼らを助け出したのに、 自暴自棄になった彼らはサニーサイド保育園に寄付される道を選ぶ。 ここでは大勢の子供たちがいくらでもおもちゃで遊んでくれる! ピンクの熊のロッツォの言葉を信じた仲間たちはここに残る事を選び、 ウッディはバズとも別れ、一人寂しく家路へと向かったのだった… 遊ばれなくなったおもちゃたちの想いがなんだかひしひしと伝わってきて、 自分は一体、子供の頃にあれだけ遊んだおもちゃたちと、いつ、どこで 別れてきたんだろう…とノスタルジーに襲われるような良作だった。 3作目ともなるとパワーが切れてガス欠になるのがオチだが、これはこれで 今度は「昔子供だった大人目線に十分耐えうる」大変優れた続編といえる。 まぁ正直トイ・ストーリーは1が公開された時分もちょっとバカにしてて、 実際見てみたらあまりにもいい作品だったので「スマンかった!」なのだが、 この3は仲間たちの友情もさることながら、アンディとの「別れ」がきちんと 描かれていて、昨今のぬる臭い日本のアニメは見習わないといけないと思う。 妹のモリーに見捨てられてしまったバービーがなかなかの活躍を見せた。 バービーと一目で恋に落ちるお調子者のケンもなかなか魅力的だったし、 トトロも出たし(すぺさるさんくすにもパヤオがクレジットされてた) ロッツォがいじけちゃった理由も決してわからなくはないんだよなぁ… 巻き込まれたビッグベビーもチャックルズも可哀想に。 でも何よりボニーがいい子でさぁ… ウッディが久々に遊んでもらえた事にとても喜んでいた気持ちが伝わってきた。 ボニーの家のおもちゃたちも皆いい子なんだよねぇ。人間でもそうだけどさ、 皆から愛された子や育ちのいい子にかなわないのはもう仕方がないよ。 見せ場は地獄のようなサニーサイド保育園に囚われた仲間たちをウッディが 救いに行く冒険ものなんだけど、初期化されちゃったバズが1の頃のような スペース・レンジャーに逆戻りしちゃってたり、スペイン語を話して踊る 情熱的なインターナショナル・バージョンになっちゃったりして楽しい。 んで、監視役のサルが怖ぇんだよサルがよー! 目玉がグリグリ動いて異常を見つけるとジャンジャカジャンカジャカ シンバルたたき鳴らしやがってよー。あれ、むっちゃこえーよ! ロッツォと共にごみ焼却所に送られてしまったウッディたちは、 助けてやったロッツォに裏切られ、ついに溶鉱炉へと落ちて行く。 覚悟を決め、皆で手をつなぎあい、見詰め合うシーンはぐっとくる… と思った瞬間、なんと巨大クレーンが彼らをつかんでレスキュー。 「命の恩人〜感謝〜永遠に〜」 というわけでかわいい3つ目のグリーンメンたちが助けてくれたのでした。 そして別れの日。 ウッディは屋根裏行きのダンボールに入ったバズたちと別れ、アンディと 一緒に大学に行く事になる。けれど彼は何かを決意し、アンディの眼を 盗んでメモを走り書きする。そのメモに何が書かれていたのかは劇中では 明らかにされないのだけど、アンディはそれを見てある事を決意する。 彼が向かった先には、おもちゃたちと一緒に、夢中になってゴッコ遊びに 興じるボニーがいた。かつての自分のように、おもちゃたちが大好きで、 大切にして、一緒に遊んであげている、ちょっと内気なその女の子に、 アンディが1人1人、大切な友達を紹介していくくだりはもう涙もの。 お転婆なジェシー、寡黙なブルズアイ、迫力のないレックス、変幻自在の スリンキー、愛し合ってるポテトヘッド夫妻、実は悪の親玉でもあるハム… そして最高にイカしてるスペースレンジャー、バズ・ライトイヤー。 もうじき大学生になるアンディは子供のようにボニーと一緒に遊び、 おもちゃたちとの最後の時間を過ごす。それは彼にとっても子供時代の 終わりを意味する。アンディは最後に箱の中にウッディがいた事に驚く。 既にウッディと顔見知り(?)でお気に入りのボニーが嬉しそうに手を出すと、 思わずアンディが渡さないという動作をしちゃうのがこれまた切なくてねぇ… 驚くボニーを見てアンディはハッとし、ウッディとも別れが来たことを悟る。 いつから一緒にいるかもわからないほど、昔からの大切な大切な友達。 だからこそ、アンディは大学にもウッディだけは連れて行こうと思っていた。 でもウッディは大学行きの荷物をこっそり抜け出し、仲間と共にいる事を選ぶ。 今でこそオタク文化が受け入れられて、大人がおもちゃを買う事は珍しくも なくなったけど、ガンプラで戦場ジオラマを精巧に創る人も、子供の特権の ゴッコ遊びをして遊んでるとは思えないわけで…ライダーベルトを買う人は いても、ブロック塀から飛び降りて悪役にチョップかましているなんて事は あまり考えられないわけで…やっぱり、おもちゃは遊ばれてナンボなんだろう。 去っていくアンディをまるで見送らせてくれるかのように、ボニーは おもちゃを玄関ポーチに並べる。ボニーはとても感受性が豊かで、 古株のおもちゃたちもすぐにウッディたちと仲良くなって日々、 ゴッコ遊びに興じている。ロッツォがいなくなったサニーサイドは 皆で交替してイモムシ組の相手をしながら、楽しい場所に生まれ変わった。 ロッツォはゴミ処理トラックのラジエーターグリルに貼り付けられてたけど… まぁ仲間もいるし、寂しくないよね!イチゴの匂いはしなくなりそうだけど。 いやぁ、いい映画だった。 アンディが思ったとおり優しいいい青年に育っていて、ウッディたちを あんなに大きくなってもなお大切に持っているだけでまず感動ものだよ。 だからこそエンディングのおもちゃたちの幸せそうな様子が心に沁みた。 ただ3Dの必要性があったのかどうかはイマイチよくわからんかった。 アバターなんかはそれでも「おお〜」と思うシーンがあったけど、 これは普通に見た方がよかったような気もするよ。300円プラスだし 併映の「ナイト&デイ」も動きがあって面白かった。 夜と昼が最初は互いを不審がり、やがてうらやましがり、理解しあって 夜明けと夕暮れを迎え、昼は夜に、夜は昼になるという「相互理解物」 だったけど、セリフがない分、コミカルな動きで見せて面白かったよ。 私もそうだけど、3歳4歳の頃の記憶が比較的しっかりしている人でも、 思い出のおもちゃを手に入れた時のことは覚えていても、どうやって 別れたかは覚えていない…という人が多いんじゃないだろうか。 私は10歳の時、1歳頃から持っていた犬のぬいぐるみをお気に入りのバッグに 入れて今も持っている。その時の私の行動は「(大きくなったので)この子を ずーっと抱っこしてあげられなくなったけど、この子と一緒に棺桶に入る」と 決意してのことだった。その頃は現実味もなく遠くにあった「死」が、今は その頃より随分近くなってきたので、そんな幼い頃の他愛もない願いくらいは いつの日かかなえてやろうかなと改めて思っているあんまいい大人になってあげてないしね △
タイタンの戦い 8/7(土)
ペルセウスがアンドロメダとくっつかないなんてあり得ないだろー! 神話捻じ曲げすぎ。なんでイオがこんなところで活躍するんだか… それにペガサスもメデューサの血で生まれるわけではなくてビックリ。 アンドロメダが白人だと思ったらペガサスが黒かった。意表突くなぁ… 場面が転換したと同時にいきなり半神半人がバレてて 「飛ばした?」と思って巻き戻してみたり。 なんで唐突に正体がばれたんだ…? だって自分も自分の正体を知らなかったのに。 物語はケフェウス王が慢心からオリンポスに戦いを挑んだ時代の物語。 ゼウスを初めオリンポスの神々は人々からの信仰によって不老不死を 得ていたのに、世には嘆きが満ち、神も滅びの道を歩みだしている。 母の遺体と共に漁師に拾われたペルセウスは成長し、ある日戦いに 巻き込まれてハデスの手で両親と幼い妹を失ってしまう。 失意の彼は兵士となり、クラーケンを倒す方法を探すことになる。 そんな彼…すなわち息子に、ゼウスは救いの手を差し伸べる。 グライアイの三姉妹の造形はきしょくて面白かったな。 メドゥーサは下半身がヘビなのでどっちかっつーとラミアみたい。 一緒に戦う仲間たちがことごとくやられちゃって可哀想だったよ。 ところでサソリのくだりとか、ジンとか必要だったんだろうか… それよりももっと神様たちを活躍させてくれたらよかったのに。 本当のペルセウスはアテナやヘルメスから随分助けてもらったはず。 なんでもゼウスたちオリンポス十二神が鎧を着ているのは、 聖闘士星矢へのリスペクトなんだそうで。 でもせっかくの神様たち、ほとんど出番がなかったんだよね。 ハデスはよく喋ってたけど、ポセイドンですらほとんど出番がない。 人を愛し、人の信仰心の復活を信じていたゼウスと違い、 かつて自分を騙したゼウスを地獄に追い落とさんがため、 人々を「恐怖」という強い感情で支配するというハデス。 人々は恐怖に怯え、怪しげな宗教勧誘まで始まる始末。 クラーケンに生贄に捧げられようとしたアンドロメダの前に立ちはだかる ペルセウス。しかしハデスは闇の使い魔を送ってその首を奪わせる。 ペガサスの空中戦はなかなか見ごたえがあったけど、「ヒックとドラゴン」 とどっちがどっちといわれたらあんまり変わらないかも(あっちも結構すごかったよ) 見事メデゥーサの首を見せてクラーケンを石にし、ハデスは冥界へ。 アンドロメダは「王が必要」と逆プロポーズをするものの、ペルセウスは お断りし、さらにはオリンポスに行く事も拒否。ゼウスはしょうがないと 死なないはずなのに死んじゃったイオを蘇らせ、2人は抱き合ってエンド。 リメイク前のタイタンの戦いって、何度も日曜洋画劇場でやったもんだけど、 犬の動きがカクカクし過ぎてて「ひでーなこれ」と思い、見なかったなぁ。 見ておけばよかった。もしかしたらそっちの方が面白いかもしれない。 △
アイアンマン2 7/31(土)
「私が…アイアンマンだ」 バラしとるー! いきなりの正体ばらしに吹いた。もうちょっとこらえきれんのか! いや〜、今年はシャーロック・ホームズでダウニーJr.を見たけど、 やっぱりこの人はこっち系でしょう。ヘラヘラして女好きでいい加減。 似合いすぎでしょう、アイアンマン。 今回はロシアから刺客イワン・ヴァンコが登場し、さらにライバルの 武器会社社長ハマー、さらにはアーク・リアクターの副作用によって 体を蝕まれていくなど、トニー・スタークに危機が迫りくる。 しかしイワン・ヴァンコのミッキー・ロークのやさぐれっぷりが よかったよー。格闘術にも長けながら、電脳戦にも強いという シベリア送りになった前科者の天才物理学者という陰のある 役どころを好演。不気味さ、クレバーさ、どれをとってもナイス。 しかしアイアン・スーツがえらい増えてたなー。 トニーはあれで世界の紛争を片っ端から止めているらしく、 実際に平和は保たれているようだけど…けれど1人のヒーローに 出来る事は限られ、その行動はどうしたって独断的で独善的。 政府はアイアン・アーマーを武器と見なし、引き渡すよう要請する。 前作では無敵を誇った(そしてそれ以上に中の人が丈夫過ぎの)アイアンマン だけど、イワンの開発した擬似リアクターと電磁ムチの前に苦戦を強いられ、 ギリギリのところで辛勝。自分の命と引き換えに手に入れたアイアンマンが 何者かに追いつかれ、なおかつ健康は蝕まれていくばかり…自暴自棄になった トニーはスーツを着たままハメを外し、親友のローズの怒りを買ってしまう。 そして出ましたウォーズマン…じゃなかった、ウォーマシーン。 赤と金でド派手なアイアンマンとは違い、いぶし銀的カラーリングの ウォーマシーンを着たローズはトニーに戦いを挑み、屋敷を崩壊させて スーツを軍へと持ち帰る。同じ頃、トニーの鼻を明かしたいハマーは イワンを救い出し、量産型のロボを作らせていた。いや、ハマーは人が 着るスーツをリクエストしたんだが、イワンはロボで十分だとの答え。 しかしこの量産ロボが結構格好いいのだ! 重火器を使用する時には足の部分にちゃんとストッパーが出るとか 凝ってるんだよね。ガシャガシャ重量感アリまくりで動くのもいいし。 父親との因縁話はちょっと無理やりくっつけた感じがしなくもない。 新型リアクターのヒントが博覧会会場に隠されていたとか懲りすぎ。 教える気ゼロじゃないか、パパ。 ラストはイワンに操られて暴走を始めたロボとウォーマシーンと、 NEWリアクターを動力源とするアイアンマンがバトルを繰り広げる。 操られていたローズのウォーマシーンを解除したのは謎の女スパイ ナタリー(ナターシャ)で、ヨハンソンのアクションも格好よかった。 最後は前にケンカでぶつけあったけど、今回はプラズマ友情パワーで勝利! そして自爆するロボたちを見て、客の無事を見届けているペッパーを 無事に救い出し、社長解任とプロポーズの言葉をキメてハッピーエンド… …とはならないのがこれまたアイアンマン。 トニーを見張っていたエージェントがメキシコに飛ばされて見たものは? というわけで、元々三部作だったんだねぇ、これ。 まぁ前作に引き続き、複雑で難しいテーマとか、ドロドロした人間ドラマなど 全くなくて、そんなに深く悩みもせず、事業は順調で金はあり余っており、 相変わらず彼の国では「ジャスティス=マネー」ということらしい。 でも気楽に見られる映画としてはやっぱりお奨め。 とりあえずバトルシーンは楽しいし、量産型もカッコいいし。 ちゃんと陸海空に海兵隊モデルもあって感心したよ。 △
劇場版銀魂 新訳紅桜篇 5/27(木)
「宇宙一バカな侍だこのヤロー!」 やべぇ、おもしろかったー!! とにかく評判がいいので、なんで?だってTVで見たじゃん…と思ったけど、 これがまたもう、予想以上に面白い!テンポがいい!音も画も迫力がある! 銀魂好きの私が帰ってきて真っ先にしたのがTV版を見返すことだった。 そしたら紅桜篇の1話目では埼玉県全域に大雨洪水警報、2話目では 東京都西部・多摩南部に大雨洪水警報が出てたよ。梅雨だったねぇ… そして修羅が流れるとやはりついつい歌ってしまう。ちなみに3期OPは 「ぎーんいろのそら 果ーてない♪」ってヤツ。覚えてる?私は忘れてたスマン… TV版もねぇ…あの頃は2年目に入って、かーなーり作画が息切れしてて、 (だから劇場版も結構作画は乱れてたよね)、紅桜の2話目(傘の置き忘れ) なんかほとんど作画がカタカナばっかりだった。だから劇場版ではさすがに お妙さんのシーンなどまるまる新作画だった。ちなみにお妙さんの見送り シーンは全部原作準拠に戻ってたなー。厳しいのはわかってたんだけど、 スタッフは気合が入ってて、演出クォリティは素晴らしかったもんだよ。 でも劇場版は動きや迫力や、ショボかった作画をリテイクして、さらに よくなっていた。地球防衛軍の店主(懐かし〜な!銭風器だっけ?)が 語った紅桜の噂を語るのが沖田になってて(やっぱ懐いてるからか!?) 鉄也に事の次第を説明したり、ヅラの一党に事情を説明する新八のシーンが ことごとく削られていたのだとわかって笑ってしまった。気の毒に、新八… あ、けど新八の最大の見せ場である似蔵の右腕ぶった斬りがモノクロじゃなく カラーだった!これが私的確認場所だったんだけど、おっ、色ついてる!と 思ったし、この橋の下の決闘シーンはほぼリテイクされてて格好よかった! ナニゲに2007年は硬さの残っていた杉田も、「杉田=銀さん」がガチの今は 銀さん以外の何者でもない滑らかさでよかった!うめき声まで銀さんだった! TV版でとてもよかった演出といえば、紅桜編が始まる前の「闇に飛ぶ蛾は 灯りを求めて集う…」という似蔵のモノローグや、銀さんと戦った時の 「堕落した侍は滅びるがいい!」という勝利宣言だったけど、それらは 残念ながら全部カット。映画の一連の流れを切っちゃうからかなぁ… また、原作にもある、親父の思いを継げず、けれど結局妹という家族を 見捨てることができなかった鉄也の「職人の一念は何かを宿す」という 新八への言葉もカット。ただこれは、空知ってプロットをアイディアの 赴くままにアレンジしていくタイプだと思うから、当初の予定とラストが 変わった可能性があり、ちょっと浮いてるシーンっちゃシーンなんだよね。 だからなくてもいいかも。おかげで新八は出番削られちゃったけどさ。 あ、あと「この街には守るべきものが多過ぎる」と回想するヅラのシーンが なくなってしまっていた。ヅラの野郎、ドサクサに紛れてちゃっかり幾松を 思い出してたのにな。最近出番がないから「誰?」と思われるからかしら。 反面、山ちゃんボイスがついた松陽先生や、銀さんとヅラ、高杉が塾で初めて 顔を合わせた(であろう)シーンや、紅桜篇から3年経っている(原作からは 4年)だけあって新たな設定が生かされ、物語に奥行きも加わった感じだった。 似蔵に寄生した紅桜がボコボコと腕から伸びてくるキモい動きなんか最高。 戦艦をぶった切りまくる紅桜はTVで見ても豪快だったが、劇場版はさらに 上を行く派手さだった。相変わらずラブリーな木馬(屁蛾煤のはずなのに なぜかホワイトベースだし)に乗って縦横無尽に暴れまわる似蔵もすげぇ。 紅桜篇そのものが非常に完成度の高い話なので、本当に面白かった。 CMやら一週ごとにぶった切られることなく、大スクリーンで、いい音響で 見られるというのは幸せだった。DOESの楽曲も、ロックテイストでありながら 和風の辛口メロディーラインが耳につきがちだけど、私、実はこのグループは ドラムスが随分効いてると思うんだよね。だから劇場の音響設備ではそれこそ ドラムスがバリバリに生きてて、スピード感と重量感を思う存分楽しめたよ。 「バクチダンサー」の初回限定版って絶対買いだと思うよ。銀魂のデジパックに 5期OPの「曇天」と5期ED「修羅」も入ってんでしょ?これは買いでしょ〜 銀魂は一つの長編が終わるといつもEDフルバージョン+物語のハイライトを 流すのが定番だったけど、うちのアナログテレビでは画面が小さく、なかなか 哀しい思いをしていたので、スクリーンで大きく見られるのは幸せであった。 TV版・原作共に、「俺らの青春はもう戻らない」という苦い余韻を残して 終わったのに対し、劇場版はオマケ的映像も一杯。出たけど出なかった方が よかったかもと思わせた真選組や、春雨の一員ってことで顔出しした神威も ちらちらと。まぁ劇場版第二弾があるなら恐らく「真選組動乱編」(そこに ミツバ編を絡めるかも)だろうし、第三弾があるなら夜王編だろうからねぇ。 冒頭とお尻についてた本当のオマケも銀魂らしいおふざけぶり。 万事屋の画にBGだけで進める銀魂ではおなじみの超手抜きぶりは ともかく、ワーさんとナーさん兄弟を3回も流すんじゃないよ!! 最後は銀魂オールスター総登場で、真選組は次の劇場版は俺たちだと 言い張り、龍馬の年だからと乱入してきた辰馬は、年賀状話で銀さんに 言われたように「おめーはOPとEDにだけ出てりゃいいんだよ!」と 言い捨てられていた(私は銀さんと辰馬のゆる〜い友情も好きなのだ) さらにお登勢さんとキャサリンは今年はちゃっかり「ハトキャチ」狙い。 (ほら〜、やっぱり!よりぬき銀魂さんでも伝説の「タマキュア」再び!) 九ちゃんはともかく、東城の変態っぷりが加速してて爆笑。遊佐さんよ… マダオ、ハタ皇子、他にも西郷やら日輪やらさっちゃんやらが出てきて、 そんなグッダグダの銀魂に、ついにワーさんとナーさんのダメ出しが! ってかブリーチ(本物)とナルト(本物)て!!ヤツら侍ちゃうから!! ホントに面白かったな。 大声キャラの鉄也兄さんがTV版より抑え目だったり、高杉の狂気的な怖さが さらに研ぎ澄まされていたり、銀さんが滑らかだったり、また子もかなり 自由にやってたり、再録の声優さんたちもそれぞれ演技を工夫してたね。 鉄也と鉄子の別れのシーンはジーンと来てしまったよ。自分を拾ってくれた 高杉のかがり火に憧れて憧れて、ついに身を焼いてしまった似蔵の最期もね。 そして最後まで友を説得しようとするヅラと、ヅラや銀さん以上に2人を 友と見ながら敵とみなし、惹かれながらも憎み続ける高杉の理解しがたい 複雑さがよかった。道を教えてくれた松陽先生が彼らの中でいかに大きな 存在であり、それを失ったことで狂ってしまったかも、連載当初よりは 少しずつ見えてきているので感慨深い。先生に救われた銀さんが、彼を 殺した世界を一番憎んでいるというのも今はなんとなくわかる気がする。 やっぱり銀魂はいいな〜。こんなに気楽に見られて、燃えて、泣けて 何より「面白かった〜!」と大声で言いたくなる作品はそうはないよ。 まさか「キッズ・リターン」で締めるとは思わずビビった(つい最近 ブログネタにしたばかりだったので)けど、そうだ、まだまだこれから! あー、ホントに面白かった♡ そういえばオマケにもらったフィルムは神楽がツバを吐くシーン?だった。 おいおい銀魂さんよぉ…やってくれるぜ。 △
銀魂 2007/5/31(木)〜6/21(木)
というわけで、劇場版視聴記念として、2007年5月31日から6月21日まで 4週間にわたってTV版をリアルタイム視聴した当時のレビューをここに再掲。 2007年のこの時期は電王にノリノリ、精霊の守り人、銀魂は紅桜、おお振り、DTB、 地球へ…、ヒロイックエイジ、グレンラガンなど結構な充実ラインナップだった。 つまらないものではロミジュリやぼくらの…「GONZOクォリティ」もまだまだ健在だった。 「銀魂」 2007/5/31(木)-第58話 売店ではやっぱコロッケパンが一番人気- 「銀魂を見るときは、部屋を明るくしてはなれて見てください」 何だこのいつもと違うマジモードは…って、やっぱりお待ちかねって事ですね。 光を求める忌まわしい蛾、似蔵のナレ、4人の出陣。 暗いシルエットの中で銀魂随一のシリアスで禍々しい男が禍々しく笑う… 何者かに成敗されてしまったヅラの行方を捜す存在が息苦しいエリザベス。 エリザベスの中の偉いおっさんにすごまれて怯える新八哀れそりゃ怖いよな… 鉄矢の人の話の聞かなさっぷりが笑えた。 原作もうるさかったが声が入ると余計にうるさいわ。 兄妹からの依頼は盗まれた妖刀紅桜を探して欲しいというものだった。 「フザけんなよ…ヅラがテメーみたいな人殺しに負けるワケねーだろ!」 おニューの刀に浮かれてついつい斬っちまった…忌々しい似蔵との再会した 銀さんのフツフツと滾る怒りがカッコええ。なんだかんだであのバカの事も 信頼してるんだね。ヅラ毛を切られて、あの子今頃頭が寒いって泣いてるわ… ってかヅラが短髪だと遠目には土方なんだか高杉なんだかわからんから困る。 今回作画にクセがあるかなと思ったけど、アクションはまずまずかなぁ… でも銀さんが橋から落ちてからの似蔵の怒涛の攻撃はよかったよ。 特に洞爺湖が折られてわき腹を容赦なく貫かれた一連のテンションは高かった! しかしそれ以上に新八の腕切りをそのまんまやったのはスゴかった! 「よし、行くか!」 勇ましい神楽は乗り込んだ船でいきなりのボス戦突入。 振り返った男は、その眼に狂気を宿し、1人修羅を往く者だった… そしてそのままEDへなだれ込む!そうだ、これを待ってたんだよな。 ってか2ndシーズンもホントに一年やるんだなぁ。 DVD全13巻だって。コンビ人気投票で表紙を飾るんだって。 イヤだなぁ、そんなとこまで腐女子に媚びなくていいってば! 「銀魂」 2007/6/7(木)-第59話 傘の置き忘れに注意- 「止めるって何?息の根?」 さすがというかギャグとシリアスの配分が絶妙だった。 「フェミニストだって言ってんじゃん、ただの子供好きの」 「だからそれただのロリコンじゃないッスか」 ヅラを探して傷つきながらも奥へ進む神楽の立ち回りはトリッキーで面白くて それでいてちょっとホロリ…ややさっちゃんとかぶるけど、また子のパンツの シミ談義や武市のロリコン≠フェミなど、銀魂らしいこねくりまわした会話の 面白さももはやこなれたものだったし、今回もデキがよかったなぁ。 鍛冶屋バカの鉄矢が開発したのはカラクリを駆使した対戦艦用兵器・紅桜。 そして電魄を搭載し、戦うたびに学習していく知能を持ったこの凶悪な兵器で この国を転覆させようと目論むのは銀さんとヅラの元盟友・高杉晋助だった。 でも似蔵が桂や銀さんを狙ったのは、また子曰く高杉の心を逆なでするような 独断専行だったらしい。似蔵は破壊という光を湛える高杉の隣を望んでいる。 けれど高杉が見ているものはいつだって眩く懐かしい過去とあいつらばかり… ジェラシー・ストームがヅラの髪を切り、銀さんの腹に綺麗な風穴を空けた。 「汚いから止めなさい」 そんなシリアスに混じって神楽とまた子がツバだのタンだの飛ばしあったり、 お妙の介護虐待にあう銀さんなど息抜きポイントもちゃんと用意されてる。 私が昔から銀魂を愛してやまないのはこの微妙な匙加減が実にうまいから。 新八とエリザベスはタッグを組んで高杉の陣地へ。リズ砲きたー! そして銀さんを糧にしようとした兄を救って欲しいと頼みに来た鉄子に 帰れと冷たく言った銀さんの隠された本心、そしてさらに全てを理解してた お妙さんの優しさにはやられたなぁ…今週はオカン・ウィークか(;_;) 銀さんを止められるのは妙しかいないとはいえ看病を託すのは新八らしくない。 そしてうるさい神楽が家にいない、ヅラが紅桜と殺りあった、絡んでいるのが 高杉である事…どれをとってもおちおち寝てなんかいられるはずがない。 雨の中、妙のお気に入りの傘をさして、満身創痍の銀さんは発つ。 めちゃくちゃ格好いいよ銀さん!!! それにしても神楽の傷が治ってるとか白い肌…とああやってパーツをアップに されるとやたらとエロい。茶風林がネチこくイヤらしいのも手伝ってエロい。 2期以降のOPもだけど挿入歌も吉田拓郎風ってのは監督の趣味?合ってるけど。 「銀魂」 2007/6/14(木)-第60話 陽はまた昇る- 「二度と俺たちを同志なんて呼び方すんじゃねぇ」 そんな甘っちょろいもんじゃねぇんだよ俺たちは… コヤスはやっぱこういう演技させると最高だと思うよ。 危なすぎる狂気を秘めながらもヅラや銀さんへの想いを断ち切れない高杉。 同志なんてと言いながら「俺たち」を2回も使うあたりがなんだかなぁ… このほんのわずか滲み出る悲哀感がちゃんと出せてるのがすごいよコヤスは。 それにしても攘夷党の艦をぶった斬る紅桜がすげぇ! 横撫でにしたり突き抜けていったりとまさに刀一本で戦艦を落としていく。 いや〜、空知に足りない画力をサンライズならではのバトル描写で見せたね。 でも似蔵が竜じゃなくてモロに木馬に乗ってたので吹いた。アホかー! 「予想が外れましたね…ま、砲弾も外れましたからヨシとしましょう」 やはり武市の緊張感ゼロ感が茶風林であますところなく再現されてて笑える。 ピンチの神楽を助けたのは新八、しかしさらに大ピンチの二人を助けたのは エリザベス…ならぬ生きていたヅラだった!コラてめぇなんだその頭は! 山崎か!?そうだよな、紅桜編のシメは山崎の受難だもんな! エリザベスの後ろに高杉が立ってるあの構図は何気ないけど好きだ。 自縛霊みたいで気持ち悪い。振り向きざまに遠慮なく斬るヅラもいい。 似蔵から、ヅラから2人の命を救ったのは、腹に抱いていた一冊の本だった… ってかここで高杉が結構あっけなく青天になったので、原作で読んだ時も ビックリした。ヅラの太刀筋は見えない眼の死角からじゃなかったよな? それとも病に冒されてるってオチかな。高杉の最期は病死なのかもね。 しかしカッコよく感動的なシーンでもやすやすとはキメさせないのが銀魂。 神楽にスープレックスをキメられ、新八に丸太クラッシュを食らい、最後は ジャイアント・スイング。ぶん回される石田彰が「おぅえ」「おぼぉ」と ヤケクソみたいな奇声を上げ続けるのがもうおかしくてしょうがない。 おっぱいがミサイルのかーちゃん1000人分くらいすごい紅桜を止めるため、 銀さんが手にしたのは鍔の部分がウン…じゃなくてトグロを巻いた龍の 鉄子が打った真剣だった。陽の光を浴び、のそりと歩いてくる銀さん。 ここにいる誰よりも異質な2人…その差金をした張本人は… 「宇宙一バカなサムライだこのヤロー」 「銀魂」 2007/6/21(木)-第61話 闇夜の虫は光に集う- 「ただめんどくせーんじゃねぇか!」 考える余裕がないとか言って切り捨てるのは背負うのがめんどくさいだけ。 全てを捨ててそれに打ち込むなんてカッコいい事言ったって、人間やることは ちゃっかりやってるし、実際毎日飯食ってクソして屁こいて生きてんだもんな。 EDのサビと戦う高杉たちの絵がOP代わりの紅桜編最終章。 ここまで気合が入ったらいくだろうと思われるところまで持ってってくれた! モブシーンの作画はまぁアレだったけど、それもまたご愛嬌。銀魂だしね。 銀さんVS似蔵の剣戟シーンは素晴らしかった。 紙一重で似蔵の太刀筋をかわして懐に飛び込んでは退く銀さんがカッコよ過ぎ。 絶対に勝てるはずのない相手に徐々にリミッターを外していく白夜叉… 進化するスピードは紅桜以上というハッタリのきいた解説もいいねぇ。 そして銀さん同様素晴らしかったのが神楽の動きだったね。 いやはや空中から着地即足払いとかすっげーカッコよかったわ。さすが夜兎。 久々にエアマスター21話を見て「格闘シーンかくや」と感動したばかりなので、 一連の動きには感心したよ。サンライズはそろそろ格闘物をやればいいよ。 「刀は斬る…刀匠は打つ…侍は………なんだろうな…」 このタメの絶妙さ!キチガイのくせに不思議なほど清廉で純真な喋り方。 心には白さもあるのに、それを一瞬で塗り替えてみせる真っ黒な邪悪さ。 こんな狂気を秘めた高杉という男は間違いなくコヤスにしかできないな。 そしてそれに対抗するどこまでも真面目で真摯な男も石田以外あるまいて。 「最後の最後で…おまえを捨てられなんだか…」 刀とは何かを知り、何のために刀を打つのかを常に考えていた偉大な父に 憧れつつも、いつしか刀を打つことそのものが目的になってしまった鉄也。 「人を護る刀」を打ちたいと願って打った鉄子の刀は、自らも折れようとも 人殺しだけが目的の刀にはさせたくないという思いで鉄也が打った凶刃を折る。 人ならざる者と化した似蔵に引導を渡した銀さんがカッコよすぎる。 徐々に輝きを増した鈍色の銀は、闇に慣れた蛾には眩しすぎていけねぇや… 「聞こえないよ…いつもみたいに大きな声で言ってくれないと聞こえないよ」 大声設定がすごく生きてくるのも音のあるアニメならではだな。 最後は捨て切れなかった自分を護って死んだ兄を抱えて泣く鉄子… でも兄の死体は置き去りなんだとか言っちゃダメだよね。 この世界に道を示してくれた松陽先生を奪い取ったのもこの世界。 高杉には訪れる未来を構築する気も新しい世界のヴィジョンもない。 ただ、すべてが許せない…歩くのは全部壊して消し去りたいと願う修羅の道。 ヅラもまた怒りの源は同じ。けれど、俺たち以上にこの世界を憎んでいる 銀時がああして踏ん張って生きているのに、なぜそれを安易に壊せようか。 松下村塾っぽい寺子屋でのチビヅラが麗しすぎる。そしてボケっとしながら 聞いているチビ高杉、聞くどころか鼻ちょうちんふくらまして寝こけてるまだ 下の毛も生えてなさそうな銀さん。3人がそこまで世界を憎む何があったのか。 ヅラが思い浮かべた「守りたいものたち」が泣かせるじゃないか。 惜しむらくは今回助けに来た攘夷党の面々が背景としてでもいなかった事かな。 けれどヅラの言葉は高杉には届かない。高杉は二人の首を土産に、宇宙海賊 春雨と手を組もうと考えていた…ニヤリと笑う高杉の空虚な眼が素晴らしい。 ヅラと銀さん再会。なんだその頭…おまえこそなんだその血まみれは。 しんがりは務める。新八や神楽を逃がし、「修羅」をバックに、背中を 預けあっての大立ち回り。情けない事に俺には国どころか友1人変えられぬ… ヅラは言う。おまえは変わってくれるな。「おまえを斬るのは、骨がいる」 そして銀さんも約束する。おまえが変わったら、俺が必ずたたっ斬ってやる。 腐っててもどうしようもなくても、この国には守りたいものが出来すぎた。 だから高杉、次に会った時は 「全力でキサマをぶった斬る!!!」 多分銀さんもあの本は捨ててないんだろうなぁ… きっとホントにラーメンのシミはついてるんだろうけどね。 EDがOPに変更。アイキャッチもいつもと違ったし、銀魂屈指の人気話だけに 監督もスタッフも気合入ってるよなぁ。何しろセカンドシーズンスタートで あのEDだもん、やる気だなというのは見えたけどホントに見事にやってくれた。 そして次回は原作でどシリアスな紅桜編をギャグで締めてくれた山崎が登場。 紅桜では出番のなかった土方を見てなんだかやけにホッとした事を覚えてるよ。 高杉が出るだけで緊張してたんだなーと思ったもんそんなん土方は不本意だろうが …というわけでTV版も毎週本当に楽しんでいた様子。 TV版を録画している人、DVDを持っている人は見比べるのも一興ッスよ。 △
アリス・イン・ワンダーランド 5/19(水)
この春話題の映画。 わざわざ「アバター」を3Dで観に行ったものの、「眼鏡がウザい」 「奥行きに興味はない」と思い、わざわざ3Dを観に行く必要はないと 悟ったので、今回は通常版の2Dで視聴した。 まず、ティム・バートンが作り出したアリスワールドは、彼らしく いつもどおりカラフルでにぎやかで、まさに「おとぎの国」だった。 白ウサギ、チェシャ猫、青虫、三月ウサギ…トウィードルの双子など、 CGやクリーチャーで表現されるキャラクターたちは皆味があって可愛い。 謎の生物「バンダースナッチ」は、ほ〜、こうなったか、という感じ。 きちがい帽子屋として出演したジョニー・デップは面影の片鱗もないけど、 コミカルかつマッドな演技で「世界を救う」はずのアリスを迎え入れる。 そのアリスはかつて「不思議の国」に迷い込んでから13年が過ぎ、19歳に なっていた。少し変わり者で素朴な彼女は、愛してもいない貴族からの プロポーズを受けて安穏と暮らすという他に選びようのない道を前に 逃げ出し、再び不思議の国への入り口を開いてしまったのだった… う〜ん… まずこの物語、大分アレンジされているとはいえ、「不思議の国のアリス」と 「鏡の国のアリス」の両方がブレンドされているので、「不思議の国」しか 読んでない人にはとっつきにくいところがあるかも…「ハートの女王」と 「赤の女王」が一緒になっていたり、初っ端が「不思議」風だったり… あ、そういえばハンプティ・ダンプティって出てたのかしらん? 物語そのものは、アリスが、独裁者であり何かといえば「首を刎ねよ!」と 叫ぶ赤の女王が飼っているジャバウォックを倒す騎士になる、というもの。 紆余曲折を経て、白の女王、帽子屋たちの助けを借りてジャバウォックの 首を刎ねたアリスは「不思議の国」の平和を取り戻し、元いた世界へと 帰っていく。ナンセンスな「不思議の国」で成長したアリスの選択は… という、「アリスの成長物語」として完結するのがこの「アリス・イン・ ワンダーランド」である。アリスは少女と大人の合間の微妙な美しさを 残したミア・ワシコウスカ。シーンごとに服装が変わってコスプレの 楽しみも味わえるし、何より綺麗な女の子は見ていて非常に楽しい。 白の女王は「プリティ・プリンセス」で主演だったアン・ハサウェイだが、 この女王様の不思議ちゃんぶりはなかなか楽しく、キレ者なんだかただの 変なオンナなんだか…この女王様を主人公にナンセンスな鏡の国の短編が あったら楽しいかも。そのさらに上を行くのが赤の女王を演じたヘレナ・ ボナム・カーター。その特殊メイクが顔のでかい大竹しのぶにしか見えん。 大竹しのぶVS叶美香のはた迷惑な戦いに巻き込まれたアリスは、結局 結婚を拒否。志半ばで亡くなった父の後を継いで実業家になる道を選び取る。 う〜ん…面白かったかと聞かれてもあまり印象に残らなかった映画だった、 としか言いようがない。映像美はバートン風味なんだが、「チャーリー」 のようなニヤリとするような仕込み毒もほとんど見られなかったし、 物語そのものも「ふ〜ん…」という感じで特に感動するわけでもない。 「きれいなバートン映画」としか言いようがなく、レビューにも困る。 とりあえず追加料金を出してまで3D版を見なくてよかった。 △
第9地区 4/21(水)
これでしょ!! 明らかに今年のアカデミーはこれでしょ!! いや、対抗馬が重厚な人間ドラマや、恋愛ものが苦手な私にすら何かを 感じさせた「イングリッシュ・ペイシェント」のような恋愛映画ならば いざ知らず、対抗馬が「アバター」であり、「ハートロッカー」という 条件ならば、間違いなくこれがアカデミー獲っていいと思うよ。 そもそもこれは私だけかもしれないけど、作品のコンセプトを聞き、 登場人物を聞いただけで物語を想像したら、恐らくかなり違うと思う。 少なくとも私はこの作品を見たいと思った時以来、想像した物語は 2、3回変動したのだけれど、それらを全てにおいて覆す作品だった。 アバターやハートロッカーにすら比ぶべくもないこの低予算映画は、 ドキュメンタリーのような形態で始まる。舞台は今年のW杯開催地 南アフリカのヨハネスブルグ。ちなみに私も昨年行ってきた国だ。 20年前に突然飛来し、ヨハネスブルグ上空で完全に停止した巨大宇宙船は、 世界中の関心を集めた。中には飢えて衰弱した宇宙人が数十万人存在し、 人類は初めて出会った彼ら地球外生命体を「人道的立場から」保護し、 地球上で暮らすことを許したのだ。しかし甲殻類に似た彼らは人とは あまりにもかけ離れており、形状は同じなのに肌が白いか黒いかだけで ギャーギャー喧嘩する人類に彼らを受け入れることができるはずがない。 そもそも彼らとは文明レベルが違い、言語体系も習慣も全く違うため、 「理解しあおうとする努力」がほとんど描かれない。人類は彼らを その外見とゴミを漁る行動を繰り返す事から侮蔑をこめて「エビ」と 呼び(エビ好きの日本人としては憤りを隠せないネーミングである) 彼ら自身もたびたび彼らより脆弱な肉体を持つ人類に危害を加え、 鼻つまみ者のナイジェリア人ゲリラと怪しげな取引をしては猫缶を 貪り食う。そして繁殖し、卵を産んで増えに増えたり今は180万人。 そんな彼らが住むスラム地区を「第9地区」と呼ぶ。 悪名高きヨハネスブルグですら(南アに行った経験があれば、誰もが 「試合が終わった帰り道がマジで危なそう…」と思っていると思うが) 彼らエイリアンによる被害に辟易し、住民が安全を求めてデモを行う始末。 そこで南ア政府はついに彼らを新たな居住区へと強制移住させ、 今まで以上に武力による監視を行って人類から隔離させようとする。 面白いのはそれを行うのが政府ではなく南ア随一の武器製造会社であり、 その会社に勤めるしがないサラリーマンがこの映画の主人公であること。 ここまであらすじを聞いたら、ほとんどの人は「エイリアンと人類の 出会いモノ」だと思うと思う。「強制移住」と聞いて文化や文明の 違いをグローバルではなくユニバーサルに描くのだろうかと思った 人もいるかもしれない。それとも異文化同士の衝突によるど派手な ドンパチものと思うかもしれない。ある意味それらは正しいと言える。 しかし間違いだ。 前半は先に言ったように「巨大宇宙船がやってきて、エイリアンが 地球に降りてきた」事態について、様々な人へのインタビューを交え ドキュメンタリータッチで進むのだが、見終わってから思い返すと、 インテリぶった連中は真実を知ろうともせず机上で研究した奇麗事しか 言ってないし、ヴィカスに関することについては多くの人が捏造された 情報に踊らされてMNUが何をしているのかなど明かされることはない。 そしてヴィカスがエビたちに移住の通告をしに行くシーンが面白おかしく 流される。エビの扱いに慣れたヴィカスは荒くれ者の「傭兵」と呼ばれる 実働部隊の武力をバックに、エビたちに立ち退きを伝えていく。時には 違法で産み付けられた卵に火を放って、プチプチと音を立てて燃える それを指し、「中絶だ」とあざ笑う。武器も持たない彼らを私兵が 小突き、蹴り倒し、事情も聞かずに撃ち殺してもヴィカスは特に何も 反応しないし止めない。ヴィカスは作品内で最も平均的な人間なのだ。 だからこの映画にヒーローはいない。 ヴィカスは人間の汚い部分を見せながら、フツーに仕事をしているだけだ。 けれど我々だって目の前に突然彼ら「エビ」が現れ、時に人間の腕をむしり、 現金や食料を強奪し、街中で悪臭を振りまいたらどうだろうと想像したら 彼らを責められるだろうか。ヴィカスは「異形の者」を本能的に恐れる 人間をありのままに映し出した鏡だ。強力な武力に守られ、楽しそうに 彼らを侮辱し、彼らを傷つけ、彼らを騙して任務を遂行しているのだ。 そんな彼の人生に異変が起きる。 ある一軒のエビの家は不思議な化学実験室のようになっていた。 そこで誤って黒い液体を浴びてしまったヴィカスは、徐々に体に不調をきたし、 ついには怪我をした左腕がエビのようにグロテスクに変形してしまったのだ。 後でもところどころ出てくるのだが、ドキュメンタリー手法はとりあえず ここまでで、これから先は人類の暗黒面がクローズ・アップされていく。 彼は人権を完璧に無視されて、会社によって数々の人体実験を施される。 彼が連れて行かれたのは、拉致されたエビたちを徹底的に切り刻んだり 「人体実験」を施したりする、残酷で血なまぐさい闇のラボだった。 彼らエビの武器はエビが使うと強力だが、彼ら以外の人類には扱えない オーバー・テクノロジーなのだ。ところが彼らの体に変化しつつある ヴィカスは武器を扱うことが出来る。そのメカニズムを解明すれば エビの強力な武器を我が物に出来るのだ…薄ら寒いこんな欲望により、 ヴィカスは引きたくもない引金を引かされる。拒否すれば電気ショックで 反射によって引かされる。そしてついには豚の死骸ではなく何も知らない エビが標的にされる日が来る。さらに彼自身を内臓の一片まで切り刻んで 調べたいと嬉々として話し合う研究者という名の屠殺者と幹部たち… 「意思に反し、意思とは逆の事を無理やり強制される」ことほど精神的に きついことはない。その葛藤に苦しむより狂ってしまう方がマシだろう。 ヴィカスの「やめてくれ!アイツを撃たせるな、豚を撃つから!アイツは 何もしてないじゃないか」という言葉は、望まないことをさせられている 彼に人間的な良心が残っている証拠だから、キリキリと胸が痛んだよ。 そんな事をする連中についに自分も殺されようとしたその時、 ヴィカスはエビの腕力で研究員をなぎ倒し、脱出を図る。 まぁね、あんなに武器を携帯しまくった私兵を持ってる企業の隠しラボからの 脱走なのに、空手のヴィカスがあっけなく成功するのはあまりに簡単すぎる。 そんな風に無理やりな展開や荒くて雑な部分も確かにあるんだけど、でもいい。 何しろ話のテンポがよく、何より物語の先を知りたいので構ってるヒマはない。 逃亡したヴィカスは、黒い液体を持っていたエビ(彼は射殺されてしまう)と 共にいた子連れのエビ「クリストファー」の家に逃げ込む。クリストファーは 成り行きで匿うことになったヴィカスに、20年かかって集めた燃料があれば この「司令船」を母船に戻し、ここから飛び立てる事を伝える。なぜなら その燃料となる黒い液体を持ち去った張本人がヴィカスであり、ヴィカスも その液体を我が身に浴びたことで感染し、エビへと変貌しつつあったからだ。 ここまできて何だが、もうホントにクズしか出てこないからね、この映画。 ヴィカスだってそうだからね。ちょっとは良心や常識が残っているにしても、 自分勝手だしわがままだし、クリストファーの「力」は頼っても、彼の人格を 尊重し、尊敬しているわけじゃない。自分の利益のためなら現金で調子がいい。 でもそれが「ダメダメ!」と思うこと自体が、自分の中にもヴィカスと同じ 小市民的で、自己中心的で、差別的で、他者を見下すことで安寧を得るような 恥ずかしくて情けなくてイヤ〜な部分があるからこそだと見せつけられるのが 一番辛い。彼らエビを見て即、「あなたを助ける」と言い切れるか。う〜ん… まずムリだろ。偽善ぶらずに言う。手は下さないけど傍観すると思う、絶対。 クリストファーはどうやら研究者がエビを「働き蜂のようなもので、彼らを 統括していた司令官は死んだのだろう」と推測していた「司令塔」サイドに いるらしい。だから思慮深く知識があり、人類についても多少の理解はある。 それゆえにヴィカスと共に忍び込んだラボで、ぐちゃぐちゃにされた 同胞たちの亡骸を見て絶句し、銃弾の雨の中で動きが止まってしまう。 人類のとてつもない暗黒部分を見せられてこっちも絶句してしまうが、 恐らく「アバター」でもやっていたはずなのだ。彼らの身体構造が 炭素物質でできていて非常に堅くて頑丈だなんて言ってたんだから… ヴィカスの力を狙う傭兵、ナイジェリア人どもに囲まれ、クリストファーは 指令船を母船に戻す準備を始める。同胞たちの姿を見た以上、一刻も早く 母船に戻って仲間を救出しなければ…母星に戻って応援を呼び、戻ってから ヴィカスの腕を治療するには3年の月日がかかる…というプランを聞いた ヴィカス、クリストファーをぶん殴って乗っ取るからね、指令船を。 クリストファーが殺人狂の大佐の前に残されては、殺されたらどうすんだと そればっかり気になり、坊やにウソをつくヴィカスにはひたすら心の中で アホー!バカー!クソヤロー!おまえマジサイテーだ!と罵倒を浴びせる。 しかもこの映画、お約束といえばお約束なのだが、何しろ常にヘトヘトに なって逃げ惑ってるから何かが失敗するたびに「またか」というこちらへの 精神的ダメージも結構デカい。司令船はミサイルで撃ち落とされてしまい、 ヴィカスはついに捕らえられる。しかしそこに現れたのは正義の味方… などではもちろんなく、ナイジェリア人。まさしく前門の虎、後門の狼! ナイジェリア人に捕らえられ、その力を得るために食されようとした瞬間、 エビが置いていった巨大兵器が起動する。それは傷つけられようとした 「同胞」を守ろうとするエビたち独自のプログラムだったようだ。 そのおかげで辛くもナイジェリア人から逃れたヴィカスは「強化鎧」を着て 意気揚々と逃亡を企てる。あろうことか「そのエビは好きにしていいぞ」と 言い放って。もーホント、最っ低!応援してやった事もあったけど最っっ低! ところがねぇ…クソヤローだと思ったヴィカスが、20年ぶりに動き出した 母船について口を割らないために殺されそうになったクリストファーを 助けに戻るんだよねぇ…前言撤回。ヴィカスはクリストファーを坊やの元、 すなわち司令船に送り届けようと盾となって走り始める。容赦ない攻撃に 何度も耐え、同胞である人類を殺し、クリストファーを守るヴィカス。 人間のダメダメな面ばかり見せられてきてこの展開はズル過ぎるだろ。 クリストファーが乗る司令船が母船に向かった瞬間、大佐がRPGを放つ。 ああ、もうダメだと思った瞬間、既に動けないヴィカスの鎧が弾丸を バシッと掴んだシーンでは震えがきたよ。俺が盾になってやる。俺を 無駄死にさせるなよ…そう言ってクリストファーを行かせたヴィカス。 必ず治してやる…3年待っていろと言い残して去ったクリストファー。 このシーンだけを切り取れば宇宙人モノのただの陳腐な物語に見えるが、 これまでのこれでもか!というダークな展開があってこそ生きるのだ。 大佐との最終対決、ヴィカスはボロボロになったコクピットから 放り出され、いよいよこれで本当の最期かと思われたその瞬間…! 物語は再びドキュメンタリータッチに戻り、その後の経緯が語られる。 母船は去り、その後何の変化もない。クリストファーは母星に戻って 救助隊を連れ帰るのか、それとも同胞を傷つけた人類に復讐するのか。 知識層はまるで他人事のように分析し、家族は「裏切り者」とされた ヴィカスを煙たがり、第9地区に一緒に行った後任者はMNUの不法な 研究を内部告発して裁判を待っているのだそうだ。ただスカッと するだけの勧善懲悪ものでもなく、ましてやヒーローものなどでは 決してない。善良な、むしろ差別心も優越感もフツーに持っている 一介の市民が異常事態に巻き込まれていく恐怖や、切羽詰っても 人間はその弱さゆえになかなか「やるべき事」「取るべき方法」を 選べないもどかしさ、けれど覚悟を決めた時の眩しいまでの雄々しさ、 なんだかわからないけど胸が一杯になる展開には驚かされるばかり。 ヴィカスはその後完全に姿を消した。 別の組織に囚われているという説もあるが、真相は誰にもわからない。 けれど今は心穏やかに彼を待つ妻のもとに、不思議なオブジェが届いていた。 妻はそれを大切にしている。どこかで生きている彼が作ったかもしれないから。 どこかで、どんな風に、どんな姿で、生きているかもしれないから… もう一度言う。 間違いなく今年のアカデミー賞はこれでしょ! 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ハート・ロッカー 4/7(水)
むむむ…これは… 思えば、昨年のアカデミー賞獲得作品は非常に面白かった。 まず「クイズ番組を主体として一体どんな物語が作れるんだ?」と思わせ、 それを見事に実現している事に「やられたー」と思い、ストーリー展開も 人生のやるせない悲哀とわずかな救いが適度に配されていて大満足だった。 今期は超大物ファンタジーSF「アバター」VS本作品=リアルな人間ドラマ、 しかも監督が元夫婦同士という周辺事情が騒がれ、プロデューサーによる ルール違反なども花を添えたが…結局、話題先行だけだったという感じ。 イラクで爆弾処理を行うアメリカ軍兵士チームを描いた作品なのだけど、 とにかく仕掛けられた爆弾やテロが多すぎて、主人公たちはひたすら 爆弾を処理して歩くばかり。犯人やそうなった背景を描く事はない。 まぁ最前線に出ている一介の兵士なんてのは大局を知ることも出来ないし、 上層部からの命令は絶対だし、仕事となれば目の前の事を片付けるだけで 精一杯という事情は真面目に働いている社会人なら誰でも共感できること。 地味といえば地味なのだが、地味だからつまらなかったわけではない。 淡々と進むだけなのに厭きずに見られる作品も世の中には結構存在する。 (最近では「GERRY」とか。8割が退屈と言うかもしれないが私は面白かった) 主人公に魅力がないというのもあるかもしれない。 爆死した軍曹に代わって配属された主人公ジェームズは、腕はいいが 命知らずで、ロボットでの探査をせず単身乗り込み、通信を勝手に切り、 あろうことか味方から姿を隠すためにスモークを炊いたりする無鉄砲。 まぁそんな彼もDVD売りの少年ベッカムとの会話やサッカーを通じて 人間臭いところは見せるのだが…彼への執着や仲間と殴りあったり 取っ組み合いをするシーンなど、やけにゲイっぽくてちょっと不快。 (実際にはアメリカに妻も子もいるノーマルな人物なのだけど…) そのベッカムに執着するあまり商人を脅したり教授の家に入り込んだり するのだが、その元となった事件がこれまたよくわかりにくいんだよね… ある時、任務で行った爆弾製作工場で彼らは1人の少年の死体を見つける。 その体にはいくつもの爆弾が仕込まれているんだけど、血まみれの彼が 一体どういういきさつで死んだのか、我々視聴者にはよくわからない。 説明がないんだよなぁ…死体に爆弾を仕込んだのか、生きている彼に 仕込んだのか。なぜ彼は血まみれで死んでいたのか…事故か、殺人か。 一番わかりやすかった上に一番いたたまれなかったエピソードは、 やはり爆弾を取りつけられて死んだ男(4人の子もち)だろうな。 あの人は可哀想だった。しかし爆弾テロ犯も同胞を傷つけるなよなー それこそ異教徒ならともかく、アラーを信じる同胞殺してどうする。 そんな事したらもう宗教上の大義すら失ってしまうじゃないか。 技術班である爆弾処理班が肉弾戦を行う事はないのだけど、ジェームズは 仲間を連れて犯人を追うという型破りな行動に出て、もちろん結果は大失敗。 技術兵に過ぎなかったエルドリッジは足を撃たれて負傷帰国する事になり、 その後、班も何だかよくわからないうちに任務が明け、帰国になった様子。 何度も言うけど、淡々と進む事が悪いとは言わないよ、私は。 何でもかんでもドラマティックに描けばいいってもんじゃないからね。 でもこれはひどい。何をやってるのか、何を言いたいのかよくわからない。 せっかく妻子との生活を手に入れたのに、結果、また最前線に帰っていく 彼の心理もわからなくはない。わからなくはないけど、非常にわかりにくい。 もっと演出的に上手にそれをわからせる方法があったんじゃないのと思う。 よくCMで流れている爆発のシーンは、砂が浮き上がり、土が盛り上がり、 大気が震え、空気が熱を帯びていく様子まで再現しててなかなかの見事さ。 ただそういった技術面も含め、じゃあ「アバター」より優れていたかと 言われると…ま、ぶっちゃけどっこいどっこい、同レベルの作品かなぁ。 つーか、私は「アバター」の物語に全く共感も出来ず、ゲンナリした事は レビューに書いたけれど、だからといってこの「ハート・ロッカー」にも さっぱり共感できなかったので、ハッキリ言ってしまうと、これならむしろ 「アバター」がアカデミーを獲った方が圧倒的に話題性があったのでは… と思ってしまったよ。地味な作品が高度な物語性で大作を圧倒するのは 「柔よく剛を制す」的でスカッとするが、争ったのがどっちもどっちなら、 やっぱり大作が獲った方が後世には残るんじゃないのーと思ってしまった。 △
シャーロック・ホームズ 3/23(火)
くたびれたボロ雑巾のようなダメ男が、気難しい英国紳士の ワトソンをお供に、爆発で吹っ飛び、素っ裸でベッドに繋がれ、 下水道を走り回り、橋の上で格闘する奇天烈なホームズ映画。 ルックス的には決して綺麗とか格好いいというような形容詞が似合わない ロバート・ダウニー.Jrが演じているので、ダンディとは程遠いホームズも 仕方がないのだが、このホームズ、以前好きになった女が犯罪者だったので 実らない恋に未練たらたら、ワトソンが自分より恋人を選んで(当たり前) 結婚しようとしてるのでいじけて妨害ばかり、事件がない時はただの陰気な ヒキコモリという情けなさ。少なくともBBC制作のジェレミー・ブレッドの ホームズこそが最高傑作と信じている人はもう見ない方がいいかもしれん。 それでもこのホームズ、奇想天外な行動をとりながらも常に頭脳は明晰、 人物観察は鋭く、現場に行けばコンピューターのように証拠を見つけては 正確に分析し、悪漢が現れればお得意のボクシングを駆使して立ち向かう。 ジュード・ロウ演じるワトソンは洒落者で冷静沈着だが、いつもホームズの 手に引っかかっては好奇心を刺激され、事件解決のために走り回ってしまう 武闘派ドクター。(このワトソンはなんとなくドク・ホリデイっぽい感じ。) 年々寂しくなっていく彼の頭髪も、今回はなんとか踏ん張っていた様子。 ロンドンで続く若い女性の殺人事件を捜査していたホームズとワトソンは、 犯人であるブラックウッドを見事逮捕する。ところが死刑に処されたはずの ブラックウッドは蘇り、呪いをもたらすと噂されロンドンを震撼させていた… アイリーンに指示を出しているのがブラックウッド本人かと思っていたので、 最後の最後に正体が明かされた時は「ああ…そりゃそうだ!」という感じ。 アイリーンが訪問してきた時、ワトソンがホームズに突然「どこに行ってた?」 と聞くので「?」だったけど、その後ネタを明かし、カメラアングルを変えた ホームズ視点で彼らを追うのは結構面白かった。ガイ・リッチー監督らしい ストップモーションを多用して時系列をややいじったトリッキーな演出が 多彩なので、こういうのが苦手な人にとってはややうるさく感じるかもね。 私はノープロブレム。「スナッチ」はすげー面白くて好きな映画だからね〜 アイリーンに頼まれた依頼と再生ブラックウッド事件が噛み合いそうで 噛み合わない中、船の修理工場で大騒ぎを起こした二人はブタ箱入り。 婚約者が保釈金を払ってくれたワトソンと違い、1人寂しく残された ホームズは哀れ犯罪者の餌食に…はならず、面白い話で観客たちを 楽しませていた様子。(でもそろそろネタ切れだったとか) 別口からホームズにブラックウッドの悪事を止めるよう依頼してきたのは テンプル修道会だった。後に実はブラックウッドが息子であり、その息子に 殺されてしまう最高裁判官、果敢にもブラックウッドに抵抗しようとして 火だるまになってしまうアメリカ大使、そして警察ににらみが利く内務大臣。 ところがこの内務大臣は実ははじめからブラックウッドの仲間なので、 ホームズは後に全国的に指名手配されてしまうという逆境に立たされる。 しかもブタの屠殺場で死に掛けるわ、桟橋ではものすごい爆発に巻かれるわ。 さらにホームズはあちこちで事件に繋がる調査もしてるんだけど、それが 一体何を示唆しているのか、ただ見ているだけだとよくわからないんだよね。 ネズミの死骸を見つけてシッポを切り取ったり、カエルの死骸を見つけたり… でもそれらは最後に全て明かされるので、ここでわからなくても大丈夫だ。 やがて「人」「鷲」「雄牛」をさす殺人の場所と示唆に気づいたホームズは、 残るライオン(これらのモチーフはタロットでいうと「ザ・ワールド」だ)が 国会議事堂であると気づく。ブラックウッドは父を殺し、アメリカ大使を 殺したことでテンプル修道会を牛耳り、さらには自分に従わない国会議員を 国会議事堂で皆殺しにしようとしていた…青酸ガス自動発生装置によって。 そう、これまでホームズが研究所や屠殺場などで探してきた証拠は すべて青酸ガス発生装置を作り出すための実験の残骸だったのだ。 しかもこの装置、電気信号によって遠隔操作もできるという優れもの。 壊れそうにないこれを壊さないと議員のじーちゃんたちは皆殺しになり、 ロンドンを呪いと暗黒が支配することになる。3人は機械の番人を倒し、 頑丈な装置を破壊するため暗い地下道で奮闘するのであった。 彼らが登った橋は建設中のタワーブリッジだったのかな?よくわからんけど。 そこでホームズは青酸ガスが出ないので「あり?」と焦ったブラックウッドの 追撃を受けるも撃退、そのトリックを全て暴いていく。彼が蘇った時に墓の 内部から破壊したという演出は、一度砕いた墓石を蜜蝋で塗り固めたヤワな ものであり、蝋も雨で溶けてしまうと証拠がなくなる。風呂で死んだ父親は 鉛のバスタブに薬品を塗って麻痺させて溺死させ、自動発火は無味無臭の 可燃性の液体を雨のように頭からかぶせ、銃を撃った際の火花で引火した。 絞首刑で死んだブラックウッドの死を確認したのはワトソン本人なのに そのトリックは明かさないのかよ!とツッコミかけたところ、ラストで シャクヤクを使った仮死状態だったと明かされた。そんな作用があるのか? まぁ芍「薬」というくらいで生薬として用いられることはあったらしいけど。 アイリーンを逃がしたことで「次のヒロインはこの人じゃないかもよ〜」と 牽制しつつ、彼女のバックにいたのが「モリアーティ教授」なる頭脳明晰な 悪党であり、彼が狙っていたのは青酸ガス発生装置ではなく、「リモコン」 であったことが判明し、当然続編に続きますよ〜臭がぷんぷんしまくり。 とにかくロバート・ダウニー.Jrに好感が持てるかどうかで全てが決まる。 あんなトロけた顔の無精ひげぼうぼうのギトギトした男がホームズなんて! と思ったら見られないと思う。私だって彼にはホームズよりはやっぱり アイアンマンみたいなマッチョ・ヒーローの方があうんでないのと思う。 その「アイアンマン」ではロバート・ダウニー.Jrがあまりの頑丈っぷりで 笑わせてくれたが、この映画ではワトソンくんも大した頑丈ぶりだったよ。 あの至近距離で爆発し、吹っ飛ばされた上にその後のすさまじい連鎖爆発でも ほとんどケガもせず(ちょっと入院治療しただけで数人を相手に格闘しとった) ピンピンしてたワトソンにはビックリしたわ。あの人絶対サイボーグだろ〜 あと私もうっかり騙されてしまったレストレード警部の演技はイカしてたぜ。 △
鉄拳 3/10(水)
「こんなゲームの映画化はイヤだ」 と怪しいフルメイクの芸人が画用紙をめくる映画ではない。 久々に肩を震わせて見たスーパー・ギャグ映画である。 しょっぱな、紛争で荒廃した世界を制しているのが6つの巨大企業であり、 なぜかその企業が毎年格闘大会を開くという意味不明さからして笑える。 もともと「鉄拳」というゲームそのものがむちゃくちゃな世界観の中で 壮大な親子3代(そのうち4代に)の親子喧嘩を描いているゲームなので このあたりはいい。「うむ、とにかく何が何でも格闘させたいのだな」 と生ぬるく微笑んで見ていられる。主役のジョン・フーもアクション 俳優だけあって、走る姿もスピード感溢れていてストレスを感じない。 しかしいけない。鉄拳衆なるアンヴィルの秩序を守る治安部隊が出た瞬間、 吹き出すのをこらえるので精一杯。剣道のお面をつけて警備したらアカン。 しかもなんかこいつらカタコトの日本語をしゃべっとるからさぁ大変。 壮大なギャグワールドが展開する予感にもはやわくわくが止まらない。 主人公の仁はテッケンに忍び込んでは貴重なブツを盗み、レジスタンスに 売って日銭を稼いでいる。ストリートファイトが強いと評判ではあるが、 目的もなく、武術家の母の教えを受け、彼女といちゃつきながら日々を 過ごしている。ジョン。フーは中国人とアイリッシュのハーフのせいか オリエンタルな雰囲気が強く、少し哀しげな目つきなどはいい感じだ。 しかしこの母(どこかで見た気がすると思ったら、リメイクが決まったらしい 「ベスト・キッド」の2でラルフ・マッチオの彼女役タムリン・トミタだった) と仁が会話をする時がヤバイ。色々標語が貼ってあるのだがこれがヤバイ。 なぜか「束縛」という二文字が貼ってあり、笑いをこらえるのに必死。 しかも真面目に仁に「テッケンに近づくな」と諭す母の後ろにはなんと、 「人魂」 と貼ってある。いくらなんでも斬新過ぎると思ったら「入魂」であった。 そんなラブリーな背景にばかり目が行っていたら、仁が彼女としけこんで エロエロやってる間に、母があの鉄拳衆に囲まれてしまう大ピンチが! 「コノオトコヲシッテイルカー!?」 なぜカタコトの日本語!? ってかどうしても日本語にするなら剣道のお面かぶってんだから 吹き替えればいいだけのことじゃないか!もうわけがわからない。 それに対して母もなぜか 「アナタノイッテルコトワカリマシェン!!」 と怒鳴り返す。えええええ…なら英語で答えればええやん… 「コレガ、サイゴダ!コノオトコヲシッテイルカー!?」 「チクショー!」 全くわけのわからない会話の末、爆殺されてしまう母。もちろん鉄拳衆ごと。 彼女とエロエロやってる間に母を殺された仁は総裁三島平八に復讐を誓うが、 やったのは息子の三島一八である。この一八くんがまたとんでもクンである。 平八に近づくためには、興味もなかった格闘大会に出るしかない。 呼び込みをやっていたフォックスの声に誘われ予選に出た仁は、市民代表の ワイルドカードを持っていたマーシャル・ロウと戦って辛くも勝利する。 全編楽しい笑いを提供してくれるこの映画だが、アクションシーンは ハイレベルだと思う。舞台挨拶に来たジョン・フーも、この映画は体も アクションも基礎が出来ている人が多いので、長まわしのアクションを 撮ることができたと言っていた。普通はアクションシーンは細切れの カットで撮るので、途中でこれは誰のヒザだったっけ…と思うことも あるそうなのだが、この映画では長い時は8つのアクションを一度に こなせたそうだ。確かにアクションにしてはロングショットが多い。 結構見応えがあると思う。特撮技術も使ってるけど、基本動きが綺麗。 勝ち上がった仁はフォックスに連れられてシティへ向かう。 そこで大会に出場するスポンサーつきの選手たちと出会うのだが、真っ先に クリスティさんのところへ向かうあたり、若さが暴発しすぎですよ仁くん… 最初の対決はエディVSレイヴン。この時負けたエディは、この後の デスマッチに巻き込まれることがなかった代わりに出番もなかった。 次は仁の出番。フォックスの助言に従って相手の蹴りに注意を払うものの、 エキサイトした仁は怒りに任せての攻撃をしかけ、フォックスに止められる。 予選から仁に注目していた平八はさらに興味を持ち、ひたすら三島財閥を 乗っ取ることしか頭にない一八は、その仁のDNAを調べてあらビックリ。 「お尻ばっかり見てると負けるよ」とクリスティに釘を刺されていた 仁だけど、大会中だというのに2人は本社を抜け出してクラブに向かう。 すっかりラブラブになるも、選手としての自覚を忘れないクリスティに バイナラされて泣く泣く戻った部屋には殺し屋姉妹が潜伏していた。 暗闇でボッコボコにされた仁は拳を傷つけ、翌日の対決で犯人のニーナと 当たったクリスティは「男をシェアする気はない」と言い放って勝利。 そろそろ大会での格闘では話が持たなくなったところで、ついに仁が フォックスから赤いアームガードをもらい、侍野郎吉光と得物対決。 つかあれで死んだん!?もろいなー、吉光… 案の定このあたりで一八ご乱心→平八拘束の流れへ。 一八は格闘大会をデスマッチ方式にするのだうわはははと気持ちよく 狂った発言で笑わせてくれる。捕らえられた仁はといえば復讐相手と 思っていた平八が実は一八に襲われた母を救った恩人だったと知り、 一八が自分の父であることを知るという二重三重のダメージを受ける。 つーか「レイプされたおまえの母を救い、逃がしたのはこのわしだ」と いきなり言うんでずっこけた。風間準はかつてテッケンお抱えの選手で、 大会後に一八に手篭めにされてしまったそうだ。な、生臭ぇなコレ… ってかねー、一八は平八や仁を本気で殺すつもりだったのかと問いたい。 ホントに殺すつもりならあの牢の中でバンバン撃てば終わりでしょー 平八が鉄拳衆に銃を向けられ、なぜかその後突然爆発シーンになったので 「アイツ絶対生きてますやん」と会場の誰もがツッコんだに違いないよ。 仁たちは逃亡を企てたものの、フォックス死亡、レイヴン負傷、 クリスティは拉致られてデスマッチに出るしかない満身創痍の仁。 残り時間も少ないので悩んでるヒマがないからか、いきなりレイヴンが 「俺たちのために戦え」とどう考えてもむちゃくちゃな目的を示して驚く。 次の相手はロシア野郎の首を掻き斬った全身強化改造済「サイボーグ」の ブライアン・フューリー。蹴るたびにカキンカキンいうので仁もビックリだ。 走馬灯のように巡る過去の映像に笑ったが、どんな敵にも弱点があると言われて 怒涛のように攻めていたのはなんなんだろう?機械と生身の境目を狙ったとか? しかし最大の吹きどころは王者フューリーに勝利した仁を見て、なぜか突然 「あいつを倒すのはこの俺だー!」と立ち上がる一八くん。ええええええ!? いくら時間が押してるからってなぜそこで御大将であるアンタが出るのん…? しかも一八が悪鬼のごとく強いならまだしも、弱っ!一八弱っ!! 斧持って振り回してただけじゃん。あれはダメだよー、もっと強くなきゃ。 後半はもはやホントにただの「ゲームキャラクター」のように没個性だった 仁に叩きのめされた一八を見て、テッケンの支配が終わったことを知る庶民。 でも仁は勝利の余韻に浸ることなくそのまま会場を後にし、アンヴィルへと 帰っていく。ガードの固いクリスティじゃなくてちゃんとヤらせてくれるあの小汚い彼女を選ぶんだろうか…まぁどっちでもいいんだけど。 ところで鉄拳衆が仁に従っているのでテッケンは彼のものになるのか? …と思わせてスタッフロールが終わり、既に多くの人が帰ってしまった後に オマケの映像が。それは鉄拳衆に銃を向けられた平八が「わしが鉄拳だ!」と 言い張り、わしに従え!と一喝すると鉄拳衆が銃をおろす、というネタばらし。 なんですかコレ、まさか「鉄拳2」も作る気マンマンってことですかコレ。 これが映画館だったら少なくとも「鉄拳」に興味を持って見に来る人が ほとんどだと思うが、試写会というのは「なぜあなたが?」というような 上品な老婦人ペアやご高齢のご夫婦など、本当に様々な人が来ているので、 会場全体の温度が低めなのだが、この時ばかりは残っていた人が皆どっと 笑っていた。なーんだ、皆もやっぱり笑いたかったんじゃーんと思った。 いや〜、ホント、一緒に行ったツレが開口一番「超Z級映画だったなー」と 言うだけのことはあったわ。日本語は反則だってば。「ほんまホテル」とか まぁ「本間」は別にフツーの名前なんだけど、あるだけでなんだか可笑しい。 そういう視点と海よりも広い心で「よーし、笑うぞ!」と思って楽しめば こんなに笑える映画はない。それにアクションシーンは大したものだし、 レイヴンやニーナ、フューリーなどかなり頑張って似せてるのも楽しい。 仁はゲームとはちょっと違うかもだけど、雰囲気は悪くないと思うし。 1時間半という短さもちょうどういいので、「こんなの鉄拳じゃない!」 と真面目に怒らずに笑える心の広い人にはオススメのバカ映画である。 神様、どうか「鉄拳2」のためにもヒットしますように!絶対しねーよ △
南極料理人 3/3(水)
メジャーな昭和基地に比べ、内陸にあり、標高も高く、平均気温がマイナス 50度台といわれ、その苛酷な環境はペンギンやアザラシどころかウィルスすら 生存を許さない…それがこの映画の舞台となる「ドームふじ基地」である。 すごく面白かった。 昔(70年代〜90年代初頭)よりは邦画にもいいと思える作品が増えてきたが、 それでもまだまだ見て「時間の無駄ッ!」と怒り狂うようなブツも多い昨今、 この映画は思った通り面白かった。去年の夏、トランスフォーマーを見た時 予告で流れていて見に行きたかったのだが、「ジェネラル・ルージュ」や 「ハッピー・フライト」「クライマーズ・ハイ」などが公開の翌年、すぐに TVやケーブルで放映するので「邦画はどうせすぐケーブルでやるからなぁ」 と見に行かなかった。今回、特別上映期間ということでリバイバル上映され、 しかも私が加入しているケーブルからは1000円で見られる映画を500円で 見られるチケットが送られてきたので、ケーブルをやめる前に…と鑑賞。 狂言回しとなる主人公は堺雅人演じる西村淳。 彼は海上保安庁から派遣される調理担当であり、もともとは南極に憧れて 派遣されることが決まっていた先輩の鈴木が直前にバイクで事故ったため、 代わりに派遣されることになってしまった運のない男。けれど調理の腕は 一級で、余計な口を利かず、周囲との軋轢も作らず、中立の立場で日々、 合計8人の隊員たちの食事を一手に引き受けている。 いきなり冒頭からこの西村の淡々としたナレーションで隊員の紹介が始まり、 おいおい、そんなに早く名前や特徴を言われたら覚えらんねー…と思うのは 完全に杞憂。8人のオヤジたちのしょーーーーーーーーーーーーーーもない 日常を、笑い、呆れ、また笑いながら見せられれば簡単に覚えてしまう。 前の隊が食べ残した伊勢海老があると南極基地からの情報が入れば、 「エビ=エビフライ」となり、隊員7人は伊勢海老フライ祭となる。 西村がエビフライにするにはデカ過ぎる伊勢海老は、お造りとか すり身にするとかあるでしょうと言ったって聞く耳なんか持たない。 そして夕食時、尾頭付きのあまりにもデカいエビフライに、 隊員たちはしばし無言…だからやめろって言ったのに… さらには「やりたい仕事が南極でしかできなかった」と単身赴任に反対の 妻とケンカが絶えない(でも奥さんは本当は心配だからこそ怒るのだ♥) 雪氷学者のモトさんの誕生祝いには豪快な肉料理。火力が弱いのかカチコチに 凍った肉が焼けないので、外で肉に火をつけてバカ騒ぎするシーンは爆笑だ。 他にも本当にしょーもない連中ばかりで、気象庁から派遣された気象学者の 隊長は夜中に勝手にラーメンゆでて食べるし(気圧の関係で、水は85度で 沸騰するので麺に芯が残ってしまう)、車両担当の車会社から出向する主任は 左遷されたとブツブツ言いまくり。帰りたくないくらい南極が気に入っている ドクターは隙あらば平服で自転車を乗り回すアブないヤツ。モトさんの助手の 兄やんは彼女と超超遠距離恋愛中。けれどその仲は見る見るうちに冷めていく… マイナス70度の世界で野球をやり(金属バットが折れとった)、パン一で 記念写真を撮ってみたり、医務室をバーに見立てて飲んだくれてみたり。 他にも体操番組の健康的なレオタードのお姉ちゃんに色気を感じてみたり、 麻雀やDVD、マンガを読んで長い長い赴任期間を過ごす姿が描かれる。 知られざる南極の姿も明らかになり、夏至に各国の基地で行われるミッド ウィンター・フェスティバルとか、何万年も前の純粋な氷を切り出して 調査したり、1人の人間が一年間に食べる食材が総重量1トン(!!)だと 知ったり、南極からの国際電話は97年現在で一分間740円もするとか、 基地のトイレがなぜかきちんと個室になってなかったり(見るな!)、 あんなに氷が一杯あるのに、基地で一番価値を持つのが「水」だったり、 冷凍物や缶詰が主流なので生鮮野菜がなく、西村は温室栽培に挑戦するも 育つのはかいわれやもやしばかりで、そもそも隊員はほぼ民間人とかね。 世界で最も過酷な環境は、こちらの想像を遥かに超えることばかり。 ホームシックやサボリ癖がついてしまったヤツがいたり、隊長が大好きな ラーメンが底をついてしまったり、時に基地内はギスギスすることもある。 主人公でありながらあまり前に出ず、そんなにアクの強いキャラではない 西村は、そんな時さりげなく「何が食べたいですか?」と尋ねてみたり、 作業の途中で食べるおやつを準備したり(大概カチカチに凍ってしまう) 見事なパーティー料理を用意したりして場を和ませる。最後には割烹着で まるで家族コント。兄やん曰く「俺のジャージ!」て関西のオカンか! そんな西村もある日、隊員同士のイザコザに巻き込まれてお守りに持ってきた 娘の抜けた歯を落としてしまい、ふてくされて天岩戸(=自室)にこもってしまう。 その時、トモさんが発起人となって7人の隊員による悪戦苦闘の料理が始まる。 彼らが作ったのはべちゃべちゃでカリッともサクッともしていないから揚げ。 日本では当たり前のように食べていた妻が作るそれに似たしょぼいから揚げは、 油まみれで胃にもたれる…けれど、いつも誰かのためにご飯を作り続けてきた 西村にとって、誰かが一生懸命作ったご飯は何より心に沁みる味だったようだ。 それに生意気だった娘のユカがドーム富士との通信の時、匿名で参加して 「どんなものを食べてるんですか?」と、まさか娘とは知らない西村に 話しかけるシーンも和んだなぁ。皆あからさまに表には出さないけど、 やっぱり家族がいないのは寂しいし、元気でいて欲しいと思うよね。 年季が明け、ついに帰国の日を迎える隊員たち。 すっかり髪や髭が伸びきったむさくるしいおっさんたちが、元の顔に戻り、 西村も大きくなった子供たちの相手をしながらゴロゴロとテレビを見る生活。 気軽に外に行き、コンビニには物があふれ、屁をこけば娘に尻を蹴飛ばされる。 気圧の低い場所で鍛えた体でトライアスロンに出ようかなと突拍子もない事を 言っていたドクターは本当に大会に出場してトップをぶっちぎってて笑った。 「好きな人が出来た」と彼女にふられた兄やんは、何を血迷ったかKDDの オペレーターを口説き始めたのでバカだなぁと思ってたら、空港に女性が 迎えに来ており、「ああ、やっぱりなんだかんだ言っても彼女が迎えに 来てくれたのか」と思ったらなんとKDDの清水さんだった!ビックリ! 堺雅人は世間が騒ぐほど好きな俳優ではないのだが、この映画を見て 初めて「この人いいかも」と思った。他にも個性的な俳優がそろい、 自然、あるいは変人チックな演技で芸達者ぶりを見せてくれて楽しい。 むさくるしい男たちのはちゃめちゃな南極ライフを見てると、バカ代表の 小学生男子と何も変わらんなーと思う。今回は観客もわざわざリバイバルの この作品を観に来ているせいかノリがよく、大声で笑う人が多くて終始笑いが 絶えなかった。思った以上に面白く、ホロリとしつつ大笑いできて楽しかった。 何より料理!外国の料理映画を見ても「おいしそう」とは滅多に思わないが、 やっぱり日本の料理はおいしそうだ。いや、絶対世界で一番うまいと思う。 料理そのものの撮影もよく、堺雅人も彼自身が普段も料理をするのかどうか 知らないが、手元を移されるシーンがあるので結構練習したのかもしれない。 おいしいものを食べると、皆幸せになれるから… 淡々と仕事をこなす西村のおいしい料理は、確かにそれを実践していた。 当たり目の入ったおにぎりと豚汁、鮭やぶりの照り焼き、ナントカのポワレ… どんなにおいしそうでも「おいしい」と言わず、ただガツガツガツガツ食う 男たち。それが彼らの言葉にならない「おいしい」であり、「おいしいと ちゃんと言って欲しい」女とはなかなか相容れないと思うと可笑しかった。 △
アバター 2/23(火) 映画評・トップ
3Dといえば赤と青のセロハン眼鏡で三重になった写真を見ると飛び出すとか、 ジョーズが目の前に現れるとか、キャプテンEOが飛び出してくるという世代 なので、今時の3Dは「奥行きを見せる」ことがメインであると初めて知った。 でも正直メガネがウザく、画面も暗くなってしまうので2Dでよかったと思う。 しかしねぇ…何より話がひどすぎる。ヒーローは最後は悪役を力でねじ伏せ、 大いなる神の意思が味方してくれたので敵に勝ちました、めでたしめでたし… なんて単純明快なおとぎ話を見せられてそうかよかったと納得できるかい! とはいえ、とにかく何はともあれCGはすごい。 未知なる原始の森の深さや美しさは3Dならではの奥行きを感じさせたし、 歩くたびに草が色を変えたり、見たこともないグロテスクな動植物など 手垢がついたSF映画でも技術によって新しく見せることができるもんだと 感心するくらい。ドラゴンのような生物を自身の乗り物にして飛び立つ 飛翔のシーンなどはナウシカ、空に浮かぶ島はラピュタ、森の深さは もののけ姫と、宮崎アニメの実写版を見せられているようだった。 脆弱な地球人は外気を呼吸することができないため、「アバター」と呼ばれる 人間と原住民ナヴィの遺伝子を掛け合わせて作られた人工生命体と神経接続し 外に出る技術が開発された。なんと卑劣な「トロイの木馬」作戦だこと!! エイワと呼ばれる地母神を信仰し、自然と調和して生きるナヴィになぜか 受け入れられたのは、下半身不随の海兵隊員ジェイク。科学者だった兄が 急死したため、双子のジェイクなら彼用のアバターと適合するとの考えで 車椅子の彼が選ばれたのだ。萎えた足ではできないこと…ベッドから立ち、 大地を蹴って走ることが出来たジェイクは女戦士ネイティリに導かれて、 自然に敬意を払い、自然と協調して生きるナヴィの戦士へと成長していく。 しかし地球人の狙いは彼らの村の下に眠る莫大な資源。 ジェイクが彼らを立ち退かせることができずにいると、マイルズ大佐は 強攻策に出、ブルドーザーで村を潰し、森を焼いてホームツリーを破壊。 ナヴィは散り散りに逃げるしかなく、族長を失って一族は絶望の淵に立つ。 現在も決して消えない根深い傷痕を残すアフリカ大陸での白人たちの暴挙、 ネイティブ・アメリカンたちへの迫害と暴虐、文明も民族をも滅ぼした 南米インディオに対する人類の罪、今も各地で続く多くの民族浄化… 日本だって古くは蝦夷、近代ではアイヌ民族への仕打ちなどに残る汚点。 完膚なきまでの破壊と殺戮、精神的支柱を砕くことでの文明の否定が描かれ、 それに抗い、勝利する彼らの姿を見たって決してスカッとするものではない。 ナヴィたちに見守られながらゾロゾロと地球へ帰るスカイ・ピープルがこれで 諦めるかどうかわからないし、今後この星がどうなっていくのかもわからない。 むしろ原始的でありながら惑星の記憶を共有することができるという高度な 文化・文明を持つ種族ナヴィが、この困難を思ってもみなかった知的方法で 打開する話なら面白かったと思う。結局力には力、しかも最後は神頼み、 主人公と悪役は一騎打ち、主人公は「狼と踊る男」となって仲間入り… 俳優の中ではパンドラの自然とナヴィの文明研究をしている植物学者 グレイスを演じたシガニー・ウィーバーがよかったな。あと勇猛果敢な トゥルーディ。大佐の命令による一方的なナヴィ虐殺に反旗を翻し、 拘束されたジェイクたちを開放し、その後も支援する女パイロット なんだけど、最後は大佐に1人で対決を挑み、撃墜されてしまう。 負けちゃったけどホント、彼女はめっちゃカッコよかったよ! 話題の映画なので何か面白い発見があるかと思ったけど、宮崎アニメの 焼き直しだったり、優れた物語性を持つゲームや漫画やアニメに慣れた 我々日本人には子供だましみたいな話だったじゃん。技術はすごいよ。 特に私はロボット・アンドロイド技術やバーチャルコマンドによって 感覚機能や身体機能を失った中途障害者を救えないかと思ってるから、 アバターを見てそうそう、これこれ!と思ったよ。あんなにデカくて デスラーも真っ青なほど青くてシッポがある素体では困るけども。 長々と(3時間)見せられて技術はすごいのだが物語には正直不快感しか 残らなかった。よくまぁこんな話を恥ずかしげもなく作れたもんだ。 しかも世間的には「自然破壊と共存がテーマ」みたいに言われてて心外。 そんなの「地球には緑がない」程度の発言で片付いてたじゃんかよー これは民族浄化や文明破壊、人権侵害やてめーたちが勝手に引いた国境に 苦しめられ、てめーたちが残した覇権や利益を巡っていつまでも争いから 抜け出せない人々が、かつて受け取らされてしまった「未来への負の遺産」を 描いた作品じゃんか。こんなモン恥ずかしくて恥ずかしくてよう見れんわ、私。 △