逮捕されると、こうなる    〜誰かが本当に経験したこと〜

着手より おおむね 二週間。
ガサ入れに先行して、任意同行が行われる場合がある。
いわゆる「おはようございます」だ。

この場合、玄関先に2名(ヒマ人がいる場合はウラにも2名)、捜査員が 早朝 訪れることになる。
「おはようございます。××さん いるかなー?○○署ですけどー。」
と、なかなかにフレンドリーな場合が多い。
「はなしを聞かせてほしいんだけど」
とニコニコ笑っている。
ただ、パトカーの中に入ったあと
「じつはねー。キミに逮捕状がでてるんだぁ。」

家族同居の場合、その家族は 「刑事が来たときには、もう うちの子(うちの人)は パトカーに乗っていた」と証言する場合が多い。
それほど 瞬時に連れて行かれる。
これは、犯人と その家族に 必要以上の不名誉な状況に陥らせないようにするための、半ば親切心が捜査員にはたらいているからである。
(もう半分は、後に自供を拒否したら、せっかくバレないようにしてあげたのに、これじゃぁ、名前も住所も番地まで新聞に載っちゃうねー、と追い込むための伏線である)

すなわち、逮捕状が出ているときの 任意同行を拒否すると えらいことになる。
任意同行を拒否したり、暴れたりすると、家族の目の前で逮捕が執行される。
しかも、ただでさえ「堂々と違法駐車しているパトカーや覆面」を 不審に思ったご近所の人が、トイレや風呂場のマドから こっちを伺っているのに、

その視線の中を 手錠をかけられたあなた(犯人)が 引き回されることになる。
お母さんは、ぶったおれること うけあいである。

被疑者に対して 捜査員が笑顔で接している場合は、証拠は完全にそろっているということだ。

なお、任意同行を求められた現場において 逮捕状が出ている・出ていないの 外見からの判別は難しい。
「任意同行は あくまで任意」とほざくヤツが アタマのいい人にいないのは、これが理由である。

警察署内までいって、逮捕状が発行されていないことを確認してから 帰ってくるほうが まだ戦略的に得策なのだ。
(ただ、任意同行でも、家に帰るのは難しいがな。)
(たとえば「帰られちゃうと 明日 職場で話を聞かなきゃね。こっちも忙しいんだよ」とか「お友達に 話を聞かなくちゃいけないねー」とか しれーっ と言ってくる。)
(そして 本当にやる。私は この友人作戦に 一度 耐えたが、二度目で 懲りて、警察の任意同行に応じたことがある。しかも その友人に対しても、同様の おどしをかける。自分が関係者というだけで、自分自身は無実の場合、迷惑このうえない)

任意同行のうえ、罪を認めると、数時間後に 自宅にガサ入れ(家宅捜索・差押)部隊が到着する。
もちろん 最初の「おはようございます」で、同時にガサ入れが行われる場合もある。
このタイミングは、犯罪の重さ・形態・立会人(家族)の有無などによって左右されるが、これらの順序は捜査員が勝手に決めてよい。
もとより、捜索令状は裁判所の発行する「許可状」であって、命令 ではない。
実際、家宅捜索令状があっても ガサ入れせずに帰る場合もある。

また、刑事事件の場合 被疑者(犯人)もその弁護人も、捜索に立ち会う権利がない。
したがって、「弁護士を呼ぶまで内部に立ち入るな!」と叫んでも意味がない。
(民事は別だ。弁護士が立ち会える)

よって、あなたが警察署内で取調べを受けている間に、留守をガサ入れをされても文句がいえない。

ま、ここまでは、悪い夢でも見ているような気持ちで、なんとか耐えられる。
だが警察署内で 一番最初に行うであろう「ある書面手続き」で、まともな人なら、心身ともに 打ちのめされる。

それが「押収品目録交付書」である。
カーボン式になっているんだが、これのレイアウトが かなり精神的にくる。

「本職は、次の被疑事件につき平成×年×月×日 東京都新宿区○町○番地において、下記目録の物を押収したので、この目録を交付する」
「被疑者:(あなたの名前)」←すでに書かれている
「罪 名:威力業務妨害」

普通、他人に書かれた「自分の名前」というのは テストで何番だったとか、合格通知とか、商品の当選など、縁起のよいものに記載されることが多い。
ところが、押収品目録交付書では 自分の名前の左に「被疑者」、その下に「罪名」と書かれている。
他人に書かれた 自分の名前としては、最悪のものだろう。
交通違反の反則切符に 自分の名前が書かれるだけでドキドキする人なら、これは気絶もんである。

この段階で、「自分は重罪人になってしまった」というのを とてつもなく実感する。
(あらかじめわかっていても、かなりくる)
逮捕状や家宅捜索令状は「一瞬」しか見ないから これを意識しないが、押収品目録交付書は 正面の取調官との話し合いのもとで書かれるため、

2時間ぐらいこの文書を見つめさせられる。書き終わったときには、すっかり「もう家には帰れない」という気分になる。

その後に、本式の取調べが 数日間にわたって続き、数十枚にわたって拇印をおしてゆく。
死にたくなるのも当然だ。
取り調べの最終日には、「自分の生い立ち」や「趣味」について調書がとられ、最後に各捜査員が入れ替わり立ち代り入ってきて「眼通し」が行われる。
(捜査員全員が 犯人の目を見ておくことで、次に別の犯罪でみかけたとき、すぐにピンとくるようにする作業。「目あたり」の予備作業みたいなもん。)

このときは できるだけ、目をつむっているか、ヘンな目をしておくことをお勧めする。
ただ、この頃には「ストックホルム症候群(人質が敵に親近感を持つ)」や「リマ症候群(人質が敵の文化や行動を受け入れる)」が発症しており、往々にして
「いやー、最後のほうになると 刑事さんと友達みたいになっちゃったよー!」
などと のたまう状態になる人も多いから、そんな気分は 吹っ飛んでるかもしれんけどな。

だから、観念したときのために、あらかじめ「着替えと洗面具持っていくか?」と逮捕時に言われたら、それに加えて「ハンコも持って行きます」と言っといたほうがいい。いろんな意味で。
せめてハンコのほうが 調書に拇印を押すより、精神的に かなりラクだしな。(本当だ。だまされたと思って持っていけ)

逮捕され、取調べを受けるときは、一流企業の社長並に「はんこマシーン」にさせられてしまうのだ。

 

↑「山崎はるか・ピーコの追い込み」より。

 

まず、現行犯でない限り、逮捕は突然やってきます。
どうして、警察は自分を捕まえに来ないんだろう?どうしてだ?
と不思議な気持ちになります。
そのうち、自分がやった事は犯罪ではなかったのではないか?と思い始めます。
それで気分が楽になっていきます。

そして、ある時突然部屋のチャイムが鳴らされ、不用意にドアを開けると
警察官だった、というケースになります。また、殆どの場合、早朝にやってきます。
寝起きなので、頭が回転せず、何が起こったのか、一瞬戸惑います。
1人の警察官が罪状を読み、箱を持った捜査員が部屋の中に入ってきます。
大抵の場合、家宅捜索と任意同行は両方同時に行なわれます。
一気にプライバシーは無くなります。
ベッドの横のコンドームや、日記、コンピュータ、フロッピーディスク、ありとあらゆる物が
箱に詰められ、警察署に持っていかれます。

任意同行の際には、パトカーで来る事は稀です。

覆面パトカーで運転手、助手3人の構成で、容疑者は後部座席の中央に囲まれて座ります。

その時は、まだ手錠はされていません。この時に、殆どの人間が動揺します。

一つは、家宅捜索によって自分のプライバシーが破られた事に対する恐怖感、

そして、今の状況に対する恐怖感、自分の友人関係に対する恐怖感です。

 

ある日、誰も知らない大勢の人間が自分の部屋を荒らしていく事を想像すれば分かるでしょう。

もしアニオタなら、その恐怖感は倍増する事でしょう。

自分の趣味が世間的に日陰に位置している事を理解していながら、同じ趣味を持つ

コミュニティがある為に、普通に保たれていた精神が、一気に崩壊するのです。

入ってきた捜査員に嘲笑され、そして警察署に連れて行かれます。

 

会社や学校の友人関係への恐怖感も相当にあります。

自分の逮捕によって、社会的な信用は全て失われたと思います。

自分が今まで生きてきて、積み上げてきた友人関係が、今の瞬間に終わったと思います。

 

殆どのホワイトカラーの人間は、上の様に思います。

 

 

署に着くと、裏の入り□から取り調べ室に通されます。

その時に、手錠、腰縄を付けられます。これは非常に屈辱に感じられます。

 

すぐに取調べが始まります。

時折、関係の無い警察官が入ってきて、担当の警察官に、内容を尋ねたりします。

優しい警察官と厳しい警察官がいて、殆どの場合、厳しい警察官が担当します。

優しい警察官は時折、顔を出してアドバイスをしてきたりします。

また、厳しい警察官も剛柔を使い分けるので、殆どの容疑者がここで落ちます。

 

少しすると、指紋、顔写真を撮る事になります。

これも屈辱の最たる時です。

自分が、容疑者、そして犯罪者である事を自覚します。

 

逮捕されると、まず警察署の2階、3階にある留置場に拘置されます。

近くの警察署の2階を眺めてみてください。窓に柵があります。

そこが留置場です。少年房と一般房に分かれており、内部は円形(多角形)になっています。

従って、一つ一つの部屋の形はいびつです。

それは、中央からまんべんなく監視する為にそういう形になっています。

 

朝食は、インスタント味噌汁と食パン4枚にマーガリンです。

昼食は、自費で出前を取る事も可能ですが、大抵の人は普通の弁当を食べます。

夕食は、普通の弁当です。

 

 

逮捕された2,3日の内に検察庁に身柄を送られます。手錠、腰縄を付けられ、

朝9時前後に出発します。

ワゴンに乗るのですが、近くの警察署を経由して容疑者を拾っていく為、

実際に検察庁に到着するのは、10時頃になります。

 

検察庁に着くと、地下の檻に中に入れられます。そこで検察官との面接を待ちます。

地下には、トイレ、手洗い付きの檻がたくさんあり、少年と成人は分けられています。

そこにプラスチックのベンチが並んでおり、その硬い椅子に座って、3時間も5時間も

自分の順番を待ちます。

日光は一切差さず、古ぼけた蛍光灯がぼんやりと光っている無気味な空間です。

一つの檻の前には警察官が監視しており、私語は一切厳禁です。

ただ、皆隙を見て隣の人間と会話します。少年でもない大人でさえも、そんな事をしています。

ルールを守れないまま大人になってしまった人間たちの末路です。

 

一つの檻に、10人前後の容疑者が入れられるのですが、中には殺人犯もいるので

非常に恐ろしいです。

昼食は、食パン4枚とジャムが配られます。

精神薬を服用する容疑者には警察官から薬とお湯が配られます。

昼食の際には、手錠を片側だけ外されます。

トイレの際にも外されます。

当然ながら、トイレにはドアは無く、すぐに水を流さなければいけません。

 

検察官と会う際には、警察官に名前を呼ばれます。

その際には、拘置中の警察署の名前と共に容疑者の名前が呼ばれます。

そして、警察官が檻の鍵を外し、外に呼び出します。

檻は地下ですから、エレベーターを警察官と一緒に昇って2階、3階の検察官の部屋に入ります。

その際には、手錠は外されますが、腰縄を椅子に固定されます。

天気の良い日には、窓から光が明るく差し込み、今が昼だという事を思い出します。

地下の檻では、外の景色が一切見えないため、時間の感覚が狂うのです。

検察官が、罪状を述べた後、幾つか質問をします。

それが終わったら、また、地下の檻に戻ります。

 

そして、また何時間も硬いベンチに座って待ちます。

手錠をしている為、上半身の姿勢が限定される為、寝る事も出来ません。

ただ、足の位置は特にうるさく言われない為、足を組んで座る事も可能ですが、

やはり、時間が長いので疲れます。

 

大体4時頃に全ての人が終わり、またワゴンに乗って帰ります。

行きと逆に容疑者を降ろしていきます。

 

 

拘置の請求が通ると、少年だと2週間、成人だと1ケ月間程度、警察署の留置場で

過ごす事になります。

夜寝る時にも電気は付けられたままで、布団は疲れきっていて、時折虫がいたります。

1週間に一度程度、風呂に入る事も出来ますが、順番は決められませんので、最後の

方に入ると、湯船に濃く垢が浮いています。

風呂は勿論全裸ですが、監視窓から警察官が監視しています。

しかし、この頃には特に気になりません。何故なら、留置場に入る際に全裸になって

警察官3人程度がいる場所を回るからです。それは凶器の持ち入れを防止する為の事なのですが、

かなりの屈辱を伴います。

しかし、それ以後は、徐々に慣れてきます。

 

警察署の留置場では、新聞を読む事も出来ます。漫画も読む事が出来ます。

漫画の最後のページには警察署の検閲の印鑑が押してあります。

また、時折、新聞は切り抜かれて読めない場合があります。

大抵の場合は、その警察署に新たに入ってくる容疑者の事件が書かれている場合が多いです。

 

 

一週間に何度か、留置場から呼び出されて取り調べを受けます。

優しい警察官と厳しい警察官がいて、あの手この手で精神的に揺さぶりをかけてきます。

部屋には大きな鏡があり、当然ですが、それはマジックミラーです。

調書を取る際には、殆ど警察官の誘導によって行なわれます。

最初からある程度、文面が決まっており、具体的な場所、人物名、動機等が嵌め込

まれていくだけです。

『そういう事なんだろう?』

『・・・・・・いや、ちょっと違うんです』

『だから、大体はそんな感じなんだろう?』

『はい』

こんな感じで調書は進んでいきます。

しかし、文面では

『?月?日、私が??宅に押し入って、??をナイフで殺害・・・・・』

となります。

 

調書の最後には、容疑者の指で印を押します。

逮捕拘留の前に、手指、掌、足指、足紋を全て取られる為、それでもう立派な証明となります。

ちなみに、指紋を取る際に顔の写真も撮ります。

後ろの壁には、身長を示す物差しが貼ってあり、前と横の写真を撮られます。

 

昼には、食事がある為、また留置場に戻されます。

 

殆どの人間が、ちょっとした気持ちで起こした事で犯罪者となっているのです。

また、容疑者の聞は、不思議な連帯感が生まれます。

『お前、どうして入ってきたの?』

『いや、いつもの事なんだけどさ、母親を径我させちやって』

『ハハ。それは辛いな』

『ま、いつもの事だから、すぐ出られると思うけど』

 

食事時

『でも俺、母親好きだよ。親父はどっかの女と逃げたけどさ、一人で育ててくれたしね』

『うん』

『ま、そろそろ、まっとうな仕事につくかな?』

 

翌朝

(警察官)『おい、??、ちょっと来い』

『はい・・・・・。どうしたんですか?』

『お前のお母さん、収容先の病院で亡くなった』

 

自分は小さい場所に閉じ込められているが、地球が大きく宇宙を動いている。

自由の身とは何なのだろうか?色んな事を考えます。

留置場の中では手錠を付けませんが、精神的に参ります。

留置場の外では、手錠、腰縄を付けられ、精神的に屈辱を感じます。

 

少年達の間では、殺人犯は『キラー』という言葉で呼ばれています。

『え、マジ?あいつもキラーかよ?』

そんな会話が細々と聞こえてきます。

 

週末の夜には、警察署の前を暴走族が通ります。

それに呼応するかのようにサイレンの音が通り過ぎていきます。

 

留置場では、朝に顔を洗う際に柵付きの窓から外を眺める事を許されます。

高校生が自転車で学校に向かっていくのが見えます。

信号無視をする中学生らしき人影が朝日に浮かび上がって見えます。

 

犯罪の重さという比較と、理不尽な気持ちが脳裏に浮かびます。

 

 

そして、今日も長い取り調べが始まるのです・・・・・・。

 

気が弱い人間は、絶対に犯罪を犯さない方が良い。

まあ、ちょっとした事で犯罪は起こるから、とても難しい事だが。

ちなみに、窃盗は罰金刑が無い重い犯罪です。

殺人は、周知の如く一番重い犯罪です。

あまり知られていないトコでは、住居侵入は普通の建造物侵入に比較して非常に重いです。

ちなみに空き巣は立派な住居侵入です。

 

検察官との面接を待つ間の地下檻の中では、容疑者同士のオーラの見せ合いがあります。

中学生の幼稚な心境と同じ大人が殆どです。

特に、少年房では、殆どが暴走族の少年達ですから、そわそわしている奴や、

顔がダサい奴は一気にいじめの対象になります。

隣からひじで突付かれて、何をして入ってきたのか等と訊かれています。

答えられないと、最近流行の引きこもりの殺人等と決め付けられて、

その日は笑いや暴力の対象となります。警察官に見られないように、殴られたりしています。

 

次の検察官との面接の際にも、また同じメンバーになる事が多いので、いじめは

2週間程度続く事になります。 

 

 

最近では、成人房も同じ傾向になっています。

 

ホワイトカラーの人間は、この留置の段階で神経がおかしくなると思うね。

今までの肩書きが一切通用しない。中学しか出ていない様なアホな奴らと同じ檻に入り、

同じ扱いを受け、そして、彼らの方が力が強いから、馬鹿にされる。

政治家が一回逮捕されて、保釈金を払って出る際に、車椅子に座って(笑)、

出てくるのも、あながち大げさではない訳だ。

 

 

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