【早春の吉見丘陵】   2002年3月  
                      油彩画  15F 53.0×65.2cm    楽環 


比企丘陵の一角を占める吉見丘陵の南西端には松山城址と、市野川沿いの断崖には「吉見百穴」

と呼ばれる古代の横穴式墳墓群があり、北東部には八丁湖やポンポン山が、その稜線部にはよく

手入れされた里山雑木林が広がっている。小柄な初老の老人はまるで地を舞うように踏みしめな

がら、山の手入れに余念がない。何か途轍もない入魂、意気込みのようなものが伝わってくるそ

の仕業の全ては、熟練された手だれの山仕事である。

この丘陵に画架を立てて画いたのはその翌年の春分の日で、例年ならば未だ桜も咲かないはずだ

が、この年、桜はすでに終盤で林内の低木には白っぽい産毛のような新芽が芽吹いている。丘陵

の稜線部をぬってゆっくりとカーブする散策路沿いの雑木林を画くことにした。時刻は早朝六時

頃で、暫らくすると右手から朝日が林床に差込み小道に投じる樹影が見事である。芽吹き始めた

梢は芽をいっぱいに膨らませて萌黄に輝き、空は未だ青く澄み、日の光は限りなく明るく、樹影

は先鋭である。


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