印について

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      落款とは (らくせいかんし)の略です。


「篆刻は「方寸の世界に天地を宿す」といわれ、 わずか4p四方の中に彫る人の精神性や思考を盛り込む芸術として重んじられました。
落款とは
書画作品を制作し姓名や、雅号を署名し 押印する行為をこれを落款といいます。
これによって作品の完成を示します。本来は「落款印」などと いう印はありません。落款に使う印とか、落款用の印と言うべきなのです。
完全な形の落款とは
@ いつ  (年月日・季節)
A なにを (内容)
B どこで (場所)
C なぜ  (書いた目的)
D だれが (筆者の姓名・字号)


上の5つの条件を書き入れたものです。
本来は、作品を書き上げるとその作品にあった印を書作家自ら彫っていたものです。
白文と朱文
印は、白文を正式 とする伝統があります。
署名印は白文を上にし、朱文を下にするのが慣習と なっていますので、姓名印を白文にし、字号印を朱文にするのが通例です。
字号印とは・・・字 (あざな…他人が呼びならわした本名以外の名。)と雅号のことです。

白文とは
文字の部分を彫り込み、印肉をつけて押したときに白く文字が現れます。 これを白文といい、陰刻です。文字を凹状に彫った印です。
朱文とは
文字と輪郭を残し、他を削り取ります。印肉をつけて押したときに 朱の文字が現れます。これを朱文といい、陽刻印です。 文字を凸状に彫った印です。
サイズ
サイズの目安
短冊・・・・・・・・2分 …6o角     3〜6o
葉書・・・・・・・・2.5分…7o角     3〜10o
寸松庵色紙・・2.5分…7o角     6〜12o
色紙・・・・・・・・5分 …15o角    9〜15o
半懐紙・・・・・・5分 …15o角    9〜15o
全懐紙・・・・・・6分 …18o角    10〜21o
半切・・・・・・・・6分 …18o角    15〜24o
聯落ち・・・・・・8分 …24o角    15〜30o
全紙・・・・・・・・1寸 …30o角    20〜36o

短冊なら、2分ぐらいが良いですが、 3〜6oの
  範囲のサイズが適しいるという目安です。


漢字条幅半切の場合
一行書き・・・20o〜25o
二行書き・・・20o前後
三行書き・・・15〜20o
四行書き・・・15o前後

作品の文字数が多い場合は小さめの印を使い、文字数が少ない場合は 大きいサイズを使います。
作品に合わせたサイズを選ぶことが大切です。

かな条幅半切の場合
和歌一首を二行書き・・・18mm〜23o

かなの場合は、特に微妙なので作品との調和を第一に考えます。
一般に、かな作品の場合は、名印か雅印を使い 一顆だけ捺します。朱印にするのが良いです。

印の単位は、 (か) といいます。1顆、2顆と数えます。
種類について
引首印
作品の右上に押す印のことで、関防印(冠冒印)ともいいます。作品の書き出しに押される印です。 長方形や楕円形の成語印が多く用いられます。

姓名印
普通白文を用います。姓名が各2文字なら、縦に2行が一般的です。右から左へまわして彫ることが多く、この方法を回印と言います。また、姓名ともで、三字や五字の場合は、「印」や「章」という字を補足することがあります。


雅号印
表字印とも呼ばれ、雅号を彫ったものです。普通、朱文を用います。
雅号とは、芸術家・文人・学者らが、自分の世俗的な名前や身分を離れて 風雅を楽しむためにつけた名前のことです。


成語印
自分を諌める(いさめる)語、 人生や自然、美についての語、幸福を求める語 などの成語が刻してある印です。引首印や押脚印として用いられます。
成語とは・・ ・昔から多くの人に知られ、しばしば引用される名句やことわざのことです。


詩句印
詩句から選んだ自分好みの語句、いわゆる閑雅風流な印です。
閑雅風流(かんがふうりゅう) とは・・・閑雅とは上品でしとやかな事、景色やものの様子が静かで趣のある ことを言います。風流は俗事を離れ上品で趣のあること、趣向を凝らす事の意味です。


遊印または押脚印(おうきゃくいん)
成語印よりもさらに自由な語句を刻したものや、文字以外を刻した 肖形印などがあります。捺す場所もとくに決まりはなく、本文中の弱い ところを補ったり、強調する役目があります。 肖形印 遊印の一種で、文字ではなく鳥獣などの形を模して彫ってあるものもあります。


斎堂館閣印(さいどうかんかくいん)
自分の書斎や家・山荘などにつけた、趣深い名前のことです。
庵号で、詩仙堂、五合庵、聴氷閣(旧三井家) 有竹斎などが有名です。

基本的には自分の好きな名前をつければよいのですが、 家屋の構えによってある程度は決まります。
*部屋・書斎の一般的な語

堂…部屋・表座敷
斎…部屋・書斎
室…部屋・住居・家
*自宅を謙遜して指す語

庵…草屋・いおり
亭…あばら家
居…住居・居所
屋…屋根、転じて住みか
軒…のき・ひさし、転じて家
洞…洞穴、転じて家

*広い屋敷などを指す語

苑・園…垣根のない田舎の広い家
閣…… 二階建ての立派な家
楼…… 二階建て以上の立派な家
荘…… 下屋敷  館…屋敷
引首印について
引首印は、中国宗時代に始まった習慣です。 長方形が多く、長楕円形や
葫蘆(ころ)形ひさご形があります。
  葫蘆・ひさご方とは、どちらもひょうたん型のことです。


魯堂(ろどう)曰く、 詩文の首(はじめ) に捺す印を引首というなり。関防というのは 宜しからず。尤も中華には関防印というあり。五雑組などにみえたり。あれは、官府より姦 (みだら)を防ぐ為に捺す極め印なり。故に、関防と称す。詩文には、その譯 (やく)なし。引首と云ってよし・・・・。「落款の書き方」 川邊尚風著より。
五雑組(ござっそ)とは天、地、人、物、の書物のこと。

引首印は、白文でも朱文でも良いです。字数は、2字・4字・7字が あり制限はありません。

私の持っている引首印は「直而和」 (ちょくにしてわ)・・・素直でおだやかなこと。の意味です。
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篆書体(てんしょたい)
大篆・小篆・印篆などの総称を篆書 と呼びますが、現在では印に用いられる印篆の事を一般的に 篆書といいます。


甲骨文(こうこつぶん) 、金文(きんぶん)
甲骨文は殷王朝の頃 亀の甲羅や牛の肩甲骨に文字を入れ火で あぶり吉凶を占ったそうです。 中国最古の文字とされています。 素朴な線刻といえます。金文は周王朝 の頃に 青銅器の鼎(かなえ)と言う鋳物製の 器を作ったのですが これを先祖を供養する為の祭祀に使用しました。内側は  文字がびっしり書かれていたそうです。 この青銅器の鼎に書かれてある文字のことを金文と呼んでいます、線の表情が豊かです。


大篆(だいてん)
二千四〜二千五百年前の秦国の文字だと言う説が有力です。 秦の始皇帝が中国を統一する前の秦国の文字だと言われています。


小篆(しょうてん) 、印篆(いんてん)
紀元前221年、天下を統一 した秦の始皇帝が、国の統一とともにそれまでにつくられた多くの 漢字を整理し、文字の統一を図った 際に決められた美しい書体です。篆書体の典型といわれます。 小篆は少し縦長で均整のとれた格調の高い書体、 印篆は正方形に整えられたものです。 小篆・印篆を参考に造字されることが多いです。


隷書体、楷書体(北碑風)
現在の字形に近いため読みやすい字体です。初期のものは素朴な味があり、 後期のものは華麗な要素がつよくなります。


以上が現在印に使われる書体です。

小篆の作られた話。
今から2200年程前 始皇帝は戦国の世に多くの国を滅ぼし、中国を統一 し秦と言う国を作りました。 それまでは、燕 斉 秦 晋 楚 の国にはそれぞれの文字がありました。 しかし、命令を正確に伝える為には どうしても文字を統一し簡略化し なければならなかったのです。

そこで、始皇帝が、李斯(りし)に命じ 大篆を省略して作らせた字体が小篆です。
これが皇帝や官僚の使用する正式な書体とされ、石碑の碑文や、 度量衡の標準器となる量(升目)や権(おもり)に記された詔版文には、 小篆が使われました。 小篆は『説文解字』でもメインの字体として採用されており、 現在でも豊富に見ることが出来ます。


  *許慎 (きょしん)の説文解字(せつもんかいじ) とは
許慎の作った 漢字の成り立ちを説いた本(西暦100年に成立) です。漢字を分析しその構造に説明を加えたもので漢字には  指事 象形 形声 会意 転注 仮借  文字があると説いた書物です。
しかし漢字の成り立ちを正しく知る為には甲骨文から金文へと 文字の変遷 経緯を知らないといけないのですが、許慎の時代には、甲骨文 金文の存在が発見されて いませんでした。ですから文字の成り立ちが正確に解らない部分もあるようです。

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捺し方と手入れについて
印の捺し方
表面が滑らかな紙がきれいに捺せます。 表面がケバ立っていたり、凹凸がある紙に押す場合は、印を押す所を 中指の爪で「の」の字に廻しながらなめらかにします。
印褥台(いんじょくだい)、平らで硬い物(ガラス板か、硬めの雑誌) などの上で捺します。


印泥
印泥は、中に入っているヘラで下から上へまぜおこしながら、 小高い丘のようにしておくと使いよいです。時々混ぜておきます。
印面に印泥を静かに丁寧に全体むらなくつけます。この時、 印泥を軽くトントンとたたくようにして印面につけます。
捺した後は印面の余分な印泥をティシューなどでふき 取ります。


印泥の管理
印泥は、高温多湿でなく乾燥しすぎないところで保管します。 時間が経って古くなり、油のなくなったものや、綿のへたったもの は使わないようにします。
印の管理
印泥には、油が入っていますので、印に付着します。 時々印に洗剤をつけてブラシなどで洗うと良いです。

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