プリロードってなに? (pre=事前 な load=荷重)

 

車高のセッティングを煮詰めて行くと疑問に思うのが、このプリロード。

プリロードってのはダンパASSYが車両から外れている状態=つまり車重が掛かって縮んでない時に、バネのロアシート(バネ下端受け皿)を上に上げていってバネを縮めた量を一般的に示しますです。「プリロード15[mm]だよん」とかですね・・・。
でも語感的にはロード(荷重)なんで、[kg]な力で表すように思うんだけど、ここでは一般的な長さで書きますね。

要は車重が掛かる前から、反発力を持った状態にするってことがプリロードですね。

ここんとこ、プリロードに関する質問が妙に連続するので、ちょいとまとめてみました。だって、数行の質問メールに文章だけでプリロードの解説やるのって、すさまじく書かないといけないし・・・しかも解って貰えない(爆)


おさらい1=バネのレート

まずは、バネのレートについておさらい。

バネの反発力の強さの単位は[kg/mm]でっす。つまりバネを1[mm]縮めるのに必要な仕事量[kg](ホントは[kgf]か?)を表してます。

例1: 10[kg/mm]のバネを20[mm]縮めるのに必要な力は?

10[kg/mm] × 20[mm] = 200[kg]

例2: 6[kg/mm]のバネに15[mm]のプリロードをかけた。その状態のバネの反発力はいくら?

6[kg/mm] × 15[mm] = 90[kg]

どんな状態でもバネのレートは一定であるという話は正しいのですが、勘違いしてはいけないのが、この反発力。10[kg/mm]バネを1[mm]縮めるには10[kg]の力でいいんですが、さらに縮めるにも10[kg]の追加の力がいります。合計20[kg]。このへんが、ごっちゃになって混乱してる人が多いので、良く考えてみてね。

つまり、上の例2だと、このプリロードの掛かったバネ(アッパマウントとロアシートで挟みこんで反発力を保持してる状態=縮めたままキープしてるわけだね)は、90[kg]以下の力で押しても1[mm]だって全然動かないですです。バネが90[kg]で押し返してるわけでっす。

ロアシートを回してプリロードを掛けていくと、最初はいいけどだんだんとロアシートを回すのが大変になってくるのはこのせいね。どんどん反発力が上がるわけだからね。


おさらい2=プリロードゼロ

ゴロンと転がしてるバネの長さが200[mm]だと、このバネの自由長は200[mm]と言います。
車の重量が掛かってない状態( 0[G]状態と言います。1[G]は地球の重力ね)で、ロアシートをだんだん上げていって、アッパとロアシートの間に恋人の手を握るようにそっとバネが挟まれた時が、プリロードがゼロの状態(ダンパのロッドは当然一番伸びた状態です)。

0[G]でバネが縮まないようにセットした状態がプリロードがゼロ(0[mm]や0[kg]ね)です。
車を馬から下ろしたら、車の重量分縮むから、プリロードは・・・ってのは関係ありません。あくまで、pre=事前なload=荷重です。


おさらい3=そもそもロアシートの調整は

バネのロアシート(バネ下端を支えてるお皿部分)が調整できる方式のそもそもの目的は、

です。

 


プリロードが掛かってる時の足の動き

では、プリロードによってどう足の動きが変わっちゃうか?です。

プリロード0[mm]と30[mm]

10[kg/mm]で自由長200[mm]のバネをロアブッシュからアッパ下端まで350[mm]のダンパAssyに、プリロードゼロでセットした状態と、プリロード30[mm]でセットした状態を書いています。

実際のロドスタだと1.4のレバー比がかかって・・・なんですが、解りづらくなるのでレバー比は1で、軸重(バネに掛かる車の重量)を250[kg]としますね。

プリロードが0[mm]、10[mm]、30[mm]で、さっきのバネのとこで計算したように反発力を求めると、

プリロードゼロ:

当然反発力は無し 0[kg]

プリロード10[mm]:

10[kg/mm] × 10[mm] = 100[kg]

プリロード30[mm]:

10[kg/mm] × 30[mm] = 300[kg]

荷重が変化した時のそれぞれのダンパの縮み具合をグラフにしてみました。

ダンパAssyの縮み方グラフ

hight_pre0:  プリロード 0[mm]におけるダンパ長
hight_pre10: プリロード10[mm]におけるダンパ長
hight_pre30: プリロード30[mm]におけるダンパ長

縦軸がダンパAssy長、横軸がダンパAssyに加わる荷重です。1[G]状態の軸重250[kg]に赤い点線を引いてあります。

要はバネのおさらいでだいたいはは〜んと解っちゃったと思いますが、プリロードによって掛かっている反発力を越えるまでダンパAssyは縮まない・・・ってのが結論でっす(^-^)/。

例えば、プリロード30[mm]だと300[kg]で押し返してるわけです。ダンパAssy(バネ)が縮むのは加わる力が300[kg]を超えてからってことですね。バネのレートが10[kg/mm]ですから、300[kg]を越えると10[kg]力が増える毎に1[mm]づつ縮んで行きます。
プリロード10[mm]だと100[kg]で押し返してるわkですから、軸重250[kg]の場合、1[G]状態で250[kg] − 100[kg] = 150[kg]分(15[mm])沈みます。上のグラフでもそれが読み取れますよね。


では、どうなん?

で、どうなるかですが、グラフで解るように反発力以下の力しか加わってない時は、ダンパAssy(バネ)はただの棒です。全然動かない・・・(- -)。
車が浮き上がってダンッと地面に接地しても最初は棒なんで、ゴツ!と衝撃感がでます。そこからググッと荷重が増してプリロードの反発力を越したとこから、やっとダンピングのお仕事をしてくれます。サスペンションとしての応答性で考えると、初期応答が過激に悪い足ちゅうことになります。とーぜん乗り心地も悪い〜。

プリロードの反発力が軸重越えちゃってる30[mm]だとよく解るよね。1[G]だとただの棒・・・、ゆるゆる走ってる分には全然動かないわけだ(^ ^;

また、伸び側のストロークで考えても不利ですよね。足が伸びてきて反発力以下の荷重になると、そこで伸びのストロークはお終いになっちゃうです。

「レートの高い直巻きスプリングではプリロードはゼロが基本」という結論が知られていますが、理由は初期応答が滑らかでなくなるってことですよねぇ。

ただし、どんな特性が良いかは、車と走るコースとドライバの好みで変わりますです。プリロードがゼロであるのはあくまで基本位置ってだけで、プリロードを掛けるのが間違いじゃないってことをお忘れ無くね。
CUT&TRYで色々やってみて、BESTなものを探るのがホントの基本プリロードはゼロに設定して、はいお終いじゃ面白くないよぉ〜

基本が解った上で色々やってみるぅ。コレですよね、やっぱし。

いつもおんなじことやってると飽きられちゃうよー・・・って、それは違う( ^ o ^ )ノ☆/;^-^)ノ


色々来てた質問から諸々の話をちょこちょこと。

 

諸々Q&Aその1: 純正のスプリングもプリロードがすごく掛かってるけど?

純正のバネはレートが非常に低いです。NA6CE用だとフロントが2.79[kg/mm]、リアが1.68[kg/mm]です。これで車高を維持しようと思うとプリロードがゼロだとと〜っても伸び側が長いダンパAssyがいりますよね。

軸重250[kg]、レバー比1.4、スプリングレート1.68[kg]だと、250[kg]の反発力を出すには、

[mm]

208[mm]必要です・・・。と言うことは、プリロードを0[mm]にしようとすると、伸び側が208[mm]もある足を作らないといけない・・・。それは寸法的に無理なんで、純正の足は長いバネを縮めてプリロード掛けてあるのではないでしょか?

それに柔らかいバネだとけっこう縮めても反発力は弱いんで弊害は少ないと思いますですよ。

 

諸々Q&Aその2: 高圧ガスのモノチューブダンパのガス圧が影響してるんじゃないか?

モノチューブダンパは高圧ガスのものが多いです。このガス圧とプリロードの話がどう関係してるのか私は解らないんですけど(^ ^;。なんかついでに聞きたい人が多いようなんでぇ〜。

ええと、ガス圧によってダンパロッドが伸びきった方向に安定します(ロッドが入った分だけ内部容積が減ってガス圧が上がるため、フリーの状態だとロッドは外へ出てる方で安定する)。理屈で考えるとバネレートを増す方へ影響はしてるはずです、けど、けど・・・
実際にバネ外してダンパだけで手で押しこんで(アッパ付けると押しやすい)みた人は解ると思いますが、市販のダンパだと減衰力を上げても手で押しこめますし、押しこんだ位置で保持するのも簡単〜。よーく考えると解ると思いますが、ロッド押し込む度合いで反発力が過大になる(減衰力以上に反発力が出る)わけないですよね・・・バネじゃなくてダンパなんだから。

これに比して、純正のバネであっても手で縮めるのは、とっても無理無理。ましてやそのまま保持するなんて友達がボブ・サップで手伝ってくれる以外無理です(^ ^;

と言うわけで、プリロードの話の中ではガスダンパのガス圧は関係ありませんでっす。

 

諸々Q&Aその3: バネのレートは最初はちょっと緩い?

縮み始めはいくらかは、スペックのレートより緩いレートな気がする・・という友人の予測です。で、機械系の設計の友人に裏とってみました。結果として多少はあるのではないか?しかし、あんまり明言できないなぁ〜という感じでした。

最初の友人の予測は、プリロードを0[mm]で使うとバネの縮み始めが少しレートが低いので緩やかに減衰が立ち上がる気がする・・・と言う経験からの話。ただ、これはプリロードも0[mm]なんで、どっちの影響か??なとこはあります。まぁ、そういう話もあるんだけど、工業試験所行ってバネの試験しないと解らんよねぇで終わってます。

 

諸々Q&Aその4: プリロード掛けずに車高を上げたいんですが?

方法1としては、アッパスペーサ入れる

アッパスペーサこれはアッパマウントとボディの間に挟むスペーサです。

挟んだ厚み×レバー比1.4分だけ車高が上がりますです。ただ、挟めても10mm(車高で14mm)くらいかなぁ・・・。ちょこっと足す分にはこれでいけまっす。

画像はうちの車用に試作してもらったスペーサ。NA、NBの純正アッパにも対応するサイズになってます。いつものMYWAYさんにありますが、製品として出してるのかな? 広告出してるとこではノガミプロジェクト(NOPRO)さんも作ってますね。

方法2としては、スプリングをレートの高いものに交換する

ただ、レートを上げるのは走行特性も変わってしまいますから、本末転倒ではありますよね・・・。

それでもやるとして、じゃぁどれくらいのレートアップが必要か?ですが、

という条件とすると、まずプリロード分の反発力は、
[kg]

25[mm]沈むということは、バネ部分で45 ÷ 1.4沈んでいる。その反発力は、
[kg]

プリロードが0[mm]で0[G]から1[G]で同じ45[mm]沈めたいので、合計の反発力沈む量で割ったものが必要なバネのレートになります。
[kg/mm]

計算上はこうなるんですが、現実的な数値にならないですねぇ(- -)。リアに9[kg]のスプリング入れるわけにはいかないし・・・。現実にはストロークとプリロード値によって大きく変わっちゃうので、ココの事例で実施できるかどうか・・・ですが、無理っぽい手触り。

 


でも、固定の車高の足と違って色々出来るから面白いね。

 

 

01Mar'03

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