
2005.3.10追記 赤い鎧シリーズ題名予想
2001.7.10追記 赤い鎧シリーズ題名予想 デュダシリーズ
(赤い鎧、〜せずシリーズ、デュダ、隅の冒険者)
その他の参考文献のちょっとした解説と感想、
付録として推理小説にとってやっかいな魔法の対策もちょっと書いています。
普通、ファンタジー作品と推理小説は相性が良くありません。というのも、ファンタジー作品は論理を超えた夢物語を扱っているのに対して、推理小説は論理的に謎が解けることが面白さの一つになっているからです。
難しいと思われるファンタジー作品と推理小説の融合ですが、ソードワールドの場合、いくつかの作品で試みられています。
推理小説風味を加えてシリーズ化されている物は3シリーズもあるほどです。(後述、赤い鎧、〜せずシリーズ、デュダ)
これはおそらく、ソードワールドの世界がRPGという厳密?なルールに則っている世界であることが大きく影響していると考えられます。
通常のファンタジー作品では、作者のイメージが最優先されますから、勢い、その世界の常識を覆すことが簡単に起きたり、客観的事実という物がねじ曲げられていったりします。
しかしソードワールドの場合、ルールブックという枠組みがあるせいで、矛盾点を超論理で処理することが難しく、そのため、ある程度は論理的でないと作品が成り立たなくなっているのです。
このことは推理小説という見方からすると大変ありがたいことになるでしょう。
無秩序な魔法や、ヒーローの限界を超えた肉体を楽しむ通常のファンタジー作品では、アリバイやトリック、密室や遠隔殺人などは概念すら存在できません。
極端なことを言うと、ファンタジー物語はこれらの常識を越えていくことを楽しむという面が少なからずあるのですから。
ソードワールドの場合には、ルールを共通認識していることによって、作者と読者との間に、ある種の連帯感が生まれ、論理的な物語に説得力を与えるのです。
ここでは、ソードワールドの中で推理小説との関係が深い作品の解説と感想を簡単に書いていきます。
〜解説と感想〜
ベルダインの衛視長補佐ポール・ギューゼルバーンと衛視バンドールが探偵役として活躍する物語。
(後に、グラスランナーのランプ、盗賊のレニが探偵役に加わります)
赤い鎧と呼ばれる、闇に乗じて悪人を斬る「仕事人」が、最後の良いところを持っていってしまうのがパターン。
細かな証拠を読者に小出しに示しておいて、意外な真犯人を最後に明らかにするという犯人探しの枠組みを保ちながら、ソードワールド世界ならではの真相と結末。
ソードワールドで推理小説風のシナリオを作るときに最も参考になりそうな作品シリーズです。
このシリーズの作品名には有名な推理小説の題名が使われています。
第一作は「幻の女」。ウィリアムアイリッシュの名作推理小説で、人気投票で1位にも選ばれる事もあるほどの作品の題名と同じです。ちなみに1999年に推理作家協会賞を取った香納諒一 さんの作品にも同名の作品があります。
この題名を選んだのには深い訳がありそうです。(ネタばれになる〜)
第二作は「野獣死すべし」。パッと思いつくのは大藪晴彦の小説、というか、松田優作の映画、という人もいるかも知れません。(私もそうでした) しかし、作者の清松さんが意図していたのは、違う「野獣死すべし」、ニコラス・ブレイクの「野獣死すべし」、ではないかと思います。
まあ、この題名には深い意味が思い当たらないので、どちらの作品を意識しても構わない気もしますが。
余談ですが、ニコラスブレイクの方の作品名は江戸川乱歩さんが訳して、大藪晴彦さんの方の作品名はそれとは別に出てきたのだそうです。
〜余談−次作品の題名の予想〜
第三作目はもう初稿が上がっていて、本になるのを待つばかりだと清松さんのページには書いてあります。(2001.4.11現在)
ここでその三作目の題名の予想をしてみますと、、、
過去二作の元の作品はいずれもある小説技法を用いた有名な作品が選ばれています。その流れから行くと「死の接吻」という題名が選ばれる可能性が高いのではないかと想像します。
などと私は言っていましたが、見事にはずれましたね。
本当は参考文献の通りでした。ピーターウィムジー卿の物語を持ってきたんですね。
でも、これから当たる可能性はあるじゃないかって? うーん、それはないと思うなぁ。 ああなって、そうなって、こうなってるもんなぁ。 大したことじゃないとは思うけど。
なぜそうなのか、真相を知りたいという奇特な方は、ネタばれ覚悟でこちらへ。
とか言いつつ、第四作目の題名は参考文献の通りでした。
これもピーターウィムジー卿の物語ですね。
内容は読んで頂くことにして、このシリーズを追っている人にとっては、少し驚くこと(?)が起きています。
「あとがき」を読めば真相が分かるかも。
〜解説と感想〜
「女好きの衛視ジェイシーと美人魔術師ミシェールの探偵コンビが、」古代王国のアイテムが絡んだ複雑な犯罪に挑む作品。
ロマールの魔術師ギルドを舞台に二人が協力して真実を暴いていきます。
魔術師のミシェールは嘘を見抜く魔法の呪文を唱えることが出来ます。しかし、呪文の前で嘘は必ず分かってしまうはずなのに、犯人が分からない。証言の中に埋もれた真実を、あなたは拾い出すことが出来るでしょうか?
このシリーズ作品では、犯罪捜査に用いれば無敵と思われるセンスライの呪文の盲点を存分に示してくれています。
また、嘘を付いていないということが読者にも完全に分かるので、逆に通常の推理小説よりもパズル的要素が強まるという効果も生みだしています。
本格的な推理小説を最も意識したソードワールドの作品はこのシリーズだといっても過言ではないでしょう。
二作目である「ゴーレムは証言せず」では「読者への挑戦状」まで登場していますし、ミシェールが証人に宣言する「私は『嘘感知』を掛けています。・・・」というセリフも、現代でいう「黙秘権の行使」等の宣言に似せていて面白みがあります。
ソードワールドで推理小説というとデュダシリーズを思い浮かべる方もいるかもしれません。
しかし、デュダシリーズで推理小説に当てはまる物は案外少なく、私の集計では全作品中約42%の割合にとどまっています。
(2001年6月に一つ増えて割合は約46%に増えています。2001.7.10追記)(完結って言っていたのに〜)
しかも本格的な推理小説は無いような気が、、 (デュダシリーズの特性として当然のことでしょうが)
私の独断で選んだデュダシリーズの中の推理小説は以下の5作です。簡単な感想を添えておきます。
「ドワーフ村殺人事件」(「ドワーフ村殺人事件」所収)
※探偵が麻薬を飲んで頭脳明晰になるというのは前代未聞では?
「オラン連続失踪事件」(「ドワーフ村殺人事件」所収)
推理小説としてみた場合、(一応)主人公であるデュダと全く関係なく、本編の事件が進んでいる、しかもデュダの方はデュダの方で冒険をしている。という不思議な構成である。
(「デュダ」としてみた場合、全く不思議でないのが不思議)
「いわれなき濡れ衣」(「瞳輝ける夜」所収)
推理小説的巻き込まれ型、がしかし推理の部分はほぼ0。しかし、推理(独断?)した結果を調査していく過程とその結果を効果的に演出して犯人に白状させるところなどは、うまく推理小説のパロディになっている。
「わらべうた殺人事件」(長編)
一応本格的な推理小説なのかも知れない。犯人はなんと無く考えればすぐ分かる。しかし犯人の動機やら、犯人を特定する証拠は隠されている(泣)。この辺はホームズの長編とかに似ていなくもない。
「狙われた相続人」(「許されし偽り」所収)2001.7.10追記
明らかにされた事実から推理を展開していって真実を導き出し事件が解決する。という普通の推理小説のような、デュダにあるまじき構成。(笑) 話としては、ホームズ短編でいくつか見たことがあるような気が、、、 落ちは違いますけどね(一応フォロー)
まあ、最後で安楽椅子探偵にこだわると言うところがデュダなのでしょう。
ここでは犯罪捜査に有用、場合によっては致命的、と思われる魔法と、その対策をメモしておきます。
センスイービル:邪悪な意思を見抜く魔法
【効果】
魔法を掛けた時点で(ファリスにとって)邪悪であるとされる物を見抜くことが出来る。
【対策】
邪悪なだけでは犯罪を犯したという証拠にはならない。
また、犯罪を犯した時点では邪悪でも、魔法を掛けられた時点では邪悪とは限らない。
センスライ:嘘を見抜く魔法
【効果】
話された言葉が嘘かどうかを見抜くことが出来る。
【対策】
口にした言葉以外には効果がない。目は口ほどに物を言う。嘘も含めて。
例:「あなたが犯人ですね」
「何故そのようなことを。私が嘘をついているとでもおっしゃりたいのですか(泣)」
↑犯人かどうかの言及をしていないので魔法には反応しない。
「〜せずシリーズ」や「混沌の夜明けI」が大変参考になります。
「幻の女」(「まぼろしの女」所収)、著:清松みゆき
「幻の女」(Phantom Lady)、著:ウィリアム・アイリッシュ、訳:稲葉昭夫
「幻の女」、著:香納諒一 1998年6月発行 第52回推理作家協会賞
「赤い鎧II〜野獣死すべし」(「虹の舞う海に」所収)、著:清松みゆき
「野獣死すべし」(The Beast Must Die)、著:ニコラスブレイク、訳:永井淳
「野獣死すべし」著:大薮 春彦
「野獣死すべし」主演:松田優作、監督:村川透、角川書店
「死者は弁明せず」(「死者は弁明せず」所収)、著:山本弘
「ゴーレムは証言せず」(「ゴーレムは証言せず」所収)、著:山本弘
「混沌の夜明けI」、著:清松みゆき
P37〜54、捕り物の参考になります。(御用だ御用だ)
P193〜198、センスライへの対抗法が参考になります。
「暗黒伝説クリスタニア」、著:白井英
P100〜114、プレーヤーキャラクターがいわれなき嫌疑を受けてしまい、調査にて濡れ衣をはらしていくという典型的な推理小説的巻き込まれ型シナリオ。
リプレイの方がより顕著に現れています。
「狂える館の復讐〜隅の冒険者の事件簿〜」(「帰ってきたドラゴン〜西武諸国シアター1」所収)著:山本弘、原案:清水零壱
現在ある、もうひとつのソードワールドの本格的推理小説がこの作品です。
バロネス・オルツィの「隅の老人」を強く意識したこの作品は、隅の冒険者と衛視との間の談話の中で物語が進むため、冒険者であるにもかかわらず、主人公が一歩も外に出ない構成になっています。
ソードワールドのルールの中で推理を巡らし、迷宮入りした事件の真相を暴く、ソードワールドならではの真相は「シアター」嫌いの人も一見の価値有りです。
今のところシリーズ化されていませんが、隅の冒険者ヴァイオレット・ワンダーやドワーフの衛視ゼムス・ゼーなどの魅力的なキャラクターは印象的です。
「ミステリ・ハンドブック」、早川書房編集部編
ミステリ通を気取れる魔法の書、ただし魔法の持続時間は18ラウンドに満たない。
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