メタボリックシンドロームと歯周病

安芸氏の市民セミナーで発表した“メタボリックシンドロームと歯周病”についてお話しようと思います。

さて最近話題になっているメタボリックシンドロームと言うものはとかくウェストサイズのことばかり気にしがちですが実際は内臓脂肪の増加により糖代謝異常、脂質代謝異常、動脈硬化などの危険因子が個人に集積している状態を言うものです。

それでは何故そのメタボリックシンドロームが歯周病と関係があるのでしょうか。

















それを考えていくためにまず歯周病が全身に及ぼす影響について考えて見ましょう。

1、肺炎
  口の中の歯周病菌が胃の中に入ってもすぐに胃液によって死滅してしまいますが、間違って肺 の中に入ってしまうと肺炎を引き起こしてしまうことがあります。

2、糖尿病
  歯周病菌の内毒素が発生する物質がインスリンの働きを阻害し、糖尿病が悪化することがある という事がわかってきました。また糖尿病の患者さんの95%が歯周病にかかっているといわ れるほど二つの病気はお互いを鼓舞するように密接な関係を持っています。

3、心臓血管障害
  歯周病菌が血管の中に入り込み体の中をめぐるうちに血管の中にプラーク(歯垢)状のものを形 成してしまうことがあります。そしてその血管は硬くなってしまったり(動脈硬化)、血栓が出 来てしまったりします。

上記の2,3の二つともメタボリックシンドロームと相重なる深い関係があるのですが最近もっと直接の原因の部分にも関係もあることがわかってきました。

4、内臓脂肪の増加
 歯周病菌由来の毒素「リポポリサッカライド(LPS)」が、歯周病の進行以外にも血液中のコレステロールや中 性脂肪の増加の原因となり、メタボリック症候群の一つである脂質異常をひき起こすことが確認された。



このように歯周病が全身に及ぼす影響がメタボリックシンドロームと密接な関係があります。が、しかし歯周病自体の影響が一番大きいのかもしれません。歯周病が進んでいくと歯がグラグラになったり抜けてしまって歯の数が少なくなったりしますが、その為に咀嚼効率が悪くなり食べ物をよく噛まないで丸呑みするようになります。人は満腹中枢が働きだすまで15分から20分くらいかかるらしいですからその間につい多く食べてしまうことになります。この過食、食生活の乱れが内臓脂肪の増加を引き起こすのです。


さてその歯周病というものは日本人成人の70%以上が罹患しているといわれてますが、慢性の生活習慣病とも言われるものであまり大きな症状が無いまま少しづつ進行していってしまいます。そのセルフチェックをここに示しておきましょう。もしこの中のいくつが当てはまるようならすぐに歯医者さんでチェックしてみるようにしましょう。

1 歯磨きのとき出血する

2 口臭がある

3 歯の間によく物が挟まる

4 朝起きたときに口の中がねばねばする

5 歯ぐきが赤く充血している

6 歯が浮く感じがする

7 歯が長くなったようだ

8 歯ぐきを押すと膿が出ることがある

9 手で押すと歯がぐらぐらする



そしてその歯周病の治療と予防方法ですが
a 専門家による特殊な清掃 (スケーリング、ルートプレーニング、PMTC等)
b 麻酔科での外科的清掃術
c かみ合わせや補綴治療(冠や詰め物等)のやり直し
d 歯周病菌の除菌
e 家庭でのブラッシング
f 生活の見直し、生活習慣の改善

等がありますがこの中で特に一番大事なものをあえて選ぶとするなら家庭でのブラッシング(歯磨き)だと思います。
ただそれも正しい方法でやらなければ意味がありません。歯科の世界ではよく”磨いていると磨けているはまったく違う!”という言葉が使われますがそのとおり。やはり歯科で定期健診を受けながら専門家とあなた自身の連係プレーが大事ということでしょう。

なるほどっと思っていただけたらすぐに行動しましょう。少なくても一年に一度の定期健診!これが大事です。
ほらミケランジェロのダビデ像だって動かなきゃこんなになっちゃうよって言ってますよ。




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