虫歯予防のための歯磨き


 虫歯予防のためのフッ化物応用は、その有効性と安全性から推奨されてはいますが、その効果を発揮するためには歯科医院、家庭、学校、地域などの連携による継続が必要と言われています。 
 歯科医院でのフッ化物歯面塗布は最低年2回、通常年3〜4回が必要と言われていますが
その間を埋めるものとして、家庭でのフッ化物洗口法とフッ化物配合歯磨き剤の使用、また地域での水道水フッ化物濃度の適正化が考えられます。
 当院では特にこの歯磨き法に力を入れており、歯面塗布と併せて実施することでかなり有効な結果が期待できるようになりました。
 ここではそのフッ素入り歯磨き剤を使った歯磨き法について紹介していこうと思います。

 現在、当院ではスウェーデンのイエテボリ大学で考案推奨されているものを基にして、それを継続しやすいように個々にあわせてアレンジして指導しております。

 基本となるイエテボリ法とは次のとおりです。

  1. 歯ブラシに2cm(1g)の歯磨剤をつける。
  2. 歯磨剤を歯面全体に広げる。
  3. 2分間ブラッシングをする。
  4. 歯磨剤を吐き出さずに10mlの水を含む。
  5. 30秒間そのままうがいする
  6. 吐き出した後、うがいをしない。その後2時間は飲食をしない。 


 今まで覚えてきた歯磨き法とかなり違うと思った方も多いのではないでしょうか。
まず、歯磨き剤の量ですが、今までは特に大人の方の歯磨きの場合当院でもほんの5mm以下くらいと説明してきました。2cmと言ったら本当に山盛りいっぱいですからちょっと面食らうかもしれません。
 続く2,3のところはあまり変わったことはありませんが、その後の4ですね。歯磨き剤を吐き出さないって言うところが大切です。ブラッシングが終わったらすぐ吐き出してしまいがちですが、そのまま10mlの水でうがいします。この10mlと言うのもかなり少ない量です。コップの下1〜2cmくらいの量です。結局歯磨き剤の量も、吐き出さないと言うのも、この水の量もすべてフッ素の濃度が決め手になるからです。ある程度以上の濃さのフッ素溶液で歯の表面をコーティングしているようなものです。
 その後はうがいをしないわけですから、食べかすなどが気になる方はあらかじめうがいをしてからこの歯磨きをするといいでしょう。

 さてそれでは歯磨き剤はどういうものを使えばいいかですが、歯科医院においてあるフッ素入り歯磨き剤(フッ素濃度1000ppm前後)のものをお勧めしますが、市販のものでも虫歯予防を効用にうたっている歯磨き剤ならほぼ同じ効果が期待されます。(市販のものはフッ素濃度の記載が無いのですがライオンさんや花王さんに問い合わせたところ1000ppm以下と言う規定があるために殆んどの物は950〜1000ppmのものらしいです。)ただ、6歳以上の子はそれでいいのですが、それよりも小さいお子さんの場合、たとえば2,3歳児の場合は歯磨き剤の約半分を飲み込んでしまうことがあるためにフッ素症への影響を考慮して500ppmのものをお勧めしています。市販のフッ素入り子供歯磨きにはフッ素濃度1000ppmのものが多いようですのでご注意ください。

 ここでフッ素症について説明しておきましょう。
フッ素の急性中毒の症状は腹痛、下痢、嘔吐などで、慢性中毒症状としては班状歯(歯の表面に白い斑点や筋ができる)や骨硬化症などがあります。一日あたり体重1kgに対して0,1mgのフッ素摂取でフッ素症のリスクが高くなると言いますから、体重12kg(平均体重)の2歳児の場合そのボーダーラインは1,2mgとなります。(急性中毒を引き起こす可能性のある量はその20倍ですから24mgです。)幼児用の歯ブラシは小さいですから0,5gの歯磨きをつけるとして、一度の歯磨きで飲み込む可能性のあるフッ素量は0,125mgですので全く心配の要らない量だと思います。ちなみに緑茶200ml中にも同等のフッ素が含まれています。

 この歯磨き法は、あくまで虫歯予防を目的としたものであり、成人の場合はこの他に歯周病の予防も必要ですから、また違う磨き方が必要です。しかし、中年以降に増えてくる歯の根にできる虫歯に対してはまた非常に有効ですから、最後にこの磨き方で仕上げ磨きをするようになされば最適だと思います。
 現在、この磨き方は虫歯の一番出来やすい3歳から15歳くらいまでの子を対象にして指導しておりますが、もしここを見て興味がある方はおっしゃって頂ければいつでも説明いたします。


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