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ぎんぶら【銀ぶら】 東京の銀座通りをぶらぶら散歩すること。(新辞林 三省堂) ぎんぶら,銀ぶら(をする) (have) a stroll [ramble] on the Ginza. (デイリーコンサイス和英辞典 三省堂) 大正末期から昭和初期までの15年間ぐらいは、明治から発展し、関東大震災復興を遂げ、銀座にモガモボが蝟集し、いわゆる大正デモクラシーを謳歌していた頃のこと、銀座通を一日に一回はぶらつかないと眠れないなどという風潮がありました。 ちなみにその頃の東京の生活風習をなぞれば、居住圏は山手線の内側になり、銀座とその居住圏は地下鉄、市電でつながり、人は仕事や学業を終えると交通機関や徒歩で銀座に出て、夜店を冷やかすなり、買い物飲食にそれぞれの夜を過ごしていました。 (私の銀座風俗史 石丸雄司) 新聞を小脇にしたモダンガール。画家不詳(昭和2) |
唐突ですが、「ぶらぶらする」という言葉に忠実な「銀ブラ」を、本当にたしなんでいる人は、果たして現代の銀座にどれくらいいるものでしょう?
たとえ東京近郊在住の方でも、どうも銀座は敷居が高くて、「銀座で飲み会」と聞いただけで思わず襟を正してしまう方は多いのではないでしょうか?
ところで、私は部屋探しの際はファシリティーより交通の便を重視する主義で、山手線の円内にアパートを構えております。
新宿であろうと品川であろうと、その気になれば自転車で行けてしまいます。
銀座に至っては、自宅からほんの15分も飛ばせば着いてしまう距離でして、ちょっとした買い物を銀座で済ませてしまうことも可能です(自慢)。
見たい映画があるときも一番便利なのは銀座で、なぜなら銀座の映画館が我が家から最寄の映画館だからです(もひとつ自慢)。
そこで、山の手円内に住む「選ばれし者」として、これぞまさに銀ブラ、というのを実践してみようと思い立ちました。
普段着のまま、自転車に乗って、「ぶらりと銀座へ、たゞ映画を見に行く」。
これを日常に取り入れて、私も立派に銀座通を名乗ることができるようになるか?
あえて、お出かけの準備はしませんでした。
ぶらりと散歩するのに、準備など要るはずがありません。
ザックだけ持って、サクッと銀座までひとっ走り。
道がすいていて10分で到着!
歩道には人があふれている一方、車道はそれほど混んではいず、ちょっとした優越感を感じます。
中心に近づき、和光が視界に入ってきました。
さすがに交通量は増してきます。
黒いおベンツに幅寄せされたところで、やむなく歩道に進入。
そこで、磨かれた銀座のブティックのショーウインドーに映る自分の姿を見た瞬間、私の葛藤が始まりました。
「あれ?俺って、もしかしてかなり浮いてる・・・」
軽い気持ちとはいえ、いくらなんでもジャージで来るべきではなかったか。
『あれま、この人ったら、何てはしたない服をお召しになっているのかしら?』
銀座人の視線が、急に気になりだす。
しかし、負けるな俺よ!
俺はこの人たちと違って、ほんの気軽な動機でここを歩いているんだぞ!
ただの散歩、正真正銘の『銀ブラ』をしているのは俺のほうなんだぞ!
必死に自分に言い聞かせるも、やっぱり、落ち着かない。
人ごみを避けながら、なおも歩道をヨロヨロと走る。
すると、それまで気にもしていなかった自転車のチェーンのキイキイという音が気になりだす。
銀座の貴婦人たちの視線:
『おやま、賑やかな乗り物ですこと、オホホホホ!』
そういえば最近手入れしてなかったなあ・・・。許せ愛車よ!
でも、しばらくはソソウをするでない。ここは花の銀座なるぞ!
文字通り真っ白な、鈴木その子の店の横を通る。
究極の美白術を施された店員たちの肌は、この世のものではない異様な白さである。
夏休みの日焼け跡が残る私とは、まさしく「オセロ」な関係である。
しかし、この20分ほど銀座びとの白眼視に晒されてきた私が、彼女たちに親近感を覚えたのは何故だろう?
映画館に入る前に、銀座ウインズで少しだけ馬券を購入する。
ああ・・・この落ち着き。
銀座といえども、こういう人種が集まるエリアがあるものなのだな。
ここではまったく違和感のない、私のジャージ。
粋人の視線から逃れた安堵感とともに、ここで安心してしまう自分にやや危機感も味わう。
ようやく主目的たる映画館に到着。
ここで大誤算。
ふかふかした椅子に腰をおろした途端、気持ちよくなってしまいました。
タイトルロールを見ているうちに眠気に襲われ、最初の部分を寝とばしてしまう失態。
あんまりよくわからんまま、映画終了・・・。
今日の銀ブラ、なんだかとっても疲れてしまいました。
とてもじゃないが、今の私は「銀ブラ」の語意と程遠い心境であることに、ようやく気づきました。
私が銀座をぶらりと散歩することができるようになるには、あとどれだけの月日がかかることやら・・・。
それでは、最後に銀座にひとこと。
今日はこれくらいにしといたろ!