三船美佳さんの離婚裁判について

一年前、私も関わった「モラル・ハラスメントのすべて」を証拠として裁判所に提出してくださった三船美佳さんの離婚が成立しました。直接お会いすることも、お話することもない方の離婚について、どうこういう必要はないので「おめでとうございます!よかったですね」で終わらせようと思っていました。ところがネットで「事実上の完敗! 」「身勝手離婚」という記事を読み、ええええ〜〜〜とビックリ! 「この裁判の結果を見て完敗というんだぁ」と、世の人がモラハラ離婚の実情について何も知らないのだということに驚き、読んだ人が誤解されると困るので、ここに書いておくことにしました。

最初に結論から言うと、こ・れ・は大勝利ですよーーー。すごいですよーーー。少なくとも私の掲示板常連さんは、これが大勝利だということがわかっていると思います。
まず第一に、この裁判の目的は離婚することだということ。これができている。冒頭に紹介した記事ではあたかも裁判で相手方を貶めることが目的だったかのように書かれていますが、それが目的なら今回の流れにはなりません。離婚したい→拒否→では調停→やっぱり拒否→しかたなく裁判なのです。最初に相手方が離婚を拒否しなければ、裁判にはならないのです。これは私の掲示板に来られる方のほとんどが経験することなので、モラハラ離婚においては通常の流れになります。

調停も裁判もとことん体力、精神を消耗します。これは離婚に限らず、人との争いごとを抱えると、次はどうなるんだろう、どう動いたらいいんだろう、もし思いもよらないことが起こってしまったらどうしようという思いが常に頭の中にありますから、普通の日常生活をおくることができません。多くの方たちが病院通いをしながらこの時を過ごすことになります。私は(難しい)モラハラの立証よりも、早めに離婚を成立させ、再出発する方を勧めています。そのために欲しいものに優先順位をつけ、後は諦めるといったことも必要になります。

今回三船さん側の弁護士さんの話では、本来ならば当然出てくるはずの慰謝料・養育費の要求をしていません。このふたつは裁判が長引く大きな要因のひとつですので、いかに早く終わらせるかを意識したものと思われます。養育費は、離婚後母子家庭になると生活困窮が予想されることが多いので、必ず要求するものですが、他に「あなたの子でもあるのよ」と、父親に責任をまっとうさせるという意味もあります。ところが養育費を巡って接点ができてしまうと、相手方と常に繋がっているという苦痛も同時に持ちます。「先月の養育費がまだ振り込まれない」と、延々と相手方とのやりとりを続けている人がどれほど多いことか! 裁判を長引かせない、相手との接点を持たないための養育費請求無しですが、モラハラ離婚の場合、更に大きな大きな壁があります。

面会交流です。

それが今回ない!超びっくり!!
おそらく掲示板常連の方も、のけぞるほど驚いたと思います。

現在裁判所は離婚する際、精神的、肉体的、時間的、経済的負担の大変多い面会交流を強硬に押しつけてきます(あえて押しつけると書きます)。それが身体的暴力のあるDV離婚だとしても、です。「暴力は夫婦間のことで、子どもには関係ない」というのが裁判所の言い分だそうです。 今回、面会交流に相当するのは年2回カラー写真を送るという軽いもの。 つまり、法的しばりによる美佳さん親子と父親の接点はほとんど無いに等しい。これが大勝利でなくて何なのだ!モラハラ被害者の大多数は、これを望んでいるのです!

相手からの洗脳下に生活していた人は、たとえ洗脳が解けても恐怖感は残ります。これは脳の仕組みなので、自分の意志でどうにかなるものではありません。できるだけ相手と接点を持たないことは、これから暮らしていく上でとても重要なことなのです。どうしても接点を持たなければならない人は、心理療法などで乗り越えていくことになるのでしょう。

子どもはいつまでも子どもではありません。また、育てるのは親だけではありません。子どもは学校や、友だちや、住んでいる社会の人たちによって育まれます。沢山の本を読み、沢山の人たちと会話し、自分の生き方を模索していくでしょう。そして何年か後に、父親に対する考えを定める日が来るかもしれません。まだこれで決まったわけではないのです。

三船美佳さんの離婚問題によって、多くの方に「モラル・ハラスメント」という言葉を知っていただくきっかけになりました。ですが前述しているとおり、司法の場でモラハラをきちんと理解している方は非常に少数であり、どんなに大きな社会問題なのか、いまだ議論の対象にすらなっていません。モラハラは家庭だけでなく、あらゆる社会に存在する、陰湿で邪悪なものなのです。

三船美佳さんがまだ33才なのだということを今回改めて知り、「ええ〜〜!」と驚くと同時に羨ましさも感じています。大きな試練を乗り越えた後、人間的に大きく成長する人がいます。美佳さんには時を失ったのではなく、これからの自分を作るのに必要な時間だったのだと思っていただけたらいいなと思います。

三船美佳さん、本当におめでとうございます。


末永く、いつまでもお幸せに。


    モラル・ハラスメント被害者同盟管理人 熊谷早智子


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