三船美佳さんの離婚裁判に「モラル・ハラスメントのすべて」が提出された件について

 平成27年3月3日、三船美佳さん、高橋ジョージさんの離婚裁判第1回口頭弁論が東京家庭裁判所で行われ、 三船さん側の証拠として私も共著者のひとりとして関わっている「モラル・ハラスメントのすべて」(講談社)が提出されました。 3月3日から4日にかけて、ほとんどすべてのワイドショーでこれが取り上げられました。ひとりでも多くの方にモラハラを伝えたいと 出版した本が裁判所に提出されたことは、大変光栄なことだと思っています。 ただ、「モラル・ハラスメントのすべて」「家庭モラル・ハラスメント」が調停や裁判の証拠や参考本として提出されたことは初めてではありません。メールや私が運営するBBSでは、 「調停委員(裁判官)に読んで欲しいので、裁判所に提出しました」というご報告を何度も受けています。また、BBSにご自分が 書き込んだログをコピーし、モラハラを受けていたときのメモ代わりの証拠として提出された方もいます。 弁護士さんから「MixiなどのSNSより信頼性がある」としてお墨付きをいただき、本当に嬉しく思っています。

 当初三船さんの離婚原因はモラハラだとスポーツ紙で報道されましたが、それは三船さんの知人の方からの情報であり、本人の口から 語られたものではありませんでしたから、私もコメントすることは控えてきました。ただ、「モラハラがあったのではないだろうか」とは 思っていました。その根拠のひとつは、三船さんがお子さんを連れて大阪に転居されているからです。
 離婚を決めて家を出ようとするときに、一番ネックになるのは子どもにどう納得させるかです。 私は常々被害者の方に「家を出るなら子どもが小学生のうちに」とお伝えしてきました。中学生ともなれば子どもには自分の世界が ありますし、自己主張も強くなります。「お母さんと一緒に家を出ましょう」と言っても、(つきあっている彼女もいるし部活もあるし) 自分は残るという子どもも出てきます。母親は子どもを置いて家を出るわけにもいかず、夫からのモラハラに晒され続けることになります。 ですから親と一緒についてきやすい小学生のうちが望ましいのです。
 親として、子どもを親しい友だちや通い慣れた学校から切り離してしまうすまなさの他に、新しい場所で子どもがうまくなじんで いけるかという不安がありますから、ここは本当に苦渋の決断がいるところです。 子どもに大きな犠牲を強いるという、母親にとって身を切られるような決断を三船さんはしました。それはよくよくのことだったと思います。 そのよくよくの原因がモラハラならば、納得がいくところです。

 裁判は始まったばかりで、外野である私がどうこう言うことではないとは思いますが、ただひとつ、高橋さんのコメントで気になる 部分がありましたので、それだけは記しておきます。「本来ならば、子どもも交えてテーブルでご飯を食べながら、どうしたらいいんだろうね と話し合いたいというのが夢」という部分です。10歳の子どもを離婚の話し合いをする場に同席させるということは言語道断です。離婚は夫婦の問題です。 そこに子どもを混ぜて「ママはパパと離婚したいって言ってるんだけど、どう思う?」と聞きたいと言うわけです。親から虐待を受けている 子どもですら親を慕います。子どもとはそういうものなのです。ほとんどの子どもは 「離婚しないで」と言います。「ほら、子どもは嫌だって言ってるだろう。もう、子どもが泣いちゃってるよ。いいのか?子どもを泣かせて」 とやりたいわけです。子どもは離婚したい母親としたくない父親の間でどちらにつくこともできず、悩んでしまうことになります。父と母の離婚は 自分のせいなのではないかと、心を痛め続けることになります。このときの傷が、その後の子どもの人生を大きく左右することもあります。
 夫婦の問題に子どもを入れてはいけません。子どもには夫婦が話し合った 結果(モラハラの場合は加害者とは話し合いにならないので、片方だけが話をすることになりますが)だけを伝え、「あなたの生活は 変わらないように努力をするから付いてきて欲しい」とだけ伝えればよいことです。その時に「ママはパパと一緒に暮らしているのが 辛いの」とだけ告げればよいことです。離婚協議を、10歳の子どもを混ぜて家族会議がしたい、それも食事でもしながらなんて、あり得ない。物を知らなすぎる。
 カメラに向かって「子どもが、子どもが」と連呼するならば、児童心理の専門家の所に行き「こういう場合、 父親として自分はどうしたらよいのか」と伺ったらいかがでしょうか。4人も弁護士を雇える資力があるならば、それは簡単なことのはずです。 そして「妻を最高に愛している」と言うならば、その最愛の妻に、ご自分は何ができるかを考えられてはいかがでしょうか。

 ワイドショーでは、三船さんはモラハラを理由に離婚できるかできないかと騒がしくしていますが、 三船さんは本当に裁判をしたくなかったんだろうなぁと思います。だから情報を小出しにして、裁判をせずに その前に決着をつけたかったんだろうなぁと思います。芸能人ならイメージダウンするかもしれない裁判は避けるのが普通ですから、 高橋さんがそれを避け、裁判する前に納めることを望んだのではないでしょうか。

 ただ、「今は幸せです」という三船さんの笑顔を見て、私はふと12年前、裁判所に離婚調停の申し立てをしてきた時のことを 思い出しました。職場の昼休みに車を飛ばして提出した帰り道、ラジオから流れていた懐メロの「カモメが翔んだ日」。 私の心と同じようにすかっと澄み切った青い空、昨日までとはまるで違う町の景色、すべて忘れることはできません。 あのときの私もきっと、美佳さんと同じような笑顔だったのだろうと思います。灰色だった生活から飛び出し、 新しい生活を手に入れ、新しい自分になれました。すべてのものに感謝したい気持ちでした。三船さんもきっと同じ気持ちなのではないでしょうか。
 三船さんが裁判に「モラル・ハラスメントのすべて」を提出してくださったことで、多くの方がモラル・ハラスメントに興味を持ってくださいました。 きっかけを作ってくださったことに心から感謝いたします。ありがとうございました。

三船美佳さんと、ご家族のみなさまのお幸せを、心からお祈りいたします。


モラル・ハラスメント被害者同盟管理人 熊谷早智子


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