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核武装論に言及している書籍

【項目】
兵頭二十八著『日本有事』
中西輝政編『「日本核武装」の論点』
伊藤貫著『中国の「核」が世界を制す』
柿谷勲夫著『徴兵制が日本を救う』
兵頭二十八著『ニッポン核武装再論』
小林よしのり責任編集『わしズム』Vol.7
中川八洋著『日本核武装の選択』
中島尚志著『日本核武装―廃絶への道を求めて』
武田徹著『「核」論―鉄腕アトムと原発事故のあいだ』
副島隆彦著『属国・日本論』
下線部は引用を意味しています。


[日本有事]

兵頭二十八著『日本有事』

 憲法を棄て、核武装せよ!軍学者の力作。2006年初版。PHP研究所刊952円。
 すべての答えはここにある。憲法改正はもう時代遅れの妄言だ。その理由は、この本を 読めばたちまち理解できることだろう。マック憲法は改正してはならない。破棄せねば ならないのだ。
 奴隷憲法破棄を掲げて国政選挙を戦う唯一の政党「維新政党・新風」は、本書出版の年に 兵頭二十八氏を党の講師として招聘した。

日本以外の国家で、下級武士による自由主義的な、しかもアメリカを主敵の1つと念頭した 「独立維持」スローガンのもとに革命をなしとげた国など、どこにもない。過去の日本のアナロジーから、 北鮮の「暴発」を論ずるなど、笑止であるばかりでなく、自国の先人に対する失礼な無知であろう。 /北朝鮮は、下からの革命とは無縁の、ソ連占領下に人工的に創られた、一党独裁国家にすぎない。
(『第1章 2008年の朝鮮半島はどうなっているのか?』より)


[日本核武装の論点]

中西輝政編『「日本核武装」の論点』

 日本言論界の錚々たる人士が説く日本核武装論の集大成。2006年初版。PHP研究所刊1500円。
 こんな贅沢な本がこれまであったろうか?この本を一冊読めば、日本核武装論の「今」がわかる。 中西輝政、日下公人、平松茂雄、櫻井よしこ、西岡力、伊藤貫、兵頭二十八ら日本言論界で大活躍中の 各氏の日本核武装に関する論考が集大成されているのである。
 『月刊Will』『正論』『諸君!』などに掲載された論文・対談などのほかに中西氏・日下氏・兵頭氏の 特別書き下ろしまで加えられている、熱い一冊である。帯には「もはやタブーではない」と でかでかと宣言しており、時代の変化を感じさせられる。

 日本人がこれほど大きな懸念を抱いている北朝鮮の核の脅威に対して、すでに盧武鉉大統領のスピーチでも 明らかなとおり、韓国は北の核保有を敢えて「同民族の核」という論理で容認し、すべてに優先させて統一を 目指しているように見える。/これは何を意味するのか。それは、「統一された朝鮮半島に核が残る可能性がある」 ということである。そうなれば、この地域で核兵器を持たない国は「日本だけ」という状況になる。 これはつまり、中・露・米・朝(統一韓国)という核保有国の谷間に日本はたった一人で、「うずくまる」 しかないことになるのである。
(中西輝政「第一章 日本核武装の議論を始める秋」より)

 日本は再び、自分で自分の体格に合った服をつくり、着こなすようにならなければならない。 他者がつくった服を無理に着る必要はない。日本は、自らに合う服をつくるセンスも、 技術も、経済力も十二分に持っている。軍事力さえも、日本人にその自覚が薄いだけで、ポンテンシャルは 世界のトップ水準である。
(日下公人「第二章 日本という国家の意志の表明を」より)

 大東亜戦争の正しい認識――支那事変では蒋介石が侵略者であったが、日米戦争では日本が侵略者 であった――は、日本の核武装と関係ないどころか、必ずクリアしておかなければ先に進めなくなる、 まず第一のステップです。 (中略)
 日本は条約を平気で堂々と破るシナのような反近代国家ではないのですから、シナからの自衛のために NPTから脱退することを早く公式に声明しなければなりません。/説明が近代国家として穏当であれば、 日本の核武装の決意をアメリカは妨害しません。 (中略)
 日本の核兵備を開発させるセクションは、防衛庁の技術研究本部内に新たに設けることになるでしょう。 そうでなくては秘密保持ができません。また中共スパイの入り込みを実効的に阻止できなければ、 アメリカにも信用されません。/技術研究本部というところは、これまでも、各軍需企業からの 出向技術者が主力となって、ミサイルや電子機器や特殊素材などを国産してきました。 官庁でありながら、優秀な人員の増減をフレキシブルにできる素地があるのです。
(兵頭二十八「第六章 日本核武装の具体的スケジュール」より)


[中国の「核」が世界を制す]

伊藤貫著『中国の「核」が世界を制す』

米国在住、国際政治・米国金融アナリストによる日本核武装論。2006年初版。PHP研究所刊1400円。
 一言で言えば、衝撃的な本である。最近流行の中国脅威論かと思って手に取ったら大間違いだった。 もちろん支那の脅威についても、日本人の「甘さ」をとことん指摘している。われわれが思っている以上に 支那の覇権主義は「脅威」である。一刻の猶予もない。しかしそれ以上に、アメリカを知り尽くした著者の 警告には愕然とさせられた。アメリカや支那のエスタブリッシュメントが日本をどう見ているか、そして 日本のエスタブリッシュメントが国民をどうしようとしているのかがよく分かる。今すぐ読んで欲しい。

 二度の世界大戦がなければ、共産主義体制が世界中に広まることもなかった。1917年以降、ソ連、東欧、 中国、北朝鮮、チベット、ウイグル、ベトナム、カンボジア等で共産党が虐殺した民衆の数は、8000万人を超える。 ヨーロッパの諸国が、1871年以降の「ドイツの台頭」を処理することに失敗したコストは膨大なものとなった。
 21世紀のアジアにおいても、日米両国が「中国の台頭」を処理することに失敗すれば、そのコストは膨大な ものになるだろう。
 アジア地域が「中華勢力圏」になってしまえば、「宗主国」中国の影響を受けて、アジア諸国からも自由主義・ 法治主義・民主主義は消滅するだろう。中国に対するアピーズメント・ポリシー(宥和政策、懐柔政策)と 「東アジア共同体の建設」を主張する日本人は、ヨーロッパ諸国のドイツ覇権主義に対するアピーズメント・ポリシー の失敗がどれほど悲惨な結果になったかを、もう一度学び直すべきではないか。

(「第二章 世界一の覇権国を目指す中国」より)

 年々着々とその能力を向上させている中国軍の強力な核ミサイル戦力に対して、他国の提供する「核の傘」やミサイル防衛 システムでは、日本を守れない。今後、日本政府が自主的な核抑止力を構築しないかぎり、日本国はいすれ自由と独立を失い、 中華勢力圏に編入されてしまうだろう。
 CIAとエネルギー省が、中国スパイが1980年代後半にアメリカのもっとも優れたMIRV用核弾頭の技術を盗んだ、 という事実を初めて知ったのは、1995年夏のことであった。
 その年の秋、北京でチャールズ・フリーマン元国防次官補が熊光楷副総参謀長に会ったとき、 フリーマン次官補は、「すでに中国は、米軍が破壊することのできない移動式の核ミサイル戦力を所有している」 と告げられ、「アメリカ政府は、東アジアにおける中国の軍事紛争に介入するな」という厳しい警告を受けている。
 中国軍の幹部は、米中間の核戦力バランスが中国に有利な方向にシフトしていることを、明確に理解しているのである。

(「第三章 中国の軍事戦略と日本の防衛」より)

 軍事学の視点からは、米中朝露四カ国の核ミサイルに包囲された現在の日本に自主的な核抑止力が必要であることを 認めながらも、「日本人には、道徳的な判断が欠けている。付和同雷しやすい日本人に、核兵器を持たせるのは危険だ」 という理由をつけて、自主的な核抑止力の構築に反対する政治家や言論人が少なくない。
 このタイプの反論には、一見、もっともらしい説得力がある。敗戦後、外交・軍事問題で真の独立性を必要とする 政策を実行することを避けてきた日本人にとって、心理的に受け入れやすい議論である。しかしこのような議論は、 しょせん、現在の東アジアの厳しい地政学的状況から逃避しようとする、エスケーピスト(不作為を正当化する論理) でしかない。
 日本は現在、四核武装国に包囲されている。すでに説明したように、米国の「核の傘」やMDシステムに依存するだけでは、 他国の核攻撃やニュークリア・ブラックメールから日本を守ることはできない。
 かりに日本政府が、「道徳的な判断力が欠けている日本人に、核兵器を持たせるのは危険だ」という立場を維持した場合、 日本を包囲する四核武装国は日本に対して「特別の配慮」と「特別の温情」を持って対日政策を決定してくれるのだろうか。 それともこれら四核武装国は、東アジア地域で日本だけがヴァルネラブル(脆弱)な非核保有国であることにつけこんで、 対日交渉において自国に有利(日本に不利)な条件を一方的に押しつけてくるだろうか。

(「第五章 日本が独立国であるために」より)


柿谷勲夫著『徴兵制が日本を救う』

陸上自衛隊の元最高幹部による論文集。1999年初版。展転社刊1600円。
 この本については、月刊核武装論のゲストブックに投稿してくれたNAKKI氏に教えて頂いた。NAKKI様、ありがとうございます。
 電子掲示板によるやりとりも、時にはこのような収穫があるものだ。以下、NAKKI氏とのやり取りを抜粋して再録してから柿谷論文を紹介する。

[御名前] : NAKKI
[投稿文] : 一週間前から、柿谷勲夫という軍事評論家の「徴兵制が日本を救う」と言う本を読み、核武装の項目に共感を覚えました。ついでにネットで核武装で検索してみたのですが、のっけから度肝を抜かれました。こんなすごいサイトがあるなんて。しかも主催者が23歳?う〜ん。すごいです。中国やアメリカの属国にならずに独立国として主権を維持するには核武装しかありません。特にアジアでは唯一の障害である日本が核武装する前に何とか料理してしまおうと中国が虎視眈々ではないですか。ほとんど我慢の限界です。
[名前] : 朱斑羽
[投稿文] : NAKKI様
 はじめまして。過分のお褒めのことば、ありがとうございます。まだまだ未完成のサイトですし、閲覧者数も多くはありません。今後もっと勉強し、工夫して、世論に少しでも影響を与えられるようになりたい、同志を増やしたいと思います。
 この本はまだ読んだことがありませんでした。早速入手して読みたいと思います。情報ありがとうございます!
 「中国やアメリカの属国にならずに」←ここが大事なんです。僕の一番言いたいことです。

[御名前] : NAKKI
[投稿文] : 朱斑羽殿。
早速のご返事感謝します。一番嬉しく思いましたのは同じような考えを持った人が力強く主張し行動を起こしてくれていること。実を言いますと大変な励みになりました。私は自分の国日本に大きな愛情とともに極めて現実的な危機感を感じている一人です。政治家も財界も国民も一番大切なことを忘れています。それは「国を守る」と言うことです。国防を外国任せにし、経済力を国力と誤解し、国民は兵役の義務に就かず、故に国と自分との関係を見失っています。日本を含む極東の国際関係は極めて緊張しています。米国頼みの安全保障では何らかの理由で米国のプレゼンスが大きく極東から後退した場合、日本が中国の衛星国になってしまう可能性が濃厚です。日本人は国が国に隷属することの悲惨を知りません。従って我々が警鐘を鳴らし活動する必要があるのだと思います。唐突ですが、朱さん!国会議員になって国政を担ってください。微力ではありますが応援させていただきます。

[名前] : 朱斑羽
[投稿文] : NAKKI殿。
 僕は行動を起こすといってもまだまだ勉強段階ですし、力不足な部分のほうが多いと思います。しかし大切なことは、問題に気づいた人が自分に出来ることから始めるということではないでしょうか。それが僕の場合、インターネットで情報発信することでした。日々コツコツと、ウェブサイト構築の勉強も進めながら、いろんな社会科学の本を読んでいます。それらはたまたま自分の好きなことでもありましたので、楽しみながらやっています。
 将来は情報関係の会社を起こして、国家に貢献したいと考えています。もともと、世の中に大きな影響を与える仕事をしたいと思っていました。それが、いまではPR会社ではないかと思ったからです。
 政治にも興味がありますが、政治家という存在を職業として考えることはできません。兼業としてはありえるかもしれません。NAKKI殿のお言葉は、激励の言葉として感謝致します。

[御名前] : NAKKI
[投稿文] : 日本周辺の国際情勢が緊迫の度を増してくるごとに国民の安全が危機的状況に陥ることは目に見えている。しかし国民はまともにこのことを考えようとしない。ましてや核武装のことなどまるで夢物語ではないか。核を背景に軍事的なプレゼンスを強化し露骨な日本潰しにかかる中国と軍事的な衝突も覚悟で対決する意思が日本政府日本人には果たしてあるのか。日本の弱腰の足元を見て中国は近いうちに軍事的挑発を必ず起こしてくるはずである。日本は果たして主権を守る為に断固とした行動を起こせるのだろうか?政治の延長は戦争である。最悪のシナリオを実践する覚悟と準備が必要である。

[名前] : 朱斑羽
[投稿文] : NAKKI殿
 もしまだお持ちでなかったら、ブログを開設されませんか?方法がわからない場合があればアドバイス致します。というのも、味方のサイトをどんどん増やしていきたいと考えているからです。ネット空間はサヨクの組織戦の方が優勢なのです。保守派も、強力なネットワークをつくるべきです。
 各掲示板で、立派な文章を書かれる方がたくさんいらっしゃいますが、非常に勿体無いことだと思います。
 あるいは、弊サイトの投稿フォームから論文を寄稿いただければ、僕が校正したうえで弊サイトに掲載させていただきます。内容は簡単なものでも結構です。ご検討ください。

[御名前] : NAKKI
[投稿文] : 朱斑羽殿
ご提案有難うございます。これから折に触れてメールをさせていただきます。小生が勤務する企業では中国人の同僚がいるのですが、先日その方と飲みに行く機会がありました。大人気ない話ですが、議論が白熱し話は核武装にまで及びました。しかし意外だったのは日本が核武装することについてその人は理解を示したことです。日本のような大国が核を持たないほうがおかしいと、本音を漏らしてました。ちなみに靖国問題では最後まで平行線でしたが。礼をわきまえる人なので控えめな表現ながら、中国が東シナ海での軍事行動をあの程度で抑えているのは沖縄駐留米軍のプレゼンスがあるからであり、逆にあの程度で抑えないと日本世論の軍国化が心配だとのこと。潜在的には日本を恐れているようでしたね。核武装して強くなった日本はやはり中国にとって厄介な存在なのでしょう。ですから力を蓄える前に叩いてしまいたい。つまり米軍が出動してこない程度に地域紛争を日本とおこして打撃を与えておくとのこと。日本で働く比較的親日的な中国人がこの程度ですから、一般の人たちはほとんど打ち解けることなんて不可能でしょう。

[名前] : NAKKI様
[投稿文] :  お忙しいこととは存じますが、メールを心よりお待ち致します。宜しくお願いします。
 僕にも、中国人の友人が何人かいます。大学には大勢留学生が来ていますし、飲食関係のバイトでもたくさんの出会いがありました。在日韓国人の友人もいました。
 彼ら外国人と、国家や政治の話をするのは、難しいけれど、スリリングでもあります。ごく稀に、突っ込んだ議論をすることもありました。
 中国人について驚いたのは、日本に来て何年も経つのに、共産主義の優位を信じていることでした。かくも、教育や常識は強いものかと、あきれた次第です。
 もちろん我々も、外から見れば偏狭な常識に囚われているのかも知れません。国際社会からしたら、日本はいつ核武装してもおかしくないらしいですからね。  

 鳩山、岸両氏の答弁当時(昭和33年・編注)、核兵器を持っていた国はアメリカ、ソ連、イギリスの三カ国だけで、わが国に脅威を及ぼす国はソ連だけだった。
 当時は旧安保体制の下であったが、政治家は、独立精神を保持し、後に続く日本人にて枷足枷せず、敵基地の攻撃、核保有を留保する発言をしていた。

 (中略)ところが昭和四十年中頃を境にして、本質を外した論議が繰り返されている。その間、わが国に脅威を及ぼす国は、ソ連(ロシア)から中国、北朝鮮へと拡大の一途を辿り、今や北朝鮮がボタンを押せば、約十分でわが国が火の海になる事態にたち至った。にもかかわらず、未だに枝葉末節の論議に終始している。
 (中略)日米安全保障条約の改定前、在日アメリカ軍はわが国に発生した内乱、騒じょう鎮圧任務を持っており、「半独立国」だったが、心は「独立国」だった。しかし、安保条約を改定し、形式上はアメリカと対等になったが、日中国交回復以降、心は「従属国」に成り下がった。その結果、北朝鮮の脅威にさえ、独力で対処できなくなってしまったのである。
 (中略)このままでは(小田原評定の)北条氏のように滅亡する。滅亡から逃れるための唯一の道は、残念ながらアメリカの反撃力に頼るしかない。となれば、アメリカとの同盟の絆を高めることが絶対必要である。
 しかし、アメリカに頼れば頼るほど、わが国の主体性が失われ、アメリカから真の独立はできない。アメリカとの同盟関係がわが国よりもはるかに強いイギリスが、独自の核を保持する理由は主体性を失わないためである。
 わが国も主体性を持つためには、核の保持が必要であるが、小田原評定の間に核拡散防止条約に加盟、時期を逸してしまった。最善の策ではないが、核拡散防止条約で認められている同条約からの脱退の権利を留保しつつ、相手の基地、首脳の居住施設、軍事施設などを確実に破壊できる威力の大きい精密誘導兵器を早急かつ大量に装備すべきである。核ミサイルの攻撃を受けた場合、或いはその恐れが極めて大きい場合、大量の通常兵器による報復、先制の手段を保持すべきである。

(「第四章・自衛隊を蔑ろにした報い」より)


[ニッポン核武装再論]

兵頭二十八著『ニッポン核武装再論』

平成の軍学者・兵頭二十八氏による核武装論入門書。2004年初版。並木書房刊1800円。
 核開発は国家の生存のためにするのであって、たとえば惑星探査ロケットを飛ばすというような、興味先行の 道楽ごととは違う。必要とあらば首都の近郊ででも核開発をし、核実験をするのは当然である。 また、その決意もできないのならば、その国は、核爆弾を必要としていないのか、さもなくば、生存する資格が怪しいのである。
(「第四章・核武装の≪壁≫は存在するのか」より)

 元自衛官でもある兵頭二十八氏は、本書以前にも多数の著作の中で日本核武装を主張し、 現在でも『正論』『諸君』『SAPIO』など各誌に多数寄稿している。
 同書ではおもに支那への抑止としての日本核武装を主張。まず、アメリカによる日本核防衛が不完全であること、 次にミサイル防衛では核抑止が不可能であること、そして日本の世論さえ変われば核武装が可能であることを述べている。 極めて論理的かつ簡潔な文体で、分量も多くはない。後半には核開発を巡る世界史年表が添えられ、貴重な資料ともなっている。
 兵頭氏は日本の防衛問題全体に関して、国民の啓蒙・情報戦略の重要性を繰り返し訴えている。 同書でも日本では、大衆を説得するよりも、すでに誰もが不思議に思わないような言論空間をつくってしまうことが 先だといえるかもしれない。(中略)我が国が核武装することは既定方針とした上での、その先の話が、 これからは盛んに繰り返されるべきであると言う。
 兵頭氏の主張に最も注目したのは日本人ではなく海外のマスメディアであった。諸外国は日本の立場であれば 即刻核武装することは不思議でもなんでもないと思っている。ただ日本国民のみが、日本核武装を忌避し、思考停止しているのだ。 氏は日本人の生き方を根底から改めさせる『新しい武士道』なども発表している。いま最も注目すべき論者である。


[小林よしのり責任編集『わしズム』Vol.7]

小林よしのり責任編集『わしズム』Vol.7

漫画家・小林よしのり氏主宰の季刊誌『わしズム』「特集・日本は≪核≫を持てるのか」 2003年7月25日号。幻冬舎刊952円。
 最近、日本も核武装すべしという勇ましい声が「親米保身主義」の腰抜けどもの間からまで澎湃と起こってきた。 彼らの場合、しょせんがアメリカ追従の臆病を隠す手段としてしか、それを言ってやしない。ネオコンの期待に 応えたいだけの核武装ならわしはお断りだ。(中略)すでに北朝鮮は小型核弾頭の開発に成功した とCIAから真偽の確認のできない情報がもたらされている。これに対して日本も核武装で抑止することに、 わしは感情としては反対だが、理念としては賛成である。その核ミサイルの照準は、北朝鮮にも中国にもロシアにも、 そしてアメリカにも合わせておく必要があるが。(中略)我々は核兵器を恐れない。落とされても日本人という「国民」 は生き残る。精神までは支配されない自信がある。(中略)それほどの強力なナショナリズムを我々は作ればよいのだ。
(「天籟」より)

 同誌は小林よしのり氏の『戦争論』を出版して大ベストセラーになった幻冬舎で、氏が創刊した雑誌である。 同号は「日本は≪核≫を持てるのか」という特集で、片岡鉄哉氏・青山繁晴氏・西部邁氏が執筆している。
 片岡鉄哉氏は、日本の核武装に反対しているのは自民党の保守本流であるとし、自民党体制では日本の独立も改憲も 核武装も不可能であると述べ、さらに核兵器は恐ろしいが故に実践で使えない。攻撃兵器なのだが、 事実上の防御兵器である。人件費がかからないので安上がりである。日本にうってつけなのだ。 この常識を常識として理解できるのは若い世代だけであると述べる。
 青山繁晴氏は、日本が核武装するなら、それは必ず、日本の軍事力がアメリカ軍の一部である性格を 決定的に強めて実行される。ICBMをはじめとする大型核兵器ではなく、小型戦術核を保有して、 アメリカの世界単独支配に協力というよりその先兵となるのが、祖国日本の近未来になると 安易な核武装に警鐘を鳴らし、核武装に反対する代わり、北朝鮮をはじめ日本を標的とした ミサイル基地のすべてを叩くことができる通常兵器の打撃力を、日本が持つことを提唱するとしている。
 西部邁氏は、これまで日本がアメリカに守られてきたことについて、 それはその通りかもしれないが、しかし、アメリカが今後もそうみなしつづけるかどうかは保証のかぎりではない。 また、そうみなしていただくために日本はアメリカに奉公しつづけようと訴える親米保守派のご意見は、そもそも、 日本「列島」の住民の安全と生存との引き換えで日本「国家」を危機と死滅に導くものであるとする。 また、アメリカが日本の核武装を認める可能性は低く、日本人が自主的に核武装論議することを勧めている。


[日本核武装の選択]

中川八洋著『日本核武装の選択』

親米派による核武装論。2004年初版。徳間書店刊1700円。
 日本は核武装していないから、中共に侮蔑され、過去数十年にわたって靖国神社や教科書に至る、主権国家の 専管事項である内政にまで深く不当な干渉を受け続けてきたのである。(中略) つまり、核武装によって、現在の「落ちた評判」を回復し、日本の国際的地位を復権する機能を 核武装は、持っている。日本人としてその”士魂”を蘇らせてくれる。この結果、日本の国際的評価はあがる。
(「第三章・奇怪な≪反日≫核武装論を排す」より)

 著者は保守思想の専門家であり、大学教授である。1986〜87年に『日本核武装の戦略理論』という論文(本書にも収録)を 『軍事研究』誌に発表し、日本核武装論者の草分け的存在ともいえる。
 氏の立場は、日米同盟強化のための日本核武装論である。同書にも、日米同盟の絆の強化こそが、華夷秩序の危険な成長を 阻止する(中略)沖縄の反米運動を粉砕しておく必要があると述べている。 すなわち、北朝鮮・支那の核の脅威に備えること、さらに依然として「核大国」であるロシアに日米協同で対抗することを主張 しているのである。また、反米派の核武装論を強く批判し、日本の核装備は非長距離ミサイル型に限定すべきだとしている。
 氏には1985年出版の『現代核戦略論―核時代の平和学』(原書房刊)という核武装論書もある。 同書では次のように述べている。・・・日本の核保有は、この米国の拡大抑止力の弱体化の現実からも、 「ソ連の対日核戦略」の本質からも、避けられないものとなっている、といえよう。 また、次のように考えても良い。より破壊力の高い兵器を保有するのが軍事的合理性であれば、 核兵器保有を否定する合理的根拠は戦略理論上僅かも存在しえない。 これと逆に、日本の核保有のほうが日本の安全にマイナスであるとする思考は、 武器保有の放棄がより安全に寄与するとの"非武装論"と根本的には一致しており、軍事の基本常識に反する。
(「第七章・核抑止力≪分担≫の時代」より)


[日本核武装―廃絶への道を求めて]

中島尚志著『日本核武装―廃絶への道を求めて』

元最高裁判事による、憲法論も交えた核武装論。


[「核」論―鉄腕アトムと原発事故のあいだ]

武田徹著『「核」論―鉄腕アトムと原発事故のあいだ』

戦後日本の安全保障とエネルギーを巡る葛藤を抉り出した、ドキュメンタリー大作。2002年初版。勁草出版刊2000円。
 同書は何らかの政治的主張を目的としているわけではない。同書「はじめに」において著者は 核エネルギー利用技術の受容という、憲法受容と同じく原子力的な日光の中で進められたプロセスの考察を行なう としている。
 同書では1946年から順を追って戦後日本の憲法・科学・社会を分析しており、とくに「1980年論・清水幾太郎の≪転向≫」 は日本の核武装論を知るうえで重要である。清水幾太郎に関する研究は他日に譲るが、同書の中で著者はこう評する。 (清水幾太郎の度重なる転向は)その「変節」が激しい非難をもって迎えられたが、清水は実は変わっていない。 そしてその一貫性の一つが、国としての日本がはっきりした輪郭をもって他国と対峙するという構図であり、 可能ならば他国を牽引できる強さを持つことを望んでいる(中略)たとえば核の受容史において、 日本への原子力技術導入に大きく寄与した二人にも似た傾向が窺える。清水がもっとも反米色を強めた六〇年前後の 時期に、実は日本の原子力政策も同じくアメリカから距離をとろうとしていた。
 著者が同書で戦後日本の原子力エネルギーを丹念に読み起こすのには、核の安全保障問題と深い繋がりがある。 氏は「おわりに」で原発だけでなく自前の再処理や濃縮施設もある日本は、まちがいなく核武装の一歩手前 にあると断言している。ただ感情的に原発に反対する左翼や、日本は絶対核武装しないと言って原発を推進する経済界 の両者ともに氏は距離を置いているのである。その意味では極めて良心的かつ高価値な研究書であるといえよう。


[副島隆彦著『属国・日本論』]

副島隆彦著『属国・日本論』

言論界の旗手、副島隆彦氏の「主著」。1997年初版。五月書房刊。 副題はBorn on the Planet of the Apes(猿の惑星に生まれて)。
 日本は、今後もアメリカの保護の下で生きてゆくしかない。しかしなるべくなら自立して自分の力でやるだけのことはやりたい。従って、駐留米軍についても、ひとまず撤退していただきたい。しかしこの安全保障の問題で、実際のところ日本は自力で国家を防衛する力が足りない。この足りない分については、助力をお願いしたい。その分の費用については、細かく計算した上で、お支払いしたい。従ってそれ以上の無理な要求はしないでいただきたい。(あとがき「私の提案する当面の国家戦略」)
 この本は、決して日本国を貶めるために書かれたものではない。日本人がこの国を、勝手に立派な大国だと思い込んでいること自体が、日本国の危機だと思う。私たちは、自分たちの足元を見つめ、決して威張らないで着実に生きていく国民でなければならない。事実を冷酷に見つめるところから、次の策が次々に生まれてくるだろう。私は、自分の生まれ育った国を深く愛するが故に、属国日本論を唱える。(前文)
 ・・・TDMは、核ミサイル攻撃を宇宙衛星からの情報でキャッチして迎撃して撃ち落すシステムである。だから、当然に、この迎撃システム自体が核弾道ミサイルと同様の性能を持っている。/即ち、アメリカは、日本とドイツには核兵器の保有を、すでに認めているのである。(一、属国日本を検証する)
 日本には、国家戦略研究がない。これは、独立した一個の国民国家としては、致命的な弱点ではないだろうか。ワシントンの中心部に散在している戦略研究所である主要なシンクタンクは、それらの国家戦略研究を、政府や政党や各国政府、各種団体からの委託を受けて行なっているところである。台湾や韓国でさえ、国家戦略研究所を持ち、ワシントンにその支所を置いている。そこでは、アメリカの政治思想や政治勢力の分析も細かく行っている。台湾や韓国の戦略学者は、アメリカの役人と互角に渡り合っている。(アメリカの世界政策とシンクタンクの実態)

 副島氏は、積極的核武装論者というよりも楽観的核武装論者である。いつかはアメリカ帝国も衰退して 自ずと日本が自主防衛せねばならなくなるから、そのための準備をしよう、という立場である。
 そして氏は、いまのアメリカの意向に従った改憲の流れや諸改革に強く反対している。

おすすめします。