関係修飾節

 本当は順番に文法事項について書いていこうと思っていたのだが、何となく急に関係修飾節について書きたくなった。これはイタリア語では"frase relativa"という。何かというと、つまり以下のような文章である。

「昨日買った本」"il libro che ho comprato ieri"
「京都で撮った写真」"le foto che ho fatto a Kyoto"

つまり動詞の入った文章が名詞を修飾している節である。これは初級文法でたいてい動詞の「た形」が導入されたあとに出てくる。個人的には「て形」に続いて、一番お気に入りの文法事項である。何と言ってもイタリア人にとってはむずかしく、ヒイコラ言うみんなをいたぶるのが楽しいのである。何が難しいかというと、まず第一に語順である。

もう一度、最初の「昨日買った本」を見てみる。色分けしてみた。

昨日買った」  "il libro che ho comprato ieri"

日本語の文とイタリア語の文の間に縦線をいれてみた。これは鏡である。要するに全ての言葉がまるで鏡に映したように反対になっているのである。「昨日」に当たる"ieri"は一番最後に、「買った」はその前に、"che"という関係代名詞は日本語にはなく、それから「本」である。被修飾語「本」は日本語では一番最後に持ってくるが、イタリア語(ヨーロッパ言語)では一番最初である。そしてその後に修飾節が続くのであるが、日本語では形容詞と同様、前に持ってくる。

 ここで生徒から「うへぇ〜、何で日本語は全部反対なの?」という感想が出たりする。違うんだよ、あなた達の言語がみんな逆さまなのよ。日本語の語順は正当である!「難しいでしょう?でも日本人がイタリア語を習うときも、ちょうどこれが一番難しく感じるんだからね。おあいこでしょ?」「私も最初、ヨーロッパの言語で関係修飾節をやったとき、びっくりしたの。だって全部反対だから。でもね、日本語は関係代名詞がいらないからラクチンなのよ〜」とさまざまなことを言って言い包めなければならない。

 私だって、ドイツ語で苦労したのである。中学の英語でやったときは何だかよくわかっていなかったのだが、ドイツ語では徹底してやったので、けっこうしっかり頭に残った。ドイツ語はさらに名詞の性も大変だし、動詞も後置になるので余計ややこしい。その点、イタリア語は楽なほうである。時間的関係もややこしいが。

 次に難しいのは動詞の形である。それまではたいてい「です・ます」でやっていて、ここでいきなり普通形が出てくる。普通形もた形、ない形があり、その形をまだ覚えきらないうちにこの関係修飾節の爆弾である。正直言って、このあたりで挫折する生徒も少なくない。

 関係修飾節は習得度が三段階に分かれると思う。第一段階は文法的な論理構造の理解。それから第二段階は読解での理解。初級の教科書というのは文節ごとに区切って書いてあったりするが、少しずつ普通の文章のように全てつなげて書かれるようになる。そうすると、どこまでが文節、どれが単語、というふうに理解する訓練も必要になってくる。そしてその中で関係修飾節が摘出できるかである。そして第3段階は実践。実際に関係修飾節を使った文章を発言できるかである。

 たとえば「先週、ローマに住んでいる友達のところに遊びに行きました」というのは、
(1)先週、友達のところに遊びに行きました。
(2)友達はローマに住んでいるんです。
ということもできるのである。

 ちなみに私の“ベニスの商人”達はなかなか第三段階まではいかない。上記のような方法で表現して、商品が売れればそれでご満足なのである。

(2001年2月13日)


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