FE103M-Isobarik-ダブルバスレフ

FE103Mを4個買ってしまったのはまぁ良いとして、何を作るか。最初に構想したのは左右 対抗配置の音場型というものでした。
一応、試作機のようなものを作ってみたのですが、あまりぱっとしませんでした。具体的な説明はここでは省きますが、 もっとうまく使えば、これに似た方法でも上手くいったかもしれないと思います。
で、次に思い浮かんだのは、4個あるFE103Mを活かすという意味で、Isobarikにするというものでした。
Isobarikというのは、最近あちこちで見かける、タンデム駆動と同じ方式です(たぶん)。Isobarikという呼び方は、 Loudspeaker Design Cookbook 6ed に載っている呼び方で、LspCADなどのスピーカ設計シミュレーションソフトにも出てく る、海外では一般的な呼び方のようです。ただしCookbookではCompoundという呼び方のほうを最初に書いており、Isobarik とも呼ぶと書いてあります。

で、このIsobarikという方式は、かなり昔('50年代?)からあったようです。メリットは、1つのユニットの場合に比べ、 同じf特を得ようとする場合に箱の容積が半分で済むということと、ユニットを対抗配置にすれば(図のaまたはc)奇数次 の高調波歪が打ち消されるということです。
タンデム駆動というのを最近よく目にするようになった、ということもありますが、実は、私の近くに楽器用で Isobarik方式のサブウーファがあり、2つのユニットの1つをはずすとずいぶんショボい音なのに、2つのユニットにすると 俄然密度感が増す(f得が変わるだけではない感じ)のに驚いた、というのも試してみたくなった理由です。

LspCADの導入

Isobarikにするだけでも面白そうなのですが、せっかくだから低音も伸ばしたい、ということで、ダブルバスレフに することを考えました。
Isobarikでダブルバスレフ、実際に設計しようとして悩むことになりました。容積が半分で済むといっても、 ダブルバスレフの場合はどうなるのか?第2キャビも半分でよいのか?そもそも「こんなスピーカ見たことない」のダブル バスレフの設計の部分を読んでもなかなか難しい・・・
CookBookには、Isobarikの場合はVas(ドライバーのコンプライアンスと等価な空気の容積)を半分として計算すれば 良いみたいなことが書かれています。しかし、長岡式ではVasを使った計算式はありません。そもそもFE103Mの取説には Vasが載っていません。
で、いろいろと調べてみると、FE103Mではないのですが、FE103のVasを含むTSパラメータが、 フォステクスの海外のホームページに載ってい ました。また、スピーカ設計シミュレーションソフトLspCADで、ダブルバスレフ の設計が出来るという情報を入手しました。これらを使えば、何とかそれなりの設計が出来そうです。
幸い、CookBookを購入したのと同じ、audioXpressがLspCAD も扱うようになったので、ここで購入することにしました。実際に購入したのは LspCAD Standard v4 で、 $129+送料でした。

※Isobarik-ダブルバスレフの件で、 すみやまさんに相談に乗っていただき、大変お世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。

LspCADを使った設計・シミュレーション

LspCADに、ユニットのパラメータを入れて、箱の形式を選んで、欲しい最低周波数限界を入れて(60Hzとした)、 Optimizeボタンを押してやると、勝手に箱の容積やポートの長さをいじって、可能な限り良い特性になるように計算して くれます。
しかし計算結果をよく見ると?な部分があります。長岡式であれば第1キャビよりも第2キャビの方を大きくするところを、 LspCADのOptimizeでは逆にされてしまいます。
英語の取説を読むのを面倒くさがった私は、これを全面的に信用してみることにしました。
なんか問題も潜んでそうですが、まぁ、音が出ないということはないでしょう。
LspCADを使ったシミュレーション

実際の箱の図面も載せてみます。
設計図と板取図(pdfファイル)
サイズは186W・454H・286Dと、表からは10センチユニット1個しか見えないのに対しては大型になりました。 ダブルバスレフとしては小型な方でしょうか。18mm厚サブロク合板1枚で2台できます。私はケチってラワン合板 にしました。

組立

板の裁断は例によってDIYショップに頼みました。そのDIYショップでは、丸抜き加工や四角抜き加工もやってくれる のですが、四角抜きは自分でジグソーを使ってやりました。
図中の110,120,130は、100と20に接着し、第1ダクトを構成します。裏板30は、内部ユニットのメンテのために、 接着せず、四角抜きされた20に、六角穴付ボルトとワッシャ、ツメ付ナットを用いて取り付けます。そのままでは 嵌合がきついので、裏板のサイドと、それが合わさる側板、天底板の内側部分にはペーパーを掛けておきます。
コードの引き出し穴は、組立をはじめる前に、50か40の適当な場所に開けておきます。40にはユニット取り付けネジ の下穴もあらかじめ組立前に開けておきます(φ2程度)。
吸音材は・・・LspCADのOptimizeを見ると、FrontBox(第2キャビ)のQaが4.8で、ここに吸音材を詰める必要がありそ うなのですが、Fillは0%で、ここは手動で設定するのかどうなのか、取説を読んでもいまいちわかりませんでした。
試しにここ(Fill)を手動で適当に指定しても、さほど諸特性に変化はないので、とりあえず適当に吸音材を入れる、 くらいに考えることにしました。
その他、組立で注意した点は、箱が菱形にならないように、表板と天底板、裏板の接着の際、直角出しに注意したと いう点と、今回は箱の真中に仕切り板100があり、側板を周辺で圧締しただけでは側板の中央部分が浮いてしまい、 仕切り板との間に隙間が出来がちなので、そこを注意したという点です。やはり、端金 はあったほうが断然便利です。
というわけで、組立の仕上がりは自分としては一応納得できるものになりました。

試聴

アンプはトランスインピーダンス型アンプ(2SK2955-2SJ554)につなぎました。
せっかくシミュレーションをしているので、測定もできればと思うのですが・・・・
まず、このスピーカ、セッティンッグで、あるいは聞く位置でずいぶん低音の聞こえ方が変わります。それに関係してか、 中高音の聞こえ方も変わるように感じます。
たとえば、

このセッティングでは低音の量感はかなり不足で、中高音もクリヤーですがやや硬く感じました。やはりFEの硬さなのか なーと思いましたが、

こちらのセッティングでは俄然低音の量感が増して中高音も硬さが感じられなくなり、落ち着いて聞けるようになりました。 低音の質としてもそれほどダルな感じはしませんでした。
スピーカとの距離や、耳の高さによっても、部屋の中での聞く位置の関係からか、かなり聞こえ方が変わります。 ダクトの開口部に耳を近づけても、低音が出ている感じがあまりしないのが不思議です。やはり、もともとはそれほど 低音の量の出ているシステムではなさそうなので、セッティングで補って使うのが吉のようです。
Isobarikの効果としては、やはり密度感が違うように思います。今まで自分が知っていたFE103の紙臭さのようなもの があまり感じられず、オーソドックスなモニター調の音調になっていると思います。
・・・さて、どこで使おうか・・・


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