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   インドシナ共産党(ヴェトナム労働党〔*〕

 インドシナ共産党〔東洋共産党〕は、それまでインドシナにうまれていたいくつかの共産主義団体が合同した結果として、一九三〇年一月香港大会で組織的につくられた。香港大会の活動を指導したのは胡志明《ホチミン》(阮愛国)と彼の戦友レ・ホンフォン(一九四〇年に植民者当局に銃殺された)であった。共産党はインドシナ諸民族の広範な解放運動の先顕に立っていた。党は一九三〇―三一年に労働者農民の革命的戦闘を指導した。フランス植民当局は人民運動を残酷に弾圧した。共産党はいくたの指導者と活動的党員をうしなったが、その組織を非合法のかたちで保存し、力を結果し、一九三五年に澳門《マカオ》で大会を召集することに成功した。大会は大衆のあいだにおける広範な活動の展開と、勤労者を統一するための闘争と政治的自由のための闘争とにかんする決議を採択した。一九三六年の選挙におけるフランスの人民戦線の勝利はしばらくのあいだインドシナ共産党に合法的に存在する可能性をあたえた。共産党は反帝民族統一戦線をつくりだすための闘争、勤労者の直接的要求をみたすための闘争をおこなった。一九三九年九月フランスが第二次世界戦争にはいったすぐあとに、フランス植民当局は共産党禁止令をだした。一九三九年十一月、共産党中央委員会は新情勢に適用すべき今後の党活動綱領をきめた。共産党によって「インドシナ反帝民族統一戦線」がつくられた。この戦線はインドシナ諸民族を日本の侵入の脅威、フランス帝国主義者および現地の封建領主との闘争へと結集することをその任務とした。日本のインドシナ占領期間(一九四〇―四五年)中、共産党は日本侵略者にたいする諸民族の解放闘争の先頭に立った。一九四一年三月インドシナ共産党の主唱と指導のもとの聊州(華南)の大会でヴェトナム独立同盟《ドクラプドンミン》(略称越盟《ヴェトミン》)がつくられた。
 ソ同盟がヒトラー・ドイツと帝国主義日本を壊滅させたので民族解放闘争の強力な高揚をよびおこした。一九四五年八月全民族的解放蜂起がおこった。一九四五年九月二日、抵抗運動の指導者胡志明《ホチミン》を首班とする臨時政府は、ヴェトナム民主共和国の創立を宣言した。一九四五年十一月、インドシナ共産党中央委員会は共産党の解散宣言を発表した。「インドシナ・マルクス主義研究会」がつくられた。会はマルクス=レーニン主義宣伝にひろい活動をおこなった。

 ヴェトナム労働党(ラオドン)はヴェトナム労働者階級およびすべての勤労者の前衛である。党はマルクス=レーニン主義の原則にもとづいている。組織上、党は民主主義的中央集中制の原則によってつくられている。党はフランス=アメリカ侵略者に反対し、独立・統一・民主ヴェトナムを建設するためのヴェトナム人民の闘争を指導している。
 ヴェトナム労働党は一九五一年二月十一日から十九日まで北ヴェトナムでひらかれた大会で創立された。大会では宣言と綱領が採択された。宣言はつぎのように指摘している――ソ同盟を先頭とする反帝国主義・民主主義の陣営はますます強力となっており、フランス=アメリカ侵略者とたたかうことによってヴェトナム人民はこの陣営の平和と民主主義のための全般的闘争に貢献している。ヴェトナム労働者階級とすべての勤労者の中心的任務は、抵抗戦争を完全に勝利するまでおしすすめ、独立・統一・民主・繁栄のヴェトナムを建設し、人民民主主義を完全に実現し社会主義の道へと前進するために、全人民を団結させることである。この任務を実現するために、ヴェトナムの労働者階級と勤労者は、強力な、先見のきく、断固とした、一貫して革命的な政党をもたなければならない。ヴェトナム労働党は最良の愛国者、もっとも献身的・革命的な労働者、農民、インテリゲンツィアを団結させている。党の主要な任務は「フランス植民者に反対しアメリカ帝国主義者をうちやぶるための闘争において、労働者階級、勤労者およびヴェトナムの全人民を指導し、完全な勝利にいたるまで独立戦争を指導し、独立統一ヴェトナムを建設することである。」〔『プラウダ』一九五一年三月二十四日、第八三号〕ヴェトナム労働党はヴェトナム民主共和国政府を完全に支持し、ヴェトナム国民連合戦線(略称聯越《リエンヴェト》)内の他の諸党および団体と密接に団結し協力している。会議で採択された綱領は、国際情勢、ヴェトナム情勢の分析、ヴェトナム革命史概観をふくみ、党の政策を述べている。党の全活動は「すべては前線のために、すべては勝利のために!」というスローガンのもとにおこなわれている。ヴェトナム国民の解放戦争は、ラオス〔寮国〕とカンボジ了〔高棉〕の民族の武装抵抗および全世界にわたる平和と民主主義の闘争と密接にむすびつかなければならないと綱領がしめしている。綱領は国内人民政権とその支柱の一つである国民連合戦線を強化することを党の任務としてかかげている。ヴェトナム労働党綱領は、ヴェトミンとリエンヴェトの合同を完成し、民族ブルジョアジーと愛国的地主を積極的にリエンヴェトに参加させるために国民連合戦線の基礎として労働者階級、農民、およびインテリゲンツィアの同盟を強化し、ヴェトナム労働党の指導的役割を強化し、敵の占領区域内の国民連合戦線の諸団体を拡大することが必要であると指摘している。経済の分野では、綱領は、解放戦争の需要をみたし、国民の生活水準をたかめるために、あらゆる手段により生産を増大する任務を出している。綱領は、民族ブルジョアジーにたいして、彼らが国の経済の発展に参加するようにうながす政策をとらなければならないと指摘している。党の農業綱領は、現在、地代を引下げ、借地制度を調整し、帝国主義と裏切者に屈していた土地を貧農および解放戦争の負傷者と戦死者の家族に分配し、共有地を公平に分配し、不在地主の土地を合理的に利用すること、その他の措置にむけられている。文化と教育の分野では、ヴェトナム労働党は国民を愛国千義と国際主義、帝国主義侵略者にたいする憎しみ、ヴェトナム民族文化の発展、世界ことにソ同盟と中国の進歩的文化の成児の研究、少数民族の文化の発展、科学・技術・芸術の発展という精神で教育する任務を出している。少数民族にたいする党の政策は、完全な同権の原則にもとづいている。ヴェトナム労働党の綱領は、ヴェトナムの対外政策が、民族独立の相互的尊重、領土の保全、同権、全世界の平和と民主主義の擁護の原則にもとづかなければならないと指摘している。
 ヴェトナム労働党は、ヴェトナム、ソ同盟、中華人民共和国、朝鮮民主人民共和国、ヨーロッパ人民民主主義諸国との友好関係を強化し、自由・平等・互恵にもとづきヴェトナムの民族主権を尊重する用意のあるすべての国と外交関係を確立する政策なとっている。
 ヴェトナム労働党綱領には、ヴェトナム人民がラオスとカンボジアの人民と密接に団結し、帝国主義にたいする闘争と、インドシナの先全独立および全世界の平和擁護の共同闘争に援助をあたえなければならないと述べている。
 ヴェトナム労働党書記長には有名な政治家トルオン・チン〔長征〕がえらばれた。一九五一年三月なかごろにヴェトナム労働党中央委員会第一回総会がひらかれ、政治局、書記局、中央審査委員会をえらび、ヴェトナムをめぐる国際・国内情勢を審議した。総会の採択した決議につぎのようにいっている。「ヴェトナム国民は独立のためにたたかいつつ、全世界の平和擁護を促進している。われわれは、平和運動への参加を、武力抵抗および国民的建設と結合しなければならない。……中央委員会は、胡志明《ホチミン》大統領の指導のもとに、党員があらゆる困難を克服し、国民とともにこれらの任務を遂行し、われわれの国民に急速な勝利を保証し、全世界の平和を維持しなければならない。」〔『プラウダ』一九五一年四月二十五日、第一一五号〕

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