アスレティックトレーナー チーム
TARSEES TRAINER

アスレティックトレーナーATHLETIC TRAINER

TOP PAGE

AT STUDY

 

 

 

 

 

 

スポーツ疲労

1 運動と疲労

 疲労という言葉の意味は、「病気以外の原因によって作業能力が一過性に低下した状態」と、医学用語辞典には記されています。これをスポーツで考えてみると疲労とは、「激しい運動によって疲労感を伴い、競技パフォーマンスが低下した状態」といえます。ある程度の運動で身体が疲労するのは当然ですが、その後の十分な休養,栄養をとることによって競技パフォーマンスは回復し、以前より高いレベルに達します。しかし、運動強度や頻度,時間が過剰に多くなってくると、各要素のバランスが保てなくなり、競技パフォーマンスは低下していきます。競技能力を高い状態で保つには、これらのバランスには日頃から十分に注意し、疲労によるパフォーマンスの低下を防がなくてはなりません。そのためには、選手自身にも疲労に対する注意力を高めるよう、指導する必要があります。また、栄養(食生活)に関しては、ある程度選手に任せる感じにはなりますが、練習内容と休養のバランスは指導者が調節することになります。もちろん、栄養面に関しても何も指導しないということではなく、各競技の食事方法を説明する必要がありますので、すべての要素で指導者の指導能力が問われることになるでしょう。また、スポーツ疲労の特殊な原因として、選手達の疲労を訴えることへの抵抗感があげられます。なかなかチームの指導者には疲労感を訴えることができず、とくに中高生の部活動についてはレギュラー,ポジション争いに専念するあまり、限界まで平気な状態を装うケースが多くあります。さらに、それに気付かないで指導者がゲームのメンバーに選出し、極度の疲労から十分なプレーができなかったり、ケガを引き越してしまったりという結果になってしますのです。

 疲労することは、運動した結果として当然のことです。大切なことは疲労を蓄積させないことであり、その原因を把握して対処することにあります。スポーツ疲労の定義づけは難しいものがありますが、今回の特集では疲労とその対処方法を解説していきますので、現場の対応策として活用して頂ければ幸いです。

2 疲れる理由

 一般人の健康維持,増進及びスポーツ選手の競技能力向上には、運動・休養・栄養のバランスが重要になります。簡単に説明すると、これらの要素に偏りが発生した場合に、何らかの問題が発生してくるのです。一般人に多くみられるのが、栄養過多で運動量が極端に少ないことで引き起これる生活習慣病などで、スポーツ選手にはトレーニングと休養のバランスが合わないことで引き起こされる、オーバートレーニング症候群です。どちらとも各要素のバランスが崩れることが要因であり、どれが多くても少なくても問題が発生します。

スポーツ選手の場合、これらの各要素が高いレベルで保てれば良好なコンディションが維持できます。しかし、スポーツ選手は日頃から過剰なトレーニングを行っていることが多く、それに見合った休養や栄養がとられていないのが現状です。スポーツ疲労というと、単に練習のやり過ぎというイメージがありますが、それよりも練習に見合った栄養や休養をとれていないことが主な原因といえます。

3 疲労のメカニズム

一言で疲労といっても、その原因はいくつかの理由が考えられます。疲労とは、三要素である練習・休養・栄養がバランスを崩すことによって引き起こされますが、どの要素がバランスを崩したかによっても疲労の種類が異なってきます。練習量が多すぎて栄養や休養をいくら積極的にとっても、バランスが保てなくて疲労してしまう場合、これは純粋にオーバートレーニングです。休養が不足している場合に引き起こされる疲労は、トレーニング量は適切であっても疲労物質の蓄積によって発生します。栄養の不足した状態では、そもそもの筋活動を行うエネルギーが十分でないために、運動を続けることに疲労を感じてしまいます。また、水分不足も疲労の原因になることを忘れてはいけません。水分は体温を調節するという重要な役割を担っていますので、十分に注意するようにしましょう。

これらの疲労の理由はこれから詳しく説明していきますが、どれも単独で起こるというよりは複合的に発生しますので、各要素のバランスに注意するようにして下さい。

1.オーバートレーニングによる疲労

 オーバートレーニングによる疲労は、十分な栄養と休養でも補えなくなってしまった疲労の蓄積が原因となります。これは、指導者のトレーニング強度の設定ミスや、選手自身を自ら追い込んだ練習などが原因となるでしょう。指導者の設定ミスでは、強化時期の誤りや急激な強度増加,選手の疲労度の把握ミスなどが考えられます。選手自ら引き起こしてしまう場合は、執着性性格(まじめ,熱心で凝り性,正直)であり、徹底的に取り組んでしまうパターンと、強迫性格(規律正しく良心的,責任感が強い,些細なことにこだわる)であり、目標達成のために全身全霊で取り組んでしまうという、共通した性格者に多いといわれています。

当然、改善策としてはトレーニング質量の調節が必要ですが、心理的な面のケアも重要です。とくに熱心に取り組み過ぎる選手は、*オーバートレーニング症候群になりうる恐れがありますので、指導される方は陥りやすい選手の見極めが必要です。

 

 

2.疲労物質の蓄積

 疲労物質(乳酸,水素イオン,リン酸,アンモニア)とは、筋肉が活動したときの代謝物質であり、代表的な乳酸は広く知られています。疲労物質について詳しく説明すると、筋肉はグリコーゲン(糖質)を分解することによって収縮しますが、その分解過程で乳酸も産出されます。その産出された乳酸は血液によって運び出され、肝臓の機能によってエネルギーとして再利用されますが、一部の乳酸は筋肉内に留まります。留まった乳酸は筋肉を酸化させ、筋活動を阻害して身体に筋肉疲労を起こすため、身体もこれに対抗するために、酸素を多く取り入れて乳酸の蓄積を防ごうとします。激しい運動をした場合などは息があがり、心拍数なども運動強度に比例して増加していきますが、原因はこのような疲労物質の蓄積を防ぐために行われていたのです。

3.栄養素の不足による疲労

 筋肉は体内組織のなかに蓄えられているグリコーゲン(糖質)をエネルギーとして、その活動が行なわれます。グリコーゲンの蓄えられる量には限界があり、高強度で短時間の運動を行うと大量に消費されます。反対にジョギングやウォーキングなどの有酸素運動では、グリコーゲンを大量には利用しません。しかし、低強度で長時間の運動はグリコーゲンを徐々に減らしていき、その枯渇が疲労困憊の要因となってしまいます。エネルギーの備蓄には限界があるため、スポーツ活動において減少を防ぐには、その補充方法や補充する食品の種類に工夫が必要とまります。

4.水分不足が引き起こす疲労

 運動を行うと汗をかきますが、汗は体内の水とミネラルが含まれており、発汗によってこれらの物質が失われます。筋肉が活動を行うと熱を発生させるため、運動して数分後には体温が上昇してきます。熱はエネルギーの消費を促進させ、身体の疲労を早めてしまいます。しかし、身体は発汗することによって体温が上昇しすぎることを防ぎ、エネルギーの浪費を抑制してくれます。従って、発汗しても水分を補いながら運動を続ければ、体温の上昇による疲労が抑えられますが、補充することなく運動を続けてしまうと、体温の上昇が制限できなくなって疲労してしまいます。さらに、発汗によるミネラル不足によって筋痙攣を引き起こしてしまうと、著しくパフォーマンスを低下させてしまいますので、ミネラルの補充にも注意が必要です。

4 スポーツ疲労の対応策

 疲労は運動した結果として生じる、ごく当然な生理反応であり、疲労すること自体に何の問題もありません。スポーツ活動において大切なことは、疲労した後のケア方法にあります。運動後のアイシングやストレッチングも、疲労のケア方法として一般的に認知されてきましたが、それでもウォーミングアップやトレーニングと対等に重要視されていないのが現状です。疲労のケアは、その原因が特定されれば対応は比較的簡単です。また、特別なケアを行わずに一般的に良いとされているものだけでも、しっかりと正しく取り組んでいれば効果的なものとなります。しかし、一般的なケア方法だけでは、完全に疲労をカバーしきれないのも事実です。疲労の原因が複数あるように、それに応じて疲労の対応策も色々とあります。ここでは、一般的なケア方法からより専門的なものまで、十分に疲労に対応できるように説明していきたいと思います。

1.クールダウンのアイシング

 アイシングとは、運動によって上昇した体温を下げる目的で行います。運動が終了しても体温は高温で持続してしまいますので、無駄なエネルギー消費によって疲労を引き起こします。また、痛みや違和感がある部位などは、運動によってダメージを受けてしまうので炎症を起こす可能性があります。アイシングはこのように上昇した体温の持続が引き起こす問題を、氷や冷水を使用して瞬時に解決してくれます。アイシングを行う個所は、痛みや違和感のある部分,ケガをして回復まもない部分,酷使した部分です。他には各自で疲労が翌日に残りやすい部分や、運動中に打撲した部分のアイシングも効果的です。

●実施方法

 クールダウンとして行うアイシングは、応急処置で行うアイシングとは異なります。冷却時間は1520分程度で、アイスパックや氷嚢を用意しておくと便利です。氷が用意できないのであれば、シャワーや水道の利用で補います。合宿中であれば宿舎に浴槽があると思いますので、冷水風呂に入浴すれば全身を効果的にクールダウンすることができます。

*アイシングの心理的な効果

 クールダウンのアイシングには、ボディトリートメント以外にも心理的なリラックスを狙って行います。氷で冷やしたり、冷水浴や冷水シャワーを浴びたりすると、練習で高められた緊張や興奮をほぐす効果があり、精神的なストレスを軽減してくれます。とくに合宿や強化期間中には、高強度の練習によって選手達は心身ともに疲労していきます。このような期間では練習と休息のメリハリが重要であり、きつくて辛いだけの練習に耐えることだけが効果的ではありません。可能であればプールなどの利用も、良好なコンディション作りに効果的ですのでお勧めします。

    

2.ストレッチングでリセット

 クールダウンで行うストレッチングは、使用した筋肉の緊張をほどく目的があります。主運動で使用された筋肉は、容積が膨らんで張った状態になっていますので、そのまま放置しておくと硬くなってしまいます。そのため、ゆっくりとリラックスしながら筋肉の張りを取り除き、高まった神経の活動レベルも安静時状態に戻していきます。

●実施方法

 クールダウンのストレッチングは基本的に軽いランニングから開始し、セルフストレッチングで全身をほぐしていきます。チームメイトと会話しながら5〜10分程度行い、とくに気になる部位においてはパートナーストレッチングで重点的に行うようにしましょう。運動後のストレッチングは筋温が上昇しており、筋肉や腱が伸びやすい状態になっていますので、柔軟性の維持,向上には効果的です。

3.クールダウンで行う軽運動回復法

 最近ではクールダウンとして、練習の終盤にランニングなどの軽運動を取り入れているチームが増えてきました。少し前まではクールダウンが認知されておらず、練習が終了したら全員で座ってストレッチや、その場に立ったままの整理運動など、形式だけのクールダウンばかりでした。しかし、現在では色々な情報がスポーツ現場に届くようになって、変わりつつあるようです。では、実際にジョギングなどの軽運動が、どのようなプラスの影響を身体に与えているか、さらにどのように実施したら最も効果的かを説明していきたいと思います。

●軽運動回復法の効果

 運動終了後に行うクールダウン方法として、安静回復方法と軽運動回復方法を比較した研究結果がるので紹介しておきます。安静回復方法は文字通りに安静状態でダウンを行い、軽運動回復方法はジョギングなどの軽運動を行ってダウンし、共に5分刻みで血中乳酸値を測定していきます。乳酸値の低いほうが、より効果的に疲労の除去を行っていることになります。結果は図1の示す通りであり、軽運動回復方法が圧倒的に除去が早く行えます。従って、余計なエネルギーの消費も少なくて、疲労の蓄積を防ぐことができます。

 図1:運動終了後の安静回復方法と軽運動回復方法の血中乳酸値 (運動終了時の乳酸値=100)  

●軽運動回復法実施方法

 最も効果的な運動強度は、最大酸素摂取量の3540%と研究報告がありますが、現場では主観的な運動強度で40%程度だと考えて行えばよいと思います。強度の変化については、最初に強めに行って徐々に弱くして行く方法と、終始一定で行う方法では、その効果について意見が分かれていますが、どちらでも安静にするよりかは効果があることが明らかになっています。また、ランニングの最中に休息を入れたりストレッチングを入れたりすることは効果的であり、間欠的な軽運動であっても乳酸の除去効果は望めます。乳酸の除去を目的とする軽運動での注意点は、運動がきつく感じてしまわないことと、楽に感じる程度の有酸素運動をメインに構成することです。

4.疲労を回復させる入浴方法

 入浴とは我々の日本文化において、ごく当然の日常生活の一部となっていますが、その作用は想像以上に身体にプラスの影響を与えています。通常の入浴目的は体を洗うことが主な理由となりますが、疲労回復としての入浴には疲労物質の除去という目的が加わります。通常の入浴方法は、時間も温度も主観的な感覚に頼っていますが、疲労回復の入浴には生体反応の根拠に基づいたデータがあります。なんとなくの温度や時間で入浴するのではなく、疲労回復に効果的な方法を理解して入浴すれば、高いコンディションの維持が可能になります。

●実施方法1  =通常入浴=

よくある入浴の誤認で、熱湯のような高温入浴(42℃以上)のほうが発刊作用を促進し、疲労回復に効果的であると勘違いされているようです。疲労回復の入浴の目的は、汗をかくことではありません。これは皮下の血流量だけが増加して、筋肉中の血液量は減少してしまい、疲労物質は除去されません。生体反応からみても、3740℃の低温浴が効果的であり、2030分程度の半身浴をお勧めします。血液が体内を一巡するのに約1分間かかりますので、20分間の入浴で暖かい血液が約20回循環することになります。これによって各臓器が温まるので、体内の代謝能力が高まります。

●実施方法2  =反復浴=

反復入浴とは、入浴と休憩を交互に行う入浴方法です。半身浴で42℃以上のお湯に3分間つかり、今度は湯船から上がって5分間休憩します。これを1セットとして3セット行います。42℃以上のお湯は、連続して10分間以上入浴すると大きな負担が身体にかかってしまうので、小分けして入浴時間を確保すると効果的な入浴となります。 

●実施方法3  =温冷交代浴=

 交代浴は温浴と冷浴を交互に入浴し、血管の拡張と収縮を繰り返すことによって、代謝を高める入浴方法です。この入浴方法は、交感神経の働きが活発になって血圧が上昇しますので、高血圧の選手にはお勧めできません。また、交代浴はシャワーを使用して部分的に行うことも可能です。42℃以上のお湯を疲労感のある部位に3分程度かけた後、18℃前後の冷水を数十秒かけることを5回行います。この方法は慢性的なケガにも効果的ですので、たまに痛む古傷などにも有効です。

*注意点

 入浴時には皮膚の血管が拡張するため、胃腸の血管は収縮して血液が不足し、胃腸の働きは鈍ってきます。従って、食事の直後は消化不良を起こす可能性があり、最低でも食後1時間以内の入浴は避けるべきでしょう。夏バテなどで食欲をなくしてしまう症状がありますが、これは同様の理由からです。また、運動直後の入浴(40℃以上の場合)も避けるべきです。筋肉中の血液量が減少し、疲労回復を阻害してしまいます。さらに、入浴は発汗作用がありますので、十分な水分補給を心掛けましょう。

5.休養のとり方

 休むことに抵抗を感じる選手や指導者は多いと思いますが、練習と休養のバランスはとても重要です。トレーニングの効果は週に1日では現状止まり、週2日でも有効な変化はなく現状維持、週3日からは増えるごとに効果が上がっていきますが、5日以上になるとスポーツ傷害の発生頻度が急激に高くなるといわれております。休養をとらすに毎日長時間の練習をしても、練習量の割には競技力の向上がありませんし、むしろケガの発生頻度を増加させているだけになってしまいます。また、選手の心理面においては、練習の疲労感や辛さだけが記憶されてしまい、好きで始めたスポーツを嫌いになってしまうことさえあります。練習の効果というものは、休養があることによって最大限生かされるということです。従って、考え方によっては休養も練習の一環なのです。

 

6.疲労回復の食事

 疲労回復及び疲労の蓄積を防ぐための食事では、その目的が2つあります。1つは運動によって消費したエネルギーの補充、もう1つは運動による疲労の除去です。体を動かしているエネルギーが食事である以上、食事を抜きにしてコンディショニングを考えることはできません。ここでは疲労回復の栄養とタイミングについて説明していきますので、普段の食事の参考にして下さい。

●糖質(炭水化物)の補給

 運動で消費したエネルギーとは糖質であり、その補充も同様の糖質を補充する必要があります。糖質の量としては通常の練習レベルであれば、体重1s当たり0.7g以上が必要です。体重70kgの選手であれば、49g以上の糖質、カロリーでは200kcal以上の糖質の摂取が望ましいことになります。摂取するタイミングとしては、運動後15分以内までが、最も多く体内に貯蔵できることが解明されています。さらに同時にタンパク質を含んでいるほうが、より効果的に摂取できるという研究結果も発表されていますので、糖質3,タンパク質1の割合で配合されているサプリメントなどが有効に利用できます。また、サプリメントを利用しない場合でも、運動後になるべく早くに高糖質食品を摂取するようにしましょう。

●疲労回復を促進させる栄養素

:アミノ酸(BCAA):

 長時間の運動や激しい運動では、血液中のアミノ酸(BCAA)が少なくなり、この減少を感知して脳が疲労し、筋肉の活動を抑制させているといわれています。しかし、運動前や運動中にアミノ酸を摂取すると、疲労の感知を遅らせることができ、運動中の疲労対策に効果的となります。また、神経伝達物質に深い関係を持つビタミンB群やミネラルの補充も重要です。

:クエン酸:

 クエン酸は柑橘系に多く含まれる有機酸であり、人間の代謝においても重要な機能をもっています。クエン酸はクエン酸サイクル(クレブス回路)を回転させる源であり、このサイクルはエネルギーを発生させるマシンといえます。つまり、エネルギー製造マシンの回転源がクエン酸なのです。体内のエネルギー製造サイクルが活発であれば、疲労回復にも効果的なことは明確であり、クエン酸が体に必要なことは当然のことです。もろみ酢や梅肉エキスなどの健康食品がありますが、これらもすべてクエン酸含まれていることで、疲労回復に効果的と宣伝されているのです。また、クエン酸サイクルの回転にはビタミンB群,ビタミンCが欠かせませんので注意して下さい。

 摂取方法は市販のクエン酸粉末か、柑橘系(レモン,グレープフルーツetc)などの絞り汁を水と混ぜて摂取します。クエン酸は摂取してから約2時間しか活動しませんので、一度に大量摂取するよりも分割的に摂取するほうが効果的です。また、胃酸過多の選手は薄めて飲むようにしますが、通常の摂取方法であれば薬ではないので副作用はありません。しかし、異変があれば使用を中止するか量を調節してみてください。

7.疲労状態の把握

 疲労状態は選手自身で把握しなくてはなりませんが、指導者も全体的な状態の把握をしなくてはなりません。しかし、疲労の把握というのはとても難しいものであり、指導者が気付かずにいて、選手からも申し出ないことがよくあります。指導される方も試合に出してから「動きが悪い」「いつものプレーができていない」と感じることがあるようです。しかし、練習中には疲労に気付かなかったために、その原因が集中力の欠如や緊張によるミスと錯覚してしまうのです。こうした状況は最悪の場合、選手の故障につながるため、もっとも危険な状態といえます。疲労が選手のケガにつながってしまう理由としては、疲労により遅れてしまったプレーのカバーリングが上げられます。選手は疲労で反応できなかったプレーに対して、本能的にファールや無理な体勢でのプレーでカバーしようとしてしまいます。後半にファールが増加したり、故障者を多く抱えてしまったりするチームは、多少なりとも疲労が関係しているでしょう。

 話を疲労状態の把握に戻しましょう。疲労の把握は困難ですが、ある程度の状態を把握することはできます。その方法を下記していきますので、活用してみて下さい。

●起床時の心拍数

 疲労の研究によると、数多くの検査項目のなかで、最も関連性が高かったのが起床時の心拍数で、疲労状態が高まると心拍数が急激に上昇するようです。本来は起床時の脈拍を測定するのが理想ですが、現実に実施するのが困難ですので、主観的なものでもよいと思います。合宿中や強化期間中には朝食前にアンケートを行い、目覚めたときの疲労感,倦怠感,体重や体温の変化,などを選手に記入してもらうのも参考になります。

●練習終了してから10分後の心拍数

 どんなに高強度の練習で息が切れても、通常は数分もすれば収まりますが、10後でも収まらない場合にはオーバートレーニングといえます。これは、インターバルトレーニングなどによって把握できます。通常では十分に回復できるレスト(休憩)を挟んでいるのに、2本目が急激に減速してしまうようであれば問題です。また、インターバルトレーニングは疲労物質に対する抵抗力を高めるトレーニングですので、適切に実施すれば疲労に対する抵抗力を身につけられます。

●食欲低下や睡眠障害は疲労の赤信号

 慢性的な疲労状態では、食欲が低下したり熟睡できなくなったりします。経験したことのある選手も多いと思いますが、強化合宿などの練習で疲労困憊となり、食事よりも何よりも一刻も早く体を休めたいという状態や、疲労しているのに熟睡できないといった状況は慢性疲労に陥っている症状です。強化合宿なのに体調不良による見学者が多い状態は、本当に効果的な合宿なのでしょうか?合宿や強化期間には、精神面の強化も目的に含まれる場合があるかと思いますが、現実としてこのような症状が出てしまっているのであれば、指導される方は与えた練習の結果として受けとめなければなりません。

5 スポーツ疲労について

 スポーツを行った結果として、疲労を感じることは当然のことです。逆に疲労を感じないような練習ばかりでは、有効な技術力の向上もありませんので充実感もないでしょう。かといって、疲労を蓄積してしまうほどの運動強度が、有効に技術力を向上させているわけでもありません。すべては、質量のバランスなのです。例えばレクリエーションスポーツであれば、運動強度も高くありませんので、疲労回復のクールダウンを行わずして本来のコンディションまで、自動回復していきます。しかし、運動強度が非常に高い競技スポーツになると、身体の自然治癒による自動回復域を超えてしまうため、専門的なボディケアが必要になるのです。つまり、スポーツには運動強度に見合ったコンディショニングが必要になるということです。最近ではトップアスリートがトレーナーと個人契約して、専属でボディケアを一任する傾向がありますが、運動強度からしても納得できます。これはプロとかアマチュアという問題ではなく、運動強度の問題です。競技成績をさせるためにはアマチュアでも運動強度が高くなりますので、それに見合ったボディケアが求められるのは当然のことなのです。

一度、指導されているチームの運動強度を考えてみて下さい。クールダウンや体のケアを行わなくても、問題の発生しない程度の運動強度ですか?競技成績の向上を目的としている場合、必然的に疲労回復に取り組まなくてはならない運動強度になります。もし、指導されているチームの練習と疲労回復のバランスが崩れているようであれば、これを期に調整してみて下さい。また、現状で良好なバランスをすでに保たれているチームは、これからも崩れることなく優秀な選手が育成されることを願っております。

 

 

 

TARSEES TRAINER 本サイトの記載内容についての無断転載を禁じます。TARSEES TRAINER