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ファーストエイド(応急処置)

1 スポーツ傷害について

スポーツの現場では様々なスポーツ障害,外傷が多く発生し、スポーツ選手であれば程度は関係なく、一度は経験しているでしょう。怪我の中には予測可能なものから不可能なものまであり、どんな選手にも怪我をする可能性がありますが、その可能性を最小限に抑えるのが傷害予防です。しかし、どれだけ予防しても可能性はゼロにはなりません。とくにサッカーなどのコンタクトスポーツでは、突発的な外力によって不本意な体勢になっての捻挫や、衝突時の衝撃による打撲や骨折などがあります。怪我の発生因子は普段から完全に取り除くように努力しますが、起こってしまった怪我は素早く適切な処置を行います。アスレティックトレーナーや医療機関では、これをファーストエイド(応急処置)と呼んでおり、スポーツ選手が怪我をした場合に最も重要な処置だといえます。適切なファーストエイド(first aid )は、怪我の症状を最小限に抑えるため、復帰時間を短縮させて完治を早めます。そのため、選手が完治しないままに焦ってスポーツ現場に復帰したことによる、傷害の慢性化(長期化)も防ぐことができます。ファーストエイドはトレーナーがいないスポーツ現場でも実施できますが、専門的な知識が必要な部分もあります。逆効果になってはファーストエイドの意味がありませんので、どのようなケースでどのような処置が適切なのかを理解しておきましょう。

2 ケガの種類

スポーツ現場で起こりうる怪我を大別すると、二種類に分けることができます。一つはボディコンタクトや物体との衝突、または転倒などによって発生するスポーツ外傷です。衝突したときの衝撃や不本意な体勢での重心移動は、一時的に大きな外力が特定の部位にかかってしまうため、靱帯や筋を損傷してしまうのです。もう一つは繰り返される動作によって生じるスポーツ障害です。これは蓄積されてしまった疲労や、誤った動作フォームによって局所的に組織障害を起こしてしまいます。サッカーやラグビーなどは比較的スポーツ外傷が多く発生し、野球やテニスなどはスポーツ障害が多く起こる傾向にあります。これは運動特性の違いによるもので頻度に差が出ますが、両方ともすべてのスポーツに発生する可能性があります。

怪我(傷害)の分類
外傷と障害の違いについて

3 ファーストエイドの基本はRICE処置

この処置はRest=安静,Icing=冷却,Compression=圧迫,Elevation=挙上の頭文字をとった言葉でRICE(ライス)処置と呼び、捻挫,打撲,肉離れなどのスポーツ外傷に対処するための基本的な方法です。医療機関への搬送が必要なほどの重大な怪我でも、FARICE処置を的確に行えば最小限に抑えられます。早期復帰は受傷直後の適切なRICE処置にかかっていますので、しっかりと理解しておきましょう。

・Rest=安静

 怪我をしたら安全な所に移動して、できるだけらくな姿勢や肢位をとり、局所(怪我をした部位)だけではなく全身を安静にさせましょう。これは腫れる可能性があるのに動いてしまうと、全身の血液循環がよくなって腫れが悪化してしまうからです。また、安定しない部位の怪我はシーネ(あて木)で固定し、少しでも動かさないようにして悪化を防ぎましょう。

・Icing=冷却

アイシング(氷や氷水で冷やすこと)という言葉は一般的になってきましたが、その方法まではしってかりと認知されていないようです。アイシングは受傷直後に素早く実施し、患部冷却時間の目安は2040分間とします。アイシングを再開する目安は、冷却によって麻痺していた感覚が再び回復したら行い、48時間は繰り返し冷却するようにしましょう。捻挫や打撲などの急性期(受傷直後)には、コールドスプレーや冷湿布は効果が全くありませんので注意して下さい。

・Compression=圧迫

患部を包帯や伸縮性テーピングを用いて圧迫することによって内出血を抑制させます。圧迫の注意点は過度に圧迫させないことで、強すぎる圧迫は神経や太い血管にまで影響を及ぼし、四肢の遠位部にしびれや変色がでる場合があります。圧迫したときには必ず時間をおいてから、変色やしびれを再度確認するようにして下さい。

・Elevation=挙上

 患部を心臓よりも高くしておくことにより、内出血による腫れを防ぎます。足関節や膝関節の怪我であれば、座布団やタオルなどを下に入れて挙上すると簡単です。睡眠をとる場合にも、受傷した日は同様に挙上しましょう。

 

アイスパックについて

 アイシングは色々な方法があり、バケツなどに氷水を入れて行うアイシングや、アイスパックや氷嚢,コールドゲルパックを使用して行うもの、さらには機械で冷却温度を一定に保てる冷却装置などがあります。スポーツ現場で冷却装置を使用するのはコスト的にも無理がありますので、アイスパックなどの氷を用いたアイシングが有効になります。とくに怪我をしてしまった場合などのアイシングにはアイスパックが効果的です。バケツなどに氷水を入れて行うアイシングは患部の挙上ができませんが、アイスパックは体を寝かせた姿勢で挙上ができます。また、大腿部や肩でもアイスパックであればアイシングが可能です。 

 

@

A

B

C

氷を袋に入れる

形を平らにそろえる

空気を吸い出しながら結ぶ部分をねじる

アイスパックの完成

@    患部が十分に冷却できるぐらいの氷をビニール袋に入れる。

A    平坦なところで氷を平らに並べて隙間をなくし、患部に合った形状に整える。

B    平らになった氷を崩さないようにビニール袋の空気を吸い出す。

C    空気が入り込まないようにビニール袋を縛る。

アイシングの注意点

 アイシングをする際に最も注意しなくてはならないのが凍傷です。製氷機で作られた氷は凍傷の心配がありませんが、家庭用の冷蔵庫で作られた氷はとても冷たく、霜が降っている氷は短時間でも凍傷になってしまいます。同様に家庭用冷蔵庫で凍ったコールドゲルパックは氷よりも温度が低いため、凍傷の恐れがありますので注意して下さい。霜が降っている氷を使用する場合には、一度水をかけて霜をとってから使用するようにしましょう。また、アイシングをしたまま睡眠をとるのは凍傷の危険がありますので控えて下さい。

4 怪我の状況判断

怪我をした場合には早急にファーストエイドしますが、その後はすぐに状況判断をして、医療機関への搬送が必要かどうかを確認します。これは下記した項目に従って確認し、医師の診察を受ける必要がある場合にも、正しく状況を伝えるために有効です。しかし、怪我をした直後の選手は感情的になっている場合が多く、正確な返答が得られないことがありますので、現場の状況も考慮するようにしましょう。

受傷直後の確認項目

1.怪我をした状況の確認

選手同士の接触があったか,転倒したか,強く打ったり捻ったりしたか,どの方向から 

2.動かせるか確認

動けるか,動かせるか,立てるか,歩けるか,違和感やしびれはないか

3.痛みの程度を確認

痛みがあるか,我慢できる痛みか,我慢できない痛みか,どんな痛みを感じるか

4.炎症の状況を確認

患部が変形しているか,腫れはあるか

*医療機関に行くと上記したことを問診されるので、曖昧な返答にならなにように、しっかり状況を伝えるようにしましょう。

5 スポーツ現場での応急処置

 応急処置の正しい実施方法はスポーツ活動を行う際に、必ず把握しておかなくてはなりません。しかし、知識が十分にあっても実際に怪我が発生すると、経験を積んでいない人は焦りがちになってしまい、最適な応急処置は困難になります。さらに知識も十分になく処置した経験もない人は、慌てて何も最適な処置はできないでしょう。また、骨折や捻挫などのスポーツ外傷はいつ発生するか予測不可能ですので、応急処置の実施方法は把握していても、処置できる環境が整っていなくては意味がありません。

スポーツ選手の怪我からの復帰は、受傷時の適切な応急処置によって大きく変化します。このことからも応急処置の重要性は容易に察しできますが、応急処置の環境が十分なスポーツ現場は残念ながら多くありません。怪我はいつ発生するか分からないからこそ、常に対応できるようにしておかなくてはならないのです。不適切な応急処置やその後の誤った処置によって、軽度の怪我でも後遺症を残して競技力を低下させる恐れがあります。怪我の明暗を最初に分けるのは受傷した瞬間なのです。

 

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