1 三輪恵比須神社

境内は約二千平方メートルで、すぐ隣が三輪郵便局、以前は近くに銀行、役場、病院、そして小学校、常設市場や磯城郡の郡役所がおかれるなど、事実上の磯城郡の産業文化の中心地でありました。
現在は町の中の神社として、地域の人たちに「三輪のえべっさん」の愛称で親しまれ、また深い信仰を寄せています。
四季おりおりに境内の草花がお参りの人の目を楽しませていますが、特に数十種類の椿や、約一ヶ月に亙って次々に咲き誇る桜は見事といえましょう。四月以降は、町の中のオアシスのように色々の花で飾られます


2 恵比須神社の由緒

三輪の恵比須神社は市場の守護神として、多くの人々に親しまれ尊崇されてきています。
日本で最初に開かれた市場は、海柘榴市(つばいち)と呼ばれる市で、三輪山の南麓の金屋というところで、初瀬川の川べりに物々交換の市として開かれました。時代はおよそ奈良時代以前と考えられていますが、平安時代の女流作家清少納言は『枕草子』に「いちはつばいち」と述べています。有名な市場としてにぎわったのでしょう。万葉集にも

紫は 灰さすものぞ つばいちの やその衢に 逢へる児や誰
    たらちねの 母が呼ぶ名を 申さめど 道行く人を 誰と知りてか

と詠まれていて、大勢の人が行き交う「つばいち」を舞台にして、歌が詠み交わされていた様子がうかがわれます。
その「つばいち」の守護神として神様も祀られていましたが、延長4年(926)7月の大雨で、初瀬川が氾濫してその後、市は三輪の地へうつりました。その時、市の守護神も三輪に移されたのです。
社伝に「大風、長谷山崩レ、海石榴市ニ至リ、人烟悉ク流レシニヨリ、市場ヲ三輪ニ開クニ及ビ、市神モココニ遷シ祭ル。是レ即チ当神社ノ創祀ニシテ」と見えますように、海石榴市(つばいち)の守護神としての流れを受けて三輪市の繁栄とともに信仰を集め、今日の恵比須神社になっている次第です。したがって、当神社は「市場神社」あるいは、「日本最初市場の神」とも呼ばれて、売り買い商業などあらゆる産業の守護神として信仰されてきています。

3 御祭神

御祭神は 八重事代主命(やえことしろぬしのみこと)、八尋熊鰐命(やひろわにのみこと)、加夜奈流美命(かやなるみのみこと)であります。

八重事代主命は大神神社の御祭神大物主大神(別名大国主命)の御子神で、国譲りの談判交渉の際、父君大国主命に代わってその大役を果たされたことが、神話に語り伝えられています。大神神社末社の一つに、大行事社と呼ばれる神社が、恵比須神社入り口から、東方約三百メートルの所に祀られていますが、元恵比須ともよばれているように、いまの恵比須神社はここからお遷りになったと伝えられています。

三輪恵比須神社
〒633-0001 奈良県桜井市三輪   
TEL・FAX 0744-42-6432