悔悟のない介護

 40代から50代の人が介護世代になってきた。オレのまわりにもそういう人がたくさんいる。みんな、だいたい暗い顔をしている。中年で顔色の悪い人は、ほとんど介護する親を抱えていると見ていいくらいだ。
 オレ自身は介護を卒業したけど、年寄りの世話はホントに疲れる。何で疲れるかっていうと、終わりがわからないことがひとつの理由だ。
 あと半年とか1年とかってわかってれば、集中できる。だから疲れない。しかし、老人介護はこの先いつまで続くかわからない。しかも、けっしてよくなるどころか、どんどん状態が悪くなっていく。気が滅入ってくる。寝込みたいのはこっちのほうだ。
 介護される人の頭がはっきりしているうちは、まだいい。ボケてくると、こっちが誰だかわからなくなる。だから、いくら世話をしても、誰にしてもらっているのかさえ、わかってないことになる。これほど張り合いのない労働はない。ホントにつらいよ。
 それに比べれば、子育てなんて、これほど楽しいものはない。何しろ、あと何年と期限が決まっている。それに子どもが大きくなるにつれ、どんどん楽になっていく。物心ついてから3年くらい、一生懸命育てれば、その子の精神的なベースを作ることができる。世話した人のことは、一生覚えててくれるんだ。
 介護に疲れてる人に与えるオレのアドバイスは、ムキにならないことだね。もうあわてたっておそいもん。だれも急に老いぼれる人はいないだろう。何十年もかかって年取ったのだから、本人も介護する人も、今さらあせったってしょうがない。面倒見る人も見られる人も、の〜んびりやること。これがいちばん。
 次に、介護する人自身が、頻繁に気分転換をしなくちゃいけない。老人病院ってとこは、行くだけで暗くなるんだ。臭いもいやだ。キャバクラの臭いとは偉い違いだよ。たまには温泉にでもつかって、老人の臭いを落とさないと、自分も老人になっちゃう。
 年老いた親を抱えているので結婚もできないなんていう人もいるけど、自分の人生を犠牲にするような生き方では、あとで悔いが残るだけだろう。介護される人より、介護する人の人生のほうが長いのだから、自分が幸せになることをためらってはいけないよ。
 結局、ある日突然老人になる人はいないんだ。長い年月をかけて、自分の運命とふたり連れで老いてきたんだから、介護する人がすべてを助けようとしても無理。自分が引き込まれない範囲で、気長に助けてあげること。気楽にやってこそ、あとで悔やむことにはならないことを忘れずにね。

介護世代はみんなくら〜い顔してる。これが彼らへのアドバイスだ。