不倫願望症候群

 ダメンズウォーカーの次に多いのが、不倫願望の女性たちだ。男にも不倫願望というか、他人の女を盗むことに快感を感じるヤツがいるけど、どちらかといえば、それは少数派。
 オレなんかの場合、他人の奥さんと聞いただけで、性的にはまったく何の興味も感じなくなる。自分の娘に「女」を感じないのと同じレベルだ。
 だから、他人の女房に手を出したがる男は、まず病気じゃないかと考えるね。英語の軽蔑語に mother fucker(近親相姦者)というのがあるけど、文字どおりそれに近い男だと思う。
 でも、女性の場合は、自分が独身でありながら、既婚の男性を好きになるケースが山ほどある。それも単なる浮気じゃなくて、身も心も捧げ尽くしてる人が現実にかなりいる。
 ある独身女性は、妻子ある男性と10年以上も恋愛関係を続けてきたという。そういう話を聞くと、実に胸が痛む。男というものを知らなすぎるもん。
 男はね、自分が結婚していようがいまいが、いただける女ならいくらでもいただくというのが本心なの。「愛」なんて全然関係ない。スエーデンじゃなかった、据え膳食わぬは男の恥だなんて気取っちゃう。「今は無理だけど、必ず女房と別れてキミを幸せにするよ」くらいのセリフが次々と出てくる。こういうことにかけてなら、男は実に役者だよな〜。
 女性のほうも、相手に妻子がいて幸せにしてると、かえってそこに男の魅力を感じちゃうものなんだ。その幸せな家庭は、建て売り住宅みたいなもんで、明日からすぐに自分も住めると思っちゃう。
 「いい男はみんな結婚してる」というけど、実際、誰かが好きになっているという実績があれば、それは品質保証みたいなものに見える。女性は、レディメイドでも、「いいものはいい」と納得できちゃうらしい。「実績なきところに栄冠なし」っていう予備校のキャッチフレーズにも弱いだろうな、きっと。
 でも、よく考えてごらん。その男がいい男であるのは、半分は奥さんの力なんだよ。どうしようもない女なら、とっくに別れてるさ。別れられない理由があるからこそ、何年も続いているの。そこに割って入ったとたん、その男の魅力は半分になっちゃう。
 久米宏だって、彼の魅力の半分は、スタイリストでもある、彼の奥さんの力だよ。オレは、女房の存在はそのくらい男の魅力に影響すると信じている。
 だいたい、週に1回や2回会ったくらいで、その男の本当の姿なんてわかるもんか。男の本質や価値は、危機に直面したときにどういう行動をとるかで決まるの。ヤバイとなったらすぐ逃げる男がほとんだと思っていてほしいね。
 だから、不倫願望の女性が追いかけている男の魅力は、蜃気楼のようなもの。永遠に自分のものにはならないよ。アンタだけの男になったとたん、ただのオヤジになるだけ。それ以前に、事態が深刻になれば、99%、男は逃げるよ。
 他人が建てて生活のアカが染みついた、中古住宅にどうしても住みたいなら、それはその人の趣味だから引きとめはしない。でも、オレだったら、どんなに狭くても、納得のいく家を自分で建てるね。
 幸せは、苦労してゼロから作り出すからこそ、自分のものになるの。既製品のおいしそうなとこだけをつまみ食いしたところで、しょせんは他人のもの。他人のものは他人にまかせておきなよ。

幸せはゼロベースから築くからこそ、自分のものになるもの。

(C) 2005 by Mitsuhiko Takeshita

ミッチャンのエセエッセー                      by 竹下光彦