英語の上達法、教えます

 日本人の英語ベタ、これはもう民族の宿命的な問題だね。みんなが英語をまともに話せるようになるのは、北方領土の返還や拉致問題の解決と並ぶ、国民的悲願といっても過言じゃない。どうしてこうヘタなんだろう。国連なんかで、よせばいいのに英語の原稿を読み上げてる政治家や官僚の英語なんて、国辱ものだもん。
 オレは「業者」だから、当然英語にはまったく不自由しない。英語で外国人と話すと、たいてい「あなたはどこで英語を学んだのか」とか、「外国にどのくらいいたのか」って聞かれる。
 英語は、中学校から、学校だけで学んだ、外国で生活したことはないって言うと、みんなびっくりする。そんなはずがないって疑われる。でも、ほんとうなんだから、しかたがない。
 じゃあ、どうやってマスターしたのかって?教えたくないけど、しかたない。とっておきの上達法を教えちゃおう。
 オレの勉強法は、徹底的に音声から学び、覚える方法。文字は後回し。そのほうが絶対早いし、正しい発音が身につく。この方法は、韓国語でも実証済み。オレのしゃべる韓国語を聞いて、竹下は韓国生まれじゃないかと思った人がいるくらいだもの。
 でも、それはひたすらCDを聞くなんていう簡単なものではない。音声そのものについても、しっかり知識を身につける。理論を知らないと、応用が利かない。
 音声が大切ということは、すべての外国語に言えること。なぜなら、ことばの本質が音声だから。人類の歴史100万年の中で、文字が使われるようになったのは、せいぜい数千年。ほとんどの期間、人間は音声だけで、育てられ、恋をし、仕事をし、争ってきた。文字なんて、影みたいなもの。
 だから、文字は重要ではない、というのではない。実体ができれば、影なんてすぐできる。あくまでも実体を見失ってはいけない、ということ。
 音声の基礎ができたら、あとは簡単。徹底的に「自己中」で英文を暗記する。自分に関することだけを、英語で話せるようにする。ここがポイント。生い立ち、趣味、友だちのことなど、何でもいい。とにかく、自分が日本語でもすらすら出てくることだけを英語で言えるようにする。原文を自分で作って、英語のできる人にチェックしてもらえばいい。
 だいたい、教材で学ぶのは、ほとんど「他人の英語」だ。自分で話したくもないことを暗記できるわけがない。「私はペパーダイン大学を卒業しました」なんて、本人の記憶にもないようなことをアカの他人が英語で覚えてどうするの。
 最初は100語くらいの文を覚え、少しずつ長くしていく。300語くらいの文を覚えれば、3分間はしゃべっていられるようになる。もうこれだけで、話すことは、平気。「自分の英語」だから、応用も自由自在。
 リスニングはどうするのかって?意味のわかる内容を正しい発音でしゃべれるようになれば、リスニングの力が自然についてくる。ただ聴くだけじゃ、絶対無理。
 自分で一方的にぺらぺらしゃべれるようになったら、会話なんて実に簡単。相手の言ってる英語がわからなかったら、それをさえぎって、一方的にまくし立てればいいのだから。これはホントの話。
 東南アジアなんかへ行くと、とにかくぺらぺら英語をしゃべるヤツがいる。こういう人間が英語ができるのかと思うと、ほとんどこっちの英語は理解できていない。しかも連中の話す英語には、たいした内容はない。でも、自分の言い分だけをまくし立ててるから、とにかくヤツらのほうが圧倒的に外見がいい。判定に持ち込まれれば、相手の勝ちだね。
 とにかく、単なる度胸づくりの目的で、母国では昨日までプータローこいてましたみたいなネイティブのセンセイに授業料を貢ぐ必要はないよ。
 リスニングに関する詳しい理論は、オレの書いた『英語がスラスラ聞き取れる本』(青春出版)を読んでね。

英語は、金をかければかけるほど、挫折するものだって知ってた?

ミッチャンのエセエッセー                      by 竹下光彦

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