だから中年女性は…

 夜、仕事をしていたら、突然の電話。この間、友人と初めていっしょに食事をした女性から、六本木のホテルのバーで女性3人で飲んでいるから出てこないかとのお誘いだ。
 「3人の女性と、いっしょに飲む」という光景を胸に描いただけで、男というものは、浮き浮きしてしまう単純な動物だ。イヤー、もてる男はつらいなー。
 急いでシャワーを浴び、服を着替えて駆けつけたら…。あらら、確かに女性でした。年の頃はどちらも40代半ば。ひとりはでっぷり太って赤ら顔。もうひとりは、痩せてればいいってもんじゃないという貧相なお顔だち。
 この瞬間、偉大な法則を発見した。「女性が男性を誘うときは、自分以上の容姿の女性を伴うことはない」という法則。名づけて「比較3原則」。3人の中で比較すれば、自分はましだろう、と思わせる戦術だ。
 呼び出した本人、残りのふたりに向かって「どう、いいでしょう」だって。ホストじゃないんだよオレは。まるで自分のボーイフレンドを呼び出したノリだ。
 容姿なんていいや。人間、顔じゃない。大切なのは、見た目です!(綾小路のパクリ)
 とにかく話がおもしろければと思って、いろいろ話題を持ちかけても、これが全然乗ってこない。お通夜じゃないんだぜ。何でオレが金を出してこのシトたちの機嫌をとらなきゃならないんだよ。
 場所を変えようということで、ショーパブに行ったり、外人カラオケに行ったりしても、全然盛り上がらない。結局、何のことはない、自腹どころか4人分の飲み代を払って、合計7万円の出費。オレってバカだねー。ホントにバカ、バカ!
 それだけ使うなら、若い女の子と3回はデートできた。若い子はちょっとしたジョークでも素直に大笑いしてくれるし、自分からどこどこへ行こうなんて押しつけがましいことは言わない。そこらの焼き肉屋に連れて行っても、「あたし焼き肉、だーい好き」なんて言って喜んでくれ、洗いざらい自分のことを話してくれる。次の日にはお礼のメールをくれる。駆け引きや打算なんて、まったくない。ふつうのお嬢さんなら、こっちがかえって心配になるくらい警戒心もない。
 おばさんになるということは、自分本位でずうずうしくなることと同義だ。そのくせ妙にプライドだけは高いのだから手に負えない。身の程を知れっつーの。
 気をつけよう。暗い夜道と中年女性。

おばさんは、恐るべき生き物だ。

ミッチャンのエセエッセー                      by 竹下光彦

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